1日のバイオリズムを描いた2ndフルアルバム、全員インタビューで語り尽くす!

ゆびィンタビュー | 2021.03.24

 『!magination』から約1年、Lucky Kilimanjaroのニューアルバム『DAILY BOP』。「エモめの夏」「太陽」「夜とシンセサイザー」といったシングル群で示してきたダンスオリエンテッド路線をさらに推し進め、ビートの強さは過去最高級。4月4日の日比谷野外大音楽堂でのワンマンライブ「Lucky Kilimanjaro presents. “YAON DANCERS”」、ならびに5~7月に開催される初めての全国ツアー「LUCKY KILIMANJARO ONEMAN TOUR “DAILY BOP”」が楽しみになる内容だ。今回は1年ぶりにメンバー全員集合で、意欲的なアルバムについてワイワイと忌憚なく話し合ってもらった。

PROFILE

sample dummy

Lucky Kilimanjaro


 Vo.熊木幸丸を中心に、同じ大学の軽音サークルの仲間同士で結成され、2014年、東京を拠点にバンド活動開始。“世界中の毎日をおどらせる”をテーマに掲げた6人編成によるエレクトロポップ・バンド。スタイリッシュなシンセサウンドを軸に、多幸感溢れるそのライブパフォーマンスは唯一無二の存在感を放つ。
 2018年11月に1st EP「HUG」にてメジャーデビュー。その後、2019年6月「風になる」、7月「HOUSE」、8月「Do Do Do」、9月「初恋」と4ヵ月連続でシングルをリリース。さらに10月には2nd EP「FRESH」を立て続けにリリースすると、楽曲の良さが評判を呼び全国のTV、AM/FM局にて56番組のパワープレイ・番組テーマを獲得。「FRESH」はオリコンの2019年10月度FMパワープレイランキング1位を獲得。
 同年8月にはROCK IN JAPAN FES.への初出演も果たし、フェスファンからも熱い視線を浴び、さらなる注目を集める。2019年11月、バンド自身初となるワンマンライブ「FRESH」@渋谷WWWは、公演4ヵ月前に即完。
 2020年3月にはメジャー初のフルアルバム『!magination』をリリース。また同時に5月の東名阪ワンマンツアーの初日・恵比寿LIQUIDROOM公演はソールドアウト、渋谷CLUB QUATTROでの追加公演もソールドアウト。5月には緊急配信シングル「光はわたしのなか」をリリース、7月に2週連続でラッキリ初となる夏シングル「エモめの夏」「太陽」をリリース。8月には配信限定ライブ「DANCE IN DA HOUSE」を開催。10月には「夜とシンセサイザー」をリリース。11月には恵比寿ザ・ガーデンホールワンマンをソールドアウトさせるなど精力的に活動。
 2021年3月には、2枚目のオリジナルアルバム『DAILY BOP』発売。2021年4月には日比谷野外大音楽堂でワンマンライブ、さらに5月からはZepp Hanedaをファイナルとした全国ツアーを開催。ららしくもっと踊れて突き抜けてららしくもっと踊れて突き抜けて

  • 『DAILY BOP』、これまででいちばんいいアルバムなんじゃないかと思いました。
  • 熊木幸丸(Vo)

    うれしい! ありがとうございます。
  • 大瀧真央(Syn)

    なんでですか?
  • ラミ(Per)

    俺らが聞くの?(笑)。
  • メッセージ性が強くて、比較的“聴かせる”作りだった『!magination』から、リズムを強化しつつ“おどらせる”ほうに振れて、両者の塩梅がちょうど良くなったなと。
  • ラミ

    よし!
  • 大瀧

    ありがとうございます!
  • 熊木

    『!magination』はわりと壮大な曲が多かったんですけど、ぼくららしくもっと踊れて突き抜けていてもいいよね、という感覚があって。その反動で今回はわりとリズムを強くできた感があるので、伝わっていてうれしいです。
  • あと、歌がすごく良くなった気がしました。
  • 熊木

