9mm Parabellum Bullet、熱狂に包まれた10周年記念日本武道館2DAYS!!
9mm Parabellum Bullet | 2014.02.19
9mm Parabellum Bulletが日本武道館で開催した結成10周年記念公演は、初日をLive「O」、2日目をLive「E」と銘打った2DAYSワンマンライヴ。初日はこれまで発表した作品の中から収録曲順が奇数(Odd)の楽曲のみを、2日目は偶数(Even)の楽曲のみを演奏するという試みで、それゆえに両日披露される楽曲に、一切のかぶりなし! この両日とも楽曲がかぶりなしという挑戦的な試みは、ベースの中村和彦が提案したそうだ。また両日共に、当日初披露する新曲のライヴ音源を収録したCDを観客全員にプレゼントしたり、「10th Anniversary 大謝恩抽選会」を行なったりと、大盤振る舞い。サウンドもパフォーマンスもサービス精神も、やることなすこと全てが過剰で、そこから生み出される強烈な熱量に、圧倒的なロマンや、猛烈な昂りを感じさせてくれる9mmらしさ溢れる公演となった。
そのライヴ2日目、ソールドアウトとなった2月8日の天気はまさかの大雪! 関東地方では記録的な積雪を記録するという、何とも運の悪い日になってしまった。しかし、銀世界となった会場には、悪路にも負けず、多くのオーディエンス達が集結。ちなみに、彼らには「銀世界」という曲があるのだが、それは初日で既に披露済み。雪化粧に彩られた武道館を見て、ちょっと残念だなぁと思ったオーディエンスも、きっと多かったに違いない。
開演時間をほどなく過ぎた頃、会場が暗転。爆音で流れるSEに劣らない大歓声に迎えられて、メンバー4人が姿を現わした。滝 善充(Gt.)は上手側の花道を歩いて行き、柵に乗りかかって早くもオーディエンスを煽る。菅原卓郎(Vo.&Gt.)はステージ中央で深く一礼し、それぞれが持ち場につく。「9mm Parabellum Bulletです、こんばんは」と、いつもの挨拶を告げた後、「武道館ーーーー!!!!!」と菅原が絶叫。そこから凄まじい轟音を4人で放出し、ライヴは「Discommunication」からスタート。叫び声をあげながら踊りまくるオーディエンス達の興奮を、早くもテッペンまで登り詰めさせていく。続けざまに「Survive」「Grasshopper」を連射、巻き起こり続ける熱狂を「Vampire Girl」が更に引き上げる。イントロで放たれた4人のジャーン!という一閃だけで巻き起こった大歓声から、この曲へのオーディエンスの愛されっぷりが伝わってきた。
菅原「みんなホントのホントのホントによく来たな! 本当にありがとう! 雪で“来れねー!”って悔しい思いをしてる奴らの分まで楽しんで行ってください。そいつらが“あれ、9mmの曲が聴こえた気がするんだけど”っていうぐらいやるから!」
そして、2009年9月9日に行なったバンド初の武道館ワンマンで新曲として披露、“キンッキンに冷えたやつ”と前置きされた「Cold Edge」をドロップ。そこから「Sleepwalk」「Scarlet Shoes」「3031」と、新旧織り交ぜた楽曲群を乱打し、まったく熱を落とすことなく突き進んで行った。
事前に告知されていた新曲披露は、前半戦のハイライトとして用意されていた。タイトルは「EQ」。EQ=イコライザーと名付けられたこの曲は「自分が思ったことと、自分の身の回りに起きてることが違う、と。いろんなバランスが崩れていると思ったときに、それを正して、真っ直ぐにしていこう」という想いを込めたとのことだった。そんな「EQ」は、疾走するスカのリズムの上を、滝が奏でる不気味かつ幻惑的でエフェクティブなギターが印象的で、その奇怪な音像は、ここからまた新しい狂騒を生み出して行くことを予感させるものだった。
「偶数と言えばカップリング曲でしょ? カップリングにこそ名曲が多いっていうジンクス、俺達もその例に漏れないと思いますよ?」と、ここからはカップリングを3曲続けて披露。特に3連発ラストの、阿波踊りとシャッフルビートを正面衝突させたような「Born To Love You」、そこからMCを挟んで届けられたインスト曲「Wild West Mustang」の西部劇さながらなサウンドは、様々な音楽を吸収しまくって昇華させてきた9mmらしさ溢れる世界であり、また、9mmだからこそ成立させることが出来る独自性に溢れたものだったと思う。
