“生きるエネルギー”を届けてくれたTHE BACK HORNのツアーファイナル!!
THE BACK HORN | 2013.11.26
カップリング曲がカッコイイバンドは、本当にカッコイイバンドだと思う。
これは、私がロックと呼ばれる音楽を好きになった学生の頃から、長年感じてきたことで、そこに絶対外れはない。
THE BACK HORNは、もちろんそんなバンドの1つである。
10月31日。Zepp Tokyo。彼らはこの日、そんな私の持論を裏切ることなく、最高のライヴを届けてくれた。
この日行われたライヴは、THE BACK HORNにとって初のカップリング集『B-SIDE THE BACK HORN』とニューシングル「バトルイマ」を引っさげ、10月2日の横浜BLITZを皮切りに、全国10ヵ所をまわったツアー「KYO-MEI ワンマンツアー」?アナザーワールドエクスプレス?』のファイナルであった。
19時01分。ほぼ定刻どおりに会場の明かりが落とされると、そのステージは幕を開けた。
うっすらと青い光がステージを照らす中、そこに4人の影が浮かんで見えると、オーディエンスは前列へと押し寄せ、待ち焦がれた想いを歓声に変えた。
始まりは「異国の空」。それは、菅波栄純(Gt)の奏でる怪しげなサウンドに、小刻みなギター音を重ね、声を伸ばす山田将司(Vo)の姿がとても印象的な始まりだった。そこから彼らは、聴き手を呑み込む様なディープな世界観を放つ「赤い靴」へと繋げた。すでに、ド頭2曲で“最高!”の2文字が体内を駆回った。この日、聴けるとは思っていなかった「サニー」「生命線」といった表題曲も挟みながら、2004年にリリースされたシングル「コバルトブルー」のカップリングだった「白い日記帳」「カラビンカ」が並んで届けられた。今、改めてこんな並びでこの2曲が聴けたのも、この日ならではの特別を感じた。また、そんな「カラビカ」では、曲中で、菅波が、山田と岡峰光舟(Ba)の足元に膝まづき、口にくわえたボトルネックをネックにこすりつけるというパフォーマンスを魅せ、オーディエンスを沸かせたのだった。
「初のカップリングと新曲で構成して、10本に集中したツアーでしたが、今日も15年を凝縮した夜にしたいと思います! THE BACK HORNの15年分を、そしてみんなのTHE BACK HORNに対する想いを、一瞬一瞬、1秒1秒感じて、素敵な夜にしたいと思います!」(松田晋二(Dr))
途中MCで語られた松田の言葉。その言葉を真っ直ぐに受け取ったオーディエンスは、一瞬一瞬、1秒1秒を、THE BACK HORNの音の中に、しっかりと感じていたようだった。
「15年経ちました。16年前はそれぞれ別の所に居て、15年前に出逢って。これからも地元を愛していきたいんだけど、東京が第2の故郷になったりもして。これからも、大事な場所を想いながら、生きていきたいなと思います――」(山田)
山田のそんな一言から始まったのは、「水芭蕉」。柔らかく、あたたかく、そして深く包まれた気がした。
繋がれた「夢の花」。シングルの表題曲でもあるこの曲は、生きるという苦しみの中で、いくつもの葛藤を抱えもがき叫ぶ彼らの心に宿る一瞬の安らぎを見せてくれた気がした。「水芭蕉」「夢の花」「クリオネ」と続けて3曲が並ぶブロックは、ある意味、THE BACK HORNというバンドの一番奥に潜む感情なのではないかと、改めて考えさせられた気がした。
かと思えば。“振り返るばかりではなく、どんどん新しい道を歩んでいきたいと思うし、この道の行く先に、みんなが一緒に居てくれたらい嬉しいなと思います”という松田の言葉を挟み、届けられた最新シングル曲「バトルイマ」のカップリングである「雨に打たれて風に吹かれて」「真夜中のライオン」では、我武者羅なまでのTHE BACK HORNらしい生き様を魅せてくれたのだ。より力強さを感じさせた松田のドラムとアグレッシブなベースを響かせた岡峰。ディープな世界観をヘヴィに、そしてエッヂの立ったタッチで描き上げた菅波のギター。そんな唯一無二なTHE BACK HORNサウンドに、山田はありったけの感情をぶつけて叫んだ。THE BACK HORNにしか生み出せないこの時間が最高でない訳がない。
「ホント、ありがとね。みんないろいろあんだよ。また俺らがこうやって会うために、絶対みんな負けないでいてくれよな。自分にもまけねぇようにさ。世の中にも負けねぇようにさ。行こうぜ!」(山田)
本編ラストは、最新シングル曲「バトルイマ」。
彼らの“今”を感じるこの曲は、彼らの生き様の少しの変化を感じた。
鳴り止まぬ声に応たアンコールでは、「舞い上がれ」「涙がこぼれたら」「光の結晶」が届けられ、2011年ぶりとなる主催イベント『マニアックヘブンVol.07』を12月23日に新木場STUDIO COASTで行うことを発表し、4人は一度ステージを去ったのだが、それでも鳴り止まぬオーディエンスの声に、彼らは再びステージに登場し、「刃」を贈り、この日のライヴを締めくくったのだった。
生きる意味。それは、自分が自分であるための命の叫び(鼓動)をまっとうすること。この命の叫びが、最後の時を刻むまで、彼らのように、精一杯叫んで生きようと、心に誓った夜だった。
【取材・文:武市尚子】
【撮影:TEPPEI】
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リリース情報
リリース情報
B-SIDE THE BACK HORN
2013年09月18日
ビクターエンタテインメント
1.異国の空<New Recording>
2.サイレン
3.ガーデン
4.青空
5.楽園
6.思春歌
7.針の雨
8.白い日記帳
9.カラビンカ
10.夜空
11.フラッシュバック
12.ハッピーエンドに憧れて
13.番茶に梅干
14.天国への翼
<Bonus Track>
15.ザクロ<New Recording>
16.桜雪<New Recording>
17.何もない世界
[DISC-2]
1.カウントダウン
2.果てしない物語
3.イカロスの空
4.共鳴
5.真冬の光
6.水芭蕉
7.赤い靴
8.神の悪戯
9.パラノイア
10.栄華なる幻想
11.真夜中のライオン
12.警鐘
13.一つの光
14.クリオネ
15.舞い上がれ<Band Version>
<Bonus Track>
16. 砂の旅人
17. コオロギのバイオリン
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セットリスト
「KYO-MEI ワンマンライブ」
~アナザーワールドエクスプレス~
2013.10.31@Zepp Tokyo
- 異国の空
- 赤い靴
- サニー
- ハッピーエンドに憧れて
- 生命線
- 白い日記帳
- カラビンカ
- 水芭蕉
- 夢の花
- クリオネ
- 雨に打たれて風に吹かれて
- 真夜中のライオン
- ブラックホールバースデイ
- コバルトブルー
- バトルイマ
- 舞い上がれ
- 涙がこぼれたら
- 光の結晶
- 刃