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2013年イイニコの日はロックモード!NICO Touches the Walls、次のフェーズへ

NICO Touches the Walls | 2013.12.05

 2?3年後、「あれが重要なターニング・ポイントだった」と思い返すことになるだろう――そんなことさえ考えてしまう、きわめて意義深いライブだった。
 NICO Touches the Wallsが毎年11月25日に開催している“イイニコの日 1125ライブ”。去年は横浜BLITZにてGRAPEVINEとの2マンで行われたが、今年はZEPP DiverCityでガッツリとワンマンライブ。しかも、光村龍哉が当日のブログで「今年の1125は、酸欠注意。」「準備オーライ?」と予告していたように、ロックモード全開の熱狂的なステージが繰り広げられた。

 レッド・ツッェペリンの「移民の歌」といっしょにステージに登場した4人は(ちなみにこの夜のSEは全編ツッェペリンでした)、クールな佇まいでそれぞれの定位置に立ち、おもむろにディープでダイナミックなグルーヴを生み出していく。オープニングナンバーの「1125のテーマ」。《ガンダムの横を通り過ぎて》という歌詞が聴こえた瞬間、オーディエンスから大きな歓声が上がる。さらに「シャク熱のロックンロール・ナイト! 準備はいいか!」という光村のシャウトとともにダンサブルなロックナンバー「アビダルマ」へ突入。この時点で“今日はロックモードで攻めまくる”というメンバーの意思がはっきりと伝わってきた。

 前半でもっとも強く心に残ったのは、「そのTAXI,160km/h」だった。インディーズ時代のミニアルバム『Walls Is Beginning』(2006年リリース)に収録されていたこの曲は、前のめりに突っ走っていうグルーヴと鋭利な響きを放つギターサウンドを軸にしたアッパーチューン。メジャーデビュー前後の爆発的な勢いをキープしたまま、この数年の間に蓄積してきたスキルをたっぷりと反映させたパフォーマンスは、2013年のNICOを明確に示していたと思う。

 「楽しんでる? 11月25日、イイニコの日です。ロックンロール・ナイトと称して、僕たちのロックをフルスロットルでお届けしてます!」「2か月ぶりのライブなんですけど、その間のこのギターを買いました(1972年製のヴィンテージギター。色は真っ赤)。栃木で買ったので、“とちおとめ”と名付けたんですけどね」という光村の笑顔も印象的だった。古村大介、坂倉心悟、対馬祥太郎もいつも以上に楽しそう。“いま、やりたいこと”を全力でやり切っているという手ごたえがはっきりと伝わってくる。

 ライブ後半は、最近のシングルでシリーズ化している女性ボーカル曲のカバーから。まずは「(カバー曲の)新しいやつがあるんですよ」という光村の嬉しそうな言葉に導かれた「イミテイションゴールド」(山口百恵)。もともとロックテイストの強いナンバーなのだが、轟音/静寂のコントラストを強く打ち出すことによって、濃密なバンド・グルーヴと叙情的な歌心を見事に共存させていたのだ。レゲエのリズムを取り入れた「決戦は金曜日」(DREAMS COME TRUE)、初期ビートルズ~サーフィン・ホットロッド風のアレンジが楽しい「SWEET MEMORIES」(松田聖子)も含め、このバンドのアレンジ能力の高さを改めて体感できるシーンだった。

 フィードバックギターから始まる「武家諸法度」からは、まさに熱狂のロックンロール・パーティ状態へと突っ込んでいく。対馬の強靭なビートによってオーディエンスが激しく身体を揺らす「ストロベリーガール」、「ダンスしようぜ!」と光村が叫び、享楽的なムードが広がっていった「バニーガールとダニーボーイ」、ストレートなエイトビートと煌びやかなライティングがひとつになった「GANIMATA GIRL」、そして、古村のロックンロール・フレーズがリードする「THE BUNGY」。こんなにもダイレクトな肉体性を感じられるNICOのステージは、もしかしたら初めてかもしれない。

