10月1日からスタートしたFTISLANDのツアー“FTISLAND AUTUMN TOUR 2013 -REPLAY-”。東京公演は10月1、2日の2日間、Zepp Tokyoで行われた。そう、今回はツアー初日が東京公演なのである。ここでは10月1日、初日の模様をお届けしよう。もちろん会場は観客でギッシリ。やはりステージと客席との距離を考えたら、ライブハウスの近さは格別！　ちなみに、このツアーではオープニングアクトとして事務所の後輩バンド、N.Flyingがツアーに参加。パワフルなミクスチャーロックで会場の空気を暖めてくれた。

　さて、N.Flyingのあとは、いよいよFTISLANDの登場。SEが流れ、ブルーの照明が会場を照らすと、場内のテンションは急激にアップする。そんな中、ホンギのアカペラで始まる「Black Chocolate」でライブがスタート。緊張感のある出だしながら、パワフルなボーカルは圧倒的。聴く者を引き込む彼のボーカルパワーはさすがだ。こうして、ライブはアルバム『RATED-FT』の収録曲を中心に進んでいく。3曲目の「Time To」は、以前のインタビューでもメンバーが“ライブでやるのが楽しみ”と語っていたアッパーチューン。ホンギの「遊ぼうか！」という煽りもあって、前半から激アツ。「Hold My Hand」の演奏あけで、「日本に戻りました！　待ってたのかい？　俺らも待ってたぜ！　夏のツアーのつながりでオープニングを作ってみました。今回のセットリスト、どうですか！」とホンギが挨拶。

　なるほど、ツアータイトル“REPLAY”が示すように、このツアーは夏のアリーナツアーの濃度を濃くしたようなものなのだ。

「今回はもうちょっと感情的に、みんなの心にいってみようかと思います。知ってる曲は歌ってくださいよ！　隣の町まできこえるように。一緒に歌ってみよう！」

　ホンギの言葉を合図に、「I believe myself」がプレイされる。しっとりした曲が、前半の火照りを冷ましてくれるようだ。続いての曲は「Memory」。イントロで歓声があがる。

「この曲、知ってんの？」とホンギ。それもそのはずで、この曲は韓国でリリースされた6周年記念スペシャルアルバム『THANKS TO』の収録曲。ジョンフンが情感タップリのピアノ伴奏をつけ、曲をメロディアスに彩っていく。韓国語の曲だが、サビでは見事な合唱となり、ファンの愛の深さを感じた。続く「オレンジ色の空」では、なんとミンファンがドラムセットを離れ、ステージ前方へ。ホンギとパートを分け合いつつ、繊細にしてクリーンな歌声で見事に歌い切った。歌い終わって「やったね！　どうだった？」とホンギ。ミンファンは「ミュージカルをやって、自信があると思ったけど、緊張しました」と控えめにコメント。だが、ファンを驚かせるには十分な歌声だったように思う。サプライズはこれだけではない。

「これからは、ほかのメンバーが、ひとりずつ歌います」とホンギのMCのあと、次の「You Are My Life」でメインボーカルを務めたのはベースのジェジン。彼らしい甘い歌声は、ウェディング・バラードであるこの曲にピッタリ。そして、「Beautiful World」は、ピアノ演奏を続けるジョンフンと、ギターのスンヒョンのふたりが担当。レアな組み合わせの歌声にオーディエンスも酔いしれた。「Here」では再び、ホンギがメインボーカルに戻ったが、メンバー全員が魅力的なシンガーであるというバンドの強みを改めて実感。本編後半は「Beat it」「Satisfaction」「Freedom」など、ノセる曲達で再び熱い空気に戻してくれた。本編最後の曲の前には、ホンギがバンドにとってZeppという会場への思い入れを語ったが、そのコメントも印象的だった。

「やっぱり会場がデカくなると、音が悪いんだよ。Zeppはライブのために作られた会場でしょ？　音が全然違う。やっぱりZeppでライブを完璧にやりたい。Zeppは緊張感があって、それが好き！」

　本編最後となったのは「いつか」。“歌”に重きを置いた構成通り、しっとりと締めくくった。 　さて、この日のアンコールはどうくるのか。彼らが選んだのは「Stay」「Raining」などの優しいナンバー。大ラス曲「Treasure」では、曲の途中でホンギが「ホントに懐かしいね」と語りかけ、ファンとの絆を感じさせた。Zeppの距離感を意識したセットリストに、ファンに対する思いがにじむ。ある意味、夏のツアーがここで完結したような……意義のあるライブだった。

【取材・文：海江敦士】