パスピエ2016年第1弾シングル「ヨアケマエ」をリリース
パスピエ | 2016.04.27
昨年末に初の日本武道館公演を大成功させ、唯一無二の音楽性を改めて堂々と示したパスピエ。2016年第1弾シングルとなる『ヨアケマエ』は、彼らのさらなる大躍進を確信させてくれる1枚だ。パスピエ節とも言うべき何処か和テイストを感じるタイトル曲「ヨアケマエ」は、独特な昂揚感へとリスナーを導くナンバー。新世界へと進む気持ちを軽やかなトーンで伝える歌が心地よい。随所でエモーショナルさを大いに香らせるバンドサウンドも魅力的だ。この最新作について大胡田なつき(Vo)と成田ハネダ(Key)に語ってもらった。
- EMTG:「ヨアケマエ」は、パスピエの次章の幕開けの曲として聴かせて頂きました。
- 成田:昨年までを「第1章」と言っていいのかは分からないですけど、1つの節目だったなとは感じています。だから今年は何か新しい表現をしたいなと。でも、「パスピエというバンドがさらにステップアップしていくためにも、改めて自己紹介をする曲を作りたいな」という気持ちもあるんですよね。それは今までの総集編ということではなく、「これから歩んで行くパスピエの自己紹介」ということなんですけど。
- EMTG:そのアイディアを踏まえて、どんなイメージがふくらみました?
- 成田:去年までの作品はライブを見据えたアッパーな曲だったり、純粋なポップソングを作ったり……っていうのがあったんですけど、そこを経て浮上したワードは「ニューウェイヴ」や「和テイスト」でした。あと、いろいろ考える上で大きかったのは、去年、海外でライブをやった経験です。日本でやっていると日本人らしさの良さにあまり気づけないものですけど、ロンドンでライブをやった際にそういう部分をいろいろ感じたので。
- EMTG:「和テイスト」って以前からパスピエが持っている要素ですけど、ロンドンで目に見えて反応が良かったんですか?
- 成田:はい。新しいものに飛びついている感じがあったんですよ。
- 大胡田:和テイストの曲だと「とおりゃんせ」を歌いましたっけ?
- 成田:歌ってない(笑)。「MATATABISTEP」や「瞑想」かな。
- 大胡田:あと「トーキョーシティ・アンダーグラウンド」もやりましたね。
- 成田:そうだったね。「瞑想」や「トーキョーシティ・アンダーグラウンド」を日本でやる時は、じっくり聴いてもらう曲というイメージが強いですけど、ロンドンはむしろその2曲で沸いたんですよ。「考えてみると、こういうメロディラインって、海外だとないのかもな」と思いました。そして、そういう部分の面白さを日本人にも分かってもらうことによって生まれる強さを、今年は身につけていきたいなと考えています。そういうのが「ヨアケマエ」には反映されていますね。
- EMTG:なるほど。歌詞を書く上で、「ヨアケマエ」というワードは最初から提示されていたんですか?
- 大胡田:そのワードが成田さんから来たのは、歌詞がある程度形になってからでした。いろいろ考えながら全体を組み直していきましたね。内容としても流れとしても、良いものができたと思っています。
- EMTG:《革命は食事のあとで》って、いいですね。この肩の力が抜けたトーン、パスピエらしさを感じます。
- 大胡田:「革命」というとものすごく大それたイメージになってしまうなと。私はパスピエって軽妙なところがあると思っているので、こういう表現になりました。その1行から歌詞のお話も全部広がったので、そこに目や耳が行くのは嬉しいです。
- EMTG:ここからさらに前進しようとしている姿も感じたんですけど、やはりそういう想いはこめました?
