back number、ニューシングル「クリスマスソング」リリース

back number | 2015.11.18

 TVドラマ『5→9~私に恋したお坊さん~』の主題歌「クリスマスソング」。温かい音色で彩られたサウンド、透明感に溢れたメロディが、年末の華やぐ街中で募る想いを切なく浮き彫りにしている。豊かな物語が脈打つこの曲は、制作をする過程で紆余曲折があったという。その理由とは何だったのか? 昨年から今年にかけて、ますます幅広いリスナーに愛されるようになったback number。しかし、悩みや不安も抱えながらの創作活動を積み重ねていたようだ。今作についてのインタヴューは、その姿も窺われる内容となった。

EMTG:「クリスマスソング」は、作る上でかなり時間がかかったそうですね。
清水依与吏(Vo・G):そうなんです。メロディは先にできていたんですけど、歌詞が大変でしたね。「冬の片想い」という点で、「ヒロイン」と共通するテーマですから、「どうしたらいいんだ?」というのがありました。それで思いついたのが、「クリスマス」をキーワードに描くということだったんです。どちらも「冬」がテーマでありつつも「ヒロイン」は「雪」がキーワード、「クリスマスソング」は「クリスマス」をキーワードに描いているんですよね。そこに辿り着くまでがとにかく大変で、随分と時間がかかりました。
EMTG:「ヒロイン」があったからこそ生じた難しさだったんですね。
清水:はい。「ヒロイン」は、自分の中に持っていた「冬の恋あるある」を使った曲。出し切った後だったので、現在の僕の感覚で描くしかなかったんですよね。それもあって、「クリスマスソング」は、「ヒロイン」と比べて年齢が上のような感じがしています。
EMTG:なるほど。
清水:あと、『5→9~私に恋したお坊さん~』に出てくるお坊さんの男の子の感覚も曲の中に取り入れたくて、原作を読んだりしながら考えた部分もあります。そういう作り方をする時は登場人物と自分との共通点を探したりもするんですけど、見つけたのは「恋に対して臆病になっている」っていう部分。「今更、誰かにゴリゴリに片想いなんてできなくない?」っていうことでした。僕もそういう年齢ではあるので(笑)。それもあって、例えば《あれ なんで恋なんかしてんだろう》っていうフレーズが出てきました。
EMTG:この曲、オールナイトニッポンで初解禁するのを聴いていたんですけど、すごく緊張していましたよね?
清水:不安で恐れる気持ちもありましたね(笑)。いろいろな制作の作業が詰まっていて、精神的にかなり疲れている時期だったのも理由だと思います。back numberはずっと褒められながらやってきたタイプのバンドでもないですし。どちらかと言うと弱点を結構指摘されて、いろいろやってきたんですよね。だからこの曲をラジオでかけた時とか、「自信がない」の極致だった気がします(笑)。歌詞を書き終わる直前も「この曲は良いのだろうか?」と、分からなくなっていました。今ではすごく良い曲だと思っていますし、自信もあるんですけど。そういう風に捉え方が変わるから、面白いもんですね。
EMTG:そこまで自信がなくなったり、不安になっていたのを意外に感じる人もいるでしょうね。だって、去年から今年にかけてのback numberの活動って、傍から見ると快進撃そのものですから。
清水:ずっと地下にいて制作していたからですかね? たまに外に出てライヴもしていましたけど。今年の夏くらいからずっと曲を作っていたんです。曲作りは自分と向き合う時間が長い作業なので、どうしてもダークサイドに引っ張られるというか(笑)。
