黒沢 薫 ソロ10周年の節目に『Supernova duet with 三浦大知』をリリース
黒沢 薫 | 2015.10.27
- EMTG:ソロデビュー10周年ですね。
- 黒沢:はい。ゴスペラーズとの二足の草鞋を履いて、10年経ちました。大先輩の鈴木雅之さんから教わったんですが、「自分の節目の周年は自分で言え。周りに忘れさせるな」と。だから僕も「10周年」と言っておこうと(笑)。
- EMTG:(笑)デュエットによるシングルになった経緯は?
- 黒沢:デュエットは、ソロでないとできないですからね。あと、一緒に歌おうと思って最初に浮かんだのが三浦大知くんなんですけど、彼のデビューシングル(2005年3月にリリースされた「Keep It Goin’ On」)は、僕が書いたんです。つまり彼も僕も10周年。ということで「10周年同士で祝っちゃうのがいいんじゃない?」っていうような。そんなコンセプトも考えつつ動き始めました。
- EMTG:曲を書くにあたって、どのようなことを考えました?
- 黒沢:大知くんも10周年でいろいろな動きがあるから快諾してくれるかは分からなかったんですが、まずは曲を書いてしまいました。僕は彼を日本のマイケル・ジャクソンだと思っていて。マイケルもデュエットがいくつかあるんですけど、その内の1つがスティーヴィー・ワンダーとの「Just Good Friends」。それを聴いた時に「これを日本でできるのは俺と大知だな」と。だからそういうイメージのものを形にすることをコンセプトに作っていきました。そして、彼のデビュー曲と同じスタッフでやろうということも考えていました。だから今回の作詞は、「Keep It Goin’ On」を書いたjamさん。あと、あの曲の共作者宇佐美秀文くんにも手伝ってもらいました。
- EMTG:10年ぶりのチームですね。
- 黒沢:そういうことですね。「Supernova」の間奏部分のコーラスは「Keep It Goin’ On」と同じものが入っているので、大知くんのファンにも喜んでもらえると思います。
- EMTG:クラップしながら盛り上がりたくなるサウンドです。
- 黒沢:デモの段階からいわゆる80’sな感じで始まって、サビでEDMになるというものをイメージしていました。僕は流行り物も大好きなので。「どれだけ今の流行の音で歌えるか?」というのを自分で試したくなるんです。編曲のAILIがそういう考えを酌んで、デモを広げてくれました。
- EMTG:コーラスも華やかですね。
- 黒沢:コーラスに関しては3声以上入れないということを決めています。グループの時のふくよかな感じとは違いシンプルな強さを出したいので。まあ、そんなことを考えて曲を作り、大知くんとレコーディングしました。今回知ったんですけど、彼は10年前に僕がレコーディングで言ったことを実践してくれているんですよね。すっかり忘れていたんですが、「いいことを言ってんな、俺」って思いました(笑)。
- EMTG:何をおっしゃったんですか?
- 黒沢:マイクの距離感、使い方についてです。大知くんは、基本ハンドマイクなんですよ。そこをこだわっているんだっていうのを、この前、一緒にご飯を食べた時に言われて。「俺も役に立ってるじゃん。良かった」って(笑)。あと、レコーディングで嬉しかったのが、彼の声量が昔の倍くらいだったことです。今回はセルフプロデュースなので、僕はプロデューサーとしての目線もあったんですけど、「大知くんならこれくらいできるだろう」っていう想定をはるかに超えてくれました。いいテイクを重ねてくれて、レコーディングはあっという間に終わりましたし、楽しかったですよ。
- EMTG:大知さん、マイケル・ジャクソンを思わせるシャウトもしていますね。
- 黒沢:こういうのは、本人のソロではなかなかできないことですからね。大知くんのファンも楽しんでくれるといいなと思っています。
- EMTG:2人が一緒に歌っている姿を、大知さんのファンも観たいのではないでしょうか。
- 黒沢:大知くんから「どうします、黒沢さん?」って言われたんですけど、「俺、4小節しか踊れないからね。踊るんならそれだけ。あとはお前が踊ってくれ」と(笑)。
- EMTG:(笑)「愛とは…」のお話に移りましょう。Ms.OOJAさんとのデュエットですね。
- 黒沢:これは男性が聴いてどう感じるんですかね?
