10-FEET、結成20周年を迎える2017年の第一歩を記す、記念すべきシングル「ヒトリセカイ×ヒトリズム」

10-FEET | 2017.01.30

 今年バンド結成20周年に突入する10-FEETから、早くもニューシングル「ヒトリセカイ×ヒトリズム」が届いた。前シングル「アンテナラスト」は約4年という長い沈黙を破ってリリースされたが、オリコン・ランキングで自身最高の5位を記録! 既にライブでも彼らの新たな顔となる名曲然とした輝きを放っている。その状況下にさらに畳み掛ける今作もまた素晴しい出来映えだ。「ヒトリセカイ」、「火とリズム」はどちらも強力なメロディを主軸に据えながら、10-FEETらしい色合いを盛り込んだ楽曲である。そして、「[final day]」は彼らのルーツと言えるラップを用いたミクスチャー感を炸裂させた仕上がり。そんな今作の中身について、メンバー全員に話を訊いた。

EMTG:今作のお話しの前に、昨年福岡ヤフオク!ドームで開催された『AIR JAM 2016』の感想から教えてもらえますか。10-FEETのライブは感情爆発の熱いステージングでしたけど、本人たち的にはどうでした?
TAKUMA:すっごく緊張しました。過去2回(『AIR JAM 2011』、『AIR JAM 2012』)は架空の世界ぐらい現実味がなくて。今回はHi-STANDARDが音源を出したから、いままでとはまた違う空気でした。僕らが20年やってきたことを出さないと、観た人に印象が残らないだろうから、全部を出し切ろうと。今回は一緒にイベントを盛り上げよう!という空気があったので、また別のプレッシャーがありましたね。
NAOKI:緊張の種類が違いました。
EMTG:えっ、そうですか?
NAOKI:10-FEETが結成の年に『AIR JAM 97』が初開催されたし、バンドとはこうものだという美学はHi-STANDARDや『AIR JAM』から影響されましたからね。10-FEETが初めて出た『AIR JAM 2011』はステージにいる間、ずっと宙に浮いてるような感覚で(笑)。で、今回は出順がトリ前だったから・・・。
EMTG:BRAHMANがやっていたポジションですからね。
NAOKI:そうですね。BRAHMANがやっていたことに大きな意味もあったし。今回はトリ前にHi-STANDARDが指名してくれたプレッシャーも大きくて。
EMTG:観ている分には、それほど緊張しているように感じませんでした。
NAOKI:ガムシャラでしたから。
EMTG:ああ、ガムシャラ感は伝わってきました(笑)。KOUICHIさんはどうですか?
KOUICHI:若い世代のバンドもいましたからね。全力でライブをやって、今の時代にアピールすることも考えていただろうし。僕らもそのつもりはありましたからね。その混ざり具合が面白かったなと。
EMTG:なるほど。あと、全出演者の中で10-FEETだけがHi-STANDARDのカバー「Start Today」をやりましたね?
KOUICHI:「Stay Gold」は誰かやるかなと思ったので、僕らはあえてハズしたんですけどね(笑)。
EMTG:そうでしたか。で、いきなりカバーを始めじゃないですか。それにもビックリしたんですよ!
TAKUMA:いい前振りが思い付かず・・・あえてガッとやりました。あれで良かったと思います。あとでHi-STANDARDのカバー?と思ってもらえるぐらいでいいかなと。まあ、何回も練習したけど、一番ヘタでしたね。グチャグチャでした(笑)。
EMTG:では、この辺で音源の話を伺いたいんですが、今作は結成20周年の一発目の音源になりますよね。
TAKUMA:「ヒトリセカイ」は2年前に着手していた曲なんですよ。だから、最近新たに作ったという感覚ではなくて。
EMTG:「ヒトリセカイ」はずっと寝かせていた?
TAKUMA:というより、起きなかったんです(笑)。アレンジにめちゃくちゃ時間がかかりました。元ネタからもっと良くできないかなと思ったら、また元の形に戻ったという。まあ、よくあることなんですけどね。
EMTG:前シングル「アンテナラスト」を汲むような曲の雰囲気が「ヒトリセカイ」、「火とリズム」の2曲にはありますね。
TAKUMA:「ヒトリセカイ」のアレンジを練ってる中で、その期間にできたものが「アンテナラスト」ですからね。
EMTG:時期が被っていたんですね。2曲とも歌メロが際立った楽曲だなと。
TAKUMA:「火とリズム」はもともと自分の作曲トレーニング中にできた曲なんですよ。なかなか曲ができないときに、10-FEETでやることばかり考えているから、曲ができへんちゃうかなって。10-FEETのフォーマットに沿ってやることで、良い部分も悪い部分もあったなと。だから、10-FEETで使えない曲でもいいから、1日最低1曲は作ろうという時期を設けたんですよ。意外とその中に10-FEETとしてやっても面白い曲があったから。
EMTG:それが「火とリズム」ですね。
TAKUMA:そうです。で、3人でアレンジして、10-FEET感みたいなものは宿ったんじゃないかと。
KOUICHI:デモの時点で、10-FEETらしさがあると思いましたからね。単純にかっこいい曲だし、基本デモ通りにやりました。
NAOKI:最近の10-FEETにはなかった曲ですね。昔はこういう感じの曲に着手してましたからね。
EMTG:2曲とも新しいテイストがある反面、以前にこういう雰囲気あったよなあ、という懐かしい匂いもしました。
TAKUMA:それは結構あると思います。こういう着地点と考えていたものと、そこを考えない曲の違いというか。ややこしいパートがあるのに、力が抜けてる曲は今までなかったんですよ。テクニカルな曲こそ、簡単に聴こえないと、実は完成してないんじゃないかと。近年はそう考えるようになったんです。
EMTG:なるほど。
TAKUMA:ここ数年はより感情的に、より自然体で曲を作ることを意識したおかげで、音楽的な楽しさを追求したパンク、レゲエ、ラップ、ミクスチャーの要素を入れた曲もフレッシュな気持ちでやれるようになったんですよ。
EMTG:10-FEETらしさがあった上で、様々な要素を柔軟に取り込めるようになったと。
TAKUMA:曲がりくねった表現でも、ちゃんと真ん中に串が刺さっているというか。あと、歌メロは大事にしたいですからね。かっこつけようとしないけど、かっこいい。でも自然体すぎても、曲として完成しないから。その狭間でウロウロしながら、模索する作業なんですよね。
EMTG:「ヒトリセカイ」は「アンテナラスト」と同じカタカナの曲名で、歌詞もどこか通じるテイストがありますよね。
TAKUMA:言葉遊び的なところもあるんですけどね。限定しすぎて、フォーカスが絞られるのも面白くないから。曲がちゃんと印象に残った上で、そこから掛け離れすぎれない曲名を付けようと。あとは内容を感じてもらえばそれでいいかなと。そこで全部を語る必要はないかなって。
EMTG:最近の10-FEETは聴き手の想像力にゆだねる傾向が強くなってますよね。ひとつだけ聞きたいんですけど、「ひらがなみたいな愛や優しさを まっすぐに見つめられない そんな日がありますか」(「ヒトリセカイ」)の歌詞にはどんな思いを込めているんですか?
TAKUMA:多くを語らない人の言葉だったり、説明ベタやけど、優しい人の言葉とかあるじゃないですか。健気で純粋な人を目の当たりすると、俺は理屈っぽいな、言い訳がましいな、計算した言葉があるな、性格悪いなと思う瞬間があるんで(笑)。そういうことを歌ってます。
KOUICHI:「思いや寂しさも理由に変えて」もいい歌詞ですよね。
EMTG:深いですね。そして、3曲目「[final day]」はミクスチャー色が強くて、個人的にはTHE MAD CAPSULE MARKETSが脳裏に浮かびました。
TAKUMA:それは激しめなミクスチャーな曲を作ろうやって。ただ、ラウド、ヘヴィに寄ったものではなく、疾走感のある3コードっぽい曲を作ろうと。
EMTG:だけど、10-FEETらしい曲調にちゃんと仕上がってます。
TAKUMA:前はそういう曲をやるときも、なるべくネタがわからないようにアレンジしていたんですよ。だけど、マネしなければ、感じたものを信じてやったほうがいい場合もあるなと。必要以上に気にしなくてもいいんじゃないかと。
KOUICHI:この曲はライブ映えすると思いますね。
NAOKI:個人的には一番好きな曲なんですよ。ライブでやるのが楽しみですね。素直に面白さのほうが勝ったから、スムーズにやれました。こういう音楽が好きで、バンドを始めましたからね。今やるから面白いのかなと。