    ありがとうございます!
  • ラミ

    それはちょっとわかんない(笑)。
  • 大瀧

    聴いてないでしょ、歌。
  • ラミ

    いや、少しずつ伸びるやつってわかりにくくない?
  • 熊木

    ずっと一緒だからね。
  • ラミ

    そうそう。楽そうになったな、とは思うけど。
  • 熊木

    個人的には1年前とは全然違うんだけど、みんなあんまりわかんない?
  • 大瀧

    わたしは毎回レコーディングに参加して聴いていて、ピッチもリズムも直しが少なくなった気がします。今回結構リズムの難しい曲が多いと思うけど、なんてことなく歌えてるし。
  • 熊木

    うまくなったんですよ。
  • 大瀧

    なんでそうなってるのかは全然わかんないけど、うまいなと思う。
  • 熊木

    『!magination』が出来た頃、2019年の終わりぐらいからボイストレーニングの先生に習っていて、基礎的な動きを海外のシンガーがやるような歌い方に変えていってるんです。まだまだ発展途上ですけど、『DAILY BOP』を集中して作った頃にようやくその端っこをつかめたような感触があります。それがレコーディングにもかなり生きていて、自分としては現段階ではいちばんいい歌が録れてるなと思います。
  • 海外のシンガーみたいな歌い方というと?
  • 熊木

    体を楽器として扱うということですね。無理に出すのではなく、体で声を鳴らす、そうすることで自然と出力も上がるし、リズムも良くなるし、音と音の間もスムーズになってくるので、まるで違う感覚があります。
  • アルバム全体が朝→昼→夜の流れになっていますよね。
  • 熊木

    そうですね。1日のバイオリズムに則っています。
  • 既発のシングル曲に関してはリリースのたびにユキマルさんに詳しく話してもらってきたので、今回は新曲のお話からうかがっていきます。「Superfine Morning Routing」はサビのメロディがこれまでになかったタイプかなと思いました。
  • 熊木

    今回はどの曲もこれまでなかった要素が常にあり続けていたのですが、たしかにこの曲の90年代ヒップホップっぽいビートとかサンプリング感とか、コードのクラスタとか、トータルでは今までのラッキリっぽくはないかもしれないですね。
  • みなさん、どうですか?
  • 柴田昌輝(Dr)

    ……かっこよかった(笑)。
  • 熊木

    うちのメンバーは僕がやることに対してわりと寛容なんですけど、珍しいなとも思わなかった?
  • ラミ

    今までになく軽快な曲だと思ったかな。
  • 熊木

    ビートが細かいからそう聞こえるよね。
  • ピアノをカットしたイントロが面白いですね。
  • 熊木

    自分で弾いたのをカットしてサンプリングし直したんですけど、変なリズム感が出て面白くて。
  • 大瀧

    わたしは最初にデモを聴いたとき、なんかヘンだよって思ったんですけど……。
  • ラミ

    悪口?(笑)。
  • 大瀧

    「いや、これがいいんだよ」って言われました(笑)。
  • ラミ

    たしかに最初は違和感があるけど、聴いてたらクセになるよね。
  • 熊木

    これじゃないとダメになってくるでしょ。このズレがかっこいいんですよ。
  • <ルンバ>と<ブーンバップ>で踏むのも面白かったです。
  • 熊木

    僕はそういうのやりたがる人なので(笑)。
  • 大瀧

    最近うまくなってきたよね。<食パンにのせるのはアヴァランチーズ>も好き。
  • 熊木

    それはギャグですね。
  • ラミ

    俺わかんなかったんだけど(笑)。
  • アヴァランチーズはサンプリングの鬼みたいな音楽をやっているオーストラリアのエレクトロニックグループの名前ですね。
  • 熊木