- EMTG:理想的な関係性の歌だと思いますが。
- 黒沢:年齢をある程度重ねた恋愛ですよね。僕も10周年ですけど、「年齢を重ねたというのは悪いことではないよ」っていうのは、裏テーマにもなっています。「新鮮味がなくなる」っていう弊害を言ったり、逆に「重ねたんだから、それだけで素晴らしい」って言ったり。その両極端ばかりが、一般的に言われている気がするんですよね。でも、「重ねていく上では努力が必要だよね?」っていうことを僕は思うんです。そして、「重ねていく上での努力をする中で、違った形の愛おしさも生まれるんじゃないの?」と。そういう視点が日本の中で希薄な気がしていて……いきなり「日本」という大きな話になってしまいましたが(笑)。
- EMTG:興味深い視点です。
- 黒沢:ラブソングってファーストラブを描いたものが多くて、大人が聴くべきラブソングがないじゃないかということも思うんです。「揺らぎも許容する」みたいなところを描いたものがないなと。そういうところをMs.OOJAとだったら、上手く表現できるんじゃないかと思ったんです。彼女は歌唱力が高いのはもちろんなんですけど、「言葉を伝える」っていうことに関して素晴らしい人なんですよね。そういう彼女の良さを引き出したいというのを、まず1つ、この曲を作る上で考えていました。
- EMTG:なるほど。
- 黒沢:あともう1つ。ここ数年、若手のシンガー、プロデューサー、シンガーソングライターとかと会う機会が増えていまして。非常にいい曲があったりするんです。何年か前から一緒にやっている竹本健一くんもそうで。「愛とは…」は彼が作ったものを僕がアレンジしていく共作でした。そして、作詞をしてくれたルンヒャンはシンガーソングライター。非常に刺さる詞を書くんですよ。僕は彼女の曲も詞も大好き。だから「僕の歌を利用して、この良さを伝えたい。」っていうコンセプトもありました。
- EMTG:歌詞を書いて頂くにあたって、ルンヒャンさんにはどのようなことを話しました?
- 黒沢:サビの《愛とは》だけはデモの段階からあったんです。そこから膨らませてもらいました。「ルンヒャンの思う“愛とは”って何?」と。
- EMTG:この曲で描かれている2人って、現時点での“愛とは”のある程度の答えは見出しているみたいですけど、今後、さらにまた別の何かを見つけていくんでしょうね。
- 黒沢:ストーリーを感じます?
- EMTG:感じます。今後も共に過ごして、愛について考え続けるんだろうなと。
- 黒沢:「何回、彼らは過ちを繰り返してるんだ?」ってドキドキもしますよね(笑)。
- EMTG:波乱はいろいろ経験していそうな2人です(笑)。
- 黒沢:もしかしたら1回くらい離婚しているかもしれない(笑)。ある程度の年齢になるとみんな離婚したり再婚したり、いろいろあるわけじゃないですか。そういう中での現時点の僕の感覚は、「何でも分かり合えて、嘘みたいにピッタリくる」っていうのは、ないんだろうなと。長く一緒に過ごす中では見つめ合って、感じ合って、お互いのズレを埋めていくしかない。その上で最終的には信じるしかない。そのすり合わせの過程が、愛の醍醐味ではないかなと。そういうことをルンヒャンが非常に刺さる言葉で描いてくれました。
- EMTG:そして、3曲目の「LOVE LIFE」は、Be Choirが参加した新バージョンですね。
- 黒沢:Be Choirの主宰の長谷川くん(長谷川雅洋)は、昔からの仲間です。彼のイベントに出た時に「LOVE LIFE」をBe Choirと歌ったんですよ。この曲は2ndアルバムのタイトルチューンですけど、もともとゴスペルクワイアを後ろに従えているイメージだったので、今回、僕がいいと思っているクワイアのBe Choirを迎えて、新しいアレンジもしました。仕上がったのを聴いてガッツポーズ。今回、一番想定を上回るものになったのが、この曲かもしれないです。
- EMTG:4曲目の「横顔」も胸に沁みます。黒沢さんの作詞作曲ですね。
- 黒沢:アコースティックテイストのものを1曲入れたいと思って作った曲です。これ、作詞で苦労しました。自分の素直な気持ちが出ているので……聴かなくていいです(笑)。
- EMTG:何をおっしゃいます(笑)。
- 黒沢:まあそれは冗談ですが(笑)。こういうのも残せて良かったです。10年後くらいには、もう少し恥ずかしくなく読めるんじゃないかと(笑)。2曲目の「愛とは…」と対になっている曲だと思います。「続いていくって、結構悪くないことじゃないかな」っていう。
- EMTG:さて。4曲について語って頂きましたが、多彩な作風が発揮されていますね。
