“らしさ”が目一杯詰まった、Shiggy Jr.待望のニューシングル『恋したらベイベー -EP』

Shiggy Jr. | 2016.05.17

 Shiggy Jr.がおよそ半年ぶりのニューシングル『恋したらベイベー -EP』をリリースする。昨年11月に開催した全国ツアーでは、自身最大のキャパシティである東京・赤坂BLITZ公演を見事ソールドアウト。だが、絶好調に見える活動の裏で、4人は「いまバンドとして本当にやりたいことは何か?」をじっくりと考え直す時間を過ごしていたという。そして出た結論が、いまやりたい音楽を全て届けるために4曲入りのEPを出すこと。結果、今作はシギーらしいポップで溌剌とした表題曲「恋したらベイベー」をはじめ、様々な表情を覗かせる濃厚な1枚が完成した。ここからShiggy Jr.がもっともっと多くの人に広がっていくための切り札となる今作について、池田智子(Vo)と原田茂幸(G&Cho)に訊いた。

EMTG:久しぶりのシングルですね。
池田:半年以上、空いちゃいましたね。
原田:シングルなんですよね、これ(笑)。
EMTG:“EP”っていう打ち出しですけど、“3rdシングル”と呼ぶみたいです。でも、たしかにミニアルバムぐらいの聴きごたえがありますよね。
原田:そうなんですよ。今回はそもそもシングルじゃない作品を出したかったんです。インディーのときに出してたミニアルバムをもう1回出せたらいいなっていうのがあって。それでいろいろ考えて、こういう4曲入りのEPになったんです。
池田:表題とカップリングだけじゃなくて、ある程度の曲数をまとめて入れて、いろんなシギーを1枚の盤で見てもらうっていう、インディーのときにやってたことを、もう一度やりたいっていうのをみんなで話したんです。原点回帰じゃないですけど。
EMTG:かつてのやり方に戻りたいと思った理由は何かあったんですか?
原田:単純にシングルって僕自身もそんなに買わないんですよね。1曲だけだと、僕らのこともわからないと思うし。もっと全部の曲を同列に聴かせたいなと思ったんです。
EMTG:メジャー以降のShiggy Jr.のシングルで言うと、ポップを突き詰めたハッピーな曲が多いけれど、それとは別の多面的な部分も見せていきたいっていうこと?
池田:シギーはポップであることが中心にあるのは変わらないんです。でも、シングルとなると、うーん……シングルで出せる曲って限られちゃうんですよね。とにかくキャッチーでメインディッシュになるというか。“こってり”みたいな。でも、今回2曲目の「Still Love You」は派手さよりも、音楽としてすごく良いものを出すっていうシギーが大事にしてるところをちゃんと表現できたと思うんです。
EMTG:今はこのかたちのほうが、お客さんがちゃんとShiggy Jr.に向き合えるし、バンドそのものを好きになってくれるような気がする。
池田:そうなったら、うれしいです!やっぱり少しリリースが空いちゃったから、わたしたちも聴いてほしい曲がいっぱい溜まってるんです。でも、その間にお客さんの見えないところでいろんな出来事があったんですね。スタッフさんとのやりとりだったり、メンバー内で話し合ったこともたくさんあって。「本当にシギーがやりたいことって何だろうね?」っていうのを、この何ヵ月かで話してて。そういうのを総括したときに、この形態がベストなんじゃないかっていうのがメンバーの共通認識だったんです。
EMTG:なるほど。で、その表題曲になるのが、「恋したらベイベー」っていう、めちゃくちゃポップでシギーらしいワクワク感が目一杯詰まった1曲になったと。
原田:この曲はけっこう前に作ってたんですけど、「出したい、出したい」と思いながら、なかなか出せなかった曲なんですよ。
池田:それで今回こういうかたちのシングルを出せるってなったときに、ストックもたくさんあるからけっこう悩んだんですけど、メンバー的にいちばん想い入れが強かった「恋したらベイベー」が良いんじゃないかってなって。この曲は絶対にいろんな人に届くっていうのをずーっと言い続けてたので、今回やっと出せて本当にうれしいです。
原田:最初に作ったのは「LISTEN TO THE MUSIC」(インディー)のときぐらい?
池田:もうちょっとあと……「サマータイムラブ」(1stシングル)ぐらい。「GHOST PARTY」(2ndシングル)が終わったときには、1回目のレコーディングは終わってたんです。アレンジも2パターンぐらいあって。ボーカルも3回ぐらい録り直してるので、曲自体が完成したのは今年に入ってからですね。
EMTG:アレンジをやり直したのはどういうところだったんですか?
原田:もともとアルバム曲にと思ってたから、シングルにするにあたってパンチを出そうと思って。歌い出しからサビの《恋したらベイベー》で始まったり、そういう部分ですね。あとは、この曲って打ち込みっぽくも生っぽくも聴こえると思うんです。
池田:ドラムの生感はあるよね。
EMTG:録るときは両方を混ぜてますよね?