    この曲もサンプリングしてるので、チーズとダブルミーニングで。
  • 続く「太陽」が午前中、「エモめの夏」が昼間で、「アドベンチャー」は……。
  • 大瀧

    時間帯が人によって違う曲です(笑)。
  • 熊木

    僕が作ったときは夕方の曲のつもりだったんですけど、みんなに聞いたら昼という声が多かったんです。
  • 柴田

    俺は夕方って感じてました。
  • 熊木

    あ、ほんと?
  • ラミ

    わかってないよ(笑)。この出だしの高揚感は夕方じゃないでしょ。
  • 松崎

    僕は夜って感じてました。
  • ラミ

    えー! 夜!?
  • 熊木

    昼って言ってたのラミちゃんだけ? よく通ったね。
  • 山浦聖司(Ba)

    説得力が強かったんですよ。
  • ラミ

    俺は絶対に頭のほうに持っていきたかったんです。
  • 大瀧

    ラミのせいですね(笑)。
  • 熊木

    でも「エモめの夏」とつながると昼っぽく聴こえるなって最近は思うようになった。
  • たしかに並びで印象が変わる曲かもしれませんね。80年代のロックと近年のサウス系のヒップホップが組み合わさったような感じ。
  • 熊木

    僕としてはエモラップ的な路線と、高校生のときに好きだったハードロックの感じをうまく混ぜたかったんです。去年エディ・ヴァン・ヘイレンが亡くなったときに「あー、俺めっちゃ好きだったな」と思って、「ああいうギター入れたら楽しいだろうな」っていうアイデアがずっとあったので、それがトラップの感覚と合わさって完成した感じです。
  • <エディくらいEruption>とか<Jump>という歌詞も出てくるし、そういえばハードロックが好きだったって言っていましたね。
  • 熊木

    メタルはメガデスぐらいしかハマれなくて、ハードロックはMr.BIGとかExtremeとかポップなのが好きでした。
  • <大人になった僕のアドベンチャー>という歌い出しで、新しいことを恐れずに試したり挑んでいくと誓っているような歌詞も素敵です。
  • 熊木

    大人になった今の自分として、いつまでも学び続けて新しいことをどんどん知りたいなっていう純粋な気持ちを、高校生のとき好きだったハードロックのギターサウンドに乗せたら面白いんじゃないかな、ということで、リリックとサウンドがくっついています。これ、ラミちゃん好きなんだよね。
  • ラミ

    いちばん好き。
  • 各人のイチオシは後ほど発表してもらいます。「ペペロンチーノ」はガヤも入ってにぎやかな曲ですね。<アーリオオーリオ><ああしよこうしよ>で踏んだり、<トライアンドエラーアンドエラーアンドエラー>みたいに響きを強調したり、遊びが効いているなと。ガヤに参加したのは……(4人が挙手)全員?
  • ラミ

    この話はしたくないです(笑)
  • 熊木

    ラミちゃんだけスケジュールが合わなくて、ほかのメンバーだけでガヤ録ったんですけど、それが結構楽しくて。
  • ラミ

    聴いてて楽しそうなんだもん。参加したかったー!
  • 全員

    (笑)。
  • ラミ

    俺、たぶんアルバム全体の中で「ペペロンチーノ」いちばん聴いてない。
  • 大瀧

    でも聴く人は「ラミいないな」とは思わないと思うよ。
  • 松崎

    そうかな?
  • 熊木

    ラミもいる。いるよ。いるってことにしよう。
  • ラミ

    無理無理。俺、思い出がないんだから。
  • 熊木

    演奏と同じぐらいガヤトラックあるからね(笑)。めちゃくちゃ録ってめちゃくちゃ編集かけたから(笑)。
  • ラミ

    「俺、みじん切り超得意」とか(柴田)昌輝が言ってんの超いいじゃん!って思った。
  • 柴田

    あれ使われるとは思わなかった(笑)。
  • 楽しそうだけど、<「うまい」「まずい」で片付けられたらたまんない>といったあたりにはユキマルさんらしい考え方が出ているなと。
  • 熊木

    自分のソフトな部分というか、楽しい経験を通じてみんなにメッセージを伝えたいって感覚が強く出てますね。作り続けること自体が目的みたいな感覚が僕には結構あるので、そういうふうに思えたらいいし、消費する側もひとつじゃなくてたくさんの感情で聴いてほしいです。
  • 曖昧さを排して正解を先取りする物言いがもてはやされているのを見ると、「そんなに簡単なことじゃないのにな」と思いますよね。
  • 熊木

