レビュー

aiko | 2011.11.22

「優しく笑う向こうに 絶望があったとしたら」
「あなたに出逢えた事があたしの終わり」
「明るく見える世界の裏も一緒に行こう」
むむむ。正直言って、aikoの楽曲としては問題作と言えないか、これ。そして、これを新境地というのは、やはりちょっと違うかも。なんと言うか…。今回はシンガーソングライターaikoというよりは、職業作家的なスタンスで楽曲を書いたのではないか? そんなことを思うほど、今回の彼女のニューシングル「ずっと」は、今までに無かったタイプの楽曲にして、幅広い意味で、<彼女らしくない要素>が多数噴き出している。

ローなキ―のピアノと、これまたロートーンなaikoの歌声から始まる同曲。好きな人に一途ながら、なんか段々と甘美ながらその先に待っている不幸へと進んで行く、頭では分かっているのだが、知らず知らずにズブズブとその魅惑に引きずりこまれていく。そんなクロスロード的なストーリーが、この歌からは感じ取れる。
同曲は、ドラマ「蜜の味~A Taste Of Honey~」の主題歌。「恋の魔物」をテーマに、「頭を真っ白にして概念を捨てて作った楽曲」と本人は語っており、一途な恋や、その甘美の先に幸せが待っていない危険性が高いストーリー性をはらんだその歌は、ドラマと非常にリンクしている。

上述の職業作家的スタンスというのをもう少し分かりやすく説明すると。今回の楽曲は、ソングライターAIKOが、シンガーaikoに楽曲提供し、シンガーaikoがソングライターAIKOに成り代わり歌っている、そんな感じか。そして、この曲を機に、どことなく今まで彼女にあまり食指が伸びなかった人たち、特に上の層も彼女に興味を持つキッカケになりそうな気がする。
とは言え、作家というのものは、えてして他人に提供することにより、自身でも知らなかった新しい引き出しを見つけ、引き出すポテンシャルも充分に持っていたりする。これを機に、この辺りが彼女の新しい一面として目覚めたりして(笑)。

【 文:池田スカオ和宏 】

tag一覧 シングル 女性ボーカル aiko

リリース情報

ずっと

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発売日: 2011年11月23日

価格: ¥ 1,200(本体)+税

レーベル: ポニーキャニオン

収録曲

1. ずっと
2. 瞬き
3. ぬけがら
4. ずっと (instrumental)

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