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様々な演出と共に、来た者を楽しませ、驚かせ、阿鼻叫喚させた、the telephones初のアリーナワンマン

the telephones | 2012.01.15

<故郷に錦を飾るゾ!!><憧れの場所でライヴを演ってやる!!>等の目標は、アーティストにとって非常に重要なモチベーションだと思う。そこがゴールではないにせよ、そこを目指し、そのキャパシティを埋める光景やステージに立っている自分たちを想像しながら活動していくことは、自分の立脚ポイントや、そこまでの道程、目標までの距離を常に確認する意味でもかなり有益だ。
そして、このthe telephonesも、地元埼玉は浦和を中心に活動していた頃より、憧れ、目標とする会場を持っていたアーティストだ。その場所こそ、彼らの地元では最大規模の収容人数を誇る、さいたまスーパーアリーナ。そして、まだライヴハウスで活動している頃より、いつかは立ちたいと常々憧れていたそのステージに、ワンマンライヴとして、この日の彼らは立った。

自身単独のライヴとしては、最大規模のキャパシティとステージの中、まるで新しい伝説への祝砲のように、チアガールは飛び出すは、巨大なビニールの人形は踊り出すは、巨大風船が転がり、飛行船が優雅に会場を回遊する、ダブルアンコールを含む全31曲、3時間以上に渡るライヴが展開された、この日。それはまさに、”この会場で演るんなら、こんなことも演ってみたい”的な、かねてから彼らが夢に描き、妄想夢想していたであろう演出類が連発され、それらは終始会場を阿鼻叫喚の渦へと巻き込んでいった。

幼少期からのメンバーの写真の数々がスライド式にスクリーンに映し出され、それが終わると、ステージ後方のひな壇に4人の姿が。SEに乗った会場のクラップの中、まばゆい光と共にステージに4人のメンバーが降臨する。「さいたまスーパーアリーナにようこそ~! みんな伝説を目撃してくれ~! 踊れ~!カモ~ン!」と、ボーカル&ギター石毛の甲高い扇動句に合わせ、ザクザクしたギターリフと共に「Monkey Discooooooo」からライヴはスタートした。途中のカウントアップでの大合唱に加え、のっけから会場もダンス&大呼応。キーボードの岡本も既にステージ狭しと、もだえるような独特のダンスで会場を沸かせる。2曲目「AAUUOOO」にして、早くも演出目玉の第一弾が登場。レスポンス部分にて、ステージ両サイドからチアガールが出現する。楽曲にさらなるチアフルさを加える演出に、会場からは大声援が。よくよく見ると後方ひな壇の上には、何故か和尚の姿も(笑)。うーん、どこを観ていいんだか迷う(笑)。続いて3曲目「Baby.Baby.Baby」では、ステージから消えていた岡本がカウベルを叩きながら、フロアの中央に設置されたお立ち台ステージにテレポート。会場全体を煽り、盛り上げる。

「今日は伝説を作るんで、最後まで踊って帰って下さい」と石毛。ここからはニューアルバム『Rock Kingdom』からの曲が。まずはソリッドな長島のベースや石毛のライトハンド奏法も光った「Yeah Yeah Yeah」、松本の叩き出す2ビートが躍動感を会場に与えた「Punk Is Not Heavy Metal」、他「I Am Me」「Just One Victory」等が立て続けに会場を沸かせ、”やはりこの地では、この曲は必須でしょ”と、1つ前のアルバムから「SAITAMA DANCE MIRROR BALLERS!!!」が鳴らされ、会場中を躍らせる。
 何もこの日は、最近の作品からの曲ばかりが放たれたわけではない。「自分たちは、ライヴハウス出身であることに誇りを持っている。これからもライヴハウスで演り続ける」と力強く石毛が語り、彼らがこのグループで最も最初に作ったという「Used Skin」や、松本のドラムソロも交え伝えられた「fu-shit!!!」等の懐かしい曲たちも会場を賑わせた。
そんな中、やはり特筆点は、この巨大会場ならではの演出面。無人のスタンドに設置させたパトランプと赤いライトが生む緊迫感の中、プレイされた「D.A.N.C.E to the telephones!!!」、ステージ袖やスタンドに踊る巨大ビニール人形が出現。驚愕している場内を尻目に鳴らされた「I Wanna Die」、会場4箇所に設置されたミラーボールがファンタジーに回る中、ステージへと至福を扇動した「clashed mirror ball」、無数に飛び交うレーザー光線と高揚感煽られっぱなしの音楽性がベストマッチを見せた「HABANERO」、本編ラストの「Urban Disco」では、ライヴの大成功を祝う祝砲とばかりに、特殊効果による金色のテープも放射。場内を驚かせ、驚喜させた。