【取材・文:荒金 良介】

tag一覧 シングル 男性ボーカル 10-FEET

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リリース情報

ヒトリセカイ×ヒトリズム

ヒトリセカイ×ヒトリズム

2017年02月01日

ユニバーサル ミュージック

1.ヒトリセカイ
2.火とリズム
3.[final day]

お知らせ

■コメント動画



■ライブ情報

10-FEET "ヒトリセカイ×ヒトリズム” TOUR 2017
2017/02/05(日) 京都KBSホール
2017/02/09(木) 松江AZTiC canova
2017/02/11(土) 高松festhalle
2017/02/13(月) 広島BLUE LIVE
2017/02/15(水) 福岡DRUM LOGOS
2017/02/17(金) 宮崎WEATHER KING
2017/02/19(日) 熊本B.9 V1
2017/02/26(日) 青森Quarter
2017/02/28(火) 郡山CLUB #9
2017/03/02(木) 新潟LOTS
2017/03/05(日) 小矢部クロスランド
2017/03/07(火) Zepp Nagoya
2017/03/09(木) 豊洲PIT
2017/03/11(土) Zepp Sapporo
2017/03/14(火) Zepp Osaka Bayside
2017/03/16(木) Zepp Tokyo

THE GREAT ROCK’N’ROLL SEKIGAHARA 2017 〜万博大作戦日本シリーズ〜
2017/04/16(日)  幕張メッセ国際展示場9〜11ホール

VIVA LA ROCK 2017
2017/05/03水・祝)〜5(金・祝
さいたまスーパーアリーナ

JAPAN JAM 2017
2017/05/04(木・祝)〜6(土) 千葉市蘇我スポーツ公園

京都大作戦2017〜心の10電!10執念!10横無尽にはしゃぎな祭!〜
2017/07/07(金)〜9(日)
京都府立山城総合運動公園 太陽が丘特設野外ステージ

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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