「グッドモーニングアメリカって、最近色々なところで名前を聞くけど、どんなバンド?」と尋ねられた際、迷わず今回のシングル「拝啓、ツラツストラ」を差し出して欲しい。そんな今作は、まさに<現在の彼らの真価>と呼ぶに相応しい楽曲だ。 タイトル曲は、『ドラゴンボール改』4月クールエンディングテーマ。ダンサブルさと疾走感が同居したサウンドは、まさに彼らの真骨頂だ。加え、自分のダメさや弱ささえも認め、必死に向き合い、乗り越えようともがき、抗い、それらを経てこそ巡り合う光や希望を謳う内容は、それこそ彼らがこれまで伝えてきた本質と言える。
　タイアップも含め、このシングルを経て、より幅広い人々に聴いてもらえる機会を得た彼らは、更に多くの人の心を捉え、集まった人々に、まるで自分の歌のように思いを重ねて謳歌させることだろう。

EMTG : 「拝啓、ツラツストラ」は、サウンドにしても歌内容にしても、＜これぞグドモ!＞という印象を受けました。

金廣 : その辺りは狙いです。今回は『ドラゴンボール改』のエンディング曲ということもあり、より多くの人に自分たちを知ってもらうきっかけになるだろうし。そんな方々への名刺代わりも含め作りました。自分たちが思うグッドモーニングングアメリカというよりは、周りの人が思うところのグッドモーニングアメリカをあえて出してみたというか。

EMTG :一見重く響きそうな内容なのに、疾走感やダンサブルさ、軽やかさや上昇感で、それを感じさせないところが興味深かったです。

金廣 :自分たちの王道にして、新たな挑戦も出来たシングルかなと。新しい要素や今まで取り入れたことのないリズムも採り入れてるし。そうそう、今回は2番ではベースが第二主旋(第二の主旋律)を弾いてるんです。これも初の試みで。それによって、リードギターとパッキングギター、それからベースが同化しなくなって。おかげさまで僕とこうちゃん(渡邊)がギターで別のことをやっててもOKだったんです。その辺りは新発見でしたね。

たなしん : そこの部分は最初、”このベースライン、果たして俺に弾けるかな?”という不安はありました(笑)。ニュアンスや運指が大切なポイントだったんで、色々と試し、工夫して弾きましたね。

EMTG : ダイナミズムがある中でキチンと軽やかさを有しているところもポイントかなと。特に後半はギターが出てきますね。何かギター的に今作ならではのことはありましたか?

渡邊 : 今回は特にサビの部分で、自前のキャビネットを使って弾いてます。実は以前に買って、家の練習では使っていたんだけど、レコーディングやライヴでは、まだ使ったことがなくて。で、たまたまレコーディングで試したらハマったんです。曲の後半のジャキジャキいうところにも合ってたし、おかげさまであの辺りは疾走感のある音に録れました。

EMTG : 今回もドラムはけっこう色々とやってますね。

ぺギ :色々とやってはいますが、逆に比較的歌の聴き易さは意識したかな。歌が入ってきやすいリズムを心掛けたというか。とは言え、やっぱりやるところでは、とことんやっちゃってますけどね(笑)。

EMTG : ラストに向かう疾走部がたまりませんでした。

ぺギ : そこですね。サビに向かって突っ走っていく最後の疾走感への助走の持って行き方をイメージしながらドラムは組み立てていきました。特にこの辺のドラミングはマネできないぐらい詰め込んだかも。

EMTG : 歌詞に関しては、いかかですか?

金廣 :『ドラゴンボール改』のエンディングに相応しい歌詞にしたいなとは思ってました。

EMTG : それは?

金廣 : スーパーサイヤ人に対してのクリリンやヤムチャの気持ちを描けたらなって。オープニングだったら悟空についてをガーッと表すんだろうけど、エンディングなので、あえてそれとは違った面から表してみました。そこでスーパーサイヤ人からの連想で、ニーチェの「ツァラツストラはかく語りき」の「超人」に結びついたんです。ヤムチャやクリリンも悟空みたいに強くなりたいんだろうな...って。憧れを持ちつつ、一緒にいる仲間。”俺もいつか、こんな風になりたいな…”みたいな歌詞を描いてみました。

EMTG : ちなみにこの「ツラツストラ」は、<ツァラツストラ>と<ツラい>をかけてたり?

