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SPYAIR、“真夏の3番勝負”2日目の様子をレポート!

SPYAIR | 2013.08.27

 “真夏の3番勝負”2013の第2日目の対バン相手は、グッドモーニングアメリカ。今年5月8日に初のフルアルバム『未来へのスパイラル』をリリースした、4ピースのロックバンドだ。ストロング・スタイルの正統派バンドだけに、ガチンコ対決を期待して観に行った。……のはずだったのだが、開演前、ロックDJダイノジ大谷のプレイに、会場のO-EASTは空前の盛り上がり。さらにはグッドモーニングアメリカの“特攻隊長”、ベースのたなしんが2階席からチョンマゲ姿で「サムライハート(Some Like It Hot!!)」を歌いながら登場したからたまらない。しかもたなしんはステージに上がるや、サングラスを外すと、そこには“MOMIKENメイク”を施した眼差しが。これには場内大爆笑。予想に反して、いや、予想以上の夏のお祭り騒ぎが始まったのだった。
 ボーカル金廣真悟もギターの渡邊幸一も、ギブソン系のギターを掻き鳴らすから、分厚いサウンドがO-EASTを覆い尽くす。ドラムのペギも重厚なビートを出す。たなしんもベースを持つと、特攻隊長どころかタイトなプレイを繰り出す。笑わせるMCと、しっかりした演奏のギャップが、グッドモーニングアメリカの“売り”なのだ。1曲目の「キャッチアンドリリース」から、オーディエンスはこのギャップ を大歓迎して、初めて観る人も少なくないはずなのに、爆発的に盛り上がる。
 それはグッドモーニングアメリカが、真っ直ぐにオーディエンスに向かい合うバンドだからこその熱さだった。その熱さは、バラード「餞の詩」では切なさとなって表われる。ラストの「未来へのスパイラル」まで、一気に駆け抜けた潔いライブだった。

 さて、いよいよSPYAIRの登場だ。4人がゾロリと出てきただけで、会場は大騒ぎ。当たり前に見えるこの光景だが、次の瞬間、IKEがステージセンターに設置されたステップに上がって「ワン、ツー、スリー、フォー」とカウントした途端、ワンマン・ライブのオープニングとはまったく違う興奮が会場を包んだ。始まったのは、アルバム『MILLION』の1曲目「OVERLOAD」だ。IKEばかりでなく、メンバーの気合の入り方がハンパない。IKEが♪Everybody goes♪と叫ぶと、オーディエンスがその倍の気合で返す。コール&レスポンスの意味を超えたコミュ二ケーションが、いきなり火花を散らす。
 ダイノジが、たなしんが、グッドモーニングアメリカが会場をあっためておいてくれた、なんて生やさしいもんじゃない。逆にここまで会場が熱くなっていると、それを上回らないといけないというプレッシャーになる場合だってある。が、SPYAIRはすべてをひっくり返してこの夜の主役に躍り出た。
 2曲目「現状ディストラクション」でMOMIKENがベースのネックを思い切り振り回せば、UZもフライングVギ ターでぎらぎらのギターソロをキメる。3曲目「Turning Point」で、KENTAがバスドラムの連打でイントロを派手に彩ると、IKEが苦しい日々の中で夢を諦めなかったバンドのリアル・ストーリーを心を込めて歌った。

 「改めまして、SPYAIRです。“真夏の3番勝負”、楽しめてますか? 今夜、日本でたくさんライブやってると思うけど、ここがいちばん盛り上がってるよ! みんなのお陰。感謝してるよ」とIKE。対バン・イベントならではのお祭りムードを、オーディエンスは心から楽しんでいる。前半はSPYAIRがオーディエンスをリードしていたが、中盤からイベントの楽しさに目覚めたようにオーディエンスが負けじと盛り上がる。そのパワーに背中を押されるように、SPYAIRは限界ギリギリのパフォーマンスを繰り広げる。中でもインディ時代の代表曲「ジャパニケーション」は、“初期の名曲”という枠を完全に脱して、バンドの今を映す鏡として素晴らしい輝きを放っていた。

