The SALOVERS、様々な恋愛の風景を切り取ったセカンドシングルをリリース!
The SALOVERS | 2013.07.31
- EMTG:ベースの小林亮平さんが3月から一時休業していたっていうのは、バンドにとって大きい出来事だったんじゃないですか?
- 古舘:そうですね。休んでいたのは約3ヶ月なんですけど、そういうのは僕らにとって初めてのことでした。幼馴染で、仲がいいっていうだけで結成して、遊びのように始めたバンドなので、今までに躓きってなかったんですよね。「この4人でやる意味」っていうのを実感しました。その3ヶ月の間に作ったのが、今回のシングルの3曲です。
- EMTG:ということは、当時の心境が反映された3曲?
- 古舘:いや、それはあんまり関係ないかもしれない。でも、「HOT HOT HOT!」に関しては、悩みとか不安とか葛藤のカウンターを逆に振り切って書いた曲なので、ある意味では当時のことが関係していると言えるのかもしれないですけど。
- EMTG:小林さんの休業中に感じた“この4人でやる意味”って、例えばどんなことですか?
- 古舘:“この4人がやれることって、これしかないんだな”っていうことですかね。その“これ”っていうのは言葉で説明するのは難しいんですけど。でも、そういうものが確実にあるんです。小林の休業が終わって、初めてライブのリハでスタジオに入って音を鳴らした一発目に、“この感覚だ”っていうのがありましたから。それを全面的に出してやろうと思ってやったのが、この前のワンマンライブ(6月6日の渋谷クアトロ公演)です。
- EMTG:あれは音を出す喜びがすごく伝わってくるライブでした。今年に入った辺りから、とことんガムシャラに演奏するスタイルになっている印象がするんですけど。ブレーキを捨てた車というか。
- 古舘:その分、ライブが終わった直後はすぐにブレーキを踏んでます(笑)。すぐにアイシングをしたり。ライブ中にブレーキを捨ててる分、ケアが大変(笑)。でも、それも僕たちにやっと見えてきたカラーなのかなと。衝動的というか、技術ではない感じ。今回のCDジャケットの写真にも、その感じが表れてると思うんですけど。“The SALOVERSってこういうことなのかな”っていうのが、前作(1stシングル『床には君のカーディガン』)くらいからちょっとずつ見えてきてるんです。
- EMTG:では、今回のシングルのお話に入りましょう。「HOT HOT HOT!」は、恋する男の不器用さが微笑ましく伝わってくる曲ですね。
- 古舘:僕の等身大ですね。こういうのって今しか書けないラブソングだと思います。35歳とかで書くと、ちょっとどうかと思う感じですから(笑)。最近、ライブに同世代の人たちが来てくれているのを目で見て感じているので、この曲も共感してもらえたら嬉しいです。
- EMTG:好きな女の子がオススメしていた映画をレンタルビデオ屋で探しつつ、本当はカンフー映画を観たいと思っている……っていう主人公が描かれていますけど、こういうような感じって、結構みんな心当たりがあるんじゃないですかね(笑)。
- 古舘:あるでしょうね(笑)。2曲目の「アンデスの街で」は、“アンテイデスの街”と“ラブラブデスの街”っていうのを思いついて、疑似体験的にストーリーを作っていったんですけど、「HOT HOT HOT!」はストーリーっていうよりも等身大ですね。この曲のタイトルは英語ですけど、それを“ホッ! ホッ! ホッ!”ってカンフーっぽく言う感じも面白いのかなと(笑)。僕たちの今までの曲にもあった、中国っぽさも出ていると思いますし。
- EMTG:2曲目「アンデスの街で」は、面白い切り口ですね。恋をして、試練を乗り越えて結婚して、子供が出来て、家を建てて、一所懸命働いて、子供が立派に育ったら死ぬ準備をするっていう……カップルの人生が凝縮されていますけど(笑)。
- 古舘:アイディア勝負の曲でした(笑)。そういえば、この曲も映画の話になっちゃうんですよ。カントリーとか、西部っぽい雰囲気のある曲ですけど、『ジャンゴ』っていう映画を観に行った後に書いたからです。これを書いただいぶ後に「HOT HOT HOT!」が出来たので、映画縛りがあったわけでは全然ないんですけど。
- EMTG:さっきおっしゃった通り、街のイメージを思いついたところからストーリーが膨らんだわけですね?
- 古舘:そうです。それをありがちな恋人同士のプロセスに置き換えて書いてみようと思って。いろいろ膨らんでいったんで、歌詞では悩まなかったですね。
- EMTG:“結婚ってどういうことなんだろう?”って想像したり?
- 古舘:いや、何て言うんでしょう? ……めちゃくちゃ浅はかな結婚への憧れというか。
- EMTG:なるほど(笑)。
- 古舘:自分は簡単にこういう感じにならないと思うがゆえの気持ちで書いているんですよ。《子供が立派になったらそろそろ死ぬ準備をしよう》って思いついたら、“いいな、これ。ロマンを感じる”と思ったり(笑)。
- EMTG:(笑)結婚に対する無邪気な想像かもしれないですけど、結構大事な真実が凝縮されていると思いますよ。
- 古舘:そうかもしれないですね。付き合い始めはみんな“ラブラブデスの街”にいるけど、そこからボロボロになっていくじゃないですか?