金廣 :気持ちは分かるけど、それは全く関係ありません(笑)。最初は「ツァラツストラ」にしていたんです。だけど、それだと回りの人がみんな言いづらそうで。だったらなおさら小学生や幼稚園ぐらいの子たちは、言えないだろうなと、このタイトルにしたんです。呪文っぽくていいじゃないですか(笑)。

EMTG : カップリング曲は各々いかがですか?

金廣 : 実は今回のカップリング曲って、それぞれプロデューサーの寺岡呼人さんと、「イチ、ニッ、サンでジャンプ」と同じ時期に既に録っていたんです。どれも自信作なので、このタイミングで入れちゃいました。

EMTG : 初回盤Aタイプと通常盤に入っている「喝采」は、＜いつの日にか立つ檜舞台＞が思い浮かんでくる曲ですね。

金廣 : この曲は初めて歌詞から先に作った曲です。ある意味、これやもう一曲の「メロディ」のどれがタイトル曲になってもいいぐらいの自信とクオリティを持った楽曲で。

EMTG : 大転調からの大サビがグッときました。

金廣 : 久しぶりに転調してみました。おかげさまで一層ドラマティックになりましたね。レンジの広い曲なので、転調した方が、よりこの曲で伝えたかったところも伝わるだろうと。

渡邊 : ホント素晴らしい曲だと思います。まだライヴで演ってないんで、演るのも楽しみで。是非この曲をデカい会場でみんなで歌いたいですね。気持ちいいだろうな…。

ぺギ : 気持ちを込めやすい歌ですからね。ドラムに関しても、音に気持ちを乗せて叩きました。

たなしん : ホント、大勢の前でやりたいし、一緒に歌いたい歌ですね。レコーディングの時も、大勢を前にプレイしている絵を思い浮かべて弾きました。

EMTG : 野外や広大なところにみんなで集まって聴いたり、一緒に歌ったりしたい曲ですもんね。

たなしん : ホント、フェスや大会場も似合う曲だと自分たちでも思います。僕たちを知らない人にも響いて欲しいです。

EMTG : 初回限定盤Bの「メロディ」は、至福感があり、聴いているうちに優しい気持ちになれる曲ですね。

金廣 : 前作シングルに続き、これも昔の、まだぺギが入る前の曲です。特にアレンジも歌詞も変えず、今のメンバーで再録したんです。今だと書かないであろう恥ずかしくてストレートな歌詞も聴きどころです(笑)。

渡邊 : 5年ぐらい前のデモテープの曲なんですけど、当時は自分たちでプレスして、ライヴ会場で売って等してましたからね。やってても当時のことが想い返されて…。<知る人ぞ知る>で終わらせるのはもったいないと常々思っていたので、今回陽の目を見れて嬉しいです。

たなしん : 前回のシングルに入っていた「春が迎えに来るまで」と同じ僕たちの2枚目のデモに入っていた曲なんです。

ぺギ : 今の自分たちの感覚で昔の曲が出来て良かったなって。自分もあえてこの頃のドラムの方を完コピしようと思って、自分らしさより、以前の雰囲気をそのまま踏襲し、引き継ごうと思い叩きました。とは言え、やはり叩いている人が違うので、結局は以前通りにはなってないとは思うんです。まっ、それはそれで今の自分たちらしさが出てていいのかなと。僕が加入した当初は、まだこの曲もライヴで演っていたんで、レコーディングの時は、懐かしい気持ちもありつつ叩いてました。

EMTG : 最後にワンマンツアー『7つの秘宝を探す冒険（アドベンチャー）2014』への意気込みを聞かせて下さい。

渡邊 : 去年は対バンツアーで全国を回っていたんで、久々のワンマンツアーが今から楽しみでしょうがないです。想い出に残る日を作り続けますから。

金廣 : 特にステージで「喝采」を歌うのが楽しみです。みんなで一緒に歌いたいし、もっともっと大きなステージでこの曲を一緒に歌っている自分たちを重ね合わせて見てもらいたいです。

たなしん : 今回のシングルで気に入ってくれて、初めてライヴに足を運んで下さる方も沢山いると思うんです。そんな人に、”来てよかった””また次も行ってみたい”と思ってもらえるライヴを目指します。僕は演奏もですけど、演出でも頑張りますから、お楽しみに!!

ぺギ : いいライヴはもちろん、かっこいいライヴをしたいですね。このシングルをキッカケに、初めて僕たちのライヴに来るっていう人もいるでしょうから、そんな方々に、”ライヴってかっこいいな!!””スゲエ迫力があるな!!”といった部分も感じて欲しいんです。毎回最高のライヴを見せますよ!!

【取材・文：池田スカオ和宏】