 アンコールでは「こういうこと、なかなか出来ないからね。シングル1曲しかやってないよ! 知らない曲あっただろ?」という光村のMCに続き、来年に向けたニュースが次々と発表される。ベストアルバムの収録曲の決定、2月に原宿の某所で20日間に渡って行われる(!)ライブ「ニコ タッチズ ザ ウォールズ ノ ヒミツキチ『カベ ニ ミミ』」、さらに8月19日に行われる2度目の日本武道館ライブがアナウンスされると会場全体から祝福の歓声が巻き起こった。さらに最新シングル「ニワカ雨ニモ負ケズ」(←前衛的ともいえるギター・アレンジとポップなメロディが融合した、ひとつの“発明”だと思う)、「好きなように撮ってくれ!」という言葉とともに放たれた「N極とN極」でライブは終了。ギターロックバンドとしての個性を剥き出しにすることで、このバンドは新たなフェーズへと突き進むことになる。そのことをガッチリと確信させる、強烈なステージだったと思う。

【取材・文:森朋之】

tag一覧 ライブ 男性ボーカル NICO Touches the Walls

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リリース情報

ニコ タッチズ ザ ウォールズ ノ ベスト【初回生産限定盤】(CD+DVD)

ニコ タッチズ ザ ウォールズ ノ ベスト【初回生産限定盤】(CD+DVD)

2014年02月05日

Ki/oon Music

[CD]
1.ローハイド(新曲)
2.ニワカ雨ニモ負ケズ
3.Mr.ECHO
4.夏の大三角形
5.手をたたけ
6.バイシクル
7.Diver
8.妄想隊員A
9.マトリョーシカ
10.N極とN極
11.かけら~総べての想いたちへ~
12.ホログラム
13.THE BUNGY
14.Broken Youth
15.梨の花
16.image training(新録)

[DVD]
Studio Live“Walls Is (re)Beginning”
1.そのTAXI,160km/h
2.行方
3.プレイヤ
4.image training
5.病気
6.雨のブルース

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セットリスト

1125(イイニコ)の日ライブ
2013.11.25@Zepp DiverCity

  1. 1125のテーマ
  2. アビダルマ
  3. 業々
  4. そのTAXI, 160km/h
  5. 衝突
  6. 錆びてきた
  7. サラ=レイニーデイ
  8. レオ
  9. demon(is there?)
  10. イミテイションゴールド(Cover)
  11. 決戦は金曜日(Cover)
  12. SWEET MEMORIES(Cover)
  13. 武家諸法度
  14. ストロベリーガール
  15. バニーガールとダニーボーイ
  16. GANIMATA GIRL
  17. THE BUNGY
Encore
  1. GUERNICA
  2. ニワカ雨ニモ負ケズ
  3. N極とN極

お知らせ

■ライブ情報

COUNTDOWN JAPAN 13/14
2013/12/29(日)幕張メッセ国際展示場1〜8ホール、イベントホール

『Ready Set Go!!』Count Down Live2013 ⇒ 2014 supported by A-Sketch
2013/12/31(火)大阪城ホール

ニコ タッチズ ザ ウォールズ ノ フェスト
2014/01/14(火)大阪・なんばHatch (w / BIGMAMA)
2014/01/15(水)愛知・クラブダイアモンドホール(w/ [Champagne])

ニコ タッチズ ザ ウォールズ ノ フェスト
EX THEATER OPENING SERIES GO LIVE VOL.1

2014/01/23(木)東京・EX THEATER ROPPONGI(w / クリープハイプ)

ニコ タッチズ ザ ウォールズ ノ ヒミツキチ「カベ ニ ミミ」
2014/02/01(土)〜201/02/28(金)
東京都渋谷区神宮前5-27-7 B1F
「カベ ニ ミミ」オフィシャルサイト

※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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