『モノクロノ・エントランス』をリリースする、ヒトリエとは?
ヒトリエ | 2015.06.29
- wowaka:最初は僕が一人でヴォーカロイドを使って作品を制作してたんです。3年間で10曲くらいアップしたかな。その後、2011年にwowaka名義でアルバム『アンハッピーリフレイン』を出したんですね。で、「次に何をやろうか」って考えたら、何も出てこない。自分が、もぬけの殻になってた。
- EMTG:一度、自分を全部出し尽くしちゃったんだね。
- wowaka:たぶん、そうだと思います。またヴォーカロイドをやるのか。それでワクワクするのか。そんなことを考えて、3、4カ月、自分の中にもぐってた時期がありました。最初に音楽に出会った歓びとか、ギターを買ってコピーバンドやオリジナルをやるバンドをやってた中高時代のことや、大学のサークルでバンドをやってうまく行かなかったことを思い出したりしてた。その時に、今なら自分で歌うバンドができるんじゃないかなって思ったんですね。
- EMTG:ちなみに、wowakaくんは友達は多かったの?
- wowaka:あんまりいませんでした(笑)。でもヴォーカロイドのイベントで人と出会うキッカケがあったから、僕の音楽に賛同してくれる人を探すなら「今、動かなきゃダメだ」って思った。そこでゆーまおとイガラシに出会って、“ひとりアトリエ”っていうバンドを作ったんですよ。
- EMTG:ついにバンドを組んだんだね。
- wowaka:はい。メンバーそれぞれの音楽をピックアップして曲を作ろうと思ったんですけど、バンドの方向性を決めるのがけっこう大変でしたね。
- EMTG:イガラシくんは、この前、ライブを見せてもらって、「あ、このベースは天然系の天才だ」って思ってたんだけど、wowakaくんから誘われてどう思ったの?
- イガラシ:天然ですか? 僕、けっこう理知的ですよ(笑)。えーと、僕は元々、wowakaのヴォーカロイド曲が好きだったんですね。聴いてて、好きな音楽が自分と同じなんじゃないかなって思ってた。だから、誘われて「やった!」って思いましたね。たぶん僕が一緒にやれば、もっとカッコよくできる自信がありました。
- EMTG:自信たっぷりでいいね! ゆーまおくんは?
- ゆーまお:僕もwowakaのリスナーでした。でも、誘われた時点でいろんな人と音楽をやってたので、手一杯だった。ただ、その中でもwowakaがいちばん前を向いて歩いていく人だなと思ってました。だから嬉しかったですよ。
- wowaka:ゆーまおはヴォーカロイドに能動的にアプローチしていて、「俺、叩けるよ」って積極的に言ってました。
- EMTG:ヴォーカロイドが好きで、でも「ひとりアトリエ」っていうリアルのバンドに誘われた時、ゆーまおくんはどんなドラマーを目指したの?
- ゆーまお:「表現力豊かでありたい。人間でありたい!」って 思いました。
- EMTG:出たっ、「人間でありたい!」って名言だよ(笑)。
- wowaka:俺も人間になりたかったんです!
- 全員:(爆笑)
- EMTG:シノダくんは?
- シノダ:僕は最初から人間でしたよ(笑)。「ひとりアトリエ」が始まったっていう話は聞いてました。ゆーまおとイガラシの方が、wowakaとよりも先に仲良くなってたんです。で、3人でライブをやったって聞いて、「あの音源を3人でどうやるの?」って思ってたら、イガラシから誘いの電話があった。ただ名古屋に住んでたんで、東京と名古屋をすごい勢いで往復する生活になりました。
- EMTG:いよいよ今のヒトリエになったんだ。
- wowaka:はい。あの頃、シノダはほとんど俺の家に住んでるような感じだったよね(笑)。
- EMTG:シノダくんは大変なんだから、笑いごとじゃないでしょ(笑)。
- wowaka:(笑)みんな、大変だったんですよ。去年、メジャー・デビューして、11月にフルアルバム『WONDER and WONDER』をリリースしたんですけど、制作もライブもあって、正直、せっぱ詰まってました。
- EMTG:一度、空っぽになった自分から始まって、いきなり忙しくなったんだ。
- wowaka:はい。自分がわからなくなるくらいだった。いいとは思えない時期がありましたね。なので、『WONDER and WONDER』はメンバーに委ねる部分が大きかったです。でも、結果、「こういうやり方もあるな」と思えて、気持ちがよかった。そこから去年の12月から今年の1月にかけてツアーに出て、ラストは赤坂ブリッツだった。それが終わった時、初めて「やりたいことがあるから、制作したい」って思えた。やりたいこと、やるべきことをこのバンドでやろうって思えたんですよね。
- EMTG:苦しかっただろうけど、乗り越えたんだね。そこから今回の『モノクロノ・エントランス』が始まったんだ。
- wowaka:自分の意志をもって、ちゃんと出し切ろうと思いました。
- EMTG:『モノクロノ・エントランス』の1曲目の「劇場街」は、それこそ“出し切ってる”感じがする。
- wowaka:メンバーそれぞれが伸び伸びやれてて、しかも“噛み合ってる面積”が広い。アウトロでギター・リフが出て来るんですが、それが噛み合った時、勝ったと思いました。
- EMTG:僕はこの前のライブで、アルバム最後の曲「モノカラー」がすごくいいと思った。ヒトリエの曲って、けっこうトリッキーなアレンジが多いけど、この曲はシンプルで力強いね。
- wowaka:「トーキーダンス」、「サークル サークル」、「深夜0時」の3曲を迷いなく仕上げて、ストレートな方向で行けるって確信したんです。そこから「劇場街」と「モノカラー」を作りました。
- EMTG:バンドの状態の良さが伝わってくるね。この曲をやろうってなった時、イガラシくんはどう思ったの?