    「夜とシンセサイザー」でも<多分、答えを持っていることじゃなく/探していることにヒントがあるんだ/その地図 描き続けるのさ>って歌っていますし、特定の答えが正解なんじゃなくて、追い求めること自体に意味があるっていうのは、自分の中の根底にある考え方なのかもしれないです。
  • MVが先行で公開された次の「雨が降るなら踊ればいいじゃない」は、さっき言ったように、歌が良くなったと思った曲の代表です。
  • 熊木

    たぶん最後のほうに録ってるので、より成長してるんじゃないですかね。1ヵ月ぐらい違うから。1ヵ月経つと歌は全然変わるんです。この曲はそういう意味ではすごくよくできたと思っています。
  • <いいじゃない>の音がかなり高いけど余裕を感じるというか。
  • 熊木

    この感じは今の歌い方じゃないと出ないです、絶対。
  • 大瀧

    へぇー。
  • 熊木

    昔の歌い方だと倍音感というかふくよかさが出ないので。
  • 柴田

    レコーディングに参加したときに歌を録ってるのを聴いたんですけど、<いいじゃない>のとこの伸び方がすごく気持ち良くて、「いいじゃない!」ってなりました(笑)。
  • 流行りのシティポップっぽさもありますね。
  • 熊木

    「Burning Friday Night」(2015年)のようなブギー的なノリの曲を最近書いてないなと思って。書いてもボツにしていたのですが、今回は雨をテーマに書きたいな、雨とブギーってなんか合うな、と思って制作した曲ですね。
  • 雨からの連想で<Gene Kelly><Jim Carey><Shawshank(『ショーシャンクの空に』の原題 "The Shawshank Redemption")>が出てきますが、ほかにも「KIDS」の<Catch me if you can><Dead Poets Society>など映画への言及が多いですね。
  • 熊木

    外に出る回数がすごく減って、思ったより自分にインプットがないって気づいたのがまずひとつあります。外で何かインスピレーションを得てるという感覚はそこまでなかったのですが、いざなくなってみると、家の中で思考してるとずっと同じとこで回っちゃうというか、かき乱されない感じがあって。だからよく本を読んでよく映画を観た1年だったと思います。特に映画はよく観たので、それが反映されてるのかもしれないですね。ネタにしたのは前から好きだった映画が多かったですが。
  • MVの制作は最近ずっとやってくれているチームですよね。
  • 熊木

    監督は「エモめの夏」「太陽」「MOONLIGHT」と同じ人(=新保拓人氏)で、チームはここ数作同じですね。去年8月の配信限定ライブも収録をお願いしていて、ずっと信頼して一緒にやらせていただいているチームです。
  • 松崎

    映像と合わさって質感が変わったと思います。そういうのを狙ってこの曲でMVを作ろうって話してたこともあったので、このMVでさらに満足度が高まりましたね。
  • 柴田

    きれいな映像だよね。
  • ラミ

    水の色合いの表現がすごいよね。
  • 大瀧

    ああいう感じの家に住みたい。
  • 熊木

    エフェクトをいっさい使わないで、全部カメラで撮ってるんですよ。
  • ラミ

    上に水を張って揺らして、照明で壁にそれを当てたり、ラップを張ってその下から蛍光灯で照らしたり、すごい凝ってるよね。
  • 松崎

    夕立のシーンで色が変わるのも、全部ライティングでやってるんですよ。
  • 大瀧

    わちゃわちゃするかクールに撮るかの両極端が多かったから、今回はちょうどいい感じで個人的にはすごく良かったです。安心して世に出せる(笑)。
  • 「ON」は「雨が降るなら踊ればいいじゃない」でも使われているシャッフルというか3連っぽい譜割りが全面展開していますよね。
  • 熊木

