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The SALOVERS、メジャー1stアルバムを引っ提げたワンマンツアー最終公演をレポート!

The SALOVERS | 2012.10.31

 「生物生育空間へようこそ!」、古舘佑太郎(Vo・G)が呼びかけ、1曲目「ビオトープ‐生物生育空間‐」がスタート。何処かエキゾチックな風味のギターフレーズ、シャープなビートに刺激され、観客達がみるみる内に激しいタテノリで踊りだす。「チンギスハンとヘップバーン」「仏教ソング」「サイケデリックマリー」……4曲が一気に演奏され、場内は早くも圧倒的な熱気に包まれてしまった。

 最初のインターバルで「クラブキュータローにお集まり頂き、ありがとうございます!」と挨拶した古舘。すると、観客の間から和やかな笑いが起こる。高校時代の彼はCLUB QUATTROを“クラブキュータロー”と読み間違えていたのだ。「いつかキュータローでワンマンやりてーな!」と当時の彼女に言い、「それは、クアトロって読むんだよ」と指摘され、爆笑された思い出を数日前のブログで告白していた。MCはすぐに終わり、再び曲へ。「Hey My Sister」を皮切りに、ますます激しく沸き立ったフロア。「SAD GIRL」と「City Girl」も立て続けに披露され、盛り上がりは止まるところを知らなかった。そして、そんなアグレッシヴな曲の連続を経てから聴いた「フランシスコサンセット」は、いつにも増して胸に深く沁みた。メンバーのユニゾンの歌声も交え、甘酸っぱいメロディが力強く響き渡る。前半戦のクライマックスとも言うべき素敵な演奏であった。

 ツアー中のエピソードを軽く紹介した後、「いつもやれないことをやってやろうと思います」と言った古舘。ギターを傍らのスタンドに置いた彼が、ピアノを弾きながら歌い始めたのは「サイゴンで踊ろう、雨のダンス」。ピアノ伴奏のみでしっとりと幕開けたが、やがて藤川雄太(Dr)のドラムが加わり、さらには藤井清也(G)と小林亮平(B)のプレイも合流。奥行き深いアンサンブルが構築されていく様が実に美しかった。ピアノを弾いたのはこの曲だけだが、その後も柔らかなサウンドをじっくり奏でる「雨降りのベイサイド」と「夏の夜」を続けて披露。美メロを堪能するひと時となった。

「激しいのと静かなのと、どっちがいい?」と突然観客に問いかけた古舘。返ってきたのは「激しいの!」という声。リクエストを受け、古舘は「激しいの、いけますか?」とメンバー3人に確認。「激しいのだから「Night in gale」とかやらないでよ」と言っていたので、おそらく急遽セットリストを変更したのだろう。始まったのは「狭斜の街」。キレの良いビートが観客の身体を揺さぶる。そして、エモーショナルなサウンドをバンド一丸で轟かせた「曇り空」と「パエリア」、先の全く読めない展開が抜群にスリリングだった「サルたち」。中盤戦は多彩なサウンドで楽しませてくれた。

「今回のツアーを回って、一番言われたのが“MCが下手過ぎる”っていうことでして(笑)。でも、落語もやったんですよ」と言い、『寿限無』や立川談志のまくらを披露した古舘。なんとなく微妙な反応しか起こらず、MCが苦手なバンドであることが改めて証明されてしまった……。しかし、そんな不器用さがなんだかやたらと楽しく、バンドと観客の親密さを加速する。そして、演奏が始まるや否や、一気に場内の空気が引き締まるのが快感だった。落語が醸し出したグダグダ感を劇的に一転させたのは「China」。「皆、台湾へ行きたいか!」と古舘が大声で呼びかけ、藤川のスティックのカウントと共に勢い良く雪崩れ込んだ「オールド台湾」は、観客のダンスによる猛烈なタテノリがフロアを揺らした。

 凄まじい手拍子を起こした「ディタラトゥエンティ」の後、再びMC。「グダグダのMCにつき合ってくれてありがとう(笑)。いいツアーファイナルになりました」と古舘が挨拶し、本編ラストを飾ったのは「愛しておくれ」。演奏を終えると、4人はすぐにステージを後にしたが、興奮した観客はアンコールを求めて手拍子。ステージに戻ってきたのは古舘1人であった。「秋っぽい曲がツアー中にできたので、新曲をやります」、彼がアコースティックギターを弾きながら歌ったのは「Fall Fall Fall」というタイトルの曲。抒情的なメロディがとても印象的。歌い終えると「ファイナルなので、メンバーを1人1人呼びこみたいと思います。ドラム、雄太! ギター、ドミノピザ清也! ベース、東郷平八郎!」、謎の名称が一部混じっていたが……勢いよくステージに再登場した藤川、藤井、小林。「一発芸をやってよ。田原俊彦からの王貞治」という古舘からのフリに応え、物真似を披露した小林。メンバー達はかなりハイテンションであった。