小島和也(B):自信がなさそうな依与吏の姿を見ると、何とも言えないですよ。変に「頑張れ」とも言えないですし。でも、そういう時期を経て生まれた「クリスマスソング」を聴いて、「いい曲書いたな」というのを感じました。
栗原寿(Dr):仕上がりもいいものになったと思っています。今回も小林武史さんにプロデュースをして頂いたんですけど、マジックを感じています。ストリングスとかも含めた上モノの楽器がクリスマス感を演出してくれているんですけど、その中にもちゃんと僕たちの「バンド感」みたいなものがあるんですよね。ドラム、ベース、ギターが、ふとした瞬間に前に出るものになっています。小林さんが「バンドのクリスマスソング」にしてくださったと感じて、プレイヤーとしても嬉しかったです。
小島:ドラマも観たんですけど、なんだか緊張しちゃいました。「どこのシーンで流れるんだろう?」と。
清水:僕としてはこうしてドラマで流れるのを観させて頂いて、ホッとしている部分があります。ドラマを作っている方々と意見を交わしながらの制作だったので、この曲を一緒に作らせて頂いた感覚もあるんです。曲が流れるのは、不思議な感じですよ。出演しているわけではないですけど、それに近いドキドキがありました。
EMTG:歌詞も素敵ですよ。いろいろ悩みながらも《君が好きだ》というシンプルな表現に辿り着くところが、すごく感動的です。
清水:ありがとうございます。アルバムのマスタリングをして、通し聴きをした時に、いろいろ感じるものがありました。《君が喜ぶプレゼントってなんだろう》とか《僕だけがあげられるものってなんだろう》っていうフレーズも出てきますけど、「これに尽きるなあ」と。好きな人にはオンリーワンのものをあげたいし、高価なものもあげたいんだけど。でも、本当にお互いを想い合っていれば、普通に売られているケーキだって2人で美味しく食べられるんですよね。みんなが持っているものでいい。結局、必要なのは、実は特別な言葉ではなくて、《君が好きだ》でいいんだろうなと。それを言っているんだなと、マスタリングの時に気がつきました。
EMTG:書いた本人なのに、気づくのに時間がかかったんですね(笑)。
清水:歌詞を書いた時は、とにかく必死でしたから(笑)。
EMTG:あと、細かい話ですけど、《仕方ないよなぁ》とかぼやくこのトーンって、すごく依与吏さんが浮かぶ表現ですよ。back numberの醍醐味だと、改めて感じました。
清水:そういう表現、多いですよね。途方に暮れるのが大好きなんです。あと、よく見上げますし。この曲も見上げていますよ(笑)。でも、みなさんもいろいろ想いながら見上げがちだから、何かを感じて頂けるのかもしれないですね。まあ、そういう歌詞も含めて、いいものが作れたと思います。
EMTG:タイトルが潔いですね。
清水:クリスマスの曲って、一生の内でいくつも作ることはないでしょうから、「クリスマスソング」にしたんですよ。もし今後、クリスマスソングを作る話が出たとしても、「時期をズラしてハロウィンかバレンタインデイにしませんか?」と言う気がするくらい、今回、クリスマスの片想いを題材にいい曲を作ることができました(笑)。
EMTG:(笑)では、カップリングのお話へ移りましょう。「Hey!Brother!」は、クラップして盛り上がりたくなる曲ですね。
清水:アルバムには入らないので、ライヴでやる機会は限られてくると思うんですけど、この曲は僕も大好きなんです。今までも「君はいらないだろうな」とか、カップリングにも自信を持ってやってきたんですけど、「Hey!Brother!」もまさにそういう曲ですね。
