グッドモーニングアメリカ、音楽的振り幅を見せた最新作『in トーキョーシティ』
グッドモーニングアメリカ | 2014.10.16
- EMTG:ニューアルバム『inトーキョーシティ』。すごく生々しさを感じる作品だなと思ったんですが、特に最後の「スクランブル交差点」の終わり方が感動的でした。ここから話を聞かせてください。
- 金廣:この曲は、実はグッドモーニングアメリカとしてバンドを始める前からあったんです。でも、まだ出すのはダメだなと思って、ずっととっておいた曲なんです。
- EMTG:(寺岡)呼人さんのプロデュースの力もあって、今までのグドモにはない壮大なロックバラードになりましたよね。
- 金廣:もともとはフォークロックみたいなものにしたかったんですけどね。ドラムのペギーがいろんな変わったことをしてくるので(笑)。それプラス、呼人さんがシンセや歌詞の面を見てくれるので、それで何というか……すごくワイドな感じになりました。
- EMTG:曲の中では《負け犬になった日》って言葉も出てくるんだけど、最後は《生きて 生きてゆくだけ》で締めくくるという。ここがぐっときましたよ。
- 金廣:まず1番で《生きて死んでくだけ》っていうのが出てくるんですよね。そこから書いて、曲をどういうふうに終わりたいかなって考えたんです。そこからどのぐらいポジティブに持っていくか。俺は基本的にはポジティブな方向にもっていきたいんです。この曲は、まず“生きて死んでいくっていう当たり前のことがまずある。で、生きることと、死ぬことって同議語だと思うんです。意味は違うんですけど。だから、もうちょっと最後は“自分の意志で生きてく”っていう感じにしたいなと思って。最初の、《生きて死んでくだけ》っていうのを、《生きて生きてゆくだけ》にしたんです。
- EMTG:この「スクランブル交差点」が最後の曲っていうのはすぐに決まったんじゃないですか?
- 金廣:そうですね、わりと早い段階で。
- EMTG:この曲で締めくくって、1曲目がタイトル曲の「inトーキョーシティ」で、アルバム全体が東京を舞台にしたストーリーになってる感じもしますね。
- 金廣:たまたまなんですけどね。
- EMTG:そうなんですか?では1曲目の「inトーキョーシティ」はどういうふうにできたんですか?ライブで絶対に盛り上がりそうだけど、歌詞はセンセーショナルな曲ですが。
- 金廣:これは今年の正月に書初めみたいなものをやっていて、それでできたんです。
- EMTG:書初め? 毎年やってるんですか?
- 金廣:あ、書初めっていうのは、習字じゃなくて曲の書初めですね。
- EMTG:初夢みたいな感じで、今年の“初曲書き”?
- 金廣:そうです。初曲書きをなるべく正月に始めたいなと思って、去年から始めたことなんですけど。その時に頭の中で作ってたのをそのまま形にした曲です。歌詞に《被害者》とか《加害者》とが出てくるのは、去年の6月に歌録りをしたデモには入ってました。そっから歌詞を考えたんですけど、けっこう時間がかかって。他の曲はレコーディングをしているのに、歌詞ができない。題名も悩みました。で、ずっと聴きながら、《トーキョーシティ》っていう言葉が出てくるのを、アルバム全体も『トーキョーシティ』にしたら芯が通るなあと思ったんですよね。それで『スクランブル交差点』で終われる。このアルバム自体が、身近なこと、身近なことからピックアップした広いこと、あとは心理だったりを歌ってるアルバムだとも思ってたので。
- EMTG:うん。すごく身近だし、景色が見えるアルバムですよね。ここは1DKのアパートだなっていう「ワンダーフルワールド」とか、大衆居酒屋で仲間と夢を語ってる感じの「コールアップ」とか。
- 金廣:そうですね(笑)。なので、すごく腑に落ちて。でも、マネージャーとかディレクターは大阪の人なので、“東京”っていう言葉に対して『どうなんだろう?』っていうのは言われたんです。でも他の言葉で腑に落ちるのがない。変えるのが難しくて。で、やっぱり『inトーキョーシティ』がいいです、って押し通したに近いですね(笑)。
- EMTG:ところで金廣くん、出身は東京?
