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[Champagne]から[Alexandros]へ!! ド派手でドラマティックな日本武道館公演

[Champagne] | 2014.04.09

 初の武道館公演の場で、バンドが名前を変えるなんて前代未聞。それを堂々とやってのけるというので、武道館に駆け付けた。[Champagne]としての最後のライブは、どんなものだったのだろう。

 開演前の会場は、10代後半を中心とした若いファンが大半を占めている。そういえば入口に向かうとき、BIGMAMAやNICO Touches the Wallsなど同世代バンドのメンバーが関係者受付に並んでいた。ファンと合わせて、いかにもこれからのJ-ROCKを担う新世代の武道館という雰囲気だ。だから2階席上部までぎっしり埋めたオーディエンスのムードは、改名に対する不安より、今から始まるライブに対する期待が圧倒的に勝っている。

 暗転になると、まずライトショーが始まり、期待感をさらに高める。終わるとステージに4人のメンバーが登場。1曲目は「Rise」。「アルバム『Me No Do Karate.』のオープニング・ナンバーだ。PAから流れ出るサウンドが、のっけからいい。それでも庄村聡泰のドラムも、白井眞輝のギターも、磯部寛之のベースもやや前のめりの演奏で、気がはやっている感じ。それもまた“初武道館”らしくて、こちらまでドキドキしてくる。そうした嬉しいプレッシャーをすべてはねのけて圧倒するのは、川上洋平のボーカルだ。後半のサビでは早くもシンガロングが起こる。すかさず川上はステージ右サイドへ、磯部は左サイドへ展開。「最高の夜にしようぜ!」と川上が手に持ったマイクで叫ぶと、たった1曲でバンドは大きなアドバンテージを獲得したのだった。

 続く「Burger Queen」は、川上もギターを弾くパワフルなインストだ。庄村のルーズなハイハットも、白井のスタイリッシュなギターワークも、切れの良いハードロック・テイストの音を奏でる。メンバーはもういつもの調子を取り戻している。つくづく学習能力の高いバ ンドだ。

 照明がやたらと派手だ。ライブが始まったときからムービングライトは点滅を繰り返し、レーザーは縦横無尽に会場の壁を駆け巡る。こんなことをしたら普通トゥーマッチになってしまうところだが、バンドのダイナミックな演奏やパフォーマンスによく似合っている。おそらく照明プランナーは、このバンドの音楽の狙いをよく知っている。 もっとわかりやすく言えば、[Champagne]の音楽を愛している。その上で、こうした派手なライティングが選択されたのだ。今、日本ではたくさんのライブが行なわれているが、照明ひとつ取ってもその質の差はどんどん大きくなっている。先ほど“新世代の武道館”と書いたが、僕はこのライティングの新しさを見て確信を深めたのだった。

 スタート・セクションで、すでに武道館を把握したパフォーマンスが展開される。おそらくメンバーは、すでに“武道館の次”を意識しているのだろう。その覚悟が、不必要な緊張を取り除き、自分たちも楽しみながらの演奏を可能にしている。

 「武道館にはBoyz II MENやアジカンを観に来たことがある。それに続いてここに立つことができた。そんな先輩たちに捧げます」と川上が言って歌った「涙がこぼれそう」が前半のハイライトだった。オーディエンスのシンガロングがさっき以上の大声で響く。

 後半の面白パートは、MCだった。川上が「ここで初の試みをやります。ギターの白井はデビュー以来、MCをしたことがありません。それは『オレがしゃべるとしたら、武道館クラスだな』と言ったからです」とバトンを渡すと、白井がしゃべり出した。もしかしたら話が苦手なのかなというこちらの心配をよそに、白井は川上との出会いなどとても楽しそうにべらべらしゃべる。苦手どころか、実は彼はかなりしゃべり好きだ。だとすると、うっかり言ってしまったひと言のせいで、これまでかなり我慢してきたことになる。J-ROCKシーンのミスター・ビッグマウスこと川上は、自分のことは棚に上げて、他人のビッグマウスに厳しいのだ。そんな川上の性格丸出しの計らいに気が付いて、思わず笑ってしまった。だからこそ、白井のビッグマウスが実現したことをいちばん喜んでいるのは川上だと思ったとき、ちょっぴり泣けてきた。

