バンドの今の勢いを象徴するように満場で己のロックを魅せつけた、UNISON SQUARE GARDEN
UNISON SQUARE GARDEN | 2013.05.16
「あの曲さ、イントロがいいよな!」
「そうそう、で、Bメロでちょっと下げてからサビに行くとこも最高」
「だろ? こんどウチでDVD見せるからさ――」
これは、終演後のロビーで耳に挟んだ10代か20代前半くらいの男子二人の会話。汗で上気した顔と興奮冷めやらぬ様子で、語り合いながら会場を後にしていた。そういう光景が、とても印象的なライヴだった。
これまで4枚のアルバムをリリース、グッとくるメロディーとフック満載の曲展開と爆発感ある演奏でロックファンからの熱い信頼を築き上げてきた3ピースバンド、UNISON SQUARE GARDEN。新作アルバム『CIDER ROAD』のツアーファイナルで立った場所は、キャリア初のNHKホール。バンドの勢いを象徴するように、キャパ3500人強の会場はぎっしり満員だ。
3人がステージに登場し、ライヴは「to the CIDER ROAD」からスタート。そのまま「ため息shooting the MOON」「cody beats」とアップテンポな曲を連発し、一息ついて斎藤宏介(Vo/G)のMCの第一声。
「めっちゃ楽しそうじゃん!」
その言葉に大きな歓声があがる。まるで暴れ馬を乗りこなすような演奏を見せるステージの上の3人が放つ熱に、客席の数千人が、思い思いのやり方で呼応し合っている。拳を振り上げる人もいれば、踊ってる人も、飛び跳ねてる人も、めちゃくちゃに身体を揺らす人もいる。座席指定のホール会場でもそういう風景が生まれるのは、彼らが繰り返し伝えてきたメッセージのおかげかもしれない。この日も斎藤宏介はこんな風に言っていた。
「UNISON SQUARE GARDENのライヴは決まり事は一切ないから。周りの目を気にしないで、自分とステージの3人だけの世界で、一番楽しんでほしいんだ」
ライヴ前半は、「オリオンをなぞる」まで間髪をいれず、息をつかせないスピード感で次々と曲を披露。田淵智也(B)はホール会場の広いステージを自在に暴れ回り、足を高く蹴り上げ、高々とベースを掲げ、プレイする。まるで全力疾走のような演奏だ。
中盤のMCでは、斎藤が、愛用の電動ママチャリに乗って集合場所に向かってたらUNISON SQUARE GARDENのパーカーを着た人に会って思わず引き返したという話も。田淵が「そういう時は、こういう風に声をかければいいんだよ。さっと隣に止めて『今日、夜来んの?』って」と返して、笑いを誘う。
「ゆったりした曲をやります」と言ってプレイした「光のどけき春の日に」から「いつかの少年」は、この日のセットの中では数少ないミドルテンポのグッドメロディを聴かせる曲。でも、そこから「箱庭ロック・ショー」、「フルカラープログラム」、鈴木貴雄(Dr)のドラムソロを挟んでの「場違いハミングバード」と、どんどんテンションを上げていく。
終盤は「kid,I like quartet」「リニアブルーを聴きながら」までクライマックスの連発。田淵は縦横無尽にステージを走り、斎藤もギターソロではステージ前方に立ってプレイ。鈴木は中央でグルーヴを支える。要所要所で3人が目を合わせ、キメのフレーズをピシっとしめる。3ピースならではのトライアングルが熱量を生んでいる。本編ラストは「シャンデリア・ワルツ」。無我夢中になっているうちに、あっという間に終わってしまうようなステージだった。
「君は、好きなものを、好きなやり方で『こうやって楽しむんだ!』って、自分で選んで、ここにきた。それはすごく格好いいことだと思う」
アンコールで田淵はこんな風に言っていた。
デビューからずっと、3人は「ロックバンドは楽しい」という信念を掲げて、ここまで歩みを進めてきた。その楽しみ方は、誰にとっても自由だし、他の誰にもジャマされないものだと、繰り返し伝えてきた。そういう意志が結実したのが、このNHKホールだったのだと思う。
このバンドは、まだまだ見たことのない風景を見せてくれるんじゃないかな。そんな期待が高まる一夜だった。
【取材・文 柴 那典】
関連記事
-
UNISON SQUARE GARDEN
-
UNISON SQUARE GARDEN
「ユニゾンのライブは余計なことはいらない。いい曲を届けるだけ……これからもよろしくお願いします」と斎藤は言う。リスナー側に必要以上に迎合せず、自分たちの美学を突き詰める姿は実に眩しく、魅力的だ。
-
UNISON SQUARE GARDEN
-
UNISON SQUARE GARDEN
UNISON SQUARE GARDEN、来年のバンド結成日に初日本武道館ワンマン「fun time 724」の開催発表!
