レビュー
FTISLAND | 2020.05.19
FTISLANDが日本でロックバンドとして自由に羽ばたき、きらめいた記録をまるごとパッケージした作品だ。
現在、全員が入隊中のため、メンバー不在のまま迎えることになった韓国のロックバンド、FTISLANDの記念すべき日本デビュー10周年。「入隊前に、みなさんが待っている間、寂しくないようにいろいろプレゼントを用意しておいたから」といったホンギの言葉通り、10周年記念のベストアルバム『10th Anniversary ALL TIME BEST/ Yellow [2010-2020]』が到着。
FTのバンドカラーであるYellowをタイトル、アートワーク、全面にアピールした今作には、日本デビュー曲「Flower Rock」から最新アルバムのリード曲「God Bless You」、さらには彼らが入隊前に残していった新曲「Sunrise Yellow」まで、FTのシングル、アルバムリード曲全28曲を“FT盤”、“ISLAND盤”2枚に分けて、すべてリマスタリング音源で収録。
輝いて、きらめいて、華のあるロックバンドになれという思いが込められた「Flower Rock」で当時、歌って踊るグループしかいなかったK-POPの歴史をガラリと変えた彼ら。俳優としても大人気のメインボーカルのホンギは、衝撃的なスピードで日本のドラマ(『マッスルガール』)で役者デビュー。その主題歌となった「ハルカ」、日本のロックバンドに影響を受け、韓国アーティストのなかでもいち早くライブで“タオル回し”を行なった「Let it go!」、メンバーも大喜びだったアニメ『トリコ』のTV、映画のタイアップ曲「SATISFACTION」、歌詞のテーマとなる“しあわせの定義”を彼らが自身の成長とともに噛み締め、ライブのセットリストのなかでも深みのあるナンバーへと変化していった「シアワセオリー」。このようなポップで疾走感あるロックチューンはいつしかFTのカラーとなりながらも、それと並行して切ない冬の正統派バラード「Distance」なども発表。ファンキーなグルーヴに初挑戦した「TOP SECRET」あたりからは演奏のテクニック、音楽の志向性も猛スピードで進化。それが後のFT流のパーティーチューン「PUPPY」や、ライブでしゃがんだオーディエンスが一斉にジャンプをしてタオルを投げるミクスチャーなスタジアムアンセム「FREEDOM」、彼らと交流を持つONE OK ROCKのTakaと共作で仕上げた壮大なロックバラード「Primavera」へと発展。近年はこれらのラウドなロックからキラキラしたフューチャーベースな「Hold the moon」、トロピカルな「Pretty Girl」など、さらに意欲的に様々なサウンドにトライ。そんな自分たちがいま「Flower Rock」のような曲を作ったら面白いのではないか--という原点回帰で生まれた「God Bless You」、お互いに希望をもっていようとメッセージする新曲「Sunrise Yellow」まで、“カメレオンのようにいろんなジャンルの音楽ができるバンドになりたい”と言っていたデビュー当時の自分たちの指針を貫いた10年が、ここにある。
【文:東條祥恵】
FTISLAND - Sunrise Yellow【OFFICIAL MUSIC VIDEO -Full ver.-】
リリース情報
10th Anniversary ALL TIME BEST/ Yellow [2010-2020]
発売日: 2020年05月20日
価格: ¥ 3,500(本体)+税
レーベル: ワーナーミュージック・ジャパン
収録曲
●DISC1<FT盤>
01.Flower Rock
02.Brand-new days
03.ハルカ
04.Let it go!
05.NEVERLAND
06.TOP SECRET
07.Polar Star
08.FREEDOM
09.未体験Future
10.PUPPY
11.YOU DON’T KNOW WHO I AM
12.JUST DO IT
13.God Bless You
14.Sunrise Yellow
●DISC2<ISLAND盤>
01.So today...
02.SATISFACTION
03.Distance
04.STAY
05.You Are My Life
06.シアワセオリー
07.beautiful
08.BE FREE
09.To The Light
10.Primavera
11.Shadows
12.Paradise
13.Hold the moon
14.Pretty Girl