- イガラシ:あまりにもシンプル過ぎるから、「大丈夫なの?」って聞いたら、wowakaが「大丈夫、行ける!」って言った。僕はもう、「わーい!」ですよ。こういう曲をヒトリエでやりたかった。
- EMTG:特に「モノカラー」のイントロのギターがカッコいい。シノダくん、これは?
- シノダ:実はこの曲づくりの日、2時間ばかり遅刻しまして。
- wowaka:来たときには、もう他のパートはできあがってた。だから、「ここに面白いフレーズを入れてくれ」って。
- イガラシ:2時間の遅刻を取り戻すくらい、ホームラン級のフレーズじゃなきゃ許さないってみんなでプレッシャーをかけて。
- シノダ:もう、“リフの大喜利”ですよ。次から次へとフレー ズを出して、いかにメンバーを笑わせられるか。千本ノックです(笑)。
- EMTG:結果、あのフレーズが誕生した。
- wowaka:そう。みんな、大喜び!
- EMTG:楽しそう。ってか、あのフレーズは遅刻の罰ゲームから生まれたんだ(笑)。ところで、この曲の歌詞はどんな風に書いたのかな?
- wowaka:いろんなことがあったこの2、3年で、自分に着いた色を全部落として、素の状態を作ろうとした。それが「モノカラー」です。ただ僕は歌詞を“音”として捉える部分が大きいので、意味よりも“音の瞬発力”を中心に書いてますけど。
- EMTG:バンドとしての大きな転換点に立ち会えて、嬉しいなあ。
- wowaka:もぐってた時期のモチベーションが、いい意味で作用して、バンドのフェイズを変えられたのがよかったです。あの頃、イメージしていたバンドになることができた。結果、歌でできることも増えたし。このアルバムは、僕らにとっても、お客さんにとっても“エントランス”=入口になると思います。
- EMTG:ありがとうございました。
5月28日、 ロックバンド応援イベント“TUMBLING DICE 3”( @リキッドルーム)で、ヒトリエのライブを観た。そこで披露された新曲「モノカラー」は、彼らの新境地を示すもので、この日のライブでいちばん印象に残った。
新曲がいちばんよく聴こえるのは、バンドがいい状態にある証拠。こうした時期のインタビューでは、そのバンドのその後を決める“名セリフ”が飛び出すものだ。そんな楽しみもあって、早速、ニュー・ミニアルバム『モノクロノ・エントランス』についての取材を申し込んだ。
このバンドの起点となったwowaka(Vo&G)をはじめ、シノダ(G&Cho)、イガラシ(B)、ゆーまお(Dr)の全員が集まってくれ、バンドの始まりからトップギアに入った現在に至るまでの話を聞くことができた。そして、予想外のメンバーから、期待どおりの“名セリフ”が飛び出して、ヒトリエのビッグ・ブレイクが間近に迫っていることを確信したのだった。
【取材・文:平山雄一】
リリース情報
Rainbow
発売日: 2018年03月07日
価格: ¥ 2,600(本体)+税
レーベル: Getting Better
収録曲
01. ワルシャワの夜に
02. 暁のザナドゥ
03. ロトカ・ヴォルテラ
04. セツナユメミシ
05. nayuta
06. 雨宿り
07. 黄昏シンフォニー
08. テキーラキラー
09. ミッドナイトハイウェイ
10. Rainbow road
11. 旅立ちのメロディ
12. FLOWER
リリース情報
お知らせ
■マイ検索ワード
●wowaka(Vo&G)
フィルム カメラ
今回アルバムを作るにあたって写真をキーワードにしてて。カメラ、デジカメじゃない写真にハマっちゃってます。
●シノダ(G)
歯茎 出血
歯茎から血が出て不安で、ヤバい病気じゃないだろうなって心配になって調べました。ただの歯肉炎だったみたいです。
●イガラシ(Ba)
スライ・ストーン 映画
すごく好きなブラック・ミュージシャンのドキュメント映画です。どこでやってるのかなと思って。
●ゆーまお(Dr)
バーミヤン 名古屋
探したんですが、結局、遠かったので行けませんでした。
■ライブ情報
ヒトリエ東名阪クアトロツアー2015『トーキーダンスと赤い靴
2015/07/17(金)渋谷クラブクアトロ
2015/07/24(金)梅田クラブクアトロ
2015/07/26(日)名古屋クラブクアトロ
ヒトリエ東名阪クアトロツアー2015追加公演 in 仙台『トーキーダンスと赤い靴+
2015/07/20(月・祝)仙台MACANA
※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。
●wowaka(Vo&G)
フィルム カメラ
今回アルバムを作るにあたって写真をキーワードにしてて。カメラ、デジカメじゃない写真にハマっちゃってます。
●シノダ(G)
歯茎 出血
歯茎から血が出て不安で、ヤバい病気じゃないだろうなって心配になって調べました。ただの歯肉炎だったみたいです。
●イガラシ(Ba)
スライ・ストーン 映画
すごく好きなブラック・ミュージシャンのドキュメント映画です。どこでやってるのかなと思って。
●ゆーまお(Dr)
バーミヤン 名古屋
探したんですが、結局、遠かったので行けませんでした。
■ライブ情報
ヒトリエ東名阪クアトロツアー2015『トーキーダンスと赤い靴
2015/07/17(金)渋谷クラブクアトロ
2015/07/24(金)梅田クラブクアトロ
2015/07/26(日)名古屋クラブクアトロ
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2015/07/20(月・祝)仙台MACANA
※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。