「強引な強さっていうよりはやさしいんだけど強いみたいな」、メジャーデビューを果たすthe peggiesは誰のために歌うのか

the peggies | 2017.05.11

 the peggiesが5月10日、シングル「ドリーミージャーニー」にてメジャーデビューを果たす。中学校の同級生で結成、2011年より本格的に活動を開始。キュートなポップセンスと力強さを合わせ持つ注目のガールズバンドだ。デビューという生涯一度きりのタイミングで彼女たちは何を考えているのか。制作の核心に迫る以下のインタビューを通して、シーンの階段を駆け上がろうとする熱い気持ちや自身をクレバーに分析する一面が伝わってほしいと思う。

EMTG:「ドリーミージャーニー」ができたときの感触はいかがでした?
北澤:デビューに向けての準備段階に入ったときに手持ちの曲が少なくて、とにかく作ろうって話になって。いっぱい作ったうちの1曲が「ドリーミージャーニー」だったんです。できたときはめっちゃいい曲できたなって思ったけど、これを1枚目にするっていう意識はなくて。歌詞とか構成ももっと複雑だったんですけど。
EMTG:ふたりは初めてこの曲を聴いたときどう思ったんですか?
石渡:歌詞を含めてゆうほらしいっていうか、the peggiesっぽいなって思いました。かわいすぎずカッコいい演奏にできるんじゃないかなって。
大貫:私も歌詞がゆうほっぽいなって。インディーズ時代の「グライダー」って曲があるんですけど、その先の曲なのかなって思ったり。私も共感できるし、これから何かをがんばろうとしてる人にとって共感できるんじゃないかなって思いました。
EMTG:ああ、たしかに自分たちにも当てはまるストレートな歌詞ですよね。
北澤:ストレートな言葉を歌詞にするのってダサいみたいな風潮もあるけど私はそう思ってなくて。むしろそれぐらい正直なほうがいいし、難しく変換することがすべてじゃないと思う。言葉をストレートに歌詞にしてもカッコいい音楽はできるし、いろんな人に響かせることができるんだよっていうのを私はめちゃめちゃ言いたいですね。
EMTG:感情を移入できたり自分を投影できるような歌を歌いたいですか?
北澤:そうですね。人の気持ちを動かすって人の心に触れなきゃいけないから、そのためにはみんなが「わ! これ自分の曲だ!」って思ってくれるような曲じゃないといけない。私たちは楽器の技術で勝負してるわけじゃないし、歌があって、楽器はそれを支えるものだと思ってるからまず歌詞を聴いてほしい。だから歌詞が共感できるかどうか、それとちゃんと自分の思ってることかどうか、そこを大事にしてますね。
EMTG:共感できるために極私的な、自分の経験を生かした歌詞になってると思うんですよ。でもそういう歌詞を考えるのは孤独な作業のはずで。
北澤:まだ21年だけど、短い人生の中で経験してきたこと、感じてきたことっていうのを最大限生かしたいし、それを生かしたときに伝わるパワーを信じたいって思います。やっぱひとりって嫌だから、「わかる」って言ってもらったときの喜びってすごいあるんです。曲を聴いて「わあ、ひとりじゃない」って思うことは多いと思うんですけど、意外と提供する側も「共感してくれる人がいるんだ」って、「ひとりじゃないな」って思う瞬間があって。それはうれしくて好きです。自分の感情の大きさがわりと大きいから、噛み砕いても消化し切れない部分もいっぱいあって。そういう部分を歌詞にしたときにわかってもらえるとふわっと自分の中が明るくなったり。
EMTG:聴く側も、経験を経たゆうほさんが歌ってるから「私も大丈夫」みたく思える気がするんですよね。
北澤:同じ歌詞でも違う人が歌ってたら全然違うように聴こえてくるし、それはシンプルな言葉だとなおさらで。だから私の性格とか経験をわざと隠したりしないで、まあもしかしたら誰かに嫌われるかもしれないけど、それを恐れず表に出して堂々とすることが説得力につながるかなって思うんで。
EMTG:ゆうほさんは堂々としてるなって思います?
大貫:ゆうほはゆうほっていうか(笑)。
石渡:自己主張がうまいなって思います。自分の短所を隠したりしないで、全部バァーって(笑)。「これが私!」みたいのを明確に持ってるからカッコいいし、それをやってる同い年ぐらいの女の子ってゆうほぐらいしか知らないから頼もしいです。
