POPCORN Olympic 2020 出演BANDスペシャル対談 第二弾!

POPCORN Olympic 2020 | 2020.05.19

 CAFFEINE BOMB RECORDSの社畜椎橋健一主宰の個人イベント「POPCORN Olympic 2020」が、7月28日から7月31日までの4日間に渡り、F.A.D YOKOHAMAとZepp Yokohama KTの二ヵ所で行われる。Fanplus Musicでは、各開催日ごとの出演バンドと、主催者である椎橋氏を踏まえての対談を4回に渡って敢行!第二弾となる今回は、7月30日(木)にZepp Yokohama KTにて行われる公演に出演するKEYTALKの小野武正(Gt/MC/Cho)、Dizzy Sunfistのあやぺた(Vo/Gt)とmoAi(Dr/Cho)、PEDROのアユニ・D(Vo/Ba)を迎えての対談となる。現在進行形で変化していく時世についての率直な想いや、今だからこそ感じるバンドの可能性。そして、SNSとライブの関係性についても答えてもらった。

  • まずは皆さんと、主催者である椎橋さんとの出会いから教えてください。
  • 小野

    椎橋さんとは、KEYTALKの前身バンドのreal時代からの付き合いです。下北沢ERAで2008年2月に出会って以来、POPCORNにも最初の方から呼んでもらっていただいていて、バンドの打ち上げとは何か?から、色々なここでは言えない事までたくさん教えていただきました!(笑)
  • Dizzy Sunfistとは、現場マネージャーということで言わずもがなという感じではありますが……。
  • 椎橋

    濃厚接触ですね。
  • あやぺた

    椎橋さんが、確か元々NUBOのスタッフだったんですよね?そこから、うちらのバンドのライブを観てもらう機会が多くなっていって……正直、忘れました!
  • moAi

    俺もあんまり覚えてないんですよね。あやぺたと一緒で、NUBOのスタッフをやられている人だなという印象でした。
  • 椎橋

    おいおい!ひどいね!COMING KOBEの打ち上げであやぺたが泥酔していて、目の前の駐車場のバーに布団みたいに被さっていたんですよ。で、その時に話していた四星球のモリスマンに「あのヤバい子、誰?」って聞いたら「Dizzy Sunfistのあやぺただよ」と教えてもらったというのが第一印象です。その様子を見た時は仲良くなれない分野の方だと思いました。その後に初めてライブを観たら、ドラムが上手なバンドだなぁと思いました。
  • アユニさんとの繋がりは?
  • アユニ

    Dizzy SunfistさんとはBiSHで対バンをさせていただいたことがあったんですけど、今回の出演はイベンターの佐藤さんを通じて決まりました。
  • 椎橋

    そうそう。佐藤さんがPEDROどう?って言っていて誘ったんですよ。最初は僕がBiSHを呼びたいって言ったんですけど、同じ月に同じ場所でBiSHもライブをやるからってことで話も通してもらえなかったんです。でも「PEDROどうかな?」って言われて、僕的にはその提案にめちゃくちゃテンションが上がっちゃって。それからすぐお願いして、翌日にOKもらいました。
  • アユニ

    そういう流れだったんですね!ありがとうございます。
  • この3マンにした意図はなんだったんですか?
  • 椎橋

    さっき名前が出てきたイベンターの佐藤さんと話していく中で、まずKEYTALKには出てもらいたいというのは最初にあって、その後にPEDROの出演が決まって、もうひとバンドどうしようか?となった時に、佐藤さんが「Dizzy Sunfistがいい」って言ったんです。でも僕は、Dizzy Sunfistには2日目の方に出てもらいたかったので断ったんですよ。でも「どうしてもDizzy Sunfistがいい!それでしか画が浮かばない!」っていうことで、この3組に決まった感じですね。
  • バンドとしては、この3マンをどう思いますか?ライブハウスのイベントとしては初めてのメンツだと思いますが……。
  • アユニ

    お二組の音楽も元々聴いていたし、イベントやフェスで何度か共演させていただいているからライブがめちゃくちゃかっこいいのも知っているので、その話を聞いた時は緊張というか、恐怖でした。PEDROはライブの場数を全然踏んでいないので、大先輩の圧に負けないようにして、PEDROの音楽を広げられたらいいなと思っています。
  • あやぺた

    めっちゃ面白そう!って単純に思いました。初めての場所で初めて一緒にやるバンド自体がどんどん少なくなっていく中で、こういう新鮮さを感じられる機会があるっていうのは純粋に楽しみですね。
  • 小野

    そうですね、めちゃくちゃ面白いなと思いました。Dizzy Sunfistとは横浜F.A.Dでツーマンをやらせてもらったし、PEDROに関しては、遂にアインシュタインの稲田さんと対バンできると思って楽しみにしていたんですけど……。
  • 椎橋

    そうだよね。
  • アユニ

    (笑)。ありがとうございます(笑)
  • 小野

    すいません(笑)。PEDRO聴いてますよ!楽しみです。
  • あと、前回の対談の時に「POPCORN Olympicはオリンピックが中止になったらやらない」と仰っていましたが、開催されるということでいいですか?(笑)
  • 椎橋