ここまで何度「DISCO~!!!!」と叫んだことだろう。とは言え、アンコールでも彼らはその阿鼻叫喚の追従の手を一切緩めない。今後のライヴ告知やツアー告知の後、2月8日にはニューミニアルバム『D.E.N.W.A e.p.』を発売することを発表し、場内がその告知の都度沸く。『D.E.N.W.A e.p.』の発売の告知の際には、「初めて日本語曲を収録します」との石毛の言葉に、場内からは"いよいよ登場だ!!""えっ、遂に!?"と、待望感と驚嘆の交じった声が上がる。
そんなアンコールは、そのe.p.に収録される2曲、ダイナミズム感溢れる8ビートが印象的な彼ら初の日本語ロック曲「D.E.N.W.A」と、昔のデモテープに収録していた日本語曲「swim,swim,swim,」のリメイクが、それぞれ初披露される。そして、FREE THROWを含むDJたちに捧げられた「FREE THROW」、ラストは巨大なカラフルな風船が場内を転げ回り、頭上には優雅に飛行船が旋回している中、放たれた「Love & DISCO」。同曲では会場中が心から力の限りの「Love & DISCO」が叫ばれた。
ダブルアンコールに応えてくれた彼ら。正真正銘のラストは、お客さんとの関係や力強い絆を思わせる「Drums,Basses,Guitars,Keys,And Your Love And Voice」。曲中現れるステージ、会場交えての大合唱では至福感が場内溢れ、言いようのない悦びや達成感がジワジワと身体中を包んでいった。

正直に書くと、残念ながらこの日の彼らは、最大キャパシティ3万人を誇るこの会場を満員にすることが出来なかった。しかし、更に飛躍していく伝説の序章や今後のポテンシャルを、来た者に確信させてくれた、実に実りの多いライヴであった、この日。もし、地元のアーティストや後進のアーティストたちが観に来ていたら、きっと勇気や夢をもらい、”自分も何か目標を掲げ、そこに向け、突き進んでやる!!”と思ったことだろう。
中盤のMCで石毛は、「来年は2階席までを満杯にし、再来年は3階席まで満杯にしてやる!」と、その日はまだ無人だったスタンドを指し、力強く語った。この石毛の言葉に力強く頷き、今は無人のスタンドに満員のお客さんの光景を思い浮かべながらライヴを観ていたのは、けっして私だけではないだろう。そう、the telephonesの伝説は、まだまだ続き、彼らの夢や目標も更にどんどん膨らんでいくのだ。

【取材・文:池田スカオ和宏】

tag一覧 ライブ 男性ボーカル the telephones

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リリース情報

Rock Kingdom

Rock Kingdom

2011年10月12日

EMIミュージックジャパン

1. White Elephant
2. DISCO AGE MONSTERS
3. Yeah Yeah Yeah
4. Punk Is Not Heavy Metal
5. Just One Victory
6. A A U U O O O
7. I Am Me
8. Crash The TV
9. New York City
10. Can’t Stop Loving You
11. Make Some Noise (demo track) (Bonus Track)
12. (エンハンスド)NY Documentary July 2011/「Can’t Stop Loving You~scene of NY REC~ (Music Clip)」「New York City」

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セットリスト

  1. Monkey Discooooooo
  2. AAUUOOO
  3. Baby.Baby.Baby
  4. DISCO AGE MONSTERS
  5. A.B.C.DISCO
  6. Yeah Yeah Yeah
  7. Punk Is Not Heavy Metal
  8. I Am Me
  9. Just One Victory
  10. SAITAMA DANCE MIRROR BALLERS!!!
  11. 2010
  12. My Final Fantasy
  13. Homunculus
  14. Re:Life
  15. Used Skin
  16. fu-shit!!!
  17. DaDaDa
  18. electric girl
  19. I Hate DISCOOOOOOO!!!
  20. D.A.N.C.E to the telephones!!!
  21. I Wanna Die
  22. clashed mirror ball
  23. White Elefant
  24. sick rocks
  25. HABANERO
  26. Urban Disco
  27. Encore
  28. D.E.N.W.A(新曲)
  29. swim,swim,swim,(新曲)
  30. FREE THROW
  31. Love & DISCO
  32. Encore2
  33. Drums,Basses,Guitars,Keys,And Your Love And Voice

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