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テスラは泣かない。飛躍を予感させる渾身のレコ発ツアー最終公演!!

テスラは泣かない。 | 2014.08.11

 “テスラは泣かない。”。鹿児島在住の4人組である。コンスタントなリリース、地元を中心にしたライヴ活動で、九州地区で着実に知名度と動員力を伸ばしてきた彼らが、この4月、シングル「Lie to myself」でメジャー・デビューを果たした。ライヴで足を運ぶ範囲も全国区に広がる中、6月25日には、メジャーファーストアルバム『TESLA doesn’t know how to cry.』をリリース。このアルバムのレコ発ツアーの最終公演が、7月18日、金曜日、渋谷WWWで行われた。
 彼らにとって、初の東京ワンマンライブだ。

 会場が暗くなる。メンバーが1人ずつ姿を表す。ベースの吉牟田(よしむた)直和 は、いきなりガッツポーズでの登場だ。そのテンションの高さに客席もガッツポーズでレスポンスする。それぞれのペースでスタンバイする4人。ステージバックから強烈なライト。オープニングを飾ったのは「cold girl lost fiction」。攻めるようなベースのリズムと、じゃれるように逃げるピアノだけでAメロが進む。ボーカル&ギターの村上学の両手が、リズムの起伏をなぞるように上下する。会場の中にいる全員が、曲のブレイクを待っている。村上、吉牟田、ピアノ&コーラスの飯野桃子が、少し腰を落とすようにして、ドラムの實吉(さねよし)祐一に視線を向けた刹那、メンバーのアクションに合わせサウンドが噴火した。一転してエモーショナルなサビ。観客たちの両手があがる。間髪入れず次の曲へ。ピアノの旋律が跳ねる。ギターのフレーズが追いかけ「Cry Cry Cry」。前述したアルバムのオープニングを飾るこの曲は、テーマも含め、アルバムの象徴と言ってもいい1曲だ。實吉が、スティックを持った右手を頭上に挙げて立ち上がり、着席と同時にラウドな音を叩きだす。観客と一緒にクラップした次の瞬間、激しいアクションでベースを弾きまくる吉牟田。まるで、目まぐるしく変わるフレーズを体現しているかのようだ。

 最初のMC。村上がマイクをとった。
「改めまして、テスラは泣かない。です。今日は来てくれてありがとうございます」と挨拶。初の東京ワンマンに「僕たちにとっては、間違いなく忘れられない夜になると思います。みなさんにとっても、忘れられない夜になればと思うので、僕ら、存分に演奏したいと思います!」
 律儀な口調ながらテンションが伝わるMCの後は、デビューシングル「Lie to myself」。イントロで拍手が起こる。後半に向け、ヘッドバンキングする観客の姿も見えた。

 中盤では、数曲続けてダウン・テンポな楽曲を演奏。特に印象的だったのは、8曲目の「Calico」。ミディアム・テンポのこの曲は、スケール感あるサビメロが特徴のロック・チューンで、このバンドがフレーズやテクニックだけに偏らず、メロディーも大切にしているのがわかる秀逸な1曲だ。
 サウンドコラージュの要素も垣間見せるミディアム・ナンバー「Arc」で、観客の体温とエモーションをクールダウンさせた後は、新曲を披露。この曲は新しいアプローチのロックナンバーで、飯野のピアノとコーラスがまったく絡んでこない。ハードコアやラウドを彷彿させるイントロのから、陰影あるメロディーがサビで鮮やかに反転する。スコーンと抜けていく解放感=キャッチーさは、彼らの楽曲の中でも屈指のクオリティーだったのではあるまいか。揺れ続けていた観客の動きも、それまでとは少し違う動きになっていった。

 ライヴは後半へ。村上の「みなさんの“めんどくせえ”を僕たちにぶつけてください!」という言葉から「めんどくせえ」へ。村上と飯野のツイン・ボーカルがスピーディーに紡ぐアップ・チューン。リフレインの中心にあるフレーズは、♪もう めんどくせえな という歌詞。観客も一緒に、フレーズを叫ぶ。踊るだけでなく、歌うことでフレーズを共有していくステージと客席。ライヴは、エンディングへ向け、急上昇でフライトしていく。ラテンなアプローチが面白い「イムソン」は、テスラは泣かない。のタンゴorカルメンの解釈か。そう言えば、タンゴもカルメンも、ダンスミュージックだな、なんて思ったり。高速ナンバー「梵」を経て最後のMCへ。

「みなさんとここで踊れたことが、すごく幸せでした」
 この村上の言葉を受けて、4人が本編最後にスパークさせたのが「アンダーソン」。頭を振りながらドラムを叩き続けていた實吉。その眼鏡がいつのまにか無い。吹っ飛んだのだろう。ステージを跳ね回っていたベースの吉牟田が、大きな口で一緒に歌う。ずっと笑顔でピアノを弾いていた飯野が、苦しげにシャウトする。村上は、マイクに噛みつくように、ずっと前を見据えて歌い続ける。

 エンディング。メンバー全員が呼吸を合わせ、ダイナミックにブレイク。塊りのようなサウンドも、エモーショナルなパフォーマンスも、バンドとしての底力を感じるまさに “渾身の一撃”だった。
 アンコールでは、「今日を特別な日にしたいので1人でやります」という村上の言葉から、ギターの弾き語りで「交差点」。最後は、ピアノの連打がロマンチックな「Shake your hands good bye.」。「本当にありがとうございました」と一旦、姿を消した4人。鳴り止まぬ拍手とアンコールの声に、驚いたような表情で再びステージへ。

「ダブルアンコール、すげぇ嬉しいです。本当にありがとうございます」と村上。最後は「最後に俺らのマグマロック、聴いてもらっていいですか?」と、メニューに無かった「歩も金になって」を披露した。
 20時40分。テスラは泣かない。の東京初ワンマンライヴは幕を閉じた。

 いくつかの夏フェスへの出演も決定している「テスラは泣かない。」。本州最南端の地・鹿児島で産声をあげた彼らにとっては、ベストな季節と言えるのではなかろうか。
 そして9月からは、約1年ぶりの全国ツアー「tour 2014 “Tell me how to CRY.”」がスタートする。
 さあ。季節は来た。本領発揮はこれからだ。

【取材・文:伊藤亜希】

tag一覧 ライブ 男性ボーカル テスラは泣かない。

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リリース情報

TESLA doesn’t know how to cry.(初回限定盤)[CD+DVD]

TESLA doesn’t know how to cry.(初回限定盤)[CD+DVD]

2014年06月25日

ユニバーサル ミュージック

1. Cry Cry Cry
2. Lie to myself
3. My world is not yours
4. fuga
5. めんどくせえ
6. Arc
7. cold girl lost fiction
8. パルモア
9. シャドウ
10. Someday

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お知らせ

■ライブ情報

tour 2014 “Tell me how to CRY.”
2014/09/09(火)新潟GOLDEN PIGS BLACK STAGE
2014/09/20(土)仙台PARK SQUARE
2014/09/22(月)札幌COLONY
2014/09/27(土)広島CAVE-BE
2014/09/28(日)梅田Shangri-La
2014/10/03(金)名古屋APOLLO BASE
2014/10/13(月祝)福岡Queblick
2014/10/14(火)岡山CRAZYMAMA 2nd Room
2014/10/17(金)代官山UNIT
2014/11/01(土)鹿児島CAPARVOホール

※詳細、そのほかのライブ情報は、オフィシャルサイトをご覧ください。

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