- EMTG:はい(笑)。歌詞を引用するなら、《険しい砂漠の道で 愛のバラは枯れていった》ですね。
- 古舘:《隣を見たら君のお肌がボロボロだよ》っていうようなことを最初は書いてたんですけど、さすがにやめようと思って変えました(笑)。
- EMTG:(笑)映画は、好きなんですか?
- 古舘:特別好きというわけでもないんですけど。印象に残る映画って、観終わった直後の印象は大したことないんです。そういうものの方が最終的に心に色濃く残るんですよね。『ジャンゴ』もそうだったんですけど。風景として残ってて、じわじわ来たんですよ。
- EMTG:空気感、風景、世界みたいなものを求める気持ちって、古舘さんの創作の根本かもしれないですよ。
- 古舘:映画のストーリーよりも風景から影響を受ける理由って、そういうことかもしれないですね。例えば『珍文完聞 -Chin Bung Kan Bung-』も風景っぽい曲が多いですし。風景が浮かんで「これを曲にしたい」って思って歌詞を書くことは多いです。たしかにおっしゃる通りかもしれない。
- EMTG:では、3曲目の「こんな夜は」のお話へ移りましょう。これはエレキギターでの弾き語り。エレキギター1本ですよね?
- 古舘:1本です。バンドでのアレンジをしてみたんですけど、行き詰まっちゃって。僕が作ってみんなに聴かせた時の方が良かったんです。だったらそのまんまやろうかと。メロディに自信もありましたし。それで、1人で録ったんです。
- EMTG:歌詞は、とことん感傷に浸り切った切ない内容ですが。
- 古舘:イメージとしては欧陽菲菲の「ラヴ・イズ・オーヴァー」みたいな感じというか(笑)。
- EMTG:(笑)“自分を生かすのも殺すのもその人次第”っていうこの感覚、失恋の痛みの普遍的なところですよ。
- 古舘:メロディから生まれたっていうのも大きいですけど、書いた時の自分のモードが、こういうものだったんでしょうね。簡単な言葉しか使っていない歌詞でもあるので、中学生くらいの男の子とかでも分かるものになっていると思います。
- EMTG:下の世代にも共感してもらいたいっていう気持ちは大きくなってます?
- 古舘:どうなんですかね。でも、昔の自分が上の世代の曲を聴いて共感したり救われたりしたあの感覚を自分たちも届けたいっていう感覚は、あるのかもしれないですね。10代の頃はどこかに向けて届けるっていう感じではなかったんですけど。
- EMTG:創作面での心境は、何か変化しています?
- 古舘:何て言うんでしょう? 書きたいことが分かってきているというか。勿論、毎日のようにいい曲が書けるわけではないんですけど。でも、今はいい感じですね。あと、なぜか最近、ギターに興味を持ち始めてて(笑)。一時はギターに完全に飽きてたんですけど、この4日間くらいは、朝起きたらまずギターに触ってます。何かとギターを弾きたくなっちゃってるんですよ。“ギター、めっちゃ楽しい!”って(笑)。
- EMTG:曲を作るために弾くのではなく、とにかく弾くのが楽しい?
- 古舘:そうです。何年ぶりかの感覚ですね。“弾けないものを弾けるようになる”っていう小っちゃな努力が昔から好きな方ですし。
- EMTG:そういう中から生まれる次回作が、速弾きしまくりの曲だったらビックリですけど(笑)。
- 古舘:ジャンルは何でもやりたいと思ってるので(笑)。まあ、ヘヴィ系に行き過ぎるとボーカルがしんどいんで、ないとは思いますけど。
- EMTG:今後の活動に関しては、イベントとか、ライブがかなり決まってますね。11月から12月末まで全国ツアーもありますし。
- 古舘:今、自分たちで企画して何かやりたいなっていうことも考え始めていまして。今年の後半もガッツリとライブをやっていきます。
- EMTG:ますます精力的ですね。
- 古舘:オリジナリティの確立って本当に難しいことだと思うんですけど、アーティストはそれを目指すべき。そこはいろんなことを経験しつつ、目指していきたいですね。
収録曲を大胆に繋ぎ合わせたタイトルを冠している2ndシングル『アンデスの街でこんな夜はHOT HOT HOT!』。恋愛の風景を様々な角度から切り取った1枚だ。エネルギッシュに躍動する「HOT HOT HOT!」。カントリーやレゲエのエッセンスが融合したユニークなサウンド、物語性に満ちた歌詞が楽しい「アンデスの街で」。エレキギター1本による弾き語りで切ない心情をじっくり描く「こんな夜は」。The SALOVERSの深い魅力と新境地が煌めく全3曲。今作について古舘佑太郎(Vo & G)が語る。
【取材・文:田中 大】
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ビデオコメント
リリース情報
お知らせ
The SALOVERS〜VS企画〜
LOVER MATCHシリーズ Vol.6
2013/10/01(火)新代田FEVER
The SALOVERS 秋冬行脚ツアー2013
〜ギャアーンと鳴るギター〜
2013/11/21(木)梅田AKASO
2013/11/24(日)札幌COLONY
2013/11/26(火)仙台MA.CA.NA
2013/12/06(金)名古屋APOLLO THEATER
2013/12/14(土)新潟CLUB RIVERST
2013/12/15(日)金沢van van V4
2013/12/20(金)高松DIME
2013/12/22(日)福岡Queblick
2013/12/23(月・祝)広島ナミキジャンクション
2013/12/26(木)代官山UNIT
※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。