「遺言をコンセプトにして作った」。20歳のあいみょんから見える人生とは?

あいみょん | 2015.12.03

 今年(2015年)3月に、シングル「貴方解剖純愛歌~死ね~」でデビューしたあいみょん。現在20歳、西宮在住のシンガーソングライターだ。歌詞が怖いとかメンヘラだとかいう声もあるようだが、クローズアップすべきはそんなところじゃない。2ndミニ・アルバム『憎まれっ子世に憚る』を聴けば、彼女がいかに素晴らしい言葉を持った作詞家であり、普遍的ポップセンスを光らせる作曲家であり、情感豊かに歌える歌手であるかがよくわかるはずだ。インタビューの最後に語ってくれた抱負は「いつか万博公園(大阪)の太陽の塔の下で歌いたい。あとは5人いる姪っ子と甥っ子が大きく育ってくれたら言うことないかな(笑)」。色眼鏡は今すぐ外して、「あいみょん」を見てみてほしい。

EMTG:アルバム、出来上がってみていかがですか?
あいみょん:自分のアルバムがどんな作品か、説明が難しいなと思ってさっきもちょっと考えてたんですけど、出た結果が、トルコライス!
EMTG:トンカツとピラフとナポリタンがひと皿にのった、長崎の名物料理ですね。
あいみょん:もともと知らなかったんですけど、この前長崎に行った時に教えてもらってみたら「うわ、すごい!」と思って。でも、美味しいアルバムを作りたいなと言うのはあったんですよ。なので、トルコライスかなって(笑)。全部がメインディッシュだし。
EMTG:トルコライスかどうかは置いといて(笑)、全部がメインディッシュというのは納得です。作り終えてどんなことを感じました?
あいみょん:1曲目の「どうせ死ぬなら」は絶対入れたかったので、割とそれに添って曲を選んだんですけど、自分がいちばん書きたいのは、恋愛よりも、人生とか、生きるとか死ぬとかの方が強いんかなって思いましたね。最初、「貴方解剖純愛歌~死ね~」っていう恋愛ソングでデビューしたんですけど、そもそも持ってる曲自体恋愛ソングが少ないし、恋愛ソングだったとしても、生きるとか死ぬとかのワードをすごく使ってるし。でも結局、幸せになりたいっていうのがいちばんなんやなって思いました。あらためて自分で聴いたりすると。
EMTG:「どうせ死ぬなら」には、その思いが凝縮されてますね。
あいみょん:これは遺言をコンセプトに書いたんです。私、偉人の名言みたいなのを読んで覚えるのがすごく好きなんですけど、たぶんそういうとこから作ったんだと思う。いつ死ぬかわかんないんでね、今のうちにと思って。私、死ぬことが怖すぎて、毎日怯えてるんですよ。誰かに殺されるかもしれへんとか、病気かなって思うくらい恐れてる。でも自分で見る映画とか読む本は殺人系ばっかりなんですよ。サイコパスなんかな!?矛盾してて怖いんですよね(笑)。
EMTG:だから曲によっては刃物が出て来たり、「死体が2つにならないといいね」みたいな描写が出てくるのかな。
あいみょん:小説とかに影響されて書くこともあるけど、そういうのはたぶん本心だと思うんですよね。私が「人間の根っこの部分はこういうことやろな」って判断で書いたと思います。
EMTG:そういうところまで歌おうと思うようになったのは、何かきっかけがあったんですか?
あいみょん:「貴方解剖純愛歌~死ね~」を書けたからやと思います。私はもともと「こういう曲、女の子は好きやろな」みたいな感じで書いてたけど、この曲を書いた時に「あぁ、これやな」っていうのがあったんですよ。
EMTG:デビュー曲にして放送禁止になるなど、かなり賛否両論ありましたね。
あいみょん:賛否両論はあると思うし、賛否は全然吸収しますし、たとえ否定されても「私は絶対こう思うから」って思えるからあんまり気にもしないんですけどね(笑)。
EMTG:あいみょんさんの、その強さを支えているのは何?
あいみょん:岡本太郎。家族(の支え)ももちろんだけど、岡本太郎の言葉が大好きなんですよ。そこは結構、普段の考え方とか人生とか影響されてると思います。その1stシングルを出した時も結構批判されましたけど、ちょうどその頃、岡本太郎の「自分の中に毒を持て」という言葉にすごい共感したんですよ。自分の中に毒を持ってたからこそ、そういう音楽になり、人に嫌われること――をしてるつもりはなかったけど。でもそれが自分にとっては心地いいものであり、納得のいく曲になったんです。
EMTG:その思いが、今回のアルバムのタイトルにもつながっていったと。
あいみょん:そう、一緒やなって。毒を持って、人に嫌われることをしなきゃいけないって、間違いないなと。「憎まれっ子世に憚る」は、憎まれている子ほど注目されるとか飛躍していくっていう意味があるんですけど、そういうのってカッコいいなと思うんです。人並みはずれたことをするとかそういうのって、憧れでもあるし、どんだけ批判されて仲間はずれとかにされても、そういうやつほど認められるんですよね。
EMTG:すごく前向きな意味に取れます。
あいみょん:結構前向き。べつに友達がそこまで多くなくてもいいし、批判されてもいいし。そういうイメージで付けました。好きな言葉やし。
EMTG:ちなみに、あいみょんさんはこの先についてどんなイメージを持ってるんですか?
あいみょん:(スタッフには)急にやめるかもしれないですよとか、いつパン屋になるって言うかわからないですよって言ってます(笑)。
EMTG:それはそれで注目したいですけど(笑)。
あいみょん:(笑)。でも、今しか書けへん曲を書きたいっていうのがだんだん強く出てきてる気がするんですよ。たとえば今回の「19歳になりたくない」とか「おっぱい」とかは思春期の成長記録というか、その時の気持ちを書き留めるような感じで作ったんですけど、そういうのも含めて、今しか書けないというか、10代やから書ける曲とか20歳の今やから書ける曲を書いていきたいというのはある。特にめちゃめちゃ目標があるとか、音楽でこうなりたいみたいなのはあんまり意識してないけど、やるからにはちゃんとやりなさいという教えで育って来たので、やるからには、女性のシンガーソングライターの1番にはなりたいと思ってます。うん、それはありますね。女性のアーティストはみんなライバルやと思ってます。