    僕らの中では16分のシャッフルって呼んでいるのですが、それを思いっきり曲全体でやろうと思って作った曲です。そのバウンス感をポップスとしてやろうとブギーに当てたのが「雨が降るなら踊ればいいじゃない」みたいな。自分の中で最近好きなビート感なんです。
  • これはさっき大瀧さんが言っていたリズムの難しい歌だと思うんですが、そうは感じさせないさらりとした歌が心地いいですね。
  • 熊木

    こういう乗っていく感じの歌って、歌うのも楽しいんですよ。
  • 大瀧

    わたしは歌い慣れてなかったから、コーラス入れるとき難しくて、「こうしてみて」とか結構注文されました。
  • 熊木

    そう。この曲は演奏も難しいよね。
  • ラミ

    ムズい!
  • なるほど、16分のシャッフルね。
  • 熊木

    厳密にはさらに手を加えてますが、基本的には16分の強めのシャッフルです。シャッフルがめちゃくちゃやばくなるとほぼ3連になるっていう感覚です。
  • ラミ

    へぇー。
  • 熊木

    そこまではやらないけどね。だからみんなに伝えるときは3連とは言わない。難しくなっちゃうから。「3連をゆるくする」って意味わかんないでしょ。
  • 大瀧

    3連は均等なんだよね?
  • 熊木

    そう。シャッフルがすごくキツくなると3連で、そこの揺れ感でグルーヴができる、という感じです。
  • 僕はこの曲がイチオシかもしれないです。
  • 熊木

    いちばん苦労しました。ほんとはメロなしにしたかったんです。全部サビの曲を書こうと思って(笑)。でも展開を考えるとどうしても1個メロ入れないとな、と思って、最終的にはちょっと入ったんですけど。
  • ラミ

    演奏してて「今どこやってんだろ?」ってなるんだよな、この曲。
  • 熊木

    曲に入り込めてないんだよ(笑)。
  • ラミ

    俺、J-POP好きなんで歌詞で判断するんですよ。
  • 熊木

    卒業しよう(笑)。
  • ラミ

    ビートで?
  • 熊木

    いや、心で決めよう。
  • ラミ

    無理だよ!
  • 熊木

    まず一緒に修行に行こうか(笑)。
  • ラミ

    この曲、僕と昌輝いるのわかります? 声の出演してるんですけど、たぶん誰もわかんないと思う。
  • 柴田

    俺もわかんない。
  • 熊木

    イントロの掛け声ね。すごくピッチ下げたから怪物みたいになってるけど(笑)。
  • 「KIDS」のリズムはカリプソやレゲエでよく耳にするパターンです。
  • 熊木

    アフロビートをクラブマナーで作った感じですね。
  • エスニックなパーカッションが結構入っていますね。
  • 熊木

    今回のアルバムは随所にトライバルな要素が入っていて、自分の中でもハマってるんですけど、「KIDS」はビートで聴かせたかった曲なので、かなり強めに入れてます。多くのイメージというよりはひとつの感覚で聴けるんですけど、抑揚はしっかりつけているので、聴きやすいしかっこいい曲になったと思います。
  • 山浦

    僕はアルバムでいちばん好きです。
  • 熊木

    これが人気なんですよ。
  • 松崎

    聴いたとき「わー、かっこいいな」と思いました。
  • パーカッシブって意味ではアルバムでいちばんなんじゃないですか。
  • ラミ

    俺、手が6本ぐらいないと叩けないよ(笑)。分解してみるとどんだけパーカッション入ってんのってぐらい入ってるから。
  • 熊木

    全体の60~70%がドラムトラックだもんね。
  • ラミ

    それがちゃんと組み合わさって抑揚があるのがいいなって思います。
  • 熊木

    早くライブでやりたいですね。バンドの強みが出せる曲だと思うし。
  • 「MOONLIGHT」は昔の映画音楽っぽさと現代的なビートの組み合わせが面白いですね。モタった感じで入るシンセも。
  • 熊木