 そして、「今日はゲストを呼んでいます。大好きなアーティストです!」と、ステージに招かれたのは田中茉裕。彼女と共に演奏したアンコール2曲目は「何処かの土地に」。開放感に満ちたサウンドに、田中のコーラスが華やかな色合いを添える。曲の後半で彼女はピアノを弾き始め、瑞々しいアンサンブルが場内一杯に広がっていった。「また何処かの土地で会いましょう。さよなら!」と、古舘が全員を代表して挨拶。彼らは再び楽屋へ戻った。しかし、皆の興奮は収まる気配が全くない。先程よりもさらに激しいアンコールの手拍子が始まった。すぐにステージに戻ってきた4人がラストに聴かせたのは「サリンジャー」。パワフルなサウンドが迸り、圧倒的な盛り上がりに包まれた場内。演奏が終わると、最大級の拍手が彼らに向かって届けられた。藤川が着ていたTシャツを脱いでフロアに投入すると、一際高まった拍手と歓声。メンバーも観客も汗だくであったが、実に清々しいエンディングであった。

【取材・文:田中 大】

tag一覧 ライブ 男性ボーカル The SALOVERS

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リリース情報

珍文完聞 -Chin Bung Kan Bung-

珍文完聞 -Chin Bung Kan Bung-

2012年09月05日

EMIミュージック・ジャパン

1. ビオトープ -生物生育空間-
2. チンギスハンとヘップバーン
3. オールド台湾
4. サイケデリックマリー
5. 雨降りのベイサイド
6. サイゴンで踊ろう、雨のダンス
7. 仏教ソング
8. サルたち
9. ディタラトゥエンティ
10. 愛しておくれ
11. 何処かの土地に

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セットリスト

秋集ワンマンツアー2012 サラバーズ珍道中〜あきあきするよ〜
2012.12.20@渋谷CLUB QUATTRO

  1. ビオトープ -生物生育空間-
  2. チンギスハンとヘップバーン
  3. 仏教ソング
  4. サイケデリックマリー
  5. Hey My Sister
  6. SAD GIRL
  7. City Girl
  8. フランシスコサンセット
  9. サイゴンで踊ろう、雨のダンス
  10. 雨降りのベイサイド
  11. 夏の夜
  12. 狭斜の街
  13. 曇り空
  14. パエリア
  15. サルたち
  16. China
  17. オールド台湾
  18. ディタラトゥエンティ
  19. 愛しておくれ
ENCORE
  1. Fall Fall Fall(新曲)
  2. 何処かの土地に
  3. サリンジャー

お知らせ

■ライブ情報

OverTheDogsで"わんわんわんの日"
2012/11/01(木)渋谷CLUB QUATTRO

大阪芸術大学学園祭『ココロスイッチ』学園祭企画
「Main Stage 12 〜SIGNAL〜」

2012/11/03(土)大阪芸術大学

5th Anniversary!閃光ライオット感謝祭
2012/11/04(日)Shibuya O-WEST

市大祭「No Sence of the Season.」
2012/11/10(土)名古屋市立大学 滝子キャンパス

The SALOVERSライブ振替公演
2012/11/21(水)club SONIC iwaki

金沢ROCK Street Market 2012
2012/11/23(金)金沢Eight Hall/金沢AZ/金沢vanvan V4

2012/11/24(土)高松DIME
2012/11/25(日)高知X-pt.

黒猫チェルシー主催「毛細血管GIG」
2012/12/07(金)名古屋アポロシアター
2012/12/08(土)神戸VARIT

The SALOVERS〜VS企画〜LOVER MATCHシリーズ Vol.5
2012/12/15(土)仙台MA.CA.NA.

LOVER MATCHシリーズ 対バンツアー
2013/02/09(土)横浜club Lizard
2013/02/10(日)千葉LOOK
2013/02/14(木)京都 磔磔
2013/02/15(金)神戸 太陽と虎

※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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