 絶好調でライブは進む。さすがに全曲を全力で演奏するから、“武道館の次”はもうすこし緩急があった方がいいかなとは思うものの、勢いは止まらない。「皆さん、今日はありがとう。そしてこのバンド名にありがとうと言わせてください。あ、解散じゃなくて、改名ですからね!」と川上が言って、[Champagne]としての最後の曲「Plus Altra」を演奏する。バックには8人編成のストリングスが登場して、バンドの未来像をきっちり提示して締めくくったのが頼もしかった。

 若いファンたちは上気した顔でアンコールを求める。再びステージに現われたメンバーを代表して、川上が「初めまして、[Alexandros]です」と宣言。同時にステージ後方に[Alexandros]という文字が映し出される。当然どよめきが起こったが、「大丈夫、すぐ慣れるよ」と川上があっけらかんと言い放ったのが印象的だった。いちばん残念なのはメンバーのはずなのに、見事に気持ちを切り替えている。「早速、新曲やってもいいですか?」と言って、すぐに演奏を始める。[Alexandros]として最初に演奏するのは、[Champagne]のナンバーではない。それが新バンド名[Alexandros]に対する礼儀であり、ここからまた新たなスタートラインに立つ覚悟が伝わってきた。

 武道館後を視野に入れた確信犯的ライブだなと感じた。視野に入れているからこそ、改名を前面に打ち出したのだと思った。そこから[Alexandros]として、「Forever Young」などの盛り上がりナンバーを初披露。ダブルアンコールが終わるまでには、バンドはすっかり[Alexandros]になっていた。[Alexandros]は 文句なしに2014年のブライテスト・ホープだ。

【取材・文:平山雄一】
【撮影:AZUSA TAKADA、Yuki Kawamoto】

tag一覧 ライブ 男性ボーカル [Champagne] [Alexandros]

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リリース情報

Run Away / Oblivion(初回限定盤)

Run Away / Oblivion(初回限定盤)

2013年12月25日

UK.PROJECT

1. Run Away
2. Oblivion(feat. LITHIUM HOMME)
3. Rise
4. Paint Your Socks Into Pink

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セットリスト

We Don’t Learn Anything Tour 2013-2014
2014.3.28@日本武道館

  1. Rise
  2. Burger Queen
  3. Stimulator
  4. Waitress, Waitress!
  5. Yeah Yeah Yeah
  6. Ho!
  7. 言え
  8. 涙がこぼれそう
  9. Travel
  10. Instrumental Medley
  11. Wanna Get Out
  12. city
  13. Cat 2
  14. Kick&Spin
  15. Run Away
  16. Oblivion
  17. Starrrrrrr
  18. Plus Altra
ENCORE
  1. Burger Queen
  2. 新曲
  3. For Freedom
  4. Forever Young
  5. Don’t Fuck With Yoohei Kawakami
W ENCORE
  1. Untitled

お知らせ

■ライブ情報

We Don’t Learn Anything Tour 2013-2014
2014/04/10(木)Zepp Namba Osaka
2014/04/11(金)Zepp Namba Osaka
2014/04/13(日)Zepp Fukuoka
2014/04/20(日)Zepp Sapporo
2014/04/28(月)Zepp Nagoya
2014/04/29(火・祝)Zepp Nagoya
2014/05/09(金)Zepp Tokyo
2014/05/10(土)Zepp Tokyo

UKFC on the Road 2014
2014/07/15(火)大阪 BIGCAT
[Alexandros]/BIGMAMA/TOTALFAT/
Opening Act

2014/07/16(水)名古屋 DIAMOND HALL
[Alexandros]/the telephones/TOTALFAT/
Opening Act

2014/08/20(水)新木場 STUDIO COAST
[Alexandros]/BIGMAMA/POLYSICS/
the telephones/TOTALFAT/and more

2014/08/21(木)新木場 STUDIO COAST
[Alexandros]/BIGMAMA/POLYSICS/
the telephones/TOTALFAT/and more

※詳細、その他のライブ情報は、オフィシャルサイトをご覧ください。

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