Mili、日本発→世界へ誇るインディペンデントな音楽制作集団による最新作は“攻殻機動隊”エンディングテーマに

Mili | 2020.06.24

 プログレッシブな未来派エレクトロからドープでクラシカルな作品まで、インディーバンドとして快進撃を続ける音楽制作集団Mili。
 Netflixで全世界配信されたアニメーション『攻殻機動隊 SAC_2045』へエンディングテーマ「sustain++;」を書き下ろし、6月10日に“攻殻機動隊”にインスパイアされた3曲のコンセプトシングルとして「Intrauterine Education」を発表。さらに、同日にはTVアニメ『グレイプニル』のエンディングテーマと、映画『ゴブリンスレイヤー-GOBLIN’S CROWN-』のテーマソングを収録したシングル「雨と体液と匂い / Static」とリリースが続く。



 Miliは、コンポーザーのYamato Kasai、日本語~中国語~英語~プログラミング言語を駆使するボーカリスト・Cassie Wei(カナダ国籍)、ベーシスト・Yukihito Mitomo、ドラマー・Shoto Yoshida、イラストレーター / アニメーター・Ao Fujimoriら5名からなるバンド。これまで800万再生を超える人気曲をいくつも持ち、夏フェス『サマーソニック』へ2年連続で出演し、中国・台湾・シンガポールにて海外公演を成功させるなど国内はもちろん海外評価も高い実力派バンドだ。

 中心メンバーのYamato Kasai、Cassie Weiはより良い制作環境を求めて緊急事態宣言前の2月に長野へ移住したばかり。愛知や東京に住むメンバーやスタッフとリモートでコミュニケーションを続けることで、コロナ禍でも音楽を止めることなくクリエイティブ・ワークを行なっているという。今回の取材もZoomを通じてリモートで試みた。