EMTG:《さっき漫画読んでたろ》っていう部分に、ドキリとさせられました。忙しくて寝る暇がないとか言いつつも、みんな結構しっかり漫画を読んだりしているものですからね。
清水:ジャンプ読みがちですよ(笑)。これ、結構最近作った曲なんですけど、アルバム制作の佳境で、すごく時間がない時期だったんですよね。その頃に思っていたことを、そのまま歌詞にしました。
EMTG:来月に出るアルバムの制作ドキュメンタリーとしての側面もあります?
清水:ほんと、ドキュメンタリーみたいなもんです(笑)。制作の最後の方の時期に僕がどういうメンタルだったのか、よく分かると思います。忙しいし限界だと思っているけど、《大丈夫 見渡して 僕らだけではないよ》って自分に問いかけていたんですよね。だからある意味、「SISTER」と対になっている気もしています。
小島:カップリングではあるんですけど、僕もすごく気に入っています。依与吏の言う通り、ライヴのセットリストに入ることは少ないのかもしれないですけど、ぜひ機会を見つけてやりたいですね。
栗原:今までも4つ打ちの曲はあったんですけど、これはちょっと新しいニュアンスも入っているんですよ。幅を広げることもできた曲だと思っています。
EMTG:そして、「助演女優症2」も要注目です。「助演女優症」(7thシングル『青い春』、3rdアルバム『blues』に収録されている)のあの女性のその後ですね。
清水:もともとはパート2を作ることを考えていたわけではないんです。曲を作って、ある程度編曲も終わって、「何を歌詞で描きたいか?」って考えた時に、人間性の葛藤を歌おうとまず思ったんです。でも、なかなか語り尽せないものがあって、どうもしっくりこなかったんですよね。だから同じようなテーマになりそうだからやめようと思っていた「助演女優症」のテーマで素直に書いてみたんです。やってみたら、すごく曲にピッタリのものになりました。
EMTG:最初は続編的な歌詞を書くのに抵抗があったんですね。
清水:はい。去年の僕だったら「パート2を書くなんてダサい」と思っていた気がするんですけど、そういうアイディアを受け入れることができたっていうのは、1つの変化かもしれないですね。「同じ主人公なんだから、パート2でいいんじゃない? この女性は《最後のデート》とか《最後の言葉》って言っているし、これを区切りに良い方向へ旅立つのだと思う。そういう曲にしてもいいんじゃないかな?」と。
EMTG:この女性は、「助演女優症」の後も辛い日々を送っていたみたいですね。いろいろ想像しながら「助演女優症2」を聴きました。
清水:パラレルワールド的な解釈もできると思うんですけど、気持ちが悪化すると「助演女優症2」のようになるということなんですかね? でも、相手は指輪をしていますし、彼女は自分がバカみたいだと分かっていて、自分の代わりの存在が相手にいることにも気づいちゃっているんですよ。多分、この曲で描いた日を最後にしてくれるんじゃないかと思います。
EMTG:さて。シングルの3曲のお話をして頂きましたが、アルバムのリリースも迫りつつありますね。
清水:そうなんですよ。すごくいいアルバムが出るらしいですよ(笑)。いろんなアプローチの仕方をしているものになっているので、リリースをお待ち頂ければと。
小島:各曲に聴きどころがありますし、いろんな想いを重ねながら聴いて頂けると思います。
栗原:シングルで僕たちを知ってくださったみなさんには、いろんな一面をお見せできるアルバムですね。昔から応援してくださっているみなさんには、ちょっと懐かしい感じもお届けできるのではないかと。ご期待ください!

