「人生に正解はない」と諭してくれる、矢井田瞳のニューシングル

矢井田 瞳 | 2011.11.29

 矢井田瞳のニューシングル「間違いだらけのダイアリー」は、これまでの自身を振り返りつつ、これからに想いを馳せさせる、聴き終えた後に“人生に正解ってないんだ...”と、爽快さと前向きな気持ちを残してくれるナンバー。アコギを基調とした、力強く勢い溢れるサウンドの上、“今からでも遅くないし、何にでもなれるし、どこへでも行ける!!”とのメッセージが聴く者を鼓舞してくれる。もともとは理系タイプ、なのに大学ではフランス文学を専行、しかし、気づいたらシンガーソングライターになっていたという、まさに「間違いだらけのダイアリー」の歌内容への説得力溢れる経歴を持つ彼女に、今作を中心に色々と話を聞いてみた。

EMTG : 今回の「間違いだらけのダイアリー」は、幅広い人が共感出来る歌内容ですね。
矢井田瞳 : その感想は嬉しいです。今回はドラマ(NHK「ビターシュガー」。アラフォー女性3人が主人公の恋愛友情ドラマ)への書き下ろし曲ということもあり、あまり自分の個人的な思いや価値観を滲ませる作品にはしたくなくて。曲の一部一部に聴く方各々が当てはまり、すっと曲に入り、同化してもらえる、そんなフックを幾つも作ってみました。ドラマに共感する世代の方々のみならず、20代や若い方々に是非聴いてもらいたいですね。
EMTG : 確かに今まで以上に、共感や共鳴という部分が多いです。
矢井田瞳 : とは言え、良いところだけを書きたくなくて。人生って上手くいく時ばかりじゃなく、上手くいかない日や、一見華やかに映っても、一人になると溜め息をついたりしてますからね。その辺りもキチンと投影したかったし。色々な人生があるけど、どれも間違いじゃないことも表したかったんです。
EMTG : 過去を振り返りつつ、未来日記的要素も持つ、両極の同居もいいですね。
矢井田瞳 : 振り返りつつ書くことも多かったですからね。やはり前を向いて過ごす方が楽ですが、この曲をキッカケに自分のこれまでを振り返ったり、思い起こしたりをかなりしたんです。ドラマが<何気ない日常にスポットを当てた内容>とのことだったので、先程の<誰にでもある感>は念頭に置いて作りました。それらを実感させるためにも、普段はあまり参加しない女子会にも参加したし(笑)。
EMTG : その女子会は、どのような方々と?
矢井田瞳 :普通の友達同士ですね。なので、色々な職業で色々なタイプの人が集まりましたよ。だけど、その会に参加したおかけで、色々な女性の色々な考えや相違点や共通項が分かったので、その辺りを上手く曲作りに活かさせてもらいました。
EMTG : 凄く前向きな歌で、聴いているだけで、“よし、自分も今日から何か始めてみよう!!”と思わせてくれますね。
矢井田瞳 : その辺りも注意したポイントで。聴いて、“今日も頑張ろう!!”“明日も頑張ろう!!”そう思ってもらえるような爽快感のある歌を目指しました。その為にそれに合ったサウンドやテンポ感にしたし。
EMTG : 歌も“マイペースで良いんだ”みたいな大らかさを有しつつ、サビでの上昇感がいいですね。
矢井田瞳 : 全体的には、張りのある感じを意識したかな。リラックスさを大切にしながらも、要所要所で声を張ったり、“私、頑張ってるわ!!”的な場所を用意しました(笑)。
EMTG : この曲はアコギを基調に、ハンズクラップ等でお客さんも参加出来る、ライヴ向きな部分が多々あるのも特徴かなと。
矢井田瞳 : そうなんです。最近はライヴを想定しながら作って行く曲が多く、この曲もまさにそれで。勢いや凛とした感じを出したかったんで、最初から<アコギを基調にしよう>というのはありましたね。ハンズクラップにしても、周りのスタッフの、いわゆるプロじゃない方々にも参加してもらい、あえてバラバラな感じで入れてもらったんです。
EMTG : それは何故に?
矢井田瞳 : その方がより人間っぽいじゃないですか(笑)。ちょっとズレてても、その方々の味として、そのまま入れてます。同じく、間の手の「フォーッ」って箇所も同じ方々に手伝ってもらいました。
EMTG : 間奏に入っている、あれですね。
