andymoriの全国ツアー、東京公演初日。全34曲を堪能!
andymori | 2012.04.25
観客の割れんばかりの拍手を浴びながらスタンバイしたandymoriの3人。先陣を斬ったのは藤原寛(B)だった。彼の力強いベースラインと共にスタートした1曲目は「ベースマン」。小山田壮平(Vo&G)と岡山健二(Dr)の奏でる音も合流し、サウンドが劇的に奥行きを増す様にワクワクした。場内を包んだ興奮を一層加速したのが2曲目「光」。スリリングなスピード感に刺激され、観客は熱いタテノリで沸き立った――このツアーに関して事前にアナウンスされていた通り、セットリストの冒頭はリリースが間近に迫った最新アルバム『光』が曲順通りに演奏されていった。
「ここでいきなりですけどゲストです」と、3曲目を始める前に小山田が語り、トランペットを持って現れたのは、くるりのファンファン。彼女は「インナージャーニー」「君はダイヤモンドの輝き」「3分間」「クラブナイト」をandymoriと共に演奏した。アルバム『光』で彼女がトランペットを吹いているのは「インナージャーニー」と「クラブナイト」だが、この2曲以外ではキーボードをプレイし、サウンドに温かい彩りを添えていた。岡山がアコギとヴォーカル、小山田がブルースハープ、藤原がトイピアノをプレイし、素朴なサウンドで和ませてくれた「ひまわり」を経て、アルバム『光』の収録曲はいよいよ後半へ。エモーショナルなサウンドが場内を震わせた「ジーニー」。小山田の歌に藤原と岡山のコーラスが加わり、穏やかな熱気で包んでくれた「愛してやまない音楽を」。腕を掲げてゆっくりと身体を左右に揺らし、《ララララ》と観客が共に歌う開放的な光景が実に感動的だった「シンガー」。マシンから噴出されたたくさんのシャボン玉が場内をキラキラと飛び交い、明るい手拍子を呼び起こした「彼女」……アルバム『光』の収録曲は、どれもライブチューンとしても魅力的であった。
「雨男って誰?」と、あいにくの雨に見舞われたこの日の東京の天候について、ある観客がステージに向かって問いかけると、「寛じゃない? 全て寛のせいですよ(笑)」と小山田が答え、大いに和んだ場内。そして、アコースティック編成による「16」「Sunrise&Sunset」「投げKISSをあげるよ」を皮切りに、お馴染みの曲を披露するセットリストへと突入した。ビートがキレ味良く迫った「革命」。性急な展開が心拍数を上昇させてやまなかった「FOLLOW ME」。イントロの時点で凄まじい歓声が起こり、圧倒的な盛り上がりとなった「everything is my guitar」。伸びやかなサウンドで包んでくれた「グロリアス軽トラ」……次々と曲を連発して行く様は、とにかく圧巻であった。アルバム『光』の全11曲の演奏の後、本編で披露されたのはなんと合計22曲!andymoriの曲の多彩さ、彼らの演奏の表現力を濃密に噛み締めながら過ごした。
アルバム『光』よりもさらに新しい曲「サンシャイン」も披露され、「ベンガルトラとウィスキー」「すごい速さ」「Peace」という強力な3連発で盛り上がり、いよいよ本編はラスト1曲。「もう1回出てきてもらいます。トランペットのファンファン!」、小山田の紹介で再登場したファンファン。「ファンファンは1984だよね?」(小山田)/「1985です。すみません(笑)」(ファンファン)/「そうなんだ? 健二も違うもんね?」(小山田)/「1986」(岡山)/「1984は2人だけか(笑)」(小山田)という彼らの生まれた年に関するMCを経て、最後に聴かせたのは勿論「1984」。音源でもトランペットの温かい響きが印象的なこの曲を、ファンファンの演奏と共に聴くのはとても素敵な体験であった。
アンコールで演奏したのは、これも新曲「宇宙の果ては この目の前に」。豊かな叙情性を湛えて響き渡る様に息を呑んだ。周囲の観客も、じっと耳を凝らして聴き入っていた。「気をつけて帰って!」と、3人が手を振りながらステージを後にして、この日のライブは終了。『“100分間のファンタジー 遊ぼうぜ 踊ろうぜ”ツアー』というタイトルのツアーだが、約120分に亘って最高の空間を味わうことができた。あの素晴らしい時間を過ごした後、andymoriの曲の数々がますます大好きになった。
【取材・文:田中 大】
【撮影:佐藤哲郎】