前へ

次へ

高橋 優、初の全国ホールツアーの序盤戦の神奈川公演をレポート!

高橋優 | 2012.07.14

 高橋優にとって初めての全国ホールツアー「高橋優全国ツアー?この声って誰?高橋優じゃなぁい?2012」の序盤戦、神奈川県民ホール公演。3月にリリースした2ndアルバム「この声」によって、”リアルタイム・シンガーソングライター”としての際立った存在感をさらに強くアピールした高橋だが、この日のステージでも彼は、自らの個性と才能を生々しく表現してみせた。

 19時過ぎ。ステージにかけられた幕に高橋のシルエットが映し出され、ノイジーなギターサウンドが響き渡る。「序曲」からのオープニングナンバーは鋭い手触りを持つロックチューン「蛍」。開演前から歓声を送り続けていたオーディエンスもさらにテンションを高め、会場の温度が一気に上がっていく。さらに「takahashi yu」と書かれた派手な電飾が登場、強烈な疾走感をたたえた「終焉のディープキス」へ。高速のビートとともにギターをかき鳴らし、マシンガンのように言葉を放ちまくる高橋。どんなにラウドなサウンドのなかでも、すべての歌詞をはっきりと聴き取ることができる。ホール公演においても高橋は、自らの武器??すべての観客に対し、自分の歌をダイレクトに伝える??をしっかりと発揮していた。

「こんばんは、高橋優です。初のホールツアーだからといって、いままでと何かが大きく違うわけではありません。でも、椅子もありますからね、ゆっくりと聴いていただけると思います!」 

 親しみやすさと緊張感が混ざった挨拶のあとは、アコースティックギターとハープを中心とした「雑踏の片隅で」。さらに「HITO-TO-HITO」「気ままラブソング」。心地いいグルーヴを放つメロディ、日常のなかにある”何気なくて、大切なこと”を描いた歌が同時に伝わってきて、心と体を揺り動かされる。そして、「福笑い」によって、ライブは最初の頂点へ。大らかなムードを生み出すサウンドのなかで「きっとこの世界の共通言語は 英語じゃなく笑顔だと思う」というラインが聞こえてきて、会場中にナチュラルな笑顔が生まれる。”この日、この場所”だけのパフォーマンスによって、何度も繰り返し聴いているはずの楽曲のなかにまったく新しい感動が広がっていく。この感覚は、会場に足を運ばないと絶対に味わえない。

「せっかく座席があるので、ゆっくり座って聞いてください」というMCコーナーの話題は、ユニークなツアータイトルについて。喫茶店でタイトルを考えていると、高校生のカップルが隣の席に座り、なんだかラブラブな雰囲気。すると偶然にも高橋優の「誰もいない台所」が流れ始め、「この声って誰?」(男の子)、「高橋優じゃなぁい?」(女の子)という会話が生まれたのだとか。この”日常感”も、いかにも高橋優っぽい。

 ここからは、高橋優の歌の世界をゆったりと堪能できる場面が続く。「大事な人を思い浮かべながら聞いてください」という言葉に導かれた「あなたとだから歩める道」、大切な恋人との日々を日記っぽい雰囲気で綴っていく「8月6日」、「ただ一つ確かなのは僕の気持ち「君が好き」」というフレーズが胸を打つ「ほんとのきもち」。高橋の個人的な思いから生まれた曲が、ライブという場所で共有され、観客ひとりひとりの心のなかで特別な存在へと変わっていく。それは言うまでもなく、歌という表現の大きな魅力だ。

「また引越ししようと思ってるんですけど…ちょっと相談に乗ってもらえます?」というフレンドリーすぎるトークを挟み、「一人暮らし」。さらに曲の途中でバンドメンバーの紹介(全員、高橋と同じような黒メガネを着用)を行なった「サンドイッチ」、切なさと男らしさが共存する渾身のラブバラード「誰もいない台所」へと続く。最初から全力で歌っているにも関らず、声の力強さはどんどん増している。すごい。

 そして、「ここからさらに熱く、ひとつになりたいと思います! お元気のほうは残っていますでしょうか?」という律儀な煽りを合図に「絶頂は今」が炸裂、会場は瞬時にして爆発的な盛り上がりに包まれる。激しいサウンドと真摯なメッセージがひとつになった「現実という名の怪物と戦う者たち」、タオルをぶん回しながら凄まじいシャウトを繰り返した「想いよ、届け」、「みなさんと、またいつか”最高だな!”って笑い合えたらいいな」という言葉とともに披露された「卒業」。自分の思いを強く届けたい、歌を通してオーディエンスとつながりたい。切実なモチベーションに貫かれた彼の姿に、何度も何度も心を揺さぶられてしまった。

 アンコールでは映画「桐島、部活やめるってよ」の主題歌に起用されたニューシングル「陽はまた昇る」(8月8日リリース)を披露。さらなるスケールアップを果たしたパフォーマンス、強さと深さを増したボーカリゼーションをたっぷりと見せつけた、濃密なステージだった。

【取材・文:森 朋之】

tag一覧 ライブ 男性ボーカル 高橋優

関連記事

リリース情報

陽はまた昇る(初回限定盤)

陽はまた昇る(初回限定盤)

2012年08月08日

ワーナーミュージック・ジャパン

1. 陽はまた昇る
2. 旅路の途中
3. 陽はまた昇る~映画「桐島、部活やめるってよ」バージョン
4. セピア~LIVE Ver.

このアルバムを購入

お知らせ

■ライブ情報

高橋優秋の全国ツアー
~高橋は雨男?晴れ男?はっきりさせようじゃないか2012

2012/10/12(金)神奈川県民ホール
2012/10/19(金)栃木市栃木文化会館
2012/10/23(火)札幌市民ホール
2012/10/25(木)新潟市民芸術文化会館・劇場
2012/11/02(金)名古屋国際会議場センチュリーホール
2012/11/09(金)広島アステールプラザ 大ホール
2012/11/11(日)福岡市民会館
2012/11/13(火)熊本県立劇場 演劇ホール
2012/11/16(金)アクトシティ浜松 大ホール
2012/11/18(日)東京エレクトロンホール宮城
2012/11/21(水)金沢市文化ホール
2012/11/24(土)大阪 オリックス劇場
2012/11/25(日)大阪 オリックス劇場
2012/11/28(水)秋田市文化会館 大ホール
2012/12/11(火)中野サンプラザホール
2012/12/12(水)中野サンプラザホール

※その他ライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

トップに戻る