    イントロは1950年代のジャズオーケストラをサンプリングしたみたいな感じにしたいと思って、自分で再現したのをさらにローファイに処理しました。そういうクラシカルな要素とフューチャーR&Bのビート感を合わせて、2021年と1950年をくっつけるというのがサウンドのテーマですね。シンセのモタつき感は、ポイントをジャズっぽく裏に持ってきて、裏で全体がピタッと合うようにしてあります。サビになったら月の重力が強くなって、引っ張られるみたいな感覚をビートの起点で表現したというか。
  • リリックともかけてあるんですね。
  • 熊木

    純粋に歌詞としても気に入ってますし、それがサウンドデザインとも重なって、僕の中ではいちばん気に入っている曲です。でもメンバーはそうでもないんですよね(笑)。
  • 山浦

    MVが出来てから好きになりました。
  • 柴田

    聴いてるうちにめっちゃいいなって。
  • 松崎

    僕はわりと早い段階から気に入ってました。
  • ラストの「おやすみね」はバラードですが、このビートは?
  • 熊木

    トラップなんですけど、グルーヴの起点をちょっとモタらせてるんです。その結果、生っぽいというか古さを感じるトラップみたいなビートになってますね。そこにエレクトロニカ的なニュアンスで上モノを乗せました。寝るときの曲を書きたかったので。
  • 「光はわたしのなか」はボーナストラックだから、この曲でアルバムは1回終わるわけですもんね。
  • 熊木

    「光はわたしのなか」はコロナ禍におけるドキュメンタリー的に完結した作品だったので、自分の中ではアルバムに入れる感じではなかったんですけど、やっぱりCDで欲しいという方もいるかなと思い、ボーナストラック扱いにしました。アルバムとしては「Superfine Morning Routing」から「おやすみね」までで1日の流れですが、この曲を収録したことで2020年をいい感じでアーカイブできたんじゃないかと思っています。
  • 続いては既発のシングル曲に関して、みなさんのご感想をうかがえますか。
  • 熊木

    忌憚のないご意見をどうぞ。
  • 大瀧

    わたしは「夜とシンセサイザー」を聴いたときに、今まででいちばん好きな曲だって思いました。わたしのために書いてくれたって(笑)。
  • どういうところが?
  • 大瀧

    まず音ですね。こんなにシンセが目立つ曲ある?って(笑)。強い曲なのに歌詞がすごく優しいのも好きです。
  • ラミ

    もうライブでもパフォーマンスしてますが、「ライト、真央だけ照らしてくれないかな」と思うシーンがいっぱいあるんですよ。
  • 柴田

    僕も好きです。ライブ映えめっちゃするなと思って。
  • 熊木

    この曲はライブでやるの楽しいんだよね。
  • ラミ

    僕は、さっき「アドベンチャー」がいちばん好きって言ったのは今回の新曲の中での話で、全部の中でいちばん好きなのは「エモめの夏」なんですよ。
  • 熊木

    Lucky Kilimanjaro史上いちばん好き?
  • ラミ

    いやー、ちょっと……そうだね(笑)。「光はわたしのなか」もめちゃくちゃ好きだけど、やっぱ「エモめ」だなあ。バカみたいな意見ですけど、何も考えなくていい曲だから。
  • 熊木

    何も考えたくないと思って書いた曲だしね。
  • ラミ

    地元の友達に「『エモめの夏』めっちゃいい曲じゃん。毎朝仕事行く前に聴いてるよ」って言われたときめちゃくちゃうれしくて(笑)。そういうのも含めてこれがいちばん好きです。
  • それはいい話!
  • 大瀧

    タイトルはバカみたいだけど、歌詞は素敵じゃない?
  • ラミ

    そうだね。
  • 熊木

    『!magination』の反動で書いた最初の曲だからね。あれはあれでかっこいいアルバムだったけど、ちょっとメッセージ性が強かったから、「ダンスミュージックを作りたい!」っていう反動がすごかったですね。
  • ラミ

    ほんと何も考えずに踊れる。
  • 松崎

    僕は「太陽」の衝撃度がすごかったですね。デモからかなり形が変わったんです。もっとドンドンが強かったじゃないですか。そこにこの言葉遣いだから、すごい曲を作ってきたな、早く世に出したいな、と思いました。
  • ラミ