- 黒沢:洋楽を聴かない人も増えていますけど、僕らは洋楽をカッコいいと思って、そこをなんとか日本人なりにある種、翻訳してやろうとして続けてきたわけです。だから、そういうところが透けて見えるものではありたいんですよね。「DJが洋楽の後に流しても違和感がないものを」というのは、ずっと意識しています。それはソロの一貫した意識。でも、昔だったら音的なことばかり気にしすぎて、曲の内容面までなかなか踏み込めなかったのかも。その辺に関しても行き届くようになったのが、この10年なのかなと思っています。そして、当たり前ですけど、僕ってゴスペラーズが透けて見える部分もあるんですよね。だからこそそこに甘えてはいけないんだと思ってやってきた10年でもあります。僕はシンガーとしてゴスペラーズで表現しているものと似通ったものはもちろん持っているんですけど、そこから離れるのにすごく格闘した10年なんです。今回のシングルをそういう感じで聴いてもらったり、そういう感覚でライブに来て頂けると、すごく楽しめるんじゃないでしょうか。
- EMTG:このシングルのリリース後は、ツアーですね。
- 黒沢:今度のツアー、“Casual Style”っていうアコースティックの方は、僕がSNSで発信しているような「この人とこの人が繋がってるんだ」っていうような、ホームパーティーに遊びに来たようなイメージのものになると思います。“Urban Style”の方は、僕が10年間で培ってきた、「黒沢 薫のライブってこれですよ」っていうものをやります。僕のライブも、海外のアーティストのライブを観に行ったりする入り口になったらいいなと思っています。ソロ活動を10年間続けてきて、ある程度、できるようになってきたとも思っているので、その完成形みたいものをお見せできるかなと。「こういう楽しみ方もあるんだ」って感じて頂けると嬉しいです。
ソロデビュー10周年を迎えた黒沢 薫が、節目を記念したシングル『Supernova duet with 三浦大知』をリリースする。タイトル曲はリスナーの身も心も熱く揺さぶるアップテンポなナンバー。黒沢と三浦の歌声が全編でエネルギッシュに煌めいている。そして、深いテーマを豊かな物語性と共に描いた「愛とは… duet with Ms.OOJA」、クワイアグループ・Be Choirをフィーチャーした「LOVE LIFE feat. Be Choir」、心地よいアコースティックサウンドで彩られた「横顔」――多彩な作風が香る3曲も収録。ソロ活動に対する真摯な姿勢、音楽への大きな愛情も反映されている今作について、本人に語ってもらった。
【取材・文:田中 大】
リリース情報
放課後大戦争
発売日: 2019年06月26日
価格: ¥ 1,800(本体)+税
レーベル: ひかりのレコード
収録曲
1.冴えない僕らに灯火を
2.瞬間プラトニック
3.潮風通り
4.満ちる月
5.舞台裏
6.オーケストラ
ビデオコメント
リリース情報
お知らせ
■ライブ情報
黒沢 薫 LIVE TOUR 2015
“LOVE LIVES” ~Casual Style~
※アコースティック編成となります
2015/11/07(土)福岡・Gate’s 7
2015/11/08(日)広島・クラブクアトロ
2015/11/12(木)札幌ペニーレーン24
2015/11/13(金)仙台・darwin
黒沢 薫 LIVE TOUR 2015
“LOVE LIVES” ~Urban Style~
2015/11/21(土)Billboard Live OSAKA
2015/11/22(日)名古屋ブルーノート
2015/11/28(土)Billboard Live TOKYO
2015/11/29(日)Billboard Live TOKYO
※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。
黒沢 薫 LIVE TOUR 2015
“LOVE LIVES” ~Casual Style~
※アコースティック編成となります
2015/11/07(土)福岡・Gate’s 7
2015/11/08(日)広島・クラブクアトロ
2015/11/12(木)札幌ペニーレーン24
2015/11/13(金)仙台・darwin
黒沢 薫 LIVE TOUR 2015
“LOVE LIVES” ~Urban Style~
2015/11/21(土)Billboard Live OSAKA
2015/11/22(日)名古屋ブルーノート
2015/11/28(土)Billboard Live TOKYO
2015/11/29(日)Billboard Live TOKYO
※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。