次章のスタートを高らかに告げる、[Champagne]のニューシングル
[Champagne] | 2013.01.31
このインタビューの3日後、 [Champagne](シャンペイン)は、人気音楽番組『ミュージックステーション』に出演した。ロックバンドが出演する機会が、そう多くないその番組中、彼らに接し、興味を持ち、ここに辿り着いた方もおられると思う。彼らの何があなたの心を捉え、興味を沸かせ、ここまでたどり着かせたのだろう?
その答えの一つが今回のニューシングル「starrrrrrr/涙がこぼれそう」の中に潜んでいる。
<[Champagne]の次章スタートでもある曲>と文中自らが語っている通り、今回のシングルは、彼らのデビュー当初の初々しさや新鮮味をもう一度蘇らせつつも、更なるインディヴィデュアルさと今の表現力やセンスを交え伝えられたもの。「starrrrrrr feat. GEROCK」は、疾走感や勢い、ラテンの熱さが、自らが秘めた情熱と相まり、とてつもない上昇感を聴く者に与えてくれ、対照的なアプローチとも言える「涙がこぼれそう」は、シンプルな展開と少ない情報量の歌ながら、その前後の物語も我々に浮かばせる。
あなたのその湧いた興味を更に掻き立て、”求めていたのは、コレ!!”といった確信に変えてくれる、そんな新作となった今作について、ボーカル&ギターであり、ソングライティングを担う川上洋平に、数日後に出演を控えた『ミュージックステーション』への心象や思い、意義等を交え、答えてもらった。
- EMTG:3日後には、いよいよミュージックステーション(以下:Mステ)に出演されるわけですが、心中いかがですか?
- 川上:単純に嬉しいですよ。我々みたいなインディーズバンドが、ロック好きだけじゃなく、幅広い人に観てもらえる、そんなチャンスってそうないですからね。ありがたいとさえ思ってます。あと、単純に昔から観ていた番組に出れる嬉しさもあるし。タモ(タモリ)さんと会えるんですよ。そりゃ嬉しいですよ(笑)。
- EMTG:当日の共演も普段の皆さんとは全く接点の無い方々ですもんね。
- 川上:まっ、出た次の日から生活がガラッと変わるとか、人生が大きく変わるとかは、ないでしょうけど、ロックバンドである自分たちが、あそこに混じって演奏できたり、歌えたりすることには、非常に意義があると思ってます。僕が子供の頃って、テレビの歌番組にロックもポップスも歌謡曲も一緒くたで出てるのが当たり前だったけど、今はギターを持ったアーティストがチャートに居なければ、音楽番組にもほぼいないですからね。たまに出ても、逆に、<世の中にはこんな音楽を演っている人もいるんです>的なレアな存在扱いだし。自分たちのようなロックバンドがもっと音楽の世界で幅を効かせられる時代になっていけば、取り戻せていければいいなと思ってます。
- EMTG:おっ、それはロックバンドの復権宣言ですか?
- 川上:まっ、そこまで大げさじゃないにせよ、そういった時代になってくれれば嬉しいですよね。だけど基本、僕はロックバンド好きの為だけに演っている意識は、はなから持ってなくて。いわゆる一部のロックバンドの持っているマイナー思考やサブカル思考は全く持ち合わせていないんです。逆にそれこそ10万人規模のライヴもいずれ演りたいとさえ思ってるし(笑)。それにはやはり、”ロックはあまり聴かないけど、[Champagne]は好き””[Champagne]のこの曲は好き”、そんな人を増やしていきたいんです。そのための術の一つとでも言うか…。幾らロックフェスで数万人を集めたとしても、そこ以外のところでは、自分たちの存在や曲をどれぐらい知っているかといったら、疑問ですからね。でも、それって時代だけじゃなく、ロックバンド側からの発信も弱いからだろうし。
- EMTG:テレビでプレイすることについてはいかがですか?多分テレビサイズに曲も短縮しなくてはならないでしょうし、ライヴ形式とは言え、やはり普段のライヴとも違いそうですが。
- 川上:どこをどう切り取られても一番カッコいいところを魅せられる自信はあります。さすがに生のライヴ感までは伝えることが出来ないので、映る自分たちを観て、"かっこいい!""もっと観てみたい!"と、次にライヴに来てもらえたり、音源を手に入れたいと思わせるきっかけになれればなと。いわゆる全部食べさせず、試食だけで、もっと食べたくさせて(笑)…続きは購入してって感じ(笑)。
- EMTG:続きはWEBで、みたいだ(笑)?