- 大胡田:そうですね。そこは意識して書きました。濃いメッセージとかではないんですけど、こちら側からの表明というか。「今年、これからやっていきますから、よろしくお願いします」っていう。ちょっと挑戦状じゃないですけど、そんなような意味もこめて、わりと強気で書いた歌詞です。
- EMTG:現状にとどまらない気持ちが伝わってきますよ。
- 成田:やっぱり、とどまっていられないですからね。音楽をやっている以上は。音楽って時間芸術と言われるもので、絵画とかと違って、時間を経過しないと感じ取れないものじゃないですか。それは作る音楽それ自体だけではなく、やっているアーティスト自体もそうだと思うんですよ。活動している期間の中でずっと変化していかなきゃいけないなと。
- 大胡田:「とどまる」という選択肢もなく、かといって例えば「武道館のライブが終わったから、また進まなきゃ」という気もなく。いつものように曲を作ってどんどん世に出していく気持ちで今やっています。
- EMTG:つまり、さっき「第1章」みたいな話も出ましたけど、かといって「ここから再スタートだ!」というほどの構えた気持ちでもないということですかね?
- 成田:はい。何というんでしょう? こうやって曲を作ってライブをするっていうのが生活のリズムみたいな感じなので。
- 成田:それを続けていくためにも自分自身とバンドをアップデートしなければなと思っています。
- EMTG:アップデートをする上で、なんとなくリスナーが求めていると感じられる「パスピエ像」みたいなことが気になることはないですか?
- 成田:それはないですかね。僕はひねくれた考えのところもあるので、曲作りに関しては「ファンが求める大胡田像からいかに離れるか?」みたいなことをいつも考えています(笑)。大胡田って「ポップさ」と「怖さ」が表裏一体な部分があるんですよ。こういうメジャーシーンでやっている以上はポップさが前に行くべきだとは思うんですけど、「なんだこの違和感は?」とか「なんだこの頭にひっかかる感じは?」っていう「心地よくない体験」っていうのも、もっとみんなにしてもらいたいです。
- EMTG:「心地よくない体験」って、いい表現ですね(笑)。上手く伝えないと誤解が生まれそうですけど……「心地よくない」っていうか、普段はあまり刺激されない感覚の領域をくすぐられるような風味は、パスピエの魅力ですから。
- 成田:ありがとうございます。「このメロディラインだったら、もっと大胡田のキテレツさが出るかな」とかいうポップな大胡田を崩していく方へ、僕は導いています(笑)。
- EMTG:(笑)大胡田さんのキャッチーな佇まいから醸し出される危険な香りは、ファンは一貫して感じていると思いますけどね。
- 大胡田:私は求められているものには応えたいと思っています。これ、いい人みたいに聞こえちゃうかもしれないですけど、「みんなに喜んで欲しい」っていうのは常にありますから。それは聴いてくれるみなさんだけでなく、いろんな人に対して。
- EMTG:成田さんにも喜んで欲しい?
- 大胡田:うん。そうですね。
- 成田:(笑)。まあとにかく、僕らって「バンド」っていう枠組みの中で聴くと、どこか異物感もあると思うんですけど、その異物感って揺らぎやすいものだと僕は思っていて。そういう面白さをちゃんと出していきたいし、そうなっていくべきバンドだと思っています。
- EMTG:「ヨアケマエ」のメロディも不思議な雰囲気ですからね。勢いよくピークに突き抜けるのとはまた別の、モヤッとしたドラマチックさがあるじゃないですか。
- 成田: 7年もやっていますからね。
- 大胡田:音も大人になったよね。ファンと一緒に年を取りたいと思います。
- EMTG:急に年寄りぶるのはやめてください(笑)。
- 成田:(笑)でも、新人バンドにしか出せない勢いがあるように、バンドの時期によって出せるものってあると思うんです。僕らも2、3年前にアッパーに走った時期がありましたから。そういうのを経て生まれたのが、「ヨアケマエ」なんだと思います。
- EMTG:不思議なムードを漂わせるメロディというと、2曲目の「カメレオンの言い種」からもそういう部分を感じましたよ。
- 大胡田:フワフワしたメロディですよね。これは昔からある曲です。5年くらい前だっけ?