    <ほいやっさ!>だもんね(笑)。
  • 松崎

    やっぱり僕は『平成狸合戦ぽんぽこ』を思い出しましたけどね。
  • 熊木

    正解(笑)。俺の根底にある、ちっちゃいときの記憶は絶対にそれだから。何回も観てたから。
  • 松崎

    あれ面白いもんなあ。
  • 話題が推し曲に移ってきましたが、ここまであまり話していない山浦さんは?
  • 山浦

    僕はダントツで「KIDS」が好きです。イントロからものすごくテンション上がって、サビの<もう子供じゃいられないけど>からワクワク感がすごくて、最後はセクシーな感じで、最初に聴いたとき衝撃が走りました。
  • ラミ

    セクシーってなんだよ(笑)。
  • 熊木

    コード系がガーンって鳴ってる感じじゃなくて、ベースとビートとメロディみたいな曲だからね。
  • 山浦

    演奏はシンセベースで難しいので、今必死で練習してますが、大きな会場で鳴らしたときみんなどういう反応になるのかなって楽しみです。
  • 熊木

    そこは踊らせましょうよ。
  • 柴田

    僕も最初は「KIDS」でした。こういう歌詞、好きなんですよね。自分の背中を押してくれるような。最初に電車の中で聴いたとき、ちょっと目が潤んだぐらいグッときて。でも何度も聴いてるうちに「MOONLIGHT」と「おやすみね」の順位が上がってきました。難しいな……いつ聴くかでも変わるし。
  • ラミ

    たしかにそれはあるね。
  • 柴田

    最近はゆっくりしたいから「MOONLIGHT」とか心地よい曲が沁みます。
  • 松崎

    さっきまおたきが「夜とシンセサイザー」が自分のための曲みたいに思ったって言ってましたけど、僕にとっては「おやすみね」の<炭酸が抜けたペプシ>っていうくだりがそれなんです。僕ペプシ派なので、「ユキマルさん、俺を思って書いたのかな」って。
  • 熊木

    ラミちゃんもペプシ派だよね。
  • ラミ

    俺、炭酸の抜けたペプシがいちばん好き(笑)。俺じゃん!
  • 松崎

    やられた……!
  • 大瀧

    大丈夫、ジーコ(松崎)のための曲は「アドベンチャー」があるから。
  • ラミ

    たしかに。ギターヒーローになれるよ。
  • 熊木

    あの曲のギターは楽しいよね。簡単なのにかっこいいから。
  • 毎回思いますけど、みんないい意味でリスナー目線ですよね。自分のパートがどうのよりも楽曲全体の印象で判断しているなと。
  • 熊木

    たしかに、どの取材に限らず誰も自分のパートの話しないよね(笑)。でもそれはいいことだと思うよ。プレイヤーでもリスナーであったほうがいいわけだから。
  • 大瀧

    わたしも自分がシンセ奏者だから「夜とシンセサイザー」が好きなわけじゃないですよ。同じくらい好きなのが「KIDS」で、これはシンセベースがブンブン鳴ってる感じとビートの強さが好き。どの曲もひとつの作品として仕上がっているから、自分のフレーズが少ないとかは気にならないよね。
  • ラミ

    強いて言うなら「めんどくさそう……」ぐらい(笑)。
  • 今は4月の野音と5月からのツアーに向けてリハーサル中ですか?
  • 熊木

    そうですね。最近は毎日、作曲とは別にメンバーのアイデアを膨らませるエクササイズみたいなことをオンラインでやってるのもあって、ライブアレンジを任せる度合いが増えたんですよ。これまで以上に音源とは違った面白さが出せると思います。
  • ラミ

    マルさんが曲を作って俺らに聴かせると辛辣な意見を言われるじゃないですか。そのあと、スタジオでライブアレンジする段階で、俺らが「これやりたいんですけど」って言ったら「全然よくないよ」って反撃されるんですよ(笑)。
  • 熊木