- 金廣:俺は違うんですよ。いまは東京に住んでるけど。宮崎の生まれで、福岡に引っ越したり、けっこう転勤族で転々と。中学2年生でこっち(東京)に来たんです。
- EMTG:私は関東出身なので、「スクランブル交差点」と言えば、渋谷のあの光景を思い浮かべましたけど、地方の人が聞くとちょっと違うのかもしれないですね。
- 金廣:うん。だからそういう意味では、そこまで東京っていう街のイメージにこだわってるわけではないんです。俺の中ではトーキョーだった。少なくとも、inオーサカシティではなかったし、育った町であるinフクオカでもなかった。ただ、それ以外に住んでる人も共感できる内容になればと思いました。
- EMTG:そんな作品になってると思います。さっきおっしゃってた身近なことがテーマっていうのは、どういうところで出てきたんですか?
- 金廣:無意識です。いつもただ単に思いついたこと、最初に出てきたものを信じるようにしてるので。それがたまたま身近なものだった。普段ちょっと思ってたこと、自分の生活に根づいたもの、そこからリンクしていくものだったんですね。
- EMTG:なるほど。でも、たまたまでもありつつ、何かいまのグッドモーニングアメリカとして歌う意味もありそうなアルバムになったと思うのですが。
- 金廣:もしかしたら……そうですね。影響としては、プロデューサーの寺岡呼人さんが歌詞もプロデュースしてくれるというか、自分をプロデュースしてくれるのが大きいと思います。もちろんサウンドをやってくれるんですけど、明らかに歌詞の書き方は変わりました。歌詞から見える自分=金廣真悟っていうのが、前よりも見えやすくなったかなと思います。で、その影響があって、身近なものをピックアップしていく、さらに身近なものとでっかいもののギャップを書くことで、親近感を感じてもらえる部分はあると思います。
- EMTG:より金廣真悟が出たっていうのは、よくわかる気がします。
- 金廣:あんまり意識はしてないですけどけどね。それこそ、『inトーキョーシティ』っていうアルバム名を考えてる時に、あっと思って。それまでは考えてもいなかったですね。
- EMTG:呼人さんとタッグを組んだことでサウンドの広がりも感じましたが、そのあたりはどうでしょう?
- 金廣:もともとバンドの中でも今作からいろいろデジタルサウンドは入れていこうって話はしてたんです。たとえば呼人さんにプロデューサーしてもらった『イチッ、ニッ、サンでジャンプ』は、めちゃくちゃ同期を使ったりしましたね。生のバンド4人だけど、同期のシステムもどんどん使って、シンセサイザーとかバイオリンを入れるのにも抵抗がなくなりましたね。
- EMTG:たしかにいろんなタイプの楽曲があって聴きごたえがありました。ただ、今作が前作と違うと思うのは、前作ってすごくキラキラした感じというか、メジャーデビューだ!ドカーンっていうような……。
- 金廣:うん、ちょっとわかる気がします(笑)。
- EMTG:そこから、いまバンドの動員がどんどん増えてく良い状況があって。もっとライブアルバムっぽい方向にいくと思いきや、意外とこう聴かせる作品だったのは面白いなと思ったんですよ。
- 金廣:あ、それはよく言われます(笑)。半歩斜め上にいきましたね。いい意味で裏切れたと思います。
- EMTG:裏切りたいという気持ちもあったんですか?