――先月も取材(『ふくりゅうのお話スナック』)したばっかりですが、最近はどんな感じですか?
https://music.fanplus.co.jp/special/2020051525810d4b3
Yamato:そうですね。ここのところ、変わってないなぁ(苦笑)。遠出も外出もしないし、ずっと引きこもっていますね。
Cassie:ははは(笑)。前回の取材から、機材をアップグレードしたいなと思っていろいろ買っちゃいました。わたしはオーディオインターフェースのAPOLLO TWINですね。ボーカルとか、家で録るならって。前に持っていたのは、何回か猫に落とされてしまってノイズが出るようになってしまって(苦笑)。
Yamato:あと、吸音材買って、ボーカルのリフレクションフィルターに使ってますね。
――長野での音楽制作は、作品への影響はありましたか?
Yamato:今のところはポジティブな変化しか感じていないです。精神的に優しい環境なのでストレスを感じないのはいいことですね。
Cassie:電車とか乗らなくてもいいから、時間が増えた感じがしています。
Yamato:空いた時間で草刈りしてました(笑)
――今後、生活スタイルがニューノーマルな時代を迎えていくように、Miliの活動はとても参考になりそうですね。というか、コロナ以前からリモートでの会議や打ち合わせは活用されていたんですよね?
Yamato:もともと、Cassieはカナダにいたので、実際に直接会う前からリモートで歌録りや制作をやっていましたから。
Cassie:そうですね。
――6月10日、3本のアニメタイアップ曲を2枚のCDシングルとしてリリースされました。Miliが、アニメ文化と密接なことをいかがお考えですか?
Cassie:アニメは好きなので毎日観てますね。
Yamato:ありがたいことにお話をいただけるので、純粋に頑張ってやらせてもらっています。とはいえ、タイアップを続けるために音楽をやっているわけではないので。
――アニメタイアップを行うことで海外ファンが増えたりするんじゃないですか?
Yamato:そういった側面はあります。でも、主役はあくまでアニメなので。そこで主題歌をやっても、それだけでは広がることはそんなにはないかな。
――なるほどね。そんななかMili、最新の楽曲はめっちゃ攻めていますよね。
Yamato:最近、長野にいるからか浮世離れしすぎていて(苦笑)。僕があまりトレンドを掴もうとしていないところもあるんですけどね。情報だけは仕入れているんですけど。
――Miliとしてクリエイティブ・ワークする上で大切にされていることは?
Cassie:素直なことですかね。タイアップ作品だとしても、自分たちがやりたいことをやります。自分たちが納得できるものをやりたいってことをずっと守っています。
Yamato:それって“好きなことだけやっていてワガママじゃん!”って思う方がいるかもしれないんですけど、ずっとこのスタンスなんですよ。結果、それがオリジナリティーになっていると思います。僕らは簡単に消費されたくはないので。ちゃんと記憶に残る音楽をやっていきたいんですよ。やっぱり、素直でいることが大事だと思いますね。
――Netflixにて『攻殻機動隊 SAC_2045』エンディングテーマ「sustain++;」が配信されてみていかがでした?
Cassie:大きな作品なんですけど、まだ実感はないですね。
――『攻殻機動隊 SAC_2045』コンセプトシングル「Intrauterine Education」を完成させてみていかがですか?
Cassie:全部で3曲、インストも入って計6曲ですね。今回、曲の内容的には「sustain++;」は“あなたとわたし”みたいな、狭い人間関係で。他は、もうちょっと世界が広がるしっとりしている曲があったり、“自分対世界”っていう、より大きなテーマで描いています。お互いを受け入れてくれる世界、LGBTQの人権をテーマにした「Petrolea」と、男女だけではない性別差別について歌った「War of Shame」はメッセージ性が強くて、プロパガンダっぽくなったかな。3曲で一緒になるっていうか、それが教育的なメッセージを持つのでタイトルを「Intrauterine Education」=胎内教育にしました。
――なるほどね。「sustain++;」は、歌詞がプログラミング言語ってのもサイバーな“攻殻機動隊”とズバリ、ハマりますよね。
Cassie:ど頭から決めてました。Miliらしさを活かすチャンスだねって。歌詞をJAVAのコードで表現していて。これは私しかできないことだし、Miliの色だから。
――展開も凝りに凝ったプログレッシブなナンバーで。これはフルバージョンで聴くべき楽曲だなと。
Yamato:前半モダンな部分と、真ん中が長くって。その後のレトロなテクノ構成から、また違う世界が広がっていきます。70年代、80年代に描いていたSF感を3つ提示して最後混ざりあってゴールに向かうっていう。
――「sustain++;」、Miliとしては珍しく6分を超える曲ですもんね。ちなみにシングルのタイトルが「Intrauterine Education」となっていることもあって、テーマ性というか組曲感がありますよね。
Yamato:そうですね、最終的にはバランスよくまとまっていきました。
Cassie:胎内教育というのは、『攻殻機動隊 SAC_2045』を観たことで影響を受けたんです。たとえば、冒頭でアンドロイドのセックスワーカーが(草薙)素子に反応していて素子も悪くないなという素振りを見せるシーンがあるんだけど、珍しいことではないように描かれているんです。ファッションも露出度が高いんですけど、そのことに対してセクハラすることもないんです。お互いがお互いをそのままに受け入れてくれる未来の世界だと思いました。
――それが世界観にあらわれているのですね。「Petrolea」、ノイジーな空気感やキックの圧がめちゃくちゃカッコいいドープなナンバーで。
Yamato:それはよかった。最初、ウケが悪いタイプな曲かなって思っていたんですよ(苦笑)。個人的には好きですよ。でも、正直思っちゃって。自分好みな曲ですね。「Petrolea」は、完全にデジタルなシンセサウンドですね。変な話、インストだけでも聴けるようなアンビエントかつテクノな要素、空間に馴染むようなサウンドを作りました。
Cassie:穏やかですね。なんか、寝ちゃいそうでいて、歌い方も穏やかでサビのところだけ一瞬だけ主張して穏やかに戻る。囁きな感じ。
――内面の小宇宙へダイブしているようなサウンド感でありつつも、メッセージ性は体温がある感じで。
Yamato:ちょっとした変化を、アンテナ立ててもらって感じてもらえたら嬉しいなって。逆にいえば、喜怒哀楽が激しい曲ではないので。それこそ、海外ドラマからの影響があるかもしれません。SFものやSFファンタジーというか。
――Netflixの『ブラック・ミラー』とか?
Yamato:そう! 大好きですし、それこそ『ストレンジャー・シングス 未知の世界』とか。いろいろ観ているんですけど、“あのシーンでこんなサウンドがかかったらカッコいいだろうな”とか、逆に劇伴を聴いて、“ああ、こういうふうな曲になるんだ”とか。Miliは、僕が外郭を作ってCassieが内面を埋める役割なんだなって。僕はシチュエーションや舞台を作る役回りなんですよ。ドラマ観ていて、メインじゃないふとしたシンセにインスパイアされて、“これに歌がのったらカッコいいだろうな”とか。そんなことを考えたりしていますね。
――3曲目「War of Shame」は、歌声とピアノの醸し出す世界観の濃さに泣きそうになりました。オペラちっくなセンスで、ストーリーテリング感がありました。
Cassie:他2曲と比べるとだいぶ感情的かもしれませんね。メッセージをストレートに伝えたかったんですよ。
Yamato:クラシカルなピアノとボーカルだけなんで。コンセプトは“攻殻機動隊”からなんですけど、世界観は異色かもしれませんね。音作りに関しては、流行りの音は使いたくなかったんです。新しく聴いても懐かしさを感じられるというか。流行りの音は一過性なものになってしまうので。そうではない音を使うことは3曲とも気を遣いましたね。
――そして今回、TVアニメ『グレイプニル』エンディングテーマ「雨と体液と匂い」、そして大ヒットアニメ『ゴブリンスレイヤー』の劇場版新作となる『ゴブリンスレイヤー -GOBLIN’S CROWN-』テーマソング「Static」を収録したダブルタイアップシングルと、新作リリースが続きましたね。
Yamato:『グレイプニル』は、原作のファンでずっと読んでいたんですよ。簡単にいえばエロいんです(笑)。でも、そのエロの要素のバランスがよくって。主人公が着ぐるみになって、その中に女の人が裸で入り込むんです。その着ぐるみは体液まみれで。設定がすごいですよね。
Cassie:生々しいというか、艶やかというか。
Yamato:どこかしらサスペンスらしさを表現してみたくて。そこを文学的にというか、ある種スルメ曲ですね。しっとり進んでいく感じが『グレイプニル』らしいかな。
――それはあらためて聴き直したくなりました。
Yamato:『ゴブリンスレイヤー-GOBLIN’S CROWN-』テーマソング「Static」は、先にピアノとストリングスでオケを作って。映画を観終わった時の余韻を大事に考えましたね。
Cassie:メロディと歌詞に関してはダークファンタジーな世界観。グロさもあるんですけど、希望を感じる作品だと思って。そんな希望を表現したいなと思って歌詞に込めました。