- 川上:まっ、それが僕らの場合はライヴ会場ですけど(笑)。とは言え、テレビだからって特別なことをするつもりもないし。背伸びもするつもりもない。普段の自分たちを見せるだけです。
- EMTG:当日のプレイ曲は「starrrrrrr」ですね。
- 川上:そうです。これを通して、自分たちが目指しているものに少しでも近づけたらなと。今回の出演は、その為のステップアップの一つでもあるし。まっ、ここで満足していたら、僕らの壮大な目的は達成できませんからね。もっともっと、上を目指してますから、自分ら。
- EMTG:せっかくの機会なので、歌もしっかり聴いて欲しいところですね。
- 川上:そうなんです。これまでの自分達は、どちらかというとアレンジに重きを置いていたところがあったんです。トリッキーなところとか、奇抜さとか。そこから楽曲全体に惹き込む目論見があったんですが、今回のシングルの2曲は、それよりももっとメロディを重視してますからね。メロディをより前面に出してみたというか。僕らの曲って、これまでは基本ライブでシンガロングしにくかったんですよね(笑)。対して今作は、<実はメロディもいいんだゾ!>と。メロディを殺さないアレンジ、その辺りは特に意識しました。
- EMTG:いやー、ホント今回の「starrrrrrr/涙がこぼれそう」は、両曲グッドメローですもんね。
- 川上:デビューして4年目を迎え、新たなステップというか、次に行く新鮮な気持ちながら初心に返ったところはあるかな。いわゆるデビュー曲に気持ちは近いかも。もちろんその間に成長もしてるし、新しさも各所で取り入れてはいますが、あのEマイナーのコードで掻き鳴らしていた頃の感じに近いというか。ただ、あの頃よりは、確実にスケールがデカくなった自負はあります。
- EMTG:確かに初々しさやイキイキとした感じも多分に擁してますもんね。
- 川上:前作で3部作が完成したので、そこで一旦区切り的な意識があったんです。ここからは新たなる3部作の第1部って感じで。"ここからまた新しい自分たちを見せてやるぜ!"と。その幕開けにぴったりの1枚になったかな。
- EMTG:新たなインディビジュアルさもしっかり併せ持ってるし。
- 川上:「starrrrrrr feat. GEROCK」の方は、GEROCKとも共演してますからね(天然炭酸水GEROLSTEINERの炭酸音を楽曲にフィーチャーしている意)。自由な音というか、自分たちにない音を得れたし、それにより、下から這い上がってくるところも表せたかなって。爽快感よりも上昇感というか。GEROCK側からのリクエストも「自由に作ってもらっていいですから」だったし。
- EMTG:現れては消えていく気泡と、歌の中で浮かんでくる夢や理想の自分とが凄くリンクしたんですよ。それぞれ上に向かって登っていく意味合いも含めて。
- 川上:歌詞の内容は、去年の夏ぐらいに実際に自分が感じたことを書きました。去年の夏フェスで、多くの人たちの前でプレイ出来たり、前年よりも更に大きなステージに立つことが出来たんですけど、同時にやっぱりもっともっと次の高みへと憧れ出したんです。他のアーティストやステージを観て、まだまだ上があるなって、逆に実感させられて。その悔しさを書き殴ったのが、この曲だったりするんです。そこに自分の信念や想いも書き残したかったし。悔しさがメインになってはいますが、<うちらはNo.1になってやるゾ!!>の宣言でもある。それこそ今回は、最初から最後まで書き殴っている感じ(笑)。
- EMTG:しかも、それをあえてストレートに伝えず、情景を思い浮かべさせつつ心情も感じさせる歌詞表現も秀逸です。
- 川上:なんか星空ってイメージはあったんですよね。キラキラした掴めない対象や憧れている存在や場所というか。まっ、それに対してのやっかみです(笑)。"ちくしょー、俺もいつかは..."って。
- EMTG:歌声もかなり剥き出しで非常にエモいですもんね。
- 川上:その辺りはコードの流れで表したところも今回は大きいんです。アレンジに頼るのではなく、その隙間を絶妙な流れで表すというか。それによって、隙間にある何て表現して良いか分からない絶妙な感じも表せたかなと。これによって、シンプルな歌い上げなんだけど、これまでになかった感情も表せたとは思ってます。
- EMTG:M-2の「涙がこぼれそう」は、「starrrrrrr feat. GEROCK」とは対照的ですね。
- 川上:振られたか?振られてないのか?分かりにくい、その絶妙さがイイでしょ(笑)?まっ、自分たちには珍しい恋愛ソングです。これは初めてストーリー調に書いたもので。自分の含め、男から見た男のアホさ加減を描きました(笑)。
