2021年もはじまり、日本テレビ『バズリズム02』での「これがバズるぞ2021」、ぴあ「2021年要注目アーティスト」、AWA「ユーザーが選ぶ！ 2021年にくるアーティスト」、Fanplus Music「Coming Up Artist 2021」（https://music.fanplus.co.jp/special/20201216426960c30）など、各メディアで“今年、注目のニューカマー”的な特集が繰り広げられているなか、軒並みフィーチャーされ要注目なのが、気鋭のシンガーソングライター・Vaundy（バウンディ）だ。

　Vaundyの魅力、それは成人を迎えたばかりであり、美大に通うVaundy自身のバランス感覚にあると思う。日々デザインを学ぶ彼はその理論を確信的に音楽表現に取り入れている。

　洒落たサウンドセンスは、SNSユーザーの心を掴んでたくさんの二次創作を生み、エモーショナルなメロディは、コアな音楽ファンからの評判が良く、胸に突き刺さる歌詞の魅力は、若い邦ロックファンへも届く強度を持つ。なによりも、一聴して耳に残るハスキーなスモーキーさと透明感を共存させた歌声の素晴らしさに注目すべきだ。そして、ライブやフェス出演が軒並み中止や延期となりながらも、学びを止めないモノづくりへの真摯な姿勢にも心を惹かれた。昨年取材した際、Vaundyの発言が印象的だったのでいくつか抜粋したいと思う。今の時代にぴったりの表現者の手本のような在り方なのだ。


　こうしてたどり着いた新境地。2020年12月27日リリース、Vaundy名義の新曲としては約半年ぶりとなった「世界の秘密」がとてもいい。柔らかな雰囲気にたゆたうようにメッセージを歌い紡ぐ優しさを感じられるポップソング。“素”の表情が垣間見えるナンバーとなった。いわゆる、学校でオンライン講義がスタートした昨年春の自粛期間中から制作をはじめ、特異な1年となった2020年と向き合うために生まれた1曲だ。歌詞における＜正義と倫理と命を天秤にかけて　量った声明で＞など、リアルタイムな時勢を感じさせる言霊が力を持つナンバーだ。

【文：ふくりゅう（音楽コンシェルジュ）】