加藤ミリヤ、ベストアルバム『M BEST』全国ツアーの横浜アリーナ公演をレポート!
加藤ミリヤ | 2011.12.26
8月3日にリリースされた加藤ミリヤ初のベストアルバム『M BEST』は、これまで彼女が世に発し、残してきた曲を選曲して並べただけではない、“単なるベストアルバム”と称するには、あまりに不相応というもの。
『M BEST』には、デビューから現在までにリリースされたシングル曲とアルバム代表曲に新曲を加えた33曲が収録されているのだが、ジャケットとブックレットは、ファッション誌『VOGUE JAPAN』のプロデュースによるモノで、3人のカメラマンがそれぞれの切り口で“加藤ミリヤ”を魅せるという、加藤ミリヤの現段階のすべてが詰め込まれたコンセプチュアルアルバムなのだ。
2004年の9月に「Never let go/夜空」でデビューした加藤ミリヤ。現役高校生だった彼女がデビューした当時、世間は“新たなる日本のディーヴァの登場だ”とざわついた。14歳の頃から作詞作曲を手掛けていたという彼女が生み出すセンス溢れる楽曲と、どこまでも等身大で描かれる言葉(歌詞)と歌唱力はもちろん、個性的なファッションとヴィジュアル面で魅せるハイセンスさは、日本の流行を生み出す中心と言っても過言ではない女子高生たちの目にいち早く止まり、一気にカリスマ的存在に駆け上がった。
彼女は2006年に自身がデザインするファッションブランド『K J』をプロデュースし、シンガーソングライターとしてだけでなく、広い意味での“アーティスト”としてその名を多くに知らしめ、“女子高生のカリスマ”から、“加藤ミリヤ”という他にない絶対的な存在となったのだ。
衝撃的なデビューを飾ったデビューから丸7年。彼女は『KAWI JAMELE presents M BEST TOUR 2011』というツアーをもって、加藤ミリヤという存在を改めて、惜しみなく披露してくれたのだ。
10月8日の広島市文化交流会館からスタートした全国11ヵ所16公演のツアーも残す所4本となった12月8日、横浜アリーナ。会場には多くのミリヤファンが集まった。彼女を憧れとする女性ファンももちろん、彼女の楽曲と歌に魅了されている“真の音楽好き”の男性ファンも多く、そのファン層の幅の広さに改めて驚いた。
突然落とされた照明から、カウントダウンが始まった。会場は彼女の登場を渇望する声に溢れ、そのカウントに声を重ねた。ステージの大ヴィジョンに写し出される作り込まれたデザイン性の高いデジタルな映像に会場は沸いた。
スモーキーな少しパープルがかったピンク色のビスチェに黒のレングスという対照的なカラーを組み合わせたセクシーな衣裳で登場したミリヤは、1曲目にダンサーたちと息のあったパフォーマンスで力強く「DESIRE」を届けた。フロアは“M”に象られた真っ赤なペンライトで埋まった。ステージと一体化したような会場のその光景は圧巻だった。
「横浜アリーナー!」
ミリヤは早くも「DESIRE」の曲中にそう叫んだ。ミリヤの声に応えるオーディエンス。その声を全身で受け、嬉しそうな笑顔を見せた浮ミリヤはとても印象的だった。
2曲目に届けられたのは「SAYONARAベイベー」。ミリヤが20代になって初めてリリースしたシングルだったこともあり、彼女を見守り続けたファンたちからの感慨深い声が上がっていた。そして、そこからの選曲がまたズルかった。ナント、デビュー曲「夜空」へと繋がれたのだ。
「夜空」のイントロが始まった瞬間に、会場のあちこちから“懐かし~”という声が上がっていた。当時16歳だった彼女そのものを懐かしむと同時に、オーディエンスは自分たちの思い出をそこに重ねながら聴き入った。そのアウトロは、リズムとコーラスによって映像へと繋がれた。オーディエンスは映像の中のアーティステックに作り込まれたミリヤの姿に歓声を上げた。
ライヴだけではない視覚面でも楽しませてくれるSHOW。そこにも加藤ミリヤの絶対的なセンスは存分に活かされていた。