――グッと心を鷲掴みにされる名曲感にやられました。では、Miliの2020年、今後の展開について教えてください。
Cassie:最近「String Theocracy」という曲を配信で出しました。韓国のゲーム会社から連絡があって提供しました。今後も一緒に何曲かコラボしていく予定ですね。あとは、秘密のプロジェクトが裏で進行中です(笑)。
Yamato:楽しみにしていてください!!!

【取材・文:ふくりゅう(音楽コンシェルジュ)】

tag一覧 J-POP シングル インタビュー 女性ボーカル Mili

リリース情報

Intrauterine Education

Intrauterine Education

2020年06月10日

FlyingDog

01.sustain++;
02.Petrolea
03.War of Shame
04.sustain++;(instrumental)
05.Petrolea(instrumental)
06.War of Shame(instrumental)

リリース情報

雨と体液と匂い / Static

雨と体液と匂い / Static

2020年06月10日

FlyingDog

01.雨と体液と匂い
02.Static
03.雨と体液と匂い (instrumental)
04.Static (instrumental)

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Cassie(Vo)
グリルパンで家で焼肉
昨日の夜からずっと検索していたのが「グリルパンで家で焼肉」でした(笑)。最近、外に行けないので家で焼肉を食べたかったんです。ガスコンロじゃなくって、うちのストーブはIHなのでいけるかなって。音楽と全然関係ないですけどね(苦笑)。近所のスーパーがすごくいよくて、肉質がいいし種類も豊富で助かります。

Yamato(Gt)
カメラ機材 ドローン
YouTubeでよく検索しています。えっと「カメラ機材 ドローン」ですね。いま、ドローンの練習しているんですよ。自分で映像作品を作りたいなって。映像の録り方やどういった機材が必要なのかとか、ひたすらチェックしています。一日中勉強しています(笑)。できる限り、自分たちでやっていけたらなって。

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