フジファブリック、ニューアルバム『LIFE』をリリース
フジファブリック | 2014.09.03
- EMTG:現体制になってから3枚目、通算8枚となるアルバムが完成しました。
- 山内:6枚目のアルバム『STAR』を出したときに、漠然とですけど、3枚で一括りみたいな作品になるんだろうなと思ってて。スーファミで出た『ゼルダの伝説 神々のトライフォース』でいうと、最後のてっぺんの三角が『LIFE』みたいな。ちょっと意味わかんないと思うんですけど(笑)。
- EMTG:(笑)いや、頭の中には浮かんでますよ。 左下に『STAR』があって、右下に7枚目のアルバム『VOYGER』があって、頂点に『LIFE』があるってことですよね。
- 山内:そうです。それぞれが三角、三角、三角で、全部ででっかい三角形になって、それで1つの作品みたいなイメージなんですよね。
- EMTG:それぞれはどんな作品だと捉えてます?
- 山内:『STAR』のときはなにも考えられなくて……。とにかくこのバンドでやりたいっていう衝動的なものを作ったんですね。次の『VOYGER』ではタイアップが続いて、シングルを出すようになって。そこで、明らかに次にやんないといけないことが見えてきて。
- EMTG:その「次にやらないといけないこと」というのが、シングル「LIFE」からスタートした、フロントマンでヴォーカルである山内くんが詞先で曲を書くということですよね。
- 山内:そうですね。まぁ、ファーストからずっと歌を大事にしてきたんですけど、その中で、やっぱり歌う人がちゃんと書かないとって思ってて。これをやらないとダメだなって思ってたんですけどね。それが出来たのが、この『LIFE』っていう感じですね。
- EMTG:大きなピラミッドの最後のピースである本作はどんな作品になりました?
- 山内:前2作よりももっともっと“普通”に、アットホームにしたいというか……。自分が普段思ってることを“普通に”吐き出したいと思ってたんですよね。だから、いまはすごくすっきりしてて、特別に何か変わったことはないんですけど、とにかく“普通”な感じです。
- EMTG:山内さんが言う “普通”をもう少し詳しく教えてください。
- 山内:まず、曲の元となる歌詞を書くのはファミレスで、そのあとに自分の家で曲を作って。その場所にメンバーを呼んで、家でプリプロをするようになったんですね。スタジオに入らなくていいし、自分たちのペースだけできる。お腹が空いたら一緒のご飯を食べにいくし、つまずいたらやめるし。“普通”って何度も繰り返してますけど(笑)、ただ“普通”にやりたかったんですよね。そういう意味で、自分にとってすごく身近な表現ができたなと思ってますね。
- EMTG:その“身近な表現”を象徴するようなアルバム曲というと?
- 山内:「sing」と「祭りのまえ」だったりするかもしれないですね。
- EMTG:サウンドのプロポーションとしては正反対の曲ですよね。まず、「sing」はメンバー3人だけで一発どりで録った曲になってます。
- 山内:すごくシンプルにしたかったんで、歌も演奏も一緒に録って、その場でミックスしたんですけど、実はアルバム曲でいちばん最初にできた曲で。自分が歌うっていうことに対して、自分がなんで歌ってるのか? っていうことを、書いた曲です。
- EMTG:歌詞にある<君をおもい/僕は歌う>っていうフレーズが、イコール『LIFE』っていうことですよね。
- 山内:そうですね。もうね、これだけでアルバムにしますって感じ。ものすごい大反対が起こると思いますけど。実際はこれだけでいいんです(笑)。
- EMTG:あはははは。一方の「祭りのまえ」は混沌とした音像になってて。