- 金廣:うーん、ちょっと裏切れたらなとは思ってましたけど。それは、たとえばデジタルサウンドを入れたり、そういう意味での裏切りはあったらいいなと。基本的にはライブでも盛り上がるアルバムだと思うんですね。それが、そういうふうに聴かせるほうで捉えてくれるのはいいなと思いますね。実際に自分で聴いても、それは感じます。前のやつが、わーっ!て感じだとしたら、落ち着いた。いい意味で自信が出たかなというのはあります。アピールしようって感じではないのかもしれないですね。
- EMTG:自信はようやく出てきた感じですか?
- 金廣:いま地道にひとつひとつやってきて、それがかたちになったのは実感してるんです。そういう意味での自信はついてきた。一方でまだまだだなと思ってる自分もやっぱりいますけど。そのなかで作った作品という感じですね。自分たちにとって新しいことをしようと思いながら。
- EMTG:じゃあ最後に。グッドモーニングアメリカって盛り上げ上手なライブバンドっていうイメージも強いし、やっぱりたなしんの存在感もあって……これ言って大丈夫かな? あまり知らない人にはキワモノっぽく見えたり……。
- 金廣:うん、キワモノで大丈夫です(笑)。
- EMTG:それに対するフラストレーションで今作ができたという一面はありますか?
- 金廣:それも言われるなぁ……(笑)。それこそ対外的には、そこまで音楽性を打ち出してないですしね。でも言っちゃえば、前のアルバムでもちゃんと音楽的な面はあったと思うんですよ。だから……本当にそこのフラストレーションっていうよりは、自分がやりたいことを勝手にやったら、メンバーもOKだったって感じです。だから自覚症状としては、そこはあんまり狙ってではないですね。
- EMTG:そっか。本当にさっきから言ってるように自然体でできたアルバムなんですね。
- 金廣:そうですね。ライブの流れのなかでこういう曲があったらいいのにっていうところで。そのほうが多いような気がしますね。
グッドモーニングアメリカのニューアルバム『inトーキョーシティ』は、その東京という言葉が象徴するように、作詞・作曲を手がけるボーカル金廣真悟の“身近にあること”がテーマになった作品だ。今年のグドモは2枚のシングルをリリースして、ライブ会場はSHIBUYA-AXからZepp DiverCity Tokyoクラスへとジャンプアップ。順調なバンドのヒストリーを刻んできた。そんな中リリースする今作は様々な音楽的な振り幅を見せながら、しっかりと地に足をつけた作品だ。あくまで自然体のまま、金廣の人間力が滲み出るこの2ndフルアルバムで、グドモは“ライブ×作品”というバンドの両輪をより強固なものにして攻めてくる。今回は、金廣真悟ひとりにじっくりと訊いた。
【取材・文:秦 理絵】
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あっ、良いライブここにあります。2014
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2014/11/24(月)渋谷TSUTAYA O-EAST
inトーキョーシティーツアー 2014-2015
2014/12/08(月) 千葉 LOOK
2014/12/10(水) 水戸 LIGHT HOUSE
2014/12/11(木) 宇都宮 HEAVEN’S ROCK VJ-02
2014/12/13(土) 長野 LIVEHOUSE J
2014/12/14(日) 金沢 vanvan V4
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2014/12/17(水) 京都 MUSE
2014/12/19(金) 浜松 窓枠
2015年
2015/01/09(金) 郡山 HIPSHOT JAPAN
2015/01/11(日) 秋田 Club SWINDLE
2015/01/12(月祝) 盛岡 CLUB CHANGE WAVE
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下記公演、全てワンマン公演
2015/02/01(日)札幌 PENNY LANE 24
2015/02/07 (土)仙台 Rensa
2015/02/14 (土)新潟 LOTS
2015/02/21 (土)高松 MONSTER
2015/02/28 (土)福岡 DRUM LOGOS
2015/03/01 (日)広島 CLUB QUATTRO
2015/03/07 (土)大阪 なんばHatch
2015/03/08 (日)大阪 なんばHatch
2015/03/15 (日)名古屋 Zepp Nagoya
2015/03/21 (土)東京 Zepp Tokyo
2015/03/22 (日)東京 Zepp Tokyo
※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。
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