前へ

次へ

THE BACK HORN×クリープハイプ 生々しく、激しいライブを披露!

THE BACK HORN | 2014.11.27

 THE BACK HORNとクリープハイプ。初めての組み合わせとなったこの日、二つのバンドは、生々しく、激しく、あふれる熱をそのまま放つようなライブを観せてくれた。

 11月13日、川崎クラブチッタ。この日に開催されたのは「KYO-MEI 対バンライブ in KAWASAKI」。THE BACK HORNが気になるアーティストを招いて行う対バンシリーズ企画だ。後輩にあたるクリープハイプを招いての組み合わせから見えてきたのは、どんな時にも真っ向から目の前のオーディエンスに向き合ってきた二つのバンドに共通する底力だった。

 19時の開演を迎え、まずはクリープハイプが登場。尾崎世界観(Vo/G)、小川幸慈(G)、小泉拓(Dr)、長谷川カオナシ(B)の4人がステージに現れると、まず尾崎はシングルとしてリリースされたばかりの「百八円の恋」を弾き語りで歌い始める。黒一色のシンプルな舞台セットに、静かな歌声で、グッと惹き込むスタートを見せる。そのまま新曲「社会の窓と同じ構成」へ。新曲2曲を立て続けに披露する攻めのセットだ。

 12月3日にニューアルバム『一つになれないなら、せめて二つだけでいよう』をリリースする彼ら。この日に披露した楽曲のうち、既発シングルも含めて半分がそこからの楽曲だった。そこにはバンドの新たなモードも伺える。「HE IS MINE」のようなお客さんのコールを巻き込むタイプの楽曲や「社会の窓」などアップテンポで攻撃的なナンバーも披露しつつ、より“聴かせる”楽曲が増えてきている印象だ。

 「呼んでいただいて嬉しいです。高校生から聴いていたので、同じステージに立ててありがたいと思ってます」と、MCでは先輩・THE BACK HORNへの感謝を伝えた尾崎。終盤では長谷川カオナシとのコーラスが映える「グレーマンのせいにする」に続き、「聴いてくれる人に少しでも思い出してもらえたらと思ってるんです。ギターに傷がついていたら『あの時の傷だ』って思い出せるけれど、歌にもそういうのがあればいいと思って」と「傷つける」を披露。最後に歌った「二十九、三十」まで、着実に染みていくような歌の力を届けてくれた。

 続いて登場したのはTHE BACK HORN。ヘヴィかつドラマティックな「閉ざされた世界」で、一気にフロアを掌握する。彼らが観せたのは、山田将司(Vo)、菅波栄純(G)、岡峰光舟(B)、松田晋二(Dr)の4人がまるで一つの塊になっているかのように感じられるアンサンブル。あくまで尾崎の歌が中心にあるクリープハイプと対比すると、よりそれが対照的に感じられる。続いて「赤い靴」「声」とパワフルな演奏を繰り広げ、松田が「痺れるような夜を皆さんと一緒に過ごしたい。今日はクリープハイプをお招きして濃厚な一夜を作っていきたいと思います」と告げる。

 「ヒリヒリした夜になりそうな予感が実現した」とも松田は語っていたが、それを強く実感したのが中盤に披露された「美しい名前」。張り詰めた緊迫感の中、4人の全力がぶつかり合う瞬間が熱を高めていく。ちなみに、この日のライブが行われた川崎クラブチッタは、11月から公開された映画『光の音色-THE BACK HORN Film-』の撮影に用いられた場所でもあるという。結成15周年を超え、唯一無二の存在感を貫きながらも、様々なカルチャーと積極的に交わっていく。そこもバンドの魅力の一つだと感じる。

 MCでは「色気があって大好き」(菅波)などと対バン相手のクリープハイプを絶賛していた彼ら。終盤「シンメトリー」では、ニューアルバム『暁のファンファーレ』で切り拓いた祝祭感あふれる新たなモードを見せた。「コバルトブルー」「戦う君よ」と白熱の度合いをさらに増し、怒涛のクライマックスの中で本編は終了。「クリープハイプ、ありがとう。これからよろしく!」と山田が告げたアンコールでは「シンフォニア」を披露し、全てのエネルギーを放ち尽くしたかのような笑顔で4人はステージを去った。

 ロックバンドにとっての「激情」とはどういうものか。そういうことを、二つのバンドがそれぞれのアプローチで観せてくれたような一夜だった。

【取材・文:柴 那典】
【撮影:RUI HASHIMOTO(SOUND SHOOTER)】

tag一覧 ライブ 男性ボーカル THE BACK HORN クリープハイプ

関連記事

リリース情報

[DVD]KYO-MEIツアー ~暁のファンファーレ~

[DVD]KYO-MEIツアー ~暁のファンファーレ~

2014年10月22日

ビクターエンタテインメント

[DISC-1]
「KYO-MEIツアー ~暁のファンファーレ~ Live at Zepp Tokyo」
1 オープニング -風の中の黎明-
(Live SE「KYO-MEIツアー ~暁のファンファーレ~」)
2 月光
3 シェイク
4 涙がこぼれたら
5 タソカゲ
6 コワレモノ
7 白夜
8 エンドレスイマジン
9 舞姫
10 ブランクページ
11 甦る陽
12 飛行機雲
13 ホログラフ
14 バトルイマ
15 コバルトブルー
16 戦う君よ
17 ビリーバーズ
18 シンメトリー
-Encore-
19 サナギ
20 幻日
21 無限の荒野
-Double Encore-
22 シンフォニア

[DISC-2]
「KYO-MEIツアー ~暁のファンファーレ~ ドキュメンタリー」

このアルバムを購入

お知らせ

■ライブ情報

SHINJUKU LOFT 15th ANNIVERSARY「LOFT MUSIC & CULTURE FESTIVAL 2014」
2014/11/30(日)CLUB CITTA’

mito LIGHT HOUSE 25th anniversary ~祝盃~
2014/12/07(日)水戸LIGHT HOUSE

東北ライブハウス大作戦 with LIVE福島~relationship FUKUSHIMA tour
2014/12/10(水)郡山HIPSHOT JAPAN

KYO-MEI対バンライブ
2014/12/11(木)HEAVEN’S ROCK 熊谷 VJ-1
出演:THE BACK HORN / 赤い公園

POWER STOCK 2014 in ZEPP SAPPORO
2014/12/21(日)ZEPP SAPPORO

マニアックヘブンVol.8
2014/12/22(月) DRUM Be-1 & SON
2014/12/25(木) 新木場STUDIO COAST

HOTSTUFF presents ダイスをころがせ2 supported by 赤坂BLITZ
2015/01/26(月)赤坂BLITZ

ZIP-FM FIND OUT presents and RADIO 2015
2015/01/30(金)Zepp Nagoya

※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

トップに戻る