    はい、やります。
  • 安心しました。とはいえ、コロナウイルスの影響によって進行形で様々な弊害が生まれている昨今ではありますが、音楽活動と日常生活が一体となっているバンドメンバー、そしてイベンターとして、今はどういう想いで過ごされていますか?
  • あやぺた

    寝ながら見る夢も、ライブをしている夢ばっかりなんですよ。自分自身、相当ライブをしたいんやろなぁって思います。
  • moAi

    あやぺたの妊娠が発表になってからは、申し訳ないという気持ちよりも「待っていてくれ!」という想いの方が強かったんです。でも、こういう状況になってからは手の出しようが本当に分からないし、ツアーに関してもかなりギリギリまで様子を見た上で前半のライブを何本か中止にするという判断を下したんですけど、物凄く歯がゆい思いですね。もちろん来てくれ!と言いたいですけど、どういう言い方で言えばいいのかも分からないっていうのが正直なところです。
  • PEDROも、リリースツアーが全公演中止になってしまいましたよね。
  • アユニ

    そうですね。PEDROもそうなんですけど、BiSHでも毎日毎日ライブをするっていう生活を送ってきていたので、今のこの状況が非日常だなという感覚がすごくあります。BiSHのツアーがやっと終わって、今はPEDROとしてステージに立ちたい!という欲が本当に強いんです。でも、今ツアーをやったとしても来る側もやる側も不安だろうし、この状況に抗えないことが凄く悔しいです。
  • KEYTALKも5月に予定されていた幕張メッセでの公演が、8月に延期になってしまいましたが……。
  • 小野

    そうなんですよ。でももうね、みんながどうしようという状況だと思うんですけど、ここまでくると多分もう元には戻れないと思うんです。だから今は、収束した後にどうやっていこうか?ということを考えるようになりました。自粛している中でももちろんやれることはありますし、僕で言えばSNSで毎日ギターのプレイ動画を上げるとか、定期的にインスタライブを行うとか、そういう発信をしながら日々変わっていく状況をきちんと把握して、自分自身の気分が落ちないように過ごしています。今は夜10時に寝て朝5時に起きて、一日一曲作る事を目標に出来たらレーベルの人に送るっていうルーティーンを作っているんです。そうやって自分にノルマを課しながら、この時間を有意義に使えたらいいなと思っています。
  • ライブハウスの運営としても非常に厳しい状況ではあると思いますが、椎橋さんが感じる現状はどうですか?
  • 椎橋

    みんな何をやっていけばいいのかを試行錯誤していますね。でも意見交換も兼ねてテレビ電話をしても、酒飲んでいると結局笑って終わっているので、まだ元気かな?という感じです。でも、本当にヤバくなるのは、こういう状況が7月8月まで続いていった時かなとは思います。実際に潰れていってしまったライブハウスもあるので、何とも言えないですけど。
  • 小野

    何を話しても今は答えが見つからない状況なんですよね。でも僕らはライブハウスで育っていますし、全ライブハウスに残ってほしい気持ちはもちろん全身全霊であります。
    ライブハウスが行っている支援グッズを買ったり何かしらの行動で示しつつ、収束した後に演者である僕らがいつでも万全の体制でライブができる状態にしておくっていうのは大事だと思っています。
  • あやぺた

    こういう状況って、生きてきた中で初めてじゃないですか?だからどうしたらいいか分からへんし、うちらはやっとライブハウスに戻れる!って思った時にこうなってしまったので、感覚だけは鈍らせたくないという気持ちでいます。
  • ここまで生活を脅かされる機会って、本当に今までなかったですもんね。
  • moAi

    緊急事態宣言が出る前は、横浜F.A.Dでやっていたライブに遊びにも行ったし、その時はまだ普通というか、まだ楽しそうだったしいい感じだなと思っていたんです。でも、自分も遊びに行っておきながら、人が多いのは心配だなとは感じました。緊急事態宣言が出た後はもちろんライブも中止になったし、個人でスタジオにも入ろうとしたんですけどそれも止めて、本当に何もできない状況です。バンド同士の繋がりでいえば、SNSで回ってきたバトンを受け取ったりすることで、バンドマンなりに良い発信ができているんだなとは思っています。でも、それもいつまで続くか分からないですし、やっぱり難しいっすね。伝えることも、伝えきれないです。
  • アユニ

    BiSHとしては怒涛の毎日を過ごしていたので、逆にあまり自分たちのやりたいことに没頭できる時間というか、やり込める時間がなかったんです。だから私自身も他のメンバーも、この自粛期間に歌を作ったりギターを練習したり、今の時間を有効活用できるように心がけています。PEDROとして出している音源についてはバンド体制でやっているので、自分が0から全部作った曲ってまだないんです。だから、自分が全部作った曲も増やしていきたいという気持ちもあるので、今こそチャンスだなと思います。
  • あやぺたさんは、母親としての子育てもありながら、先の音楽活動についても考えていくということで、きっとてんやわんやですよね。
  • あやぺた