    でも、だいたい俺が「よくないよ」って言ったやつはみんなもわかってるじゃん。「ですよねー」みたいな(笑)。反撃じゃなくてむしろ背中を押してるんだよ。
  • ラミ

    そっか、押してくれてたんだ(笑)。
  • 野音とツアーで内容を変えたりするんですか?
  • 熊木

    今のところ野音に向けて作っていて、終わってからツアーのことは考えようと思ってます。まずは『DAILY BOP』の曲を野音で演奏し、みんなの反応を見てみたいですね。それに合わせて、できるだけ最新のかっこいいアイデアを来てくれるみんなに届けたいので。
  • 去年、中止になってしまったこともあって、初めての全国ツアーですもんね。
  • 熊木

    今までは東名阪しか行ったことがなくて、九州と広島は1回もライブしたことがないので。純粋にすごく楽しみです。
  • ラミ

    楽しみだよね。ちょっと怖さもあって。
  • 我々も楽しみにしています。
  • 熊木

    どんどんライブへのプレッシャーがなくなっていくんですよ。
  • 柴田

    ユキマルさんの力が抜けてる感じが伝わってくるんですよね。
  • 熊木

    力入れちゃダメっていう考え方になってるしね。
  • 本番前もあんまりピリピリしないほうですか?
  • 山浦

    しないですね。リラックスしてます。
  • ラミ

    前は話しかけんなオーラ全開だったもんね。話しかけてたけど(笑)。
  • 熊木

    今はコンビニに行くのと同じテンションでステージに上がってるから。
  • 大瀧

    直前までおしゃべりしてるもんね。
  • 熊木

    わりとみんなそうじゃない?
  • ラミ

    昌輝だけ違うけど。
  • 柴田

    はい。吐きそうになります。
  • 松崎

    僕も結構緊張するんですけど、柴ちゃんが大変そうだから心配になって、背中さすったりしているうちに落ち着いてきます(笑)。
  • 熊木

    野音はたぶん緊張しないよ。
  • 大瀧

    しない。うちら出たことあるもん。
  • ラミ

    ないない。Lucky Kilimanjaro野音出たことないじゃん。
  • 熊木

    実は学生時代に僕ら野音に出たことあるんですけど、ラミちゃんだけ出なかったんです。回線の都合でマイクが1本立てられないって言われて。
  • ラミ

    「音は出ないけど当て振りなら大丈夫です」みたいな感じだったから、「じゃあ俺、観に行かないっす」って言って、そのときまだメンバーじゃなかったジーコとふたりでご飯食べに行ったんですよ。ムカつくから(笑)。
  • 松崎

    僕は観に行きたかったんですけど、ラミちゃんがそんな感じだったんで……。
  • 熊木

    僕ら野音で演奏してるのにメンバーひとりがご飯食べに行ってたんです。あのときよく脱退しなかったよね(笑)。
  • ラミ

    たしかに。だから今回がLucky Kilimanjaroの初野音です!
  • 熊木

    初野音ってことにしましょう!

【取材・文:高岡洋詞】

tag一覧 J-POP アルバム ゆびィンタビュー 男性ボーカル Lucky Kilimanjaro

リリース情報

DAILY BOP

DAILY BOP

2021年03月31日

ドリーミュージック

01.Superfine Morning Routing
02.太陽
03.エモめの夏
04.アドベンチャー
05.ペペロンチーノ
06.雨が降るなら踊ればいいじゃない
07.ON
08.KIDS
09.夜とシンセサイザー
10.MOONLIGHT
11.おやすみね
Bonus Track 光はわたしのなか

お知らせ

■コメント動画




■ライブ情報

Lucky Kilimanjaro presents.
YAON DANCERS

04/04(日)東京 日比谷野外大音楽堂

LUCKY KILIMANJARO ONEMAN TOUR
“DAILY BOP”

05/29(土)大阪 CLUB QUATTRO
05/30(日)名古屋 CLUB QUATTRO
06/10(木)広島 CLUB QUATTRO
06/12(土)福岡 BEAT STATION
06/18(金)札幌 cube garden
06/20(日)仙台 JUNK BOX
07/09(金)東京 Zepp Haneda
http://luckykilimanjaro.net/live/

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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