【取材・文:山田邦子】

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ビデオコメント

リリース情報

あいみょん『憎まれっ子世に憚る』

あいみょん『憎まれっ子世に憚る』

2015年12月02日

Lastrum Music Entertainment

1. どうせ死ぬなら
2. 19歳になりたくない
3.. 好きって言ってよ
4. 泥だんごの天才いたよね
5. おっぱい
6. 私に彼氏ができない理由
7. ほろ酔い

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お知らせ

■ライブ情報

あいみょん presents「いざ、尋常に」
2015/12/13(日) TSUTAYA O-Crest
w/ sympathy / 日食なつこ
2015/12/20(日) 心斎橋Pangea
w/ 加速するラブズ / 最終少女ひかさ

えびす ロックフェスティバル’15 in 西宮市民会館
2015/12/23(水)西宮市民会館アミティホール

RAD CREATION presents でらロックフェスティバル2016 powered by @FM
2016/02/06(土)、07(日)名古屋栄・新栄のライブハウス10会場以上
※出演日・会場は後日発表

RAD CREATION presents はんなりロックフェスティバル2016
2016/02/06(土)、07(日)京都MOJO / 京都RADmini / 京都246STUDIO
※出演日・会場は後日発表

HAPPY JACK2016
2016/03/19(土)、20(日)熊本B.9 V1、V2、V3、Django、ぺいあのPLUS’
※出演日・会場は後日発表

※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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