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スペースシャワー主催の野外ライブイベント「SWEET LOVE SHOWER」開催!!

SPACE SHOWER SWEET LOVE SHOWER | 2011.09.12

 2007年より、この「山中湖交流プラザきらら」に場所を移し、毎年8月の最終の土日に行われているスペースシャワー主催の野外ライブイベント「SWEET LOVE SHOWER」。個人的には2年ぶりの参戦となったのだが、残念ながら自分が参戦する時には、雨や曇天の時が多い(笑)。かく言うこの日も終始雨模様。晴れたら絶景この上ない湖畔越しの富士山も今年はお預けのようだ。
 しかし、足元のぬかるみも、降り続く雨も、音が鳴り出せば、とたんに夢の中へ。それぞれのアーティストが誘う歌世界が、雨が降っていることなどすっかり忘れさせてくれ、原風景とは違った自分なりの風光明媚を終始心の中に広がらせてくれた。

 ビジョンに60秒前からのカウントが現れ、それに合わせ、会場から無数のカウントダウンの声が上がる。そんな大歓声に迎えられ、今年も「SWEET LOVE SHOWER」(以下 : SLS)の幕は切って落とされた。

 まずLakeside stageの一発目を飾ったのはエレファントカシマシ。「ようこそエブリバディ」とボーカル宮本の力強い一言から「悲しみの果て」が始まると、霧雨をものともせず、ガツンとした力強さが独自の男臭い世界へと会場を惹き込んでいく。そして、<信じることをやめるな>のメッセージが広がった「俺の道」。”いつの日にか輝いてやろうぜ!!”の歌詞に後押しされた「今宵の月のように」。幸せも不幸せもその辺りに転がってる。だけど、幸福よこの指に止まれと歌われた「幸せよ、この指にとまれ」。"不器用なりに歩いて行こう。さぁ頑張ろうぜ!!"のフレーズも印象的な「俺たちの明日」。また、ラストの「ガストロンジャー」では、シャツのボタンをブチブチちぎりながら「勝ちにいこうぜ!」と懸命にアジテート。会場に力を漲らさせた。

 Mt.Fuji stageにて、ステージも会場も隔てなしの無礼講スタイルのステージを展開したYOUR SONG IS GOOD。自宅待機のメンバーに代わり、CUBISMO GRAFICO FIVEからのゲストギターも交えて行われたこの日のステージは、1曲目の「CATCH-AS-CATCH-CAN」からボーカル&キーボードのJxJxが客席に飛び込み煽るほどのハイボルテージなステージを展開。会場全体がジャンプした「A MAN FROM THE NEW TOWN」。目まぐるしい展開も印象的な新曲も含め、雨が彼らに更に火を点けたのか?ノンストップで会場をグイグイ扇動するステージは痛快さすらあった。

「せっかくの雨だから逆に雨を楽しもう。寒い人はHYの熱い音楽で温めてあげるから集まれ」とは、Lakeside stageでのHYボーカル新里によるオープニングのMC。その言葉どおり、持ち前の優しさや柔らかさにて終始会場を明るく、熱く盛り上げてくれたHY。疾走感溢れるストレートな「隆福丸」。ダンスレクチャーが会場を温めた「アミーゴ」。"この歌や気持ちよ、東日本に届け!!"とばかりに、キーボード&ボーカルの泉が思いを込めて歌った「涙」。大合唱を生み、会場を一体感や一緒感で満たした「AM11:00」。疾走感とドライブ感のあるサウンドの上、大切な気持ちをしっかりと伝えた新曲「I LOVE YOU」等、観る者の気持ちを大らかにさせてくれるステージはまさに彼らならではであった。

 "この願いや思い、気持ちよ、歌に乗って広がれ、伝われ!"と、作品の1対1とはまた違い、大空に吸い込まれるような開放感を味合わせてくれたMt.Fuji stageでの清 竜人。パンピンなピアノも印象的な至福感たっぷりの博愛ナンバー「ぼくらはつながってるんだな」。偶然という奇跡に喜びと感謝を捧げる「きみはディスティニーズガール」。作品とは違った壮大さを味合わせてくれた「プリーズリピートアフターミー」。狂おしいほどの愛しさが会場を包み、弱々しい人間の力強い人間讃歌が会場に響き渡った「ボーイ・アンド・ガール・ラヴ・ソング」等、カラフルでマジカルなポップ世界と、ファルセットも交えた、ちょっとキーの高めなボーカルが会場を優しく包んでいった。

