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NICO Touches the Walls、最新ツアーのファイナルを濃密レポート!!

NICO Touches the Walls | 2013.07.30

 多彩な音楽要素を貪欲に取り込みつつ、そのすべてをオリジナリティへと結びつけるバンドサウンド、葛藤と苦悩の先にある希望を照らし出す歌、そして、“この想いを伝えるんだ”という意思に貫かれた、まさに魂の叫びと呼ぶにふさわしいステージ・パフォーマンス。このバンドは今回のツアーによって、ついに自らのアイデンティティを掴み取ったようだ。

 ニューアルバム『Shout to the Walls!』を伴った全国ツアー「new balance presents NICO Touches the Walls TOUR 2013」最終日。この日NICO Touches the Wallsは、「いままででいちばん良いツアーを回れた」(光村龍哉/V&G)という発言どおり、これまでの集大成と言っても過言ではないステージを見せてくれた。オープニングはアルバムの1曲目に収録されていた「鼓動」。“原始の叫び”とでも形容したくなるSEとともにステージに登場したメンバーは、対馬祥太郎の野性味あふれるビートを軸にした濃密なグルーヴを体現。満員のオーディエンスも気持ち良さそうに身体を揺らし始める。さらに「ヘイ、東京! 最終日! 1曲1曲、いっしょに噛みしめていこうぜ」という光村の言葉に導かれ、この季節にぴったりのポップナンバー「夏の大三角形」(ステージ後方に設置されたミラーボールの光がきれい!)。そして、「愛しても 愛しても/君は枯れない 梨の花」という切ないフレーズから始まるバラードナンバー「梨の花」、高揚感溢れるアッパーチューン「バイシクル」と続く。緩急ありすぎの構成だが、これはおそらく“NICOの多面性をしっかりと感じてほしい”という意図によるものだろう。高い演奏能力と奥深い表現力がひとつになったアンサンブルも本当に素晴らしい。

「ホールツアーということで、“ホールでも見せられるロックバンド”というところを見せようと思ってたんだけど、『Shout to the Walls!』の曲がそうはさせてくれませんでした。ライブハウスだろうがホールだろうが関係なく、ロックしろって」(光村)というMCの後は、さらにディープなNICOワールドが広がっていく。レッド・ツェッペリン(というか、レニー・クラビッツ?)直系のギターリフが炸裂、ヘビィかつラウドなサウンドが響き渡った「damaged goods?紫煙鎮魂歌?」も最高だったが、ライブ中盤でもっとも心に残ったのはインディーズ時代の名曲「そのTAXI.160km/h」だった。「Shout?」に関するインタビューの際に光村は「(アルバム収録曲の)『アビダルマ』を作ってたとき、インディーズの頃の「そのTAXI.160km/h」とか「アボガド」の感覚を思い出してたんですよ。「やっぱりこういうの好きだよな」って」とコメントしていたが、ライブにおいてもこの曲は、“2013年のNICO”と完璧にリンクしていた。メジャーデビュー以降、意欲的に音楽性を広げてきた彼らだが、軸になっている部分はまったくブレていない。強靭なビートを放ちまくる「そのTAXI.160km/h」は、その事実を改めて示しているようだった。

 ライブ後半もアルバム『Shout to ?』の魅力をダイレクトに体感できるシーンが続く。古村大介(G)の作詞・作曲によるミディアムチューン「アルペジオ」では叙情的なロマンティシズムがゆったりと広がり、4人のコーラス・ワークが堪能できる「夢1号」ではどこかサイケデリックな雰囲気に包まれる。さらに坂倉心悟(B)の強烈なスラップベースにリードされた「アビダルマ」ではNICO史上もっともアグレッシブで爆発的な盛り上がりが生まれ(この曲、ホントにエゲつない。興奮するよ、ホントに)、「チェインリアクション」ではメンバーがシェイカーやカスタネットやマラカスやタンバリンをサンプリング、その場でカラフルなリズムトラックを作るというパフォーマンスも。音楽的な自由度を大きく広げながら――つまり、自らの本能に従いながら――誰もが楽しめるエンターテインメントへと結びつける。それは、『Shout to the Walls!』というアルバムの魅力であると同時に、このバンドの本質そのものなのだと思う。

 感極まった光村が「これが俺達の全身全霊の叫びです。伝わってくれてると嬉しい」と語り、本編ラストの「Mr.ECHO」へ。壁に向かって語りかけるような自問自答を繰り返しながら、それでも光に向かって進んでいく――この曲のメッセージは、観客ひとりひとりの心にしっかりと届いたはずだ。
 アンコールでは、「今年はこいつで全国の夏フェスを引っ掻き回してきます!」(光村)のMCの後、新曲「ニワカ雨ニモ負ケズ」(ポップに弾けるロックンロール!)を披露。さらに光村が中3のときに書いたという「ランナー」、メンバーの開放的な表情が印象的だった「N極とN極」も。“やりきった”という思いを全身で表わしながら、4人のメンバーは興奮と涙と叫びがひとつになり表し切ったステージを後にした。

 初期衝動と高い音楽センス、卓越した演奏技術が理想的なバランスで融合した今回のツアーによって、NICO Touches the Wallsはさらなるステージへ進むことになるだろう。メンバーにとってもファンにとっても、この先ずっと心に刻まれ続ける、本当に意義深いツアーだったと思う。

【取材・文 森 朋之】

tag一覧 ライブ 男性ボーカル NICO Touches the Walls

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リリース情報

ニワカ雨ニモ負ケズ(初回生産限定盤A)[CD+DVD]

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2013年07月10日

KRE

ディスク:1
1. ニワカ雨ニモ負ケズ
2. 陽のあたる場所

ディスク:2
1. ニワカ雨ニモ負ケズ
2. Diver
3. Broken Youth

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セットリスト

TOUR 2013“Shout to the Walls!”
2013.7.11@NHKホール

  1. 鼓動
  2. 夏の大三角形
  3. 梨の花
  4. バイシクル
  5. damaged goods〜紫煙鎮魂歌〜
  6. ストロベリーガール
  7. そのTAXI, 160km/h
  8. 手をたたけ
  9. 紅い爪
  10. アルペジオ
  11. 夢1号
  12. アビダルマ
  13. チェインリアクション
  14. 友情讃歌
  15. 妄想隊員A
  16. Broken Youth
  17. Mr. ECHO
Encore
  1. ニワカ雨ニモ負ケズ
  2. ランナー
  3. N極とN極

お知らせ

■ライブ情報

ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2013
2013/08/03(土)国営ひたち海浜公園

WILD BUNCH FEST. 2013
2013/08/17(土)山口きらら博記念公園

お台場合衆国2013めざましライブ
2013/08/22(木)合衆国サンサンアイランド内「合衆国Open Summer スタジアム」

SPACE SHOWER SWEET LOVE SHOWER 2013
2013/08/31(土)山梨県 山中湖交流プラザ きらら

JFL 20TH ANNIVERSARY LIVE FOR THE NEXT supported by「Music Unlimited」
2013/09/09(月)Zepp Namba OSAKA

※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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