-
UNISON SQUARE GARDEN
-
UNISON SQUARE GARDEN
UNISON SQUARE GARDENニューアルバム『Catcher In The Spy』発売記念、歴代MV一挙フルサイズ公開
-
UNISON SQUARE GARDEN
UNISON SQUARE GARDENニューアルバム「Catcher In The Spy」iTunes予約スタート、「ROCK IN JAPAN FES. 2014」でも新曲を披露!
-
UNISON SQUARE GARDEN
-
UNISON SQUARE GARDEN
-
UNISON SQUARE GARDEN
UNISON SQUARE GARDEN斎藤宏介復活!「METROCK」ライブ大成功&6月に自主企画イベント「fun time ACCIDENT」開催決定!
リリース情報
CIDER ROAD(初回盤)
発売日: 2013年02月06日
価格: ¥ 3,334(本体)+税
レーベル: トイズファクトリー
収録曲
1. to the CIDER ROAD
2. ため息 shooting the MOON
3. リニアブルーを聴きながら
4. like coffeeのおまじない
5. お人好しカメレオン
6. 光のどけき春の日に
7. クロスハート1号線(advantage in a long time)
8. セレナーデが止まらない
9. 流星のスコール
10. Miss.サンディ
11. crazy birthday
12. 君はともだち
13. シャンデリア・ワルツ
ディスク:2
1. シャンデリア・ワルツ
2. クロスハート1号線(advantage in a long time)
3. リニアブルーを聴きながら
4. ガリレオのショーケース
リリース情報
UNISON SQUARE GARDEN ONEMAN TOUR2012 SPECIAL~Spring Spring Spring~at ZEPP TOKYO 20120421 [DVD]
発売日: 2013年02月06日
価格: ¥ 3,334(本体)+税
レーベル: トイズファクトリー
収録曲
1. inst〜Spring Spring Spring〜
2. フルカラープログラム
3. プロトラクト・カウントダウン
4. 23:25
5. 空の飛び方
6. デイライ協奏楽団
7. スカースデイル
8. 誰かが忘れているかも知れない僕らに大事な001の事
9. マスターボリューム
10. スペシャルメドレー(ライドオンタイム~等身大の地球〜MR.アンディ〜CAPACITY超える ~ワールドワイド~スーパーガ―ル〜コーヒーカップシンドローム〜センチメンタルピリオド~ドラムsolo〜ガリレオのショーケース)
11. シャンデリア・ワルツ
12. クローバー
13. シュプレヒコール〜世界が終わる前に〜
14. cody beats
15. オリオンをなぞる
16. 場違いハミングバード
17. アイラブニージュー
18. サンポサキマイライフ
19. kid,I like quartet
セットリスト
"CIDER ROAD" TOUR 2013 FINAL
2013.4.10@NHKホール
- to the CIDER ROAD
- ため息 shooting the MOON
- cody beats
- ラブソングは突然に〜What is the name of that mystery?〜
- セレナーデが止まらない
- Miss.サンディ
- カウンターアイデンティティ
- オリオンをなぞる
- 光のどけき春の日に
- いつかの少年
- クロスハート1号線(advantage in a long time)
- 箱庭ロック・ショー
- フルカラープログラム
- ドラムソロ〜場違いハミングバード
- like coffeeのおまじない
- crazy birthday
- kid, I like quartet
- リニアブルーを聴きながら
- シャンデリア・ワルツ
- 君はともだち
- ライドオンタイム
- ガリレオのショーケース
お知らせ
TOKYO METROPOLITAN ROCK FESTIVAL 2013
2013/05/26(日)新木場・若洲公園 (東京都)
音楽ノチカラ 2nd LIVE 〜ZeppNambaで夏宣言! 2013〜
2013/06/03(月)Zepp Namba
fun time HOLIDAY 5
2013/07/11(木)大阪 なんばHatch
2013/07/12(金)愛知 名古屋CLUB Diamond Hall
2013/07/27(土)東京 五反田ゆうぽうとホール
※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。