- 山内:この曲を作ってるときは夏ではなかったんですけ、夏休みに、これといってやることのない奴たちが集まって、ワイワイと面白半分に音楽を構築していくことが、すごく自然に思えて。誰かからもやれとも言われてないし、やめろとも言われてないなかで、悪ふざけの応酬をしてる。そういうところに、楽しさだったり、自分たちが今後、生きていくための糧というか、なぜ生きていくのかってことが詰まってるんじゃないかなって思ったんですよね。加藤さんとダイちゃんはバンドメンバーでもあるんですけど、いちばん仲のいい友達でもあるし、すごく尊敬もしてる。その3人の関係性だけでも『LIFE』でいいっていう感じもあって……。
- EMTG:いちばん最初に“LIFE”というテーマで書いたのはシングル「LIFE」でしたよね。
- 山内:そうですね。「LIFE」というタイトルで書きたいと思って作った曲だったんですけど、その1曲だけはほんとに一筆書きで出来て。自分にとっては歌ってても気持ちいい曲なんですけど、「LIFE」っていろんな側面があると思うんですよね。“生活”だったり、“生きる”だったり。そういう、自分が思う「LIFE」っていうものを、1曲じゃなくて、曲をためていくというか。曲とも思ってない、もうメモ書きなんです。だから、本当は全部のタイトルが「LIFE」でもいいんですよ(笑)。「LIFE1」「LIFE2」「LIFE3」っていう仮タイトルでもあったぐらいなんで。でも、それだとダメなんで(笑)、わかりやすくするためにタイトルを付けたっていう感じんですね。
- EMTG:山内さんが書いた曲全てが「LIFE」っていうことですよね。
- 山内:そうですね。全曲、自分が思うところの「LIFE」で、加藤さんが書いてるのも「LIFE」です。僕が「LIFE」で書いてるって言ったら、自然とみんながそのモードでやってくれた。なんて素晴らしいバンドなんだって思いますけど(笑)、もともと『STAR』の前から、ずっと“生きる”をテーマにするって言ってたんですよ。でも、“生きる”だと、太文字で達筆なイメージで重いなって感じて(笑)。もっと、「ライフ」っていうスーパーがあるように、身近に感じるようにしたかったんですよね。
- EMTG:生きるを身近に感じながら作ったアルバムということ?
- 山内:生きてることを意識して生きるってなかなか難しいじゃないですか。でも、親しい人がいなくなったり、逆に知人に子供が産まれたりすると、生きるって感じる。そういうことをもうちょっと“普通”に、すごく身近なものだっていうことを、あまり重たく考えたくなくて、「LIFE」にしたっていう感じなんですよね。1曲1曲には、比喩表現も入ってなくて、ほんとにそのままの意味で。もしかしたら「生きていこうぜ!」っていうことでもないかもしれないし……。
- EMTG:もうちょっとフラットですよね。本当に“普通”で“身近”な生活そのものというか。
- 山内:「生きている」っていうことかもしれないですね。そういうことを音楽にできたと思う。このアルバムに入ってる曲は、決して嫌な感じにはならないし、暗くはならないと思うんですよね。かといって、すごく明るくなるわけでもないんですけど(笑)、気持ちを落ち着かせたいときに聞いてもらえたらいいなと思いますね。
- EMTG:別れの寂しさが描かれている曲でも、同時に旅立ちへの希望も込められてますよね。
- 山内:そうです。いろいろ過ごしていると、志村くんのこともそうですし、身近な人の別れに対して、これから別れるであろうことに対しても、構えてしまったりもするんですよね。でも、ちょっと根本の話になるんですけど、自分で歌を書いて、落ち込みたくないんですよね。自分としてはリラックスしてやってるし、出来たときはすごく喜びもある。それは、長く続くものではなかったりするんですけど、その瞬間が好きやっていうときもあって。やっぱり、僕は悲しいなっていう気持ちだけでは曲はできないような気がしてて。……なんていうか、悲しみを乗り越えるための希望を自分自身が生み出したくてやってるんじゃないかなって思いますね。
- EMTG:“LIFE”をテーマにした作品によって、大きな三角系が出来上がって、バンドとしての次っていうのは見えました?