 会場のあちこちで羽織られていたバスタオルの多さが、その人気を物語っていた、Mt.Fuji stageでのandymori。広いステージに、あえて3ピースならではのシンプルなセッティングで臨んだ彼ら。力強いジュークボックスビートと、歌詞も「山中湖の空の下に」と変えて歌われたところも心憎い「グロリアス軽トラ」、ジャングリーなギターが会場に熱狂を生んだ「スーパーマンになりたい」。と思いきやミディアムな「1984」で浸らせ、「革命」や、前のめりナンバー「everything is my guitar」で会場を沸かせるなど、相変わらず短い曲を矢継ぎ早に放射。緩急交え、次から次へと飛び出す楽曲のオンパレードが都度都度会場を彼らの楽曲の世界へと惹き込んでいった。

「晴れた?。私、晴れ女だから。私のおかげよ(笑)」と、途中のMCで語っていたように、決して晴れまではいってないが(笑)、奇跡的にそれまで降り続いていた雨が、このLakeside stageでの木村カエラの際にはピタリと止む。一発目の最新シングル「喜怒哀楽 plus 愛」から、乗りよくアッパーなビートが早くも会場を盛り上げ、それを更に加速させていくように、「TREE CLIMBERS」や「deep beep」とロックヒロイン然としたナンバーが会場を魅了。中盤からは一転し、女の子らしいキュートさを見せた「Ring a Ding Dong」、会場に至福感たっぷりな福音を響かせた「Butterfly」とチャームな曲も交え、後半も、会場中でタオルが大旋回した「Circle」。
ぬかるみの足元なんてへっちゃらとばかりに会場にジャンプの嵐を巻き起こし、「みんなの笑顔がみ・た・い」のリリック部が会場に呼応を起こした「Magic Music」と、キュートさとかっこよさを使い分けた、彼女ならではのステージを堪能させてくれた。

 前衛的でアバンギャルド、しかし極めてポップなステージは、まさに「芸術的!」。そんなライヴを展開したのが、Mt.Fuji stageでのsalyu×salyuだ。作品で見せた多重録音性を、真ん中にSalyuを添え、マリンルックのフロント4人の女の子によるsalyu×salyuシスターズによる4声の芸術的なハーモニーにて見事再現。メトロノームと各人のクラップ、肉声の重なりで音楽を成立した「話したいあなたと」、土着性とオペラ唱法、アバンギャルドさが入り交じった「ただのともだち」、かと思えば、急にファンキーな世界へと会場を惹き込んだ「Mirror Neurotic」、サリューによるピアニカを交えた「続きを」等を披露。手拍子という最も原初な打楽器と、肉声という人間誰でも持っている楽器を中心に、その組み合わせや絶妙さを音楽として昇華させ、会場を神秘的で厳かな雰囲気に包んでいった。

 夕闇が辺りを浸食し出す頃。照明が映え出したLakeside stageにて、降り続く雨さえも吹き飛ばすような圧巻なステージを見せたのがBRAHMANだ。1曲目の「ANSWER FOR...」から、ボーカルのTOSHI-LOWは、客席に飛び込み、彼目がけてお客さんが群がる。「見てる方だけ寒いおもいはさせねぇよ。一緒に雨に濡れて、倒れたら泥を食って。そんなライブを演る…BRAHNMAN始めます」との、2曲目を始める前の力強い宣言の後は、ノンストップで次から次へと強靭なナンバーがこれでもかと言わんばかりに会場に放たれる。"マイクスタンドも壊さん!"とばかりに渾身の力を込めて歌を叩きつけてくるTOSHI-LOW。その姿は、まさに満身創痍だ。今の自分の精一杯さや明日の自分へ思いを馳せさせる、静から動へのシフトが聴く者を力強く鼓舞する圧巻だったラスト「霹靂」まで。終わった後の会場には、爽快感にも似た、カタルシスだけが残った。

 すっかり闇が辺りを支配し、待望感たっぷりの「靖幸コ―ル」が沸き起こる中、幻想的なライティングと共に、Lakeside stageに本日の大トリを務めた岡村靖幸が、大人数のバックバンドを引き連れ登場する。けっして懐メロに留まらず、現行のアップトゥデイトされた鉄壁のステージを見せてくれた彼。オリジナルをビルドアップさせた、エレクトロファンクのナンバーが立て続けに放たれる。高揚感溢れる長いイントロからイン。今風に生まれ変わった「どぉなっちゃってんだよ」。ラップも披露。
掛け合いやスパニッシュアレンジされたアコギも披露した「ア・チ・チ・チ」、「あの娘ぼくがロングシュート決めたらどんな顔するだろう」では、「青春って1、2、3、ジャンプ!」と、会場全体にジャンプを生ませる一体感を与え、この日、一番の盛り上がりを見せた。本編ラストの「だいすき」では、もちろんサビの「だいすき」の大呼応。ステージからも、ステージへも、大好きの交歓が成された。また、アンコールでは、「DATE」「祈りの季節」「マシュマロハネムーン」「セックス」がメドレーで歌われ、次から次へと飛び出す代表曲のオンパレードは、フィナーレに相応しい演出と共に会場を最後まで魅了していった。