そこからステージは一変し、真っ赤なバラが舞い散る中で彼女は「ジョウネツ」を歌って届けた。この曲は、彼女がリスペクトしているというUAの「情熱」をサンプリングした1曲で、多くの人から支持された思い出深い曲でもある。彼女は特別な想いをそこに込めるようにゆっくりと歌い上げた。
1曲1曲ももちろん、彼女は中盤に、ベストツアーならではのメドレーを用意していたのだ。「このままずっと朝まで」「Eyes on you」「ソツギョウ」「I WILL」「恋シテル」「X.O.X.O.」。ミリヤから間髪入れずに届けられるその歌に、オーディエンスは声を重ねた。普段のアルバムツアーとは違うその特別な温度を、ミリヤは噛み締めているようだった。
「若旦那~っ!!」
ミリヤによって呼び込まれた若旦那がステージに飛出してくると、2人は「LALALA」を届けた。若旦那の力強いラップとミリヤの歌うメロウな旋律のコントラストが会場を盛り上げた。かと思うと、次にピアノ伴奏で歌われた「Aitai」を持ってきていたり、エレキギターを持って歌った「WHY」を届けたりと、とにかく魅せられっぱなしのライヴだった。
造形的なパターンが特徴的なカジュアルな衣裳で届けた中盤のステージから大きく印象を変えた「RAINBOW」から始まった後半戦では、ボンテージな黒のボディースーツ的な衣裳で、よりアーティステックな世界観を演出し、シンガーソングライターとしての成長の大きさを見せつけてくれたのだった。
「みんな本当にありがとうございます。みんなが来てくれたからこの場所でライヴをすることが出来ました。デビューしてから休むことなく走ってきて、この先もずっとやっていくためにベストアルバムを出させてもらいました。そして今回このツアーを通して感じました。この曲たちは、自分のためだけじゃないみんなの曲なんだなって。私の人生は、みんなと一緒に歩んでいるんだなと感じました」
そんな一言を挟むと、彼女は本編ラストに選んでいた「勇者たち」を、目をそっと閉じ、精一杯の愛を込めて歌って届けた。ミリヤの歌にフロアいっぱいに広がったMのペンライトがゆっくりと揺れていた。
そしてアンコール。
本編にはなかったカラフルでポップな衣裳で登場し、勢い良く「BABY!BABY!BABY!」を届けたミリヤは、MCで、オーディエンスが赤いバラを持って来てくれたことや、アンコールを求めてくれたときのファンたちの合唱に、涙を浮かべながら何度も何度も“ありがとう”を言った。その“ありがとう”に会場から大きな拍手が起こった。
“君に出会えて良かった”
ミリヤもオーディエンスも、同じ想いを胸に強く感じた瞬間だったに違いない。
“君に出会えて良かった”
そんな想いが乗った曲「Love Forever」。ミリヤはこの曲のイントロが流れた瞬間に清水翔太をステージへと呼び込んだ。会場は割れんばかりの歓声を上げた。伸びやかな翔太の声とミリヤの声が真っ直ぐ胸に飛び込んできた。
「今の私が出来るすべてをやろうと思ってステージに立ちました。ここに来てくれたみんなのためだけに贈りたいと思います」
そう言って届けられた最後の曲「BYE BYE」。ミリヤはここに来てくれた全員に届くようにという願いを込めて精一杯の心でこの曲を歌ったのだった。
「みんな、自分を愛して! 約束!」
ミリヤは最後にそう叫んでステージを降りた。彼女らしいライヴ。加藤ミリヤの今を感じた最高のライヴだった。
【 取材・文:武市尚子 】
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リリース情報
セットリスト
- DESIRE
- SAYONARA ベイベー
- 夜空
- ジョウネツ
- Love me,I love you
- MEDLEY~このままずっと朝まで~Eyes on you~ソツギョウ~I WLL~恋シテル~X.O.X.O.
- LALALA feat.若旦那
- Aitai
- WHY
- 20-CRY-
- Never let go
- RAINBOW
- I miss you
- 19 Memories
- Me
- 勇者たち ENCORE
- BABY!BABY!BABY!
- ディア ロンリーガール
- Love Forever w/清水翔太
- BYE BYE