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miwa、昨年末クリスマスイブの夜にプレミアムライブを開催!

miwa | 2012.01.17

 この日、最初のMC。miwaは言った。
「2011年は、ファーストアルバムをリリースし、そのツア、夏フェス、弾き語りツアーと、本当にライヴの1年になりました。今日は、その集大成として、皆さん1人1人に、感謝の気持ちを込めて歌おうと思います」
 ビートの効いたアップチューン3曲を立て続けに披露したオープニング。その後、この言葉を受けて歌われたのは、デビュー曲「don’t cry anymore」だった。

 Zepp Tokyoを埋め尽くした満員のオーディエンスから、大歓声がおこる。ティンネイジャー特有の強がりが刹那的な激しさを醸し出すミディアムチューンは、この日、本当の強さをたたえながら、会場にしっかりと響いていった。
 序盤。ラジオ特番の生放送との中継を見事なトークでつなぎ、アコギ1本で「デビュー前からカバーしていた大好きな曲です」と、シンディーローパーの「true colors」を披露。そして、全国で11公演を行った2011年の弾き語りツアー“acoguissimo(アコギッシモ)”について振り返り、最後はこう締めくくった。
「来年(=2012年)も続けていきます。47都道府県、全部制覇したいなと思って、頑張っていきます」

 そして、miwa1人のアコギの弾き語りから、その後、バンドメンバーの女性2人を加えた3人構成へ。フルート、ピアノ、パーカッション、さらにはコーラスなど、非常に丁寧にアコースティックバージョンに仕上げられた楽曲群は、miwaが、自分の曲を届けるために、楽曲と正面から向き合い続けているからだろう。

 ファーストアルバム『guitarissimo』リリース時、取材した際の彼女の言葉を思い出す。
「今すごく、音楽を作る事が楽しくて。バンドの皆さんとやりとりしながら、アレンジしていくと、曲がどんどん変わっていくのが、すごく楽しんですね。だから、本当、欲張りだと思うんですけど、いろんな楽器の事を知りたいと思っているんですよ。ライヴもどんどんやっていきたい」
音楽に対する旺盛な好奇心、そして貪欲な探究心が伺える言葉だと思うが、それを、ただ言葉にするだけではなく、しっかり実行し(しかも相当なスピード感を持って)、自らのひとつの表現方法まで高め、ライヴで再現できた事は、アーティストとして、特筆すべき事だろう。この成長の早さは、若いからという条件だけでなく、miwaというアーティストの音楽に対するスタンス、もっと言ってしまえば、才能に直結する事実だと思う。

中盤から終盤にかけては、この日(12月24日!)というシチュエーションならではの、クリスマスソングを入れ込んだメドレーで、会場のムードを盛り上げる。ハンドマイクを持ち、ステージを行ったり来たりするmiwa。メドレーが終わると、「たのしー! すごいね! たのしーね!」と、思いっ切りの笑顔を見せた。
ライヴは終盤へ向かう。この日、初めて披露された「クレアデルネ」(2月発売のニューシングルのカップリング曲)に続き、ライヴの起爆剤的曲「ChAngE」へ。爽快なアップチューン。グリーン、レッド、イエローのレーザー光線(しかもこの1曲のみしか使わないという豪華な演出!)が飛び交う中、miwaがエレキギターをかきならす。そのビートに満員の観客が飛び乗る。イントロでは、曲に合わせて「Oi! Oi!」の掛け声があがった。miwaが放つ、人懐っこくもエネルギッシュで、そして真っすぐでハッピーなパワーが、観客の気持ちをぐんぐん導いていく。エンディング。miwaは、ステージ前に出てきて、少し腰を落とし、両足をふんばりながらギターを弾きまくるパフォーマンスも。楽曲や演奏スタイルだけでなく、パフォーマンスにもバリエーションが出てきたあたりは、今後のライヴでも楽しみなところか。

 続く「春になったら」では、カラフルな風船が客席に降り注いだ。サビ。前列の観客から青の風船を受け取り、歌いながら左手で風船を振るmiwa。その様子に、会場も一緒に風船を振った。曲が終わると大歓声。男性達の声援に交じり、会場のあちこちから、彼女の名前を呼ぶ黄色い声援も飛んだ。本編最後のMC。
「今日は見ンさん、本当にありがとうございました。今日のライヴ、皆さんに楽しんでいただけるように考えて作りました。来年もがしがしライヴをやりつつ、曲を作って、皆さんにいっぱい届けていきたいと思います。こんなmiwaをよろしくお願いします!」

 この言葉に続き「最後の曲です」と言った途端、会場からは「えーっ!」の嵐。少し騒然となった客席に真っすぐ視線を向け、miwaは静かに言葉をつないだ。
「心をこめます」
 miwaはうつむき加減のまま、動かない。静まった会場に、再び、miwaの言葉。
「みんなありがとう」
 大きくブレスするmiwa。そして曲のタイトルを告げた。「始まりは終わりじゃない」
 満員の観客は、ステージを見詰めたまま、miwaの歌声に耳を澄ましていた。

 アンコール。ミラーボールが回った「ふたりのサタディ」。エンディングでは、目をつぶって、エモーショナルなシャウト。そして最後の最後は「来年(=2012年)もよろしくお願いしますという想いを込めて歌いたいと思います」と「441」。大きな拍手の中、笑顔でmiwaはステージを後にした。
 17曲中、2曲の新曲の披露、そして、実際には演奏されなかったものの「このライヴのリハーサル直前に、出来あがりました」というニューシングルの発売が発表されたこの日。本人曰く「集大成」というライヴの中に、次の展開(予感)入れ込むというセットリスト、レーザー光線を筆頭に、ライティング、風船、ミラーボールなど、1曲限定でしか使わない豪華な演出も潔く、非常に充実していて濃密なライヴだったと思う。

 そして、この“充実していて濃密”というのは、そのまま、miwaというアーティストの日々を物語っているのだろうとも思った。
 充実して濃密な……彼女のそんな音楽ライフが、この日のライヴに表れていたように思う。
 2012年。miwaはどんな音楽ライフを見せてくれるのだろうか。

【 取材・文:伊藤亜希 】

tag一覧 ライブ 女性ボーカル miwa

リリース情報

片想い(初回生産限定盤)

片想い(初回生産限定盤)

2012年02月01日

SMR

1.片想い
2.クレアデルネ
3.acoustic live tour "acoguissimo″メドレー
4.片想い ~instrumental~

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セットリスト

  1. Chasing hearts
  2. FRiDAY-MA-MAGiC
  3. ありえない!!
  4. don’t cry anymore
  5. リトルガール
  6. true colors
  7. Dear days
  8. めぐろ川
  9. オトシモノ
  10. つよくなりたい
  11. メドレー あなたがいないと世界はこんなにつまらない
    ~Last Christmas~
    ~ジングルベル~
    ~あわてんぼうのサンタクロース~
    ~赤鼻のサンタクロース~
    ~サンタが街にやってきた~
  12. クレアデルネ
  13. chAngE
  14. 春になったら
  15. 始まりは終わりじゃない
  16. ENCORE
  17. ふたりのサタデイ
  18. 441

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