- 山内:びっくりするほど、見えてますね。この前、3人でホルモン焼きを食べに行ったんですけど、ふたりがやる気満々だと思って。じゃあ、俺も頑張らなきゃなっていうとこは見えてます。やる気は満々ですけど、何をやるかはまだ見えてない(笑)。いいアルバムができたので、これ以上のものを作るのは難しいだろうなっていう話をしてて。だから、いろんな形を想像してますね。もしかしたらゲストミュージシャンを呼ぶかもしれないし、3人全員が歌うかもしれない。でも、その前に武道館公演があるので、まずは10年間の集大成的なステージを作っていかないとなって思いますね。
メジャーデビュー10周年を迎えたフジファブリックが、山内総一郎がヴォーカルとなってから3枚目、通算8枚となるオリジナルアルバム『LIFE』を完成させた。唄い手である山内が歌詞先行で曲を作り、彼の家に集まってアレンジを固め、時にはメンバー自らがミックスまで手がけた60分越えの大作。“Reverse(反転)”と“Rebirerh(再生)”のダブルミーニングになっている「リバース」で幕を開け、いつかの春を思い起こしながら、異性の影響で変化していきた自分を肯定する「Gum」からはじまり、別れと希望を歌ったラストナンバー「卒業」で、また新しい季節が訪れる。生きている限り終わりのない“LIFE”をテーマにした全15曲の中からは、過去の記憶や思い出に振り回されながらも、しっかりと未来の希望や喜びを見据え、いま、ここで音楽を鳴らす楽しさを実感している3人の充実した表情が見える。
【取材・文:永堀アツオ】
リリース情報
Origin(初回生産限定盤B)[CD+DVD]
発売日: 2016年02月17日
価格: ¥ 3,500(本体)+税
レーベル: Ki/oon Music
収録曲
[CD]
1. オープンワールド
2. 机上、綴る、思想
3. なんでもねだり
4. ランアンドラン
5. anger in the mind
6. インディファレンス
7. talking
8. グッドバイ
9. 革命
10. ダイバー
11. スタンドバイミー
12. Origin
[DVD]
1. KANA-BOONの企画会議 その1
2. 盛者必衰の理、お断り THE PARODY Music Video
3. KANA-BOONの企画会議 その2
4. 結晶星 THE PARODY Music Video
5. こいずみのたたかい
6. 盛者必衰の理、お断り THE PARODY オフショット
7. 結晶星 THE PARODY オフショット
( APPROX. 54min )
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リリース情報
LIFE(初回生産限定盤)[CD+DVD]
2014年09月03日
SMAR
1. リバース
2. Gum
3. LIFE
4. シャリー
5. ブルー
6. F.T.79
7. 祭りのまえ
8. efil
9. WIRED
10. フラッシュダンス
11. robologue
12. バタアシParty Night
13. sing
14. カタチ
15. 卒業
[DVD]
1.フラッシュダンス(MUSIC VIDEO)
2.バタアシParty Night (MUSIC VIDEO)
3.LIFE(MUSIC VIDEO)
4.ブルー(MUSIC VIDEO)
5.特典映像「モグライフ(Documentary)」
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お知らせ
とり貝
昨日お寿司をいただいたんです。それで貝類ですごい好きなのがあったなと思って。でも見た目だけで覚えてて、なに貝かわからなかったので調べました。昨日のには入ってなかったので、とり貝、食べたいと思います(笑)。
■ライブ情報
フジファブリック LIVE TOUR 2014 "LIFE"
2014/10/17(金)仙台rensa
2014/10/19(日)Zepp Sapporo
2014/10/24(金)広島 CLUB QUATTRO
2014/10/25(土)Zepp Fukuoka
2014/11/01(土)Zepp Nagoya
2014/11/02(日)Zepp Namba
2014/11/04(火)高松 MONSTER
2014/11/07(金)長野 CLUB JUNK BOX
2014/11/08(土)金沢 EIGHT HALL
2014/11/14(金)熊本 DRUM Be-9 V1
2014/11/15(土)鹿児島 CAPARVO HALL
2014/11/20(木)宇都宮 HEAVEN’S ROCK
2014/11/21(金)水戸 LIGHT HOUSE
フジファブリック10th anniversary
LIVE at 武道館 2014
2014/11/28(金)日本武道館
※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。