aiko、15周年アニバーサリーツアー無事終了!!日本武道館の模様をレポート!
aiko | 2013.12.06
会場が暗転すると同時にセンターステージを覆う白い布がドーム状に大きく膨らみ、そこに「LLP16.5」のツアータイトルが映し出される。1曲目「You&Me both」のピアノのイントロが流れ始め、白いドームは上から割れるようにハラリと落ちて、その真ん中にaiko、彼女を取り囲むようにバンドのメンバーが現れた。チェックのフード付きワンピース姿で現れた彼女の歌声は、数日前まで体調不良だったことなど感じさせない伸びやかさで会場全体に広がっていく。
デビュー当時からライヴハウスでもホールでも野外でも、どこでもエンターテイメント出来るライヴ・パフォーマーとして自らを鍛え上げてきたと言っても過言ではないaiko。今年7月からは15周年を記念して、キャパ200人規模の会場におけるファンクラブ限定ライヴから、ライヴハウス・ツアー、大ホール公演など、規模も演出も異なる4本のツアーを同時開催するという、かつてない試みに挑んできた。その中でも「Love Like Pop vol.16.5『15周年、本当にありがとうございまし』」と名付けられた、大阪城ホールと日本武道館の2会場4公演でのこのツアーは、360度をお客さんが取り囲む円形のセンターステージで行われ、序盤からいつも以上にaikoとの距離をオーディエンスは近くに感じていたことだろう。MCでは「本当に皆様、ご心配おかけしてごめんなさい!」と延期になったNHKホール公演のことを侘び、「初めての360度の円形ステージなので楽しみたいと思います!最後までよろしくお願いします!」と、気合い十分。ホーン・セクションの音色が明るく軽快に響いた「アスパラ」や、ステージの照明もカラフルに染まった「恋のスーパーボール」などで盛り上げると、aikoはお客さん一人一人を見渡すように場内を動きまわり、優しい笑顔を向けながら歌った。
そんな陽気でキュートなaikoの逆サイドとも言える、シリアスな恋愛ソングでグッと集中力を増した中盤も観どころだった。〈空を見たのは 別に初めてな訳じゃないのに〉という歌詞が印象的な「青い光」や、〈今もあなたを好きなままよ〉と想いを告げる「えりあし」といったバラードを、光に照らされた日本武道館の真ん中で切々と歌い上げる姿はとても美しかった。MCになれば「男子!女子!そうでない人!」と楽しく煽るフレンドリーな人柄と、その一方で、曲の中から伺える彼女のナイーヴな内面。その両方こそがaikoの魅力であり、また「歌で想いを伝えたい」と走り続けた、この15年の原動力であったことだろう。彼女はあらためて会場を見渡し、「夢のような空間です。360度、みんなaikoを観に来てくれて。ありがとうございます!」と感謝を言葉にした。
終盤、「その目に映して」や「ボーイフレンド」といったアップ・ナンバーでは2階の上方にも手を振るaikoに、会場中のファンが手拍子でパワーを送り続けた。この日のセットリストは、例えば最新シングル曲「Loveletter」のすぐ後に初期から人気の代表曲のひとつ「愛の病」が演奏されるなど、まさにこの15年の歴史を自由に駆け巡るものであったが、それでも違和感なくaikoらしいひとつのステージとして成立させてしまう。それは彼女が、例えばアルバムごとに音楽性を変えたりコンセプトを立てたり、特別なコラボレーションに頼ったりせず、ただひたすらに自らと向き合ってポップ・ソングを生み出して、その都度、しっかりとライヴ・パフォーマンスを行ってきたからに他ならない。ここに注いできた精神力とエネルギーは相当なもの。「今日はイソジンの原液をステージドリンクとして飲んでます(笑)」なんて冗談を言いながらも、ステージで飛んで跳ねて、髪を揺らして、楽しそうに歌うaikoは、いつ観ても素敵だ。これまで、どれだけ多くの人が、その姿に元気をもらってきたことだろう。
お客さんとの別れを惜しむように「夏が帰る」を本編ラストに熱唱し、アンコールでは「4本のツアーを一気にまわってきて。特に渋谷のO-nest公演ではデビュー当時の色んなことを振り返って1からまた頑張ろうって思えました」と語った。披露された新曲「君の隣」には、これまでの活動やライヴで培ってきたファンとの繋がりを大切になぞるような温もりに満ちていて、優しくて華やかなメロディと声が放たれていく。それでいて「ライヴ会場からみんなが帰っていく姿を想像したら寂しくなっちゃうことがあるの」なんて人気アーティストらしからぬ、しかし実にaikoらしい本音も漏らしながら。
最後は「この曲でまた、スタートします」と1999年にリリースされたファースト・アルバム『小さな丸い好日』の1曲目「オレンジな満月」で、この日のライヴを締めくくった。ここから何かが始まるワクワクと、少しの不安が、今でも聴こえてくるようなこの曲。スクリーンにはaikoのデビュー当時から今までの懐かしい写真が映し出され、ステージ上の彼女は腕を真っ直ぐに伸ばして拳をギュッと握りしめながら〈届きますよに〉と、この曲の最後のフレーズを、今も変わらない想いを、歌いきった。最後までみんなに「ありがとう」と手を振り続けるその笑顔には、15周年の感謝と、まだまだここはひとつの通過点なのだと言わんばかりの決意を感じさせた。
【取材・文:上野三樹】
※写真は大阪公演、東京公演のものです。
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リリース情報
Loveletter/4月の雨(初回限定カラートレイ仕様)
2013年07月17日
ポニーキャニオン
M2. Loveletter
M3.そんな話
M4.何処へでも行く
M5.4月の雨 (instrumental)
M6.Loveletter (instrumental)
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セットリスト
Love Like Pop vol.16.5
2013.10.8@日本武道館
- You&Me both
- 彼の落書き
- Loveletter
- 愛の病
- アンドロメダ
- アスパラ
- 恋のスーパーボール
- そんな話
- くちびる
- 恋人
- えりあし
- 青い光
- 小鳥公園
- 鏡
- その目に映して
- ボーイフレンド
- 夏が帰る
- Mix juice
- 君の隣
- オレンジな満月
お知らせ
「Love Like Rock vol.0〜パンツの替えは持って来いよ〜」
ファンクラブ会員限定のライブツアー。
キャパシティ200人規模のライブハウスをはじめ、aikoが初めてワンマンライブを行った江坂MUSE(大阪 当時の名称は江坂ブーミンホール)などプレミアムな7都市8公演となった。
「Love Like Rock vol.6 〜15周年だなんて…やだ、涙が出る〜」
ライブハウスツアー。ZeppTokyoをはじめ、5都市10公演を行った。
「Love Like Pop vol.6 15th Anniversary」
ホールツアー。8都市11公演となるこのツアーは、12月4日東京・NHKホール公演で千秋楽を迎えた。(※12月4日公演は、10月4日の振替公演)