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前に進み続けるフジファブリック、追加公演のリキッドルームをレポート!

フジファブリック | 2012.08.01

 3人編成になって初めてのシングル「徒然モノクローム/流線形」を引っ提げたツアー“徒然流線TOUR 2012”の追加公演であり最終日となった、恵比寿リキッドルーム。SEもなくサポートドラマーのBOBOと共にステージに現れると、おもむろにジャムりだす。何だ何だ!? とギュウギュウのフロアを惹き付けて、はじまったのは「TAIFU」! いきなりのキラーチューンに、沸き上がるオーディエンス。山内総一郎(Vo&G)は背中でギターソロを弾き、金澤ダイスケ(Key)は椅子に立ってマイクを突き上げる。ライヴハウスらしい、スリリングでテンションが高い幕開けだ。最初のMCでも、山内が「俺たちがフジファブリックだ。ヨロシク!」と言うと、金澤と加藤慎一(B)が「ヨロシク!」と合いの手を入れるという、可笑しくも息の合ったやり取りが見られた。その後も、「Splash!!」では、《Oh Oh Oh Oh》の大合唱が起きたかと思えば、「徒然モノクローム」の前には、山内がこの曲がオープニングテーマとなったアニメ『つり球』の話をし、「バッチリでしたよね?!」と自画自賛(!!)。いい具合に砕けた空気だ。

 中盤には、現在のフジファブリックならではの持ち味が感じられた場面が、幾つかあった。一つは、手の波が揺れ、山内と加藤が向き合って歩く動きも見せた「パレード」から、小沢健二のカヴァー「ぼくらが旅に出る理由」の流れ。ストレートでハッピーなポップチューンが似合う山内の歌声に、しっくり嵌って聴こえた。それと同時に、彼らは渋谷系とも言われたポップ路線の継承者という役割も果たしていると気付いた。「ぼくらが旅に出る理由」の前に山内は「(小沢健二に)お会いできた時に、時間が経っても歌ってくれて嬉しいと仰って頂いた」とも語っていた。音楽は、繋がるべくして繋がっていくのだ。そしてもう一つは、様々な音が絡まって曲になっていくという、長尺のインプロな展開を見せた「Mirror」。演奏の上ではとびっきりのエンターテイナーであるということを証明してくれた。

 それぞれのキャラクターも際立っていた。山内は、梅雨の話をして「でも、雨は降ったら降ったで、出るじゃないですか!」と言って「虹」に突入したり。金澤が「僕もキーボードを持って前で弾きたい!」と言うと、PA卓にいた事務所の会長がショルダーキーボードを持っていて、オーディエンスが「ワッショイ!」とステージまでリレーしたり(曲だけではなく、金澤の中2からの持ちネタというシューベルトの『魔王』の弾き語りも披露!)。加藤の謎掛けコーナー“加トーク”は、この日は追加公演だったので“追加トーク”で2ネタにパワーアップして行われたり(「ドーナツと掛けましてプレゼントと説きます」、「その心は?」、「あげるのが大事」と、「祭りと掛けまして不幸なことと説きます」、「その心は?」、「ハッピーが必要です」。お上手!)。3人とも、名曲に留まらぬ粋なパフォーマンスを見せてくれた。そして本編は、「STAR」でキラキラと締め括られた。

 アンコールでは、一人で出てきた金澤が、「着替えると涼しい」なんて実演販売の如き精一杯のトークで(!!)、物販を紹介。それからステージに全員が揃い、山内が口を開いた。「もうバンドできないんじゃないかっていうところからツアーができて、CDも出せて、つくづく幸せなバンドだと思います」――その後に起こった、長く温かな拍手。ラストの「銀河」で打ち上がるようにライヴが終わっても、歓声は暫く止まなかった。志村正彦の急逝という辛い出来事を受け止めながら、前に進み続けるバンドとオーディエンスの絆の強さに、胸が熱くなった。秋にはZEPPツアーも控えている。フジファブリックのまま、フジファブリックを更新し続ける彼らを、これからも追い続けたい。

【取材・文:高橋美穂】
【撮影:河本悠貴】

tag一覧 ライブ 男性ボーカル フジファブリック

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リリース情報

徒然モノクローム/流線形(初回生産限定盤)

徒然モノクローム/流線形(初回生産限定盤)

2012年05月16日

SMAR

ディスク:1
1. 徒然モノクローム
2. 流線形
3. ぼくらが旅に出る理由
ディスク:2
1. Intro~STAR
2. スワン
3. Splash!!
4. アイランド
5. 君は炎天下
6. アンダルシア
7. -MC-
8. ECHO

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セットリスト

  1. TAIFU
  2. 夜明けのBEAT
  3. スワン
  4. NAGISAにて
  5. Splash!!
  6. 徒然モノクローム
  7. 君は炎天下
  8. パレード
  9. ぼくらが旅に出る理由
  10. Mirror
  11. 会いに
  12. 流線形
  13. Surfer King
  14. TEENAGER
  15. STAR
ENCORE
  1. 星降る夜になったら
  2. 銀河

お知らせ

■ライブ情報

rockin’on presents
ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2012

2012/08/04(土)国営ひたち海浜公園

RISING SUN ROCK FESTIVAL 2012 in EZO
2012/08/10(金)石狩湾新港樽川ふ頭横野外特設ステージ

SPACE SHOWER SWEET LOVE SHOWER 2012
2012/09/01(土)山中湖交流プラザ きらら

ZEPP TOUR 2012
2012/11/16(金)仙台Rensa
2012/11/18(日)札幌Zepp Sapporo
2012/11/25(日)広島CLUB QUATTRO
2012/11/30(金)東京Zepp DiverCity Tokyo
2012/12/01(土)名古屋Zepp Nagoya
2012/12/08(土)福岡Zepp Fukuoka
2012/12/09(日)大阪Zepp Namba

※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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