- EMTG:後半の相手の「涙がこぼれそう」と、自分の「涙がこぼれそう」が同じ言葉ながら対照的な意味合いに響くのが印象的でした。
- 川上:男は嬉しくて泣くけど、女の子は、”この人、勘違いしているんだな…”と思って泣くと。”ごめんね、ホントは実はあなたのことそんなに...”って(笑)。
- EMTG:いやー、痛々しい。そうだったんですね。僕はてっきり、[Champagne]と、そのファンを例えて歌っていると思ってました。<俺にどんなことがあっても、おまえ達がいてくれたら、それで幸せだ>と歌っていると。
- 川上:そう思っていただいても全然OKです。あえて、捉え方を自由にしているところもあるんで。
- EMTG:歌詞もメロディもあえてシンプルで、あえて少ない情報量で、聴き手の中に物語を広げさせてくれる曲ですね。ラストの件も含め(笑)。
- 川上:狙ったのは、そこで。ポツンという一滴の歌詞で広がらせる、そこは考えましたね。シンプルに伝えつつも、サウンドは、あえて綺麗にせず、グランジ的な音で、あえて荒しています。ギターもジャズマスターを使いました。
- EMTG:最後に聴きどころを。
- 川上:これが1stシングルだと思ってもらってかまいません。新しい[Champagne]とでも言うか。また新たにデビューした気持ちでもありますからね、今作は。まっ、次に会った時も、同じようなことを言うかもしれないけど(笑)。基本、 [Champagne]は、自分達のことを飽きるバンドですから。ジャンルレスでもありたいし。
- EMTG:それは?
- 川上:ロックでもあるし、ポップスでもあるし…。なので、一つを求道的に挑むよりは、その中間で、どちらにも行けるスタンスでありたいんです。昔、ノエル・ギャラガーがインタビューで、「俺たちはPOCK(ROCK+POPS)だ」って言ったのを見て、”俺もこれだ!!”と。”そこを目指そう!!”と思いましたもん。今のところ不良になったり、ポリティカルに走る予定もないので(笑)、当面は曲はやはりガツンとしつつも、みんなで歌える曲を作っていきたいなと。で、より多くの人に届けばいいなと。
- EMTG:そう考えると今回のMステに出ることは[Champagne]にとって、かなり意義のあるものになりそうですね。
- 川上:まっ、賛否両論あるでしょうけど (笑)。その辺り、覚悟してますから。だって、僕、ノエル・ギャラガーが「笑っていいとも!」やMステに出た際、”うわっ、やってくれたよ、スゲエ!!”って凄く嬉しかったですもん。なので、そういった複雑な心境の人たちにも納得してもらえ、祝福してもらえるぐらいのパフォーマンスや、今後の成功をしなくちゃなと今は思ってます。
【取材・文:池田スカオ和宏】
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[Champagne]が、この夏、アルバムからのリカットシングル「Kill Me If You Can」をリリース。フロントマン、川上が同作品を強気に語る
ビデオコメント
リリース情報
starrrrrrr/涙がこぼれそう
2013年01月23日
RX-RECORDS/UK.PROJECT
2. 涙がこぼれそう
3. 12/26以降の年末ソング (Live at SHIBUYA-AX)
このアルバムを購入
お知らせ
●川上洋平
UGG Jimmy Chooモデル
UGG Jimmy Chooモデルを検索して買ったんですけれど、それが今朝ちょうど届いたんです(履いていたブーツを見せる。上部のコメント動画参照)。こんなの買っちゃって、頭おかしいですよね、俺(笑)。こんなの女の人でも履いている人、いませんよ。たぶん、今シーズンで(履くのは)終わりだと思いますけど(笑)。
■ライブ情報
BEA×Zepp Fukuoka presents "F-X"
2013/02/23(土)Zepp Fukuoka
ユウベル presents "MUSIC CUBE 13"
2013/03/16(土)広島市内ライブハウス
[Champagne] TOUR 2013 Venga Venga!
〜四人暮らしを解消すれば君も…Perfect Body!!〜
2013/04/08(月)新宿LOFT
2013/04/09(火)代官山UNIT
2013/04/12(金)渋谷CLUB QUATTRO
2013/04/13(土)恵比寿LIQUIDROOM
2013/04/19(金)梅田AKASO
2013/04/20(土)梅田CLUB QUATTRO
2013/04/26(金)名古屋Electric Lady Land
2013/04/27(土)名古屋CLUB QUATTRO
※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。