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矢井田瞳、音楽に救われた想いを胸に赤坂ブリッツでツアーファイナル!

矢井田 瞳 | 2014.01.09

 SEが流れるなか、軽い足取りでステージに姿を表した矢井田瞳。大きな歓声を受けて、この日のライヴは「Buzzstyle」からスタートした。地声とファルセットを瞬間的に切り替えていく、ヤイコ節ともいえる独特の歌が響き渡る。最新ミニアルバム『123456』を引っさげて、東名阪で開催してきた全国ツアーのファイナル、赤坂ブリッツ公演が幕を開けた。

 アコギに持ち替えて、アルバム『123456』から、続いては「地平線と君と僕」。今回のミニアルバムは、「ヒューマンエレクトリック」をテーマに、生演奏でエレクトロの雰囲気をいかに出すかというコンセプトで制作された。先日の作品インタビューでは、「ライヴでの再現は難しそう」とも言っていたが、なるほど、やはりライヴでは「ヒューマン」の部分が色濃く、生々しい演奏が展開する。

 ドラムの重たいイントロから始まったのは「Ring my bell」。
ステージには向かって左から、SUNNY(Key)、久保田光太郎(G)、FIRE(B)、中畑大樹(Dr)という強力なミュージシャンの演奏を背に、ペルシャ絨毯に立つヤイコがロックな歌を聴かせる。

 「今日は最終日ということでめちゃくちゃ楽しみにしてきました!2013年最後のライヴなので、もう明日からのことは知らん(笑)。全部出し切りたいと思います!」
 そんな生き生きとしたMCのあと、低いギターのうねりにのせてセクシーな声色で歌った「Yes or No」、♪ダーダリライヤーイヤーというエキゾチックなフレーズで幕を開ける「孤独なカウボーイ」と、かっこいいロックナンバーが続いた。

 シンガーソングライター矢井田瞳のパブリックイメージは、00年代初頭の大ヒット曲のイメージのままに、幅広いJ-POPファンに愛されるキャッチーな楽曲を作れる人ではあるが、しかし、ヤイコの歌は、人の心の荒んだ部分をえぐる独特の生々しさがあり、ロックヴォーカリストとしての気質が強いシンガーだと思う。

 SUNNYによるかっこいいピアニカの演奏ではじまる、「Siren」、中畑大樹が両手で激しくシンバルを打ち鳴らしてはじまった歌謡ロック「もぎたての憂鬱」、ピアノとヤイコの声のみで始まり、最後は久保田光太郎(G)とFIRE(B)のツートップがステージ前方ギリギリまで前に出て、ヤイコのアコギとセッションを繰り広げた「雨と嘘」など、バンドメンバーらが奏でる音楽に合わせて、彼女は全身でリズムを刻んでいた。
 演奏がひと段落すると、すかさず会場からは、「ヤイコ、かっこいい!」と、女性の声。女性シンガーのライヴにしては、会場に女性が多く、同性が憧れる女性としてヤイコの存在を実感した。

 中盤、ヤイコは「みなさんはナイスなタイミングで音楽に救われたことはありませんか?」とお客さんに問いかけた。
 「10年くらい前、モヤモヤと暗いトンネルを抜けへん、見失いがちな時があって、そんな時に出会った曲があります。”がんばれ、がんばれ”という言葉が入ったどんな曲よりも納得ができて、ふと自分の心が軽くなったのを感じた曲です」という紹介のあと、HEATWAVEの「雨の後、路は輝く」のカヴァーをアコギ1本で弾き語った。どん底の中で出会ったこの曲を、笑顔を絶やさず歌うヤイコ。
 原曲の《「今日は何の日ですか?」「今日は毎日です」》という部分を、《今日は赤坂ブリッツで大切な人の前で演奏する日です》と、大幅に字余りなまま替え歌にして、会場をワッと沸かせた。

 そして、いよいよライヴはクライマックスへと向かう。キーボード2台で鳴らすスペーシーな雰囲気の「Everything Is In Our Mind」、ヤイコがハンドマイクで自由にステージ上を動きまった「I like」、Fleming & Johnのカヴァー「I’m So Small」、そして「準備はいいかい?」の問いかけのあと、ヤイコの代名詞ともいえる「My Sweet Darlin’」、その1曲1曲の演奏が濃密で、ヤイコと彼女を取り巻くバンドメンバーの音楽への愛情をたっぷり感じる時間だった。ストリングスで刻むリズムのなか、ゴージャスに彩られた「あまよの月」までたっぷりと聴かせると、「音楽最高!」とヤイコ。本当に、それ以上の言葉はいらない。

 「私の人生ソングです」と言って、本編を締めくくったのは、「MY LIFE IS MY MESSAGE ~始まりの靴音~」。久保田はひとまわり小さいギターに持ち替えている。カントリー調のリズムにのって、サビで転調すると、ひときわブライトな空間が広がっていった。

 アンコールは、「親愛なるメンバーたちを紹介します」と、ここまでヤイコのライヴを支えたバンドメンバーを一人ひとり、コール。ソロシンガーのライヴはその音を支えるバンドメンバーとの関係性にも大きく左右されるが、和気藹々のメンバー紹介に、バンドとヤイコのイイ関係を垣間見られた。

 最後は、「みなさんもお家で、職場で、学校で、思いどおりにならないことは多々あるけど、一つひとつ、投げやりにならずに、丁寧にやっていけたらと。私もそれを心がけながら、次も笑顔で会えるようにしたいと思います」、そんな再会の約束と共に、「GOOD OLD DAYZ」。会場の隅々まで視線を投げかけ、満足気な表情を浮かべるヤイコの姿が印象的だった。

【取材・文:秦理絵】
【撮影:田村ヒロ】

tag一覧 ライブ 女性ボーカル 矢井田 瞳

リリース情報

123456

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2013年09月18日

ユニバーサル シグマ

1. DON’T CRY
2. 地平線と君と僕
3. Oasis
4. YES or NO
5. あまよの月
6. GOOD OLD DAYZ

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セットリスト

LIVE TOUR 2013「123456」
2013.12.12@赤坂BLITZ

  1. Buzzstyle
  2. 地平線と君と僕
  3. Ring my bell
  4. Oasis
  5. YES or NO
  6. 孤独なカウボーイ
  7. Siren
  8. もぎたての憂鬱
  9. 雨と嘘
  10. 恋バス
  11. 雨の後、路は輝く
  12. Everything Is In Our Mind
  13. DON’T CRY
  14. I like
  15. I’m So Small
  16. 君の家まで
  17. My Sweet Darlin’
  18. あまよの月
  19. MY LIFE IS MY MESSAGE~始まりの靴音~
Encore
  1. 花と月とアンテナ
  2. GOOD OLD DAYZ

お知らせ

■ライブ情報

ピアニスト塩谷哲氏とのDUOライブ
~しおのやいだ~Acoustic Live

2014/02/10(月)ビルボードライブ東京
2014/02/11(火・祝)ビルボードライブ東京
2014/02/18(火) ビルボードライブ大阪
2014/02/19(水)ビルボードライブ大阪

音市音座2014
2014/03/01(土)日本ガイシホール

※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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