原田:そうなんです。メジャーデビューしてからは、打ち込みっぽいものばかり出してきたんですけど、やっぱり僕らはバンドっぽさもちゃんと出していきたいんですよね。そもそも僕が好きなのがアメリカンポップみたいな、「ん?これ、ドラム生音なの?どっち?」みたいなやつなんですよ。だから、今回は最後までアレンジャーさんと話して。1回目のアレンジだと、もうちょっと打ち込みっぽかったんですけど、最終的にこういうかたちにしました。4曲目の「TOWN」は本当にバンドな音にしたり。そういう、いろんなことが入った1枚にすることで、よりShiggy Jr.として幅広い音楽を見せたいなと思ったんです。
EMTG:わかりました。では、ここから1曲ずつ訊かせてください。まず、2曲目の「Still Love You」は、少し大人っぽい感じのポップスで。
原田:やっぱりこういう曲はバンドのイメージとは違うから、いまのShiggy Jr.ではシングルにはしたくない……「したくない」って言い方はおかしいけど。まだ、こういうイメージをバンドにつけたくないって思ってるので。こんなのもありまっせみたいな曲ですね。
池田:いまは自己紹介の段階だから、まず、わたしの歌とか“ザ・Shiggy Jr.”みたいなのをわかってもらって。今回はEPだから入れられた曲ですね。
EMTG:とはいえ、さらっと聴き逃すにはもったいない良質のポップミュージックですよ。
原田:松井(寛)さんのアレンジが尋常じゃないですからね。
池田:コーラスが死ぬほど難しいんです。
EMTG:……え?この曲、そんなに難しいコーラス入ってます?
池田:いや、あんまり聴こえないんですよ。わたしが聴いてもわからないぐらいで。コーラスの声を楽器として、ちゃんと音に馴染むアレンジにしてるんです。でも、歌メロとして考えるとすごく難しくて、(レコーディングが)終わらないかと思いました(笑)。
原田:でも、たぶん聴こえないんだけど、鳴ってる音って絶対にあるじゃないですか。それが意外とあるのとないのとで違うんですよ。「なんか」なんですけどね。
EMTG:こだわってますね。続く、「key of life」は、女の子向けのアニメ『リルリルフェアリル~妖精のドア~』のエンディングテーマとして書き下ろした曲なんですね。
池田:初めてのアニメのタイアップなんです。テーマもありながら、Shiggy Jr.のカラーも出さなきゃっていう初めての挑戦でしたね。個人的な想いとしては、小さいときからよくアニメを見てたから、そのオープニングとかエンディングは、いまでも口ずさめるぐらい記憶に残ってるんですよ。しかも、前向きな歌がすごく多いから、ふとしたときに思い出して、元気をもらえることも多くて。だから、いまアニメを見てる小さい子にとって、そういう1曲になってほしいなっていう気持ちでボーカルも挑みましたね。
原田:そもそも池田の声がかわいいから、あんまり曲もかわいくはしたくなかったんですよね。だから、ボーカルはどっちかと言うと語尾のクセとかも残してもらって、人間っぽくしたんです。アニメソングだけど、そうなり過ぎないっていうのがポイントだったかな。歌詞ももっとかわいくもできたけど、みんなでバランスを調整しましたね。
池田:結果として、小さい子も聴けるけど、わたしたち世代も聴けるっていう、良いところにいけたなっていうのもあるんです。うちのお母さんはマラソンしながら聴いてくれてて(笑)。辛いときに良い感じにDメロがくるから、元気が出るみたいです。
原田:なるほどね、たしかに(笑)。
EMTG:では、最後の4曲目「TOWN」。さっきも出たとおり、全編バンドの生っぽいサウンドで。インディーズ時代からある曲だそうですね。
原田:いちばん古い曲なんです。「Saturday night to Sunday morning」のときぐらいかな。どっかで出したいなってずっと思ってたんです。
池田:ライブでもずっとやってきてたので、インディーのときから知ってくれてる人には懐かしい曲だと思うし、やっと音源化されたっていう感じです。
EMTG:《生きてるのさ それだけで幸せ》っていう歌詞も素敵ですね。
池田:大学卒業ぐらいのときに作ったんですけど、歌詞も変わってないんですよ。
原田:少年のような感じですね(笑)。
池田:ボーカルで言うと、もうライブで何回も歌ってるから、レコーディングのときには、ライブのお客さんの顔とかが思い浮かぶんです。だから他の曲よりも、よりみんなに伝わるように、気持ちを包めるようにっていう気持ちが強くなりましたね。
EMTG:では最後に、6月から初の対バンツアー「“対バン”スかこれ。vol.1」が決まったということで。ツアーへの意気込みをお願いします。
原田:楽しくやれたらいいなっていうのは、基本スタンスですね。
池田:ゲストに呼んだ方のあとでシギーが出させてもらうので、影響し合うライブになると思うんです。たとえ同じセットリストだったとしても、触発されて空気感は変わってくると思うから、自分たちのいままでなかった面が出てくるかもしれない。そういうのが自分たちも楽しみだし、お客さんにも楽しんでもらえるんじゃないかなって思ってます。
原田:なんか特別なことができたらいいな。
池田:コラボとかねっ!