そんな「Wild West Mustung」で走り始めた暴れ馬達が、更にそのスピードを増し、一気に音速の向こう側へ駆け抜けて行くような絵を思い浮かばせた「We are innocent」、そこからカウントを一切挟まずに「Termination」へ突入した流れは、とにかく圧巻! “歌ってくれー!”という煽りに応え、オーディエンスも大合唱。とにかく凄まじい勢いで突っ走って行った──のだが、続く「Finder」では、曲中でテンポをグングンと落として行く。原曲よりも更にギラギラとした怪しさ漂うサウンドを際立たせ、オーディエンスの熱狂を煽り続けた。
ライヴ中盤では、かみじょうちひろがドラムソロを披露。この武道館2DAYSでお披露目となった、YAMAHAの最高級機種・PHXを、クールな表情で鬼のようにしばき上げる。また、途中でスティックを1本落としたフリをして、片手で更に勢いを増しながら叩き上げるというスゴ技も見せつけた。そこからステージにドラムセットが3台運び込まれ、メンバー4人がドラムを叩くというセッションコーナーに! 個人個人の見せ場も交えながら、オーディエンスにクラップを求め、武道館全体が激しく躍動する圧巻の一大セッションを繰り広げた。そんな、らしさ溢れるダイナミックな側面だけでなく、「黒い森の旅人」は、初披露となるバイオリンやチェロといった生の弦楽器隊(「黒い森の楽団」)と共に披露。激情的なサウンドの中で、繊細かつ絶妙なさじ加減を持ったアンサンブルを響かせていた。
クライマックスに差し掛かったMCでは、菅原が「あー、2つの意味で帰りたくねえなー!」と会場を笑わせる。そして、「長いようで短いようで長いような10年だったけど、俺達に出会ってくれたみんなに心からの感謝を表明したいです。どうもありがとう! みんなが帰り道に凍えたりしないように、燃やして行きましょうよ。 心も身体も、武道館も燃やしてしまいましょうよ!」と激しく煽り、歌謡曲テイスト全開で、これぞ9mm!な激情ナンバー「ハートに火をつけて」を、そして、結成初期に生み出され、今も尚その凶暴さを増し続ける「marvelous」「Talking Machine」を投下。オーディエンス達が一心不乱に踊り狂う中、ラストナンバーは「Punishment」。発射された大量の銀テープと、この日最大のカオスな熱狂と、演奏後に残された壮絶なフィードバックノイズが、彼らの10周年を盛大に祝福したのだった。
この武道館公演の模様は、LIVE DVD「act 0」「act E」として、5月7日に発売。また、7月にはバンド初のベストアルバムをリリースすることも発表された。詳細等はまだ不明だが、追って発表されるのでホームページを確認してほしい。10周年という大きな通過点を迎えた9mm Parabellum Bullet。これからも、その強烈なまでの過剰な“らしさ”に磨きをかけながら、ひたすら突き進んで行ってほしい。
【取材・文:山口哲生】
【撮影:橋本塁(SOUND SHOOTER)】
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9mm Parabellum Bullet
リリース情報
リリース情報
セットリスト
10th Anniversary Live「E」
2014.2.8@日本武道館
- Discommunication
- Survive
- Grasshopper
- Vampiregirl
- Cold Edge
- Sleepwalk
- 3031
- EQ
- ラストラウンド
- エレヴェーターに乗って
- Bone To Love You
- We West Mustang
- We are Innocent
- Termination
- Finder
- Monday
- Keyword
- 命のゼンマイ
- 黒い森の旅人
- ハートに火をつけて
- Zero Gravity
- marvelous
- Talking Machine
- Punishment
お知らせ
9mm Parabellum Bullet×THE BACK HORN『決闘披露宴』
2014/03/01(土) 宮古KLUB COUNTER ACTION MIYAKO
2014/03/02(日) 大船渡LIVE HOUSE FREAKS
2014/03/04(火) 石巻BLUE RESISTANCE
2014/03/05(水) いわきCLUB SONIC
2014/03/17(月) Zepp Namba
2014/03/18(火) Zepp Nagoya
2014/03/27(木) Zepp Tokyo
※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。