矢井田瞳 : そうそう(笑)。私、けっこう間奏って大切にしていて。大事だと思うんですよね、間奏って。この時代、間奏もアウトロも、はしょられる傾向にあるけど、間奏を経たが故に次の展開が生きる、そこも大事にしたかったんです。しかも、そこに自分が参加出来る要素があれば、なお嬉しいんじゃないかと。なので、この「フォーッ」の部分は、是非ライヴでもみなさんに参加してもらいたいな。
EMTG : M-2の「恋の魔法瓶」は、好きな人の喜ぶ顔が浮かんでくる、ほのぼの感とほのかな幸せが印象的なナンバーですね。
矢井田瞳 : こちらもあえて大袈裟なドラマ性でなく、日々の生活やほのぼのの中にあるドラマ性や思ったことから成立させました。私の実話も交えているんで、かなりリアルなところもありますよ(笑)。歌い出しの「何度歩いても 覚えられない下北沢♪」って箇所なんて、まさにそれで。気づいたら、“あれ?さっきここ渡ったのに...”ってことが多いんです(笑)。この曲は初めてウクレレで作ったんですが、ウクレレ自体が温かい音色を出すので、その音色に合わせて流れ出てきた感じですね。
EMTG : そういえば今回のジャケットでもウクレレを...。
矢井田瞳 : 自前です(笑)。ハワイのカニ・レアというブランドのもので。ちょっとヴィンテージ感があって、ボディには貝殻でハワイ島を模した細工がしてある、お気に入りですね。
EMTG :そのウクレレに凝り出したキッカケって?
矢井田瞳 :アレンジャーの久保田光太郎さんから、「カップリングはウクレレで曲を書いてみたら」的なことを言われたのが最初でしたね。「おっ、そのアイディアいいいな」と思って、翌日にはレンタルして練習していたんですが、そのうちにのめり込んじゃって。気づいたら買ってました(笑)。弾けるようになって初めて書いた曲って、二度と作れないんですよね。方法論や理論を知らない自己流が故のキラキラさがあるというか。セオリー無視の大胆さやバイタリティが、この頃にはある気がします。
EMTG : ポットじゃなく、あえて魔法瓶って言葉の使い方もいい。
矢井田瞳 : 私けっこう固い感じの言葉を使うのが好きなんです。友人のことも旧友とあえて使ったり(笑)。“昔、この「魔法瓶」って言葉を会議で大人達が真剣に決めたんだな...”と、その光景を想像すると面白いじゃないですか(笑)。当時はまさに魔法だったんでしょうね。“お湯がいつまでも冷めない夢のような瓶だ!!”って(笑)。
EMTG : 魔法と言えば、「恋の魔法は2年そこらで解けるらしい」ってフレーズも印象深くて。
矢井田瞳 : <恋のウキウキや脳からのドーパミン、相手に対して恋をしたり盲目になるは最初の2年間><そこからの持続は、お互いの努力次第>って、実はこれテレビから教わったんです (笑)。だけど、この教示って凄く合ってるなって。私も思い当たりますもん(笑)。
EMTG : 聴いていて愛しい人の顔を思い浮かべながら、料理を作っている光景が思い浮かんできますね。
矢井田瞳 : ほぼ私の恋愛観を通して描いてみました(笑)。料理にしても、自分のために作るのと、誰かに食べてもらうために作るのでは全然違いますからね。相手のことを思い浮かべたり、好みを思い返しながら作る料理。それこそそこには特別な愛のスパイスや魔法までも入れ込んでるみたいなもんですから。なので、男性のみなさん、愛しい人が愛を込めて作った料理を無駄にせぬように(笑)。

【 取材・文:池田スカオ和宏 】

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リリース情報

間違いだらけのダイアリー

間違いだらけのダイアリー

2011年11月30日

ユニバーサル シグマ

1. 間違いだらけのダイアリー
2. 恋の魔法瓶
3. 間違いだらけのダイアリー (instrumental)
4. 恋の魔法瓶 (instrumental)

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いただいていた冷凍牡蠣の、焼く以外の食べ方や料理を調べました。生姜や砂糖、酒、みりん、醤油等で、「牡蠣の和風つくだ煮」を作ったんですが、これが非常に美味しくて。白いごはんがすすむ、すすむ(笑)。

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