【取材・文:田中大】

tag一覧 シングル 男性ボーカル back number

リリース情報

劇団オギャリズム

劇団オギャリズム

発売日: 2020年01月08日

価格: ¥ 2,728(本体)+税

レーベル: TOY’S FACTORY

収録曲

01.DEKI☆NAI
02.壁みてる
03.夏のラーメンワルツ
04.おばあちゃんがサイドスロー
05.タイムスリッパー
06.あたかもガガ
07.緑のハイヒール
08.チャーリー
09.スクワットブンブン
10.私についてこいよ
11.スーパードッグ・レオン
12.顔面ファラウェイ
13.ぬ
Bonus Track:アハハハハ

リリース情報

クリスマスソング(初回限定盤)[CD+DVD]

クリスマスソング(初回限定盤)[CD+DVD]

2015年11月18日

ユニバーサル シグマ

[CD]
1.クリスマスソング
2.Hey!Brother!
3.助演女優症2
4.クリスマスソング(instrumental)
5.Hey!Brother!(instrumental)
6.助演女優症2(instrumental)

[DVD]
「クリスマスソング」music video
「クリスマスソング」making of studio recording & music video & photo session

お知らせ

■マイ検索ワード

●清水依与吏(Vo・G)
石原さとみ 画像

「クリスマスソング」が主題歌の『5→9~私に恋したお坊さん~』は、主人公の相手役が石原さとみちゃんですから。つまり、僕が曲を作る上で共通の気持ちを持たなきゃいけないのは山P(山下智久)。「どんな相手に向けて歌うのか?」を知らなければいけないわけです……とか言いつつ、最終的には画像を見て、デレデレして終わりました(笑)。

●小島和也(B)
back number 逃した魚 オリコン

「何位だったけなあ?」(小島)。「132位だろ? 『あとのまつり』は55位だよ」(清水)。「よく覚えてるね。調べないで依与吏に訊けばよかった(笑)。次のアルバムがもうすぐ出るから、インディーズの最初のアルバムのことが気になって調べました」(小島)。

●栗原寿(Dr)
ティファール 蓋

16センチと22センチの鍋をセットで買ったんですけど、蓋がなかったんです。ずっと欲しいと思ってたので、ついに買いました。まだ本格的に使っていないので、飾っていますけど(笑)。今のところお湯を沸かしたり、野菜を茹でたくらいです。そろそろ寒くなってきたので、何か温かいものを作りたいなと思っています。


■ライブ情報

back number tour 2016 "ミラーボールとシャンデリア"
2016/01/24(日)【千葉】市川市文化会館 大ホール
2016/01/28(木)【東京】たましんRISURUホール(立川市市民会館)
2016/02/04(木)【大分】iichikoグランシアタ
2016/02/06(土)【宮崎】宮崎市民文化ホール
2016/02/11(木祝)【奈良】なら100年会館
2016/02/12(金)【三重】四日市市文化会館第一ホール
2016/02/19(金)【広島】上野学園ホール
2016/02/21(日)【岡山】岡山市民会館
2016/02/25(木)【神奈川】神奈川県民ホール
2016/02/28(日)【茨城】茨木県立県民文化センター
2016/03/03(木)【北海道】ニトリ文化ホール
2016/03/04(金)【北海道】旭川市民文化会館 大ホール
2016/03/12(土)【兵庫】神戸国際会館こくさいホール
2016/03/13(日)【京都】ロームシアター京都
2016/03/20(日)【新潟】新潟県民会館
2016/03/21(月祝)【富山】富山オーバード・ホール
2016/03/25(金)【静岡】静岡市民文化会館大ホール
2016/03/27(日)【埼玉】大宮ソニックシティ大ホール
2016/04/01(金)【愛媛】松山市民会館 大ホール
2016/04/03(日)【香川】アルファあなぶきホール 大ホール
2016/04/08(金)【福島】郡山市民文化センター 大ホール
2016/04/09(土)【長野】ホクト文化ホール(長野県県民文化会館)
2016/04/15(金)【宮城】仙台サンプラザホール
2016/04/17(日)【青森】リンクステーションホール青森
2016/04/23(土)【沖縄】ナムラホール
2016/04/24(日)【沖縄】ナムラホール

2016/06/04(土)【愛知】名古屋 日本ガイシホール
2016/06/05(日)【愛知】名古屋 日本ガイシホール
2016/06/18(土)【千葉】幕張メッセ国際展示場 9・10・11ホール
2016/06/19(日)【千葉】幕張メッセ国際展示場 9・10・11ホール
2016/06/29(水)【大阪】大阪城ホール
2016/06/30(木)【大阪】大阪城ホール
2016/07/09(土)【福岡】マリンメッセ福岡
2016/07/23(土)【群馬】ヤマダグリーンドーム前橋
2016/07/24(日)【群馬】ヤマダグリーンドーム前橋

※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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