【取材・文:秦 理絵】

リリース情報

恋したらベイベー -EP(初回盤A)[CD+DVD]

恋したらベイベー -EP(初回盤A)[CD+DVD]

2016年05月25日

ユニバーサル シグマ

[CD]
1. 恋したらベイベー
2. Still Love You
3. key of life
4. TOWN

[DVD]
「"ワンマン"スかこれ。~全国編 2015~@赤坂BLITZ」LIVE 映像
・Saturday night to Sunday morning / oh yeah!! / LISTEN TO THE MUSIC / baby I love you / サマータイムラブ / GHOST PARTY

お知らせ

■ライブ情報

TOKYO METROPOLITAN ROCK FESTIVAL 2016
2016/05/21(土) 東京・新木場 若洲公園

802RADIO MASTERS SPECIAL LIVE DARS SWEET EMOTION
2016/05/24(火)大阪・Music Club JANUS

AIR-G’ Sparkle Sparkler presentsスパクル☆ナイト Vol.3
2016/06/11(土) 札幌・Sound lab mole

Shiggy Jr. presents 「”対バン”スかこれ。 vol.1」
2016/06/05(日) 福岡・DRUM Be-1
2016/06/17(金) 名古屋・E.L.L.
2016/06/26(日) 大阪・梅田CLUB QUATTRO
2016/06/29(水) 東京・恵比寿LIQUIDROOM

OTOSATA ROCK FESTIVAL
2016/06/25(土)、26日(日) 茅野市民館

FM802 MEET THE WORLD BEAT 2016
2016/07/17(日) 大阪・万博記念公園もみじ川芝生広場

※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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