    そうですね。でもおっぱいあげて、子供が寝ている間に曲作って、メリハリつけて頑張ってます!
  • 先ほど武正さんとmoAiさんからのお話の中でもSNSの話がありましたが、今後も増えていくであろう配信ライブなどの「SNSでの音楽発信」と「ライブ現場」は繋がっていくと思いますか?
  • 椎橋

    すごい難しい質問ですね。正直、繋がらないというか、繋がってほしくないなと思います。現場は現場、SNSはSNSで別々なものなんだと理解してもらう必要があると思うんですけど、今のSNSを見ているとなんとなく変な繋がり方をしちゃっているんじゃないか?と思うことはありますね。結局SNSって無料なんで、それを安売りしている風に見えないように動いている人が、僕は一番かっこいいなと思います。でも状況が状況なだけに、めちゃくちゃ難しいっすね。
  • 小野

    そうですね。SNSが、ライブに来た人がより楽しめるツールになれば一番いいと思います。例えば僕が上げているギター動画を見て、ギターを弾かない人が「こういうことをやってるんだ」と知ったり、ギターを弾く人が「ここのフレーズはこうしてるんだ」と理解してくれたりして、ライブに繋がったらいいなとは思います。あとは、動画を上げることは自分の為にもなっている面もあって、単純に練習になるんですよね。インスタライブすることでも、観てくれている人がいるという緊張感や臨場感があるからこそ気付くことも沢山ありますし、自分のフィードバックにもなってます。
    その上で、毎日投稿している物に関してはコロナ禍が収束した後にも意義があるようなアーカイブにできるように心がけています。
  • アユニさんはBiSHとしてのお話になりますが、無観客ライブを行った経験があると思います。その時に感じたことはありましたか?
  • アユニ

    あれは、元々予定されていたライブを生配信する、という意味合いでやったものなので、ライブに来れなかった人に間違いなく届いたということではすごく良いことだったと思います。現場とSNSの関係性というとわからないんですけど、あの時は無観客だからこそのカメラアングルもあったので、そういう意味でも意義のあるものだったと思います。今回、PEDROのツアーが中止になってしまったので、そのお詫びというか、そういった想いも込めて前回のツアーファイナルのライブ映像を期間限定でYouTubeで配信したんです。それによって現場に来てくれるはずだった人のショックを和らげたり、少しでも元気になったりしてもらえたらいいなと思います。
  • moAi

    関係性についてはあまり深く考えてはいなかったです。Twitterのタイムラインの暗い雰囲気を「うたつなぎ」での歌唱動画や楽器のプレイ動画で明るくするという目的だけで観ていたので、この先に繋げるというよりは、今この空気を変えたいという意識でやっていました。でも、ライブ配信に関しては、みんなが出来ちゃうことなので、それが次に繋がるかどうかを考えた時に、ちょっと配信の在り方を慎重に考えなきゃいけないなとは思っています。だから、自分自身は配信形態のものはやっていないんですけど、ライブ配信や自分たちの演奏シーンを生配信している人たちの映像を観ながら「相手にどういう風に伝わるのか?」を考えています。だから、今は様子見っていう状態ですかね。ただ、SNSで上げている分に関しては、元気になる人がいるならいいんじゃないかなと思います。
  • あやぺた

    まあ、現場はダウンロードできないんでね!
  • 椎橋

    (笑)
  • 本当にそうですよね。でも今は、辛抱する時期であると共に、音楽の伝え方やライブの在り方も含めて様々な意味での変革期だと思います。武正さんが「収束した後にどう在るべきか」と仰っていましたが、この先にどういうバンド/イベンターで在りたいと思いますか?
  • 椎橋

    とにかく明るくいたいっすね。もうどんな感じかわからなくなりつつあるので、戻ったらとにかく明るく楽しくいたいです。あやぺたのわがままも笑えるくらいに。
  • あやぺた

    あはは!すみません!(笑)
  • 小野

    常に斜に構えて、ユニークでいたいですね。(笑)
  • アユニ

    今が一番大きくならなきゃいけない時だと思うので、曲数ももっと増やして、BiSHのメンバーがソロでバンドごっこやってるみたいに思われないようにしたいです。ライブもめちゃくちゃたくさんして、ちゃんとバンドとして場数を踏んで成長したいと思います。
  • あやぺた

    やっぱり、日本一の、オカン、パンク……なんでしたっけ?
  • 椎橋

    お前、自分で言って自分で忘れたのヤバいだろ(笑)。オカンパンクロッカーだろ?
  • あやぺた

    そうだ!オカンパンクロッカーになって帰るっていう夢がまだ叶ってないので、最強の状態でライブハウスに帰りたいと思います!
  • moAi

    今のあやぺたのコメントで落ちた感じはあるんですけど……(笑)。俺らは去年からライブ活動はしていないんですけど、元の生活に戻ったら、みんなにとってライブハウスに行くことや音楽に触れることが特別で、当たり前じゃないことなんだとフランクに思ってもらえて、その上でさらに音楽を楽しんでもらえるようになったらいいなと思います。

【取材・文:峯岸利恵】

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