終日あいにくの雨の中、行われたこの日。残念ながら美しい湖面も雄々しい霊峰富士も拝むことは出来なかったが、今年も多くのアーティストがそれらに負けない、楽曲の風光明美さや眺めの良さを味あわせてくれたことを最後に付記しておきたい。

【 取材・文:池田スカオ和宏 】

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セットリスト

長谷川健一
  1. 空の色
  2. ユリイカ
  3. 夜明け前
大知正紘
  1. バルーン
  2. Hello
  3. 藍の唄
エレファントカシマシ
  1. 悲しみの果て
  2. 俺の道
  3. 風に吹かれて
  4. 今宵の月のように
  5. 幸せよ、この指にとまれ
  6. 俺たちの明日
  7. ガストロンジャー
a flood of circle
  1. Human License
  2. シーガル
  3. Blood Red Shoes
  4. Sweet Home Battle Field
  5. Chameleon Baby
  6. プシケ
  7. I LOVE YOU
YOUR SONG IS GOOD
  1. CATCH-AS-CATCH-CAN
  2. A MAN FROM THE NEW TOWN
  3. Jackie Mittoo
  4. NETTAI BOY ~熱帯ボーイ~
  5. THE LOVE SONG
  6. ブガルー超特急
  7. B.A.N.D.
清竜人
  1. ぼくらはつながってるんだな
  2. きみはディスティニーズガール
  3. プリーズリピートアフターミー
  4. 痛いよ
  5. ボーイ・アンド・ガール・ラヴ・ソング
HY
  1. 隆福丸
  2. アミーゴ
  3. AM11:00
  4. I LOVE YOU
  5. ホワイトビーチ
黒猫チェルシー
  1. ベリーゲリーギャング
  2. ショートパンツ
  3. 泥カーニバル
  4. YOUNG BLUE
  5. 廃人のロックンロール
  6. Heyライダー
  7. 嘘とドイツ兵
GRAPEVINE
  1. 真昼の子供たち
  2. スロウ
  3. 風待ち
  4. 風の歌
  5. 光について
  6. Everyman, everywhere
長澤知之
  1. JUNKLIFE
  2. ROLE
  3. 神様がいるなら
  4. 明日のラストナイト
  5. MEDAMAYAKI
  6. P.S.S.O.S.
andymori
  1. グロリアス軽トラ
  2. ベンガルトラとウィスキー
  3. スーパーマンになりたい
  4. 1984
  5. Peace
  6. Sunrise&Sunset
  7. ハッピーエンド
  8. 革命
  9. everything is my guitar
  10. すごい速さ
  11. 投げKISSをあげるよ
ホフディラン
  1. 遠距離恋愛は続く
  2. 恋はいつも幻のように
  3. LOW POWER
  4. スマイル
  5. 欲望
  6. デイドリームビリーバー
    1. 木村カエラ
      1. 喜怒哀楽 plus 愛
      2. TREE CLIMBERS
      3. deep beep
      4. Ring a Ding Dong
      5. Butterfly
      6. Circle
      7. Magic Music
      plenty
      1. 空が笑ってる
      2. 最近どうなの?
      3. 待ち合わせの途中
      4. ふつうの生活
      5. 人との距離のはかりかた
      salyu×salyu
      1. 話したいあなたと
      2. ただのともだち
      3. Sailing Days
      4. s(o)un(d)beams
      5. Mirror Neurotic
      6. 奴隷
      7. 続きを
        1. BRAHMAN
          1. ANSWER FOR...
          2. THE ONLY WAY
          3. EPIGRAM
          4. SPECULATION
          5. THE VOID
          6. 最終章
          7. CHERRIES WERE MADE FOR EATING
          8. SEE OFF
          9. BEYOND THE MOUNTAIN
          10. BASIS
          11. 霹靂
          The Mirraz
          1. あーあ
          2. 僕はスーパーマン
          3. なんだっていい//////
          4. ラストナンバー
          5. ハッピーアイスクリーム
          6. CANのジャケットのモンスターみたいのが現れて世界壊しちゃえばいい
          7. check it out! check it out! check it out! check it out!
          8. 観覧車に乗る君が夜景に照らされてるうちは

          1. 新曲
          2. ハリキリ坊やのブリティッシュ・ジョーク
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          2. ア・チ・チ・チ
          3. Interludes
          4. 聖書(バイブル)
          5. あの娘ぼくがロングシュート決めたらどんな顔するだろう
          6. だいすき
          7. ENCORE
          8. DATE?祈りの季節?マシュマロハネムーン?セックス

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