- 成田:そうだね。今までの曲もずっとそうなんですけど、僕はずっと隠れたテーマを持って曲作りをしていまして。基本的に「マイナー」と呼ばれる暗い曲と「メジャー」って呼ばれる明るい曲がありますけど、僕はそのどっちともとれない曲をずっと作り続けているんです。そういうのがパスピエを始めた当初から思い描いていた「印象派」というのと一番リンクしたんですよね。色でいうとグラデーションの美学というか。
- EMTG:興味深いポイントです。
- 成田:意外と日本人の描く絵っぽいなとも思います。日本人の絵って、色自体に不思議な雰囲気とグラデーションがあるので。
- 大胡田:鮮やか過ぎず、ざらつき感があるというか。西洋の絵ほど優しいフワッとした感じもなく……っていう日本画の感じは私も好きです。アクリル絵の具でも日本語の名前がついているものを私は集めているんですよ……って何の話でしたっけ?
- EMTG:パスピエのメロディと、日本人の絵の色に相通ずるものがあるかもという話です(笑)。
- 成田:思い出した! 大胡田に貸していた日本画の画集、返してもらってないんですよ。
- 大胡田:成田さんが「重いから家に送ってくれ」って言うのに住所を教えてくれないんじゃないですか!(笑)。
- 成田:そうでした(笑)。
- EMTG:音楽の話に戻ります(笑)。あと、今回のインタビューの最初の方に成田さんからキーワードとして挙げられましたけど、80年代初頭辺りのニューウェイヴに通じるものが漂っているのもパスピエの独自性ですね。
- 成田:あの時代って「いなたさ」と「テクノロジー」がぶつかり合って、「馴染んでいるのか馴染んでいないのか分からない」っていう面白さが生まれていたと思うんです。当時のニューウェイヴのバンドって音はもちろん、ファッションやメイクとかにもそういう部分が表れていましたよね。僕はリアルタイムで体験していないですけど、タイムマシンがあったらその時代に行きたいくらい惹かれるものがあるんです。いろんなものが渦巻いていたあの時代の音楽を今の時代に表現したいっていうのは思っています。
- EMTG:今回の3曲目の「金曜日の天使」(近田春夫&ビブラトーンズのカバー)からも、その想いを感じます。あの頃の音楽への憧れって、成田さんの創作のエネルギーにかなりなっていますよね?
- 成田:はい。なんでなんですかね? 自分がキーボーディストだから、キーボードと一番リンクしやすいっていうことでそうなっている部分もあると思いますけど。
- EMTG:成田さんは「いなたさ」も好きだからかも。
- 成田:それもあるかもしれない。パスピエはライブでも同期は使わないですし。こういう音楽なんだけど、人力感があるっていうのは今後も大事にしていきたいです。
- EMTG:さて。今回のシングルについてじっくり語って頂きましたが、2016年の第1弾としていいものが作れた手応えがあるんじゃないですか?
- 成田:そうですね。そして、さらにもういろいろ作っていますよ。まだ具体的に決まっていることではないんですけど、今年はシングルをいっぱい出したいなと思っています。
- 大胡田:今年、いい感じだと思いますよ。目を離さないで見ていてください。
- 成田:バンドとして1曲1曲の力強さを求めている感じになってきています。より色の濃い断面を見せられる1年にしたいですね。
【取材・文:田中 大】
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算命学 天中殺
「何やっても上手くいく年と、何やってもうまくいかない年があるから、それを分かった上で物事を進めると違うよ」と知り合いが言っていまして。僕はそういうのは全然信じないんですけど、「自分はいつ頃に良くない年が来るのかな?」と調べました。その結果、僕はどうやら2012年、2013年が悪かった年みたいです。その後は10年くらいそういうのは来ないようなので一安心しています(笑)。
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いつでもまくら
水泳キャップみたいなものに枕が縫い付けてあるんですよ。帽子みたいな感じで使うものなんですけど、これをかぶったらかなり恥ずかしいと思います(笑)。なんでそんなものを考え付いたんでしょうね? 発明をいろいろ調べた中で見つけました。5秒間まばたきを感知しないと曇りだして居眠りを防止するメガネとか、世の中にはいろいろあるんです。
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