『革命』のリリース直前に行われたSHIBUYA-AX公演をレポート
andymori | 2011.06.09
新ドラマーとして、岡山健二が加入してから約半年。andymoriはライブと制作を同時進行で転がしながら結束力を高め、“音楽の輝き”をつかもうとしてきた。一足早くライブで披露されていた新曲群は、演奏する度に集中力と精度を高め、最新の3rdアルバム『革命』に収められた。このアルバムは、すばらしい。どこまでもシンプルかつストレートなロックンロール・サウンドが、生々しい感情と折れない希望=特別なヒューマニズムをたたえた歌を転がし、その歌がまた、サウンドに瑞々しい生気を与えもする。andymoriのロックンロールが、ついにスタンダードを誕生させたと断言できる、そんなアルバムだ。
『革命』のリリース直前に行われた『“春の楽園”ツアー』の最終日、SHIBUYA-AX公演。現編成で初の本格的なツアーとなった今回の旅も、やはりライブを重ねるごとに充実度を増していったと聞く。そして、ツアー・ラストを飾るこの日のライブは、本当に特別なものだった。アンコールを含めて、実に計39曲。いまのandymoriが一体どんな音を鳴らし、歌を描き、何を伝えようとしているのか。それが会場の隅々まで、一人ひとりのオーディエンスが体感できるようなパフォーマンスだった。つまり、バンドの生き様がそのまま音楽化していた。
ライブのはじまりを告げるSE、スキーター・デイビス「The End Of The World」」が流れて、小山田壮平、藤原寛、岡山健二の3人がステージに姿を現す。都会の景色をも牧歌的なロード・ムービーのような色合いに変換する「グロリアス軽トラ」で幕を開け、続く「ベンガルトラとウィスキー」でグルーヴを加速させた3人は、「FOLLOW ME」でさらに前のめりに転がっていった。4曲目に鳴らしたのは、「ユートピア」。〈バンドを組んでいるんだ/素晴らしいバンドなんだ/みんなに聴いて欲しいんだ/バンドを組んでいるだ〉というサビの歌詞と実直なメロディが感動的な曲だ。この曲に「ユートピア」と名づけるところにも、バンドの幸福な現在地が表れている。この曲から、3人のグルーヴに会場を包み込むような奥行きが加わっていった。その後は「1984」や「青い空」など、小山田独自の切なくも豊かな叙情性に満ちた楽曲をじっくり聴かせる。
ライブにさらなるダイナミズムが宿ったのは、これも『革命』収録の「スーパーマンになりたい」からだ。直前のMCで、メンバーが小さいころの夢を語った。藤原はなぜか“3分だけ画家になりたいと思った”、岡山は“警察官”、そして小山田は“小学生のころからミュージシャンになりたかった”、さらに「ミュージックステーション」で観たB’zに衝撃を受けたという彼は、稲葉浩志の声色を真似て「愛のままにわがままに 僕は君だけを傷つけない」を1フレーズ歌ってみせた。このMCが火をつけた(?)のか、前記の通り「スーパーマンになりたい」の爆発力は、何ともすごかった。もちろん、オーディエンスの情熱もどんどん上昇していく。
その後は、「Peace」、「Weapons of mass destruction」、「16」など切実なヒューマニズムが色濃く表現された楽曲や、「Transit in Thailand」、「CITY LIGHTS」、「すごい速さ」など、ロックンロールの開放的なポップネスでオーディエンスを踊らせる楽曲など、各曲が新旧問わず濃密に呼応していった。本編ラストは、アルバム・タイトルにもなった「革命」。「革命」を起こすのは、ほかの誰でもない、僕であり、あなたなのだという、彼らのメッセージがどこまでもまっすぐに放たれていった。
アンコールでは、藤原と岡山が弾き語りを披露。藤原は、ジョン・フルシアンテ「Time Goes Back」のカバーを、岡山はオリジナル曲「永遠」を丁寧に唄った。それに続き、小山田選曲のレディオヘッド「Creep」をバンドでカバー。普段とは異なる小山田の気だるいボーカル・アプローチが新鮮だった。さらに2度目のアンコールでは、ツアー中に生まれたばかりの新曲と「Stand by me」のカバーを??まるで音楽の自由を体現するように??鳴らした。大ラスは「Life Is Party」。いつまでも終わってほしくないと心から思う、音楽世界がそこにあった。音楽と世界とバンドとリスナーが存在するかぎり、andymoriはロックンロールを転がしながら桃源郷を追い求める。そう、どこまでも、全身全霊で。
【文:三宅正一】
【撮影:佐藤哲郎】
リリース情報
INFORMATION
♪3rd album “革命”発売記念
ワンマン“秋の楽園”ツアー
◆2011年9月11日(日)
【名古屋】CLUB Diamond Hall
[問]SUNDAY FOLK PROMOTION
052-320-9100
◆2011年9月17日(土)
【大阪】Zepp Osaka
[問]キョードーインフォメーション
06-7732-8888(全日10:00~19:00)
◆2011年9月19日(月・祝)
【広島】CLUB QUATTRO
[問]夢番地(広島)
082-249-3571
◆2011年9月24日(土)
【新潟】LOTS
[問]キョードー北陸チケットセンター
025-245-5100
◆2011年9月25日(日)
【仙台】Rensa
[問]GIP
022-222-9999
◆2011年10月1日(土)
【福岡】DRUM LOGOS
[問]キョードー西日本
092-714-0159
◆2011年10月2日(日)
【長崎】DRUM Be-7
[問]キョードー西日本
092-714-0159
◆2011年10月7日(金)
【東京】新木場Studio Coast
[問]DISK GARAGE
03-5436-9600
◆2011年10月9日(日)
【札幌】PENNY LANE 24
[問]WESS
011-614-9999
◆2011年10月15日(土)
【沖縄】桜坂セントラル
[問]キョードー西日本
092-714-0159
※詳しくはホームページをご覧ください。