北澤:私が気が強いのはお母さんとかもめっちゃわかってて(笑)。いつも言ってくるのが「全然いいんだけど、そうなれない人も絶対いるから、そういう人の気持ちもわかるような人間になりなさい」って。それはその通りだなって思ってて、そうなれない人にこそ届けたいって気持ちもあるから、強引な強さっていうよりはやさしいんだけど強いみたいな、そういう歌詞にしたいっていつも思ってます。今までは本当に自分の歌だったんですよ。自分の経験。自分の感情。それに共感してもらえればラッキーみたいな感じだったけど、デビューをきっかけにそれでいいのかなって思ったときに、もっといっぱいの人に聴かせたいんだったらいろんな人の気持ちに寄り添わないといけないなって。こういう人の気持ちはわかんないからこういう歌は書けないとか逃げるんじゃなくて、もしかしたら共通点があるかもしれないし、自分自身がいろんな人に感情移入できるように前よりはなったなと思います。だから今作ってる曲の幅が広がってるなっていうのも感じますし。
EMTG:なんでいっぱいの人に聴かせたいんですかね?
北澤:え(笑)、なんだろ……せっかくやるならっていう気持ちかな。the peggiesを客観的に見たときに、音楽性もポップだし存在もやわらかいんで、せっかくこういう素材が集まってるならいっぱいの人に聴いてもらわなきゃもったいないなって。とにかくいろんな人に聴いてもらいたいですっていうよりは、the peggiesの指揮者として考えたときに絶対もっといろんな人に聴いてもらったほうがいいなって。
EMTG:あと「有名になりたい」って発言も目にしたことがあるんですけど。
北澤:それもガンガンあります。だって音楽が好きじゃなかったときに初めて触れていいなって思うのって、多くの人に聴かれてる音楽だと思うんで。いろんな人の、音楽が好きになるきっかけになりたいなっていうのはあります。そのためには有名になんなきゃいけないし。それにそういうバンドってずっと好きなんですよ。そこから広がっていろんなバンドを好きになっても心のどっかにずっといると思うんで、みんなの心に絶対いるバンドになりたいなって思ってます。
石渡:うん、自分が悲しいときは音楽聴いてたし、悔しいときとか怒ってるときとか、ずっと音楽を聴いて過ごしてきて、そういう人に私たちがなれたらいいなって思うし、それだけ影響を与えられるようなポップセンスをゆうほは絶対持ってるって思いますね。
大貫:私はゆうほの曲がすごい好きで。バンドとして有名になりたいっていうのもあるけど、こんな曲を私だけが聴いてるなんてもったいないみたいな、いろんな人がゆうほの曲で私と同じように感動したり、辛いときにがんばろうって前向きな気持ちになってくれたらいいなって思います。
北澤:特に、中高生の一番多感な時期に聴いた音楽に救われて育ってきたから、そういう子にいっぱい聴いてもらいたい。もちろん幅広い人に聴いてもらいたいっていうのもあって、その最終目標としては横アリ2days公演をしたいです。
EMTG:2daysなんですね(笑)。
北澤:そこは絶対!(笑) 「1日しか取れませんでした」って言われたら「じゃあやめだ!」って(笑)。自分たちの経験を積み上げた先に、みんなの夢みたいなものが叶えばいいなって思います。

【取材・文:秋摩竜太郎】

tag一覧 シングル 女性ボーカル the peggies

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リリース情報

ドリーミージャーニー

ドリーミージャーニー

2017年05月10日

Epic Records Japan

1.ドリーミージャーニー
2.ちゅるりらサマフィッシュ

お知らせ

■コメント動画



■ライブ情報

the peggies ドリーミージャーニーツアー 2017 ~野生のペギーズが現れた!!!~
06/03(土) LIVE HOUSE enn 3rd
06/07(水) CAVE-BE
06/08(木) 福岡Queblick
06/10(土) JANUS
06/11(日) JAMMIN’
06/17(土) 恵比寿 LIQUIDROOM

ヤングライオン祭’17
05/14(日) 大阪城音楽堂

TOWER RECORDS SAPPORO PIVOT presents NOrth MUSIC, NOrth LIFE. Vol.15
05/27(土) 札幌 PENNY LANE24

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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