 アンコールではKENTAとMOMIKENが、 たなしん風のショートパンツ姿で現われる。笑いの中、MOMIKENがサングラスを外すと、そこには“MOMIKENメイク”が。MOMIKENが“MOMIKENメイク”するのは当たり前なのだが、なぜか笑えてしまうのは、対バンがグッドモーニングアメリカならではのマジックだ。リズム・セクションの2人のゆるゆるのギャグに、IKEは「後ろを振り返らないで歌う」と宣言。「サムライハート(Some Like It Hot!!)」を歌い出す。ボディアクションも含めて、めちゃめちゃカッコいい。UZのギターソロもむちゃくちゃカッコいい。
 いよいよ最後のサビに入ったところで、たなしん本人とダンサー2人がパンツ姿で乱入してきたので、またまた大爆笑&大歓声。IKEの敵はKENTAとMOMIKENだけじゃなかったのだった(笑)。たなしんは歌が終わると、客席にダイブ。上半身裸のたなしんに戸惑ったのか、オーディエンスが逃げると、たなしんはフロアに転がる。それを観て、笑いながらIKEが「落ち着いて、たなしんを救出してください」とステージ上から声をかける。そのままグッドモーニングアメリカの他の3人を呼びこんで、参加メンバー全員とオーディエンスとの記念写真を撮ったのだった。
 徹底的にお祭り騒ぎの“真夏の3番勝負”第2日目が終わった。「また明日、バイバーイ!」というIKEの明るい声から、このお祭りをいちばん楽しんだのはSPYAIRだったことが伝わってきた。そして、このイベントがこれからも毎年続いていくことを確信したのだった。

【取材・文:平山雄一】
【撮影:木村泰之】

tag一覧 ライブ 男性ボーカル SPYAIR グッドモーニングアメリカ

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リリース情報

MILLION(初回限定盤A) [CD+DVD]

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2013年08月07日

SMAR

ディスク:1
1.OVERLOAD
2.Turning Point
3.現状ディストラクション
4.サクラミツツキ
5.Winding Road
6.Are You Champion? Yeah!! I’m Champion !!
7.STAND UP
8.Supersonic
9.雨上がりに咲く花
10.虹
11.16 And Life

ディスク:2
1.WENDY 〜It’s You〜(MUSIC VIDEO)
2.サクラミツツキ(MUSIC VIDEO)
3.虹(MUSIC VIDEO)
4.現状ディストラクション(MUSIC VIDEO)
5.OVERLOAD(LIVE)
6.ジャパニケーション(LIVE)
7.0 GAME(LIVE)
8.サクラミツツキ(LIVE)

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セットリスト

“真夏の3番勝負”2013【NEXT STAGE】
vs グッドモーニングアメリカ
2013.8.13@O-EAST


<グッドモーニングアメリカ>
  1. キャッチアンドリリース
  2. 空ばかり見ていた
  3. だけど不安です
  4. 言葉にならない
  5. 心臓抉って
  6. ファイティングポーズ
  7. バンバンガンガン
  8. ウォールペーパーミュージックじゃ踊りたくないぜ
  9. 餞の詩
  10. 未来へのスパイラル

<SPYAIR>
  1. OVERLOAD
  2. 現状ディストラクション
  3. Turning Point
  4. サクラミツツキ
  5. Winding Road
  6. STRONG
  7. 0 GAME
  8. Supersonic
  9. ジャパニケーション
  10. 雨上がりに咲く花
  11. ENCORE
    1. サムライハート(Some Like It Hot!!)

お知らせ

■ライブ情報

SPYAIR LIVE in Seoul 2013
2013/09/28(土)、29(日)韓国“ホンデ V-HALL”

SPYAIR TOUR 2013 "MILLION"
2013/11/09(土)東京都 パルテノン多摩
2013/11/16(土)東京都 TOKYO DOME CITY HALL
2013/11/29(金)宮城県 日立システムズホール仙台(仙台市青年文化センター)シアターホール
2013/12/01(日)北海道 札幌ファクトリーホール
2013/12/08(日)福岡県 福岡国際会議場メインホール
2013/12/14(土)香川県 高松ユープラザうたづ
2013/12/15(日)広島県 広島アステールプラザ大ホール
2013/12/20(金)愛知県 名古屋センチュリーホール
2013/12/21(土)大阪府 オリックス劇場

※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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