Brian the Sun名バラード「Absolute Zero」の話とともに、バンドの現在地を探る

Brian the Sun | 2015.06.02

 大阪を拠点に活動をする4人組ロックバンド、Brian the Sun。毎年、多くの人気バンドを発掘するスペースシャワー主催の「列伝」ツアーにも名を連ね、いま急速にその名を広げつつあるバンドだ。その楽曲は、誰もがすんなりと受け入れる真実を、頑なに拒むような危うい熱を放っている。作詞作曲はボーカル森良太。気まぐれと直感でバンドを率いる彼が、改めて感じたバンドにとっていちばん大切なこととは? 映画『ハッピーランディング』の主題歌になった名バラード「Absolute Zero」の話とともに、バンドの現在地を探る。

EMTG:閃光ライオットで準グランプリをとるけど、すぐに活動休止したり、フィリピンにライブしに行ったり、活動は紆余曲折ですね。
森:それは僕の自己中なところというか……(笑)。フィリピンに行ったのは19、20歳前後のときで若いうちに1回は海外は経験しておきたくて。あと、受験もやっておくべきだと思って一旦休止にしたり。休止と言っても週1でライブはやってたんですけど。だから、僕が「絶対いい」って言ったことに、メンバーは「えーっ!?」って言いながら、わがままを聞いてくれる(笑)。ブライアンはそんな関係性ですね。
EMTG:もしかして森くんって、かなり気まぐれ?
森:そうなんですよ。最近になって自分に周期があることに気づきました。めっちゃ眠い時期と、めっちゃ元気で寝んでもいい時期がある。それが交互にくるんです。
EMTG:それは曲づくりに影響は出ませんか?
森:出ますね。落ちてるときのほうが曲は書けます。音の聞こえ方が違うので。音に対してぐっと入り込める時期があるんですよ。感度があがってる。そういうときにギターを弾くと、とんとん作れて。この「Absolute Zero」はもろに失恋した直後に作った曲なんです。4年間つきあってた子に「もう無理やわ」って言われて(笑)。
EMTG:あら……。いくつのとき?
森:高校生のときにずっとつきあってたから、20歳かな。それで好きなこととか、嫌いなこととか、自分のなかで思い出しながら書いた曲です。自分的には大事にしたい曲だったから、バンドで出すかどうかもすごい悩みました。
EMTG:自分のことはあんまり歌詞に書かないんですか?
森:んー……どこまでが自分のことかって難しいんですけど。経験してないことは書いてないです。それを歌うのは難しいなと思って。そういうことを想像しながら歌うのは得意じゃないと思ってるので。
EMTG:この曲のもともと去年(2014年)の12月に発売されたアルバム『Brian the Sun』にピアノのみの演奏で収録されます。まず、なぜピアノだったのか?
森:作ったときもピアノだったんですけど。自分だけのものを1個だけ残しておきたかったんですよね。バンドの音が入る前の「こういう音や」っていうのを。
EMTG:映画主題歌として、改めてバンドバージョンにしてどう思った?
森:難しいですね……。えっと、僕らは4人じゃないですか。たぶん4人より多いと広がりがあるというか、逃げ道が多いと思うんですよ。メンバーの個性が薄れてくる。そのぶん(演奏が)曲に溶け込んでいける部分があると思うんです。逆に4人より少なかったら、今度は個性が立つからやりやすいんですけど。でも4人って難しくて。ベース、ギター、ドラムで、僕のピアノも、ちゃんと全部聴こえるけど、それが主張しすぎても鬱陶しいし。かといってその主張がなかったら、バンドとして成立してる意味がないから。それやったら弾き語りでやればいい。そのラインを考えて作りましたね。
EMTG:自分のなかでどう消化したんですか?
森:ギターの(小川)真司のギターのフレーズとか音にクセがあるんです。あいつが弾いたら、すぐにあいつ節になるから。そこも「ちょっと薄くできひん?」みたいな感じで、持つギターとか音色を変えてみました。だから一聴した印象でいうと、Brian the Sunっぽさからは離れてるかもしれない。音色の広がりっていうか、カラッとして晴れてる感じになるようにして。そうやって調整していきましたね。
EMTG:いまの話を聞いてて思ったのは、曲自体があまりにもパーソナルなものだったから、やっぱり歌がいちばん届くようにしたかったんじゃないかな。
森:そうですかね。全然、話は違うんですけど。この間、「VIVA LA ROCK」でスピッツを見たんですよ。同じ日に出たので。あのバンドは草野(マサムネ)さんの声がいちばん大事じゃないですか。それを「みんなが立ててんねんな」って思って、超感動したんです。将来的にはそういうふうに、自分らの強みがわかっとって、それを生かすためにみんなが一致団結できるような感じになりたいんですよね。
EMTG:スピッツもシングルだとたしかにマサムネさんの歌が際立つけど、アルバムを聴くと、田村(明浩)さんベースがかっこよかったりもするし。
森:ロックじゃん、みたいなのありますよね。その使い分け。まあ、そんな深くも考えてないんですけど(笑)。でも、そこに温度の低いロックを感じました。すごい低い温度でも沸騰するようなロックを感じた。そういうのが良いなと思いましたね。
EMTG:なるほど。ブライアンのライブを見ると、すごくエモいし激しいんだけど、作品、特に初期の『NON SUGAR』とかを聴くと、歌を大切にしてるのがわかる。
森:そっか。よく「ライブが思ったより激しいね」とは言われます。やっぱりキャパが100人、200人のライブハウスでやってると、そのコミュニティーの音楽になっていくんですよ。そのキャパで最高にかっこいいライブは、(一般に)開けてるかって言ったら違うと思うんです。僕らは、それに早めに気づいた。「あ、ちゃうちゃう、これやりたっかんちゃうわ」。でも、その音楽の魅力も知ってしまったから。その次の『彼女はゼロフィリア』はライブハウス目線で作ったんですね。だから分離してますよね。一般の人が聴く音楽と、僕らがやってる音楽のかけ橋が少ないというか。
EMTG:ちなみにいまお客さんが増えていく現状はどう感じてますか?
森:それはけっこう戸惑いもあって。もちろんうれしいんですよ。聴いてくれることが目標でやってるから。でも、「やってることはそんな変わらないねんけどな」って思うんです。5年前もいまも。だから結局、宣伝とか名前が知られることが大事やったりするんかな?って思ったりもしたし。もしかしたら自分が気づいてないうちに、外向けのライブをできてるのかなとか。そこはまだわかってないんですけど。
EMTG:やっぱり妥協せずに、媚びずにやりたいことを貫いた結果じゃないかな。
森:そうなんですかね。でも、がんばってるな、意地はってるなとは思いますね。そんな意地はらんでもいいんちゃう?と思うときもあるけど。でもそれで「お前らかわいいな」と言ってくれる人がおるのはうれしいです。そうやってがんばれたらなって。
EMTG:いまはバンドとして理想的な活動ができてる?
森:できてると思います。あとは自分の書く曲によってどうなるかが変わっていくから。ちゃんと感じて、ちゃんと書かないとなと思います。
EMTG:良い曲を作ることに尽きる?
森:そう思えるようになったのは、ここ最近の収穫です。どうせ宣伝やからって決め付けんくて良かったなと思ってます。またビバラでスピッツを見た話になるんですけど(笑)、今の自分らの技術とか歌で売れると思ってたのは他力本願すぎると思ったんです。スピッツくらいまでやって、初めて売れて当然やと思われるんやなと思いましたね。
EMTG:そっか。楽曲がいちばん大事だとわかってるなら、次の作品が楽しみ。
森:がんばりますわー(笑)。でも、次回の次回ぐらいだと思います。それが出てくるのは。ちょっとディレイして(遅れて)ついてくる感じなので。

【取材・文:秦理絵】

tag一覧 シングル 男性ボーカル Brian the Sun

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リリース情報

Absolute Zero(配信限定シングル)

Absolute Zero(配信限定シングル)

2015年05月06日

SPACE SHOWER MUSIC

1.Absolute Zero

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この間、家帰ったらベッドに歯が落ちてて。猫の。「あああああーっ!!!折れてる!」って。猫の顔を見たら、「無いなあ…」って思って。これは生え変わるものなのか?と検索しました。生え変わらないらしいです(笑)。


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