10月にリリースしたニューシングル「To The Light」に合わせて行われたFTISLANDの「FTISLAND AUTUMN TOUR 2014 “To The Light”」。そのファイナル公演が11月24日に横浜アリーナで行われた。客電が落ちると、客席はイエローやオレンジのライトで埋まり、場内は大歓声に包まれる。そんな中、メンバーがゆっくりとステージの脇から登場。最後に姿を見せたイ・ホンギは白いスーツに、赤いシャツとハットというフォーマルな装い。他のメンバーもスーツやシャツを着用していて、かなりシックな衣装だ。

　オープニングナンバーに選ばれたのは「Beloved」。情熱的な曲からの幕開けから、スケール感のある2曲目の「Memory」へ。サビではさっそく合唱が起こり、ライブ前半ながら完璧な一体感！　3曲目の「Black Chocolate」は、ホンギ自ら作詞作曲した楽曲だが、ライブでプレイされるたびに感情のこもり方が深まっていくようで圧巻だった。

　5曲目「BE FREE」からのブロックには、ハードな曲が並び、ホンギも「もっといけんのか？　一緒に叫んでくれよ！」と煽っていく。もちろん、「To The Lighｔ」のカップリングでもある新曲の「Tornade」も披露。

　そして、続くMCタイムでは、今回のツアーのセットリストについて、「季節のセットリストです」（ホンギ）と説明。前半の情熱的な並びが、実は春をイメージしたものだったとのこと。敢えてソフトな曲を選ばなかったセンスに、バンドの個性を感じた。「BE FREE」からは、やはり夏を意識した選曲だったようで、FTISLANDらしい元気な時間帯となった。

　中盤にかかるブロックはもちろん、秋。ホンギは「今から、秋に行く！　みんなと歌う曲ばかり選んだので」と語りかけて、「アリガト」へ。「On My Way」「いつか」などなど、ここはメロディアスなナンバーで固められ、甘い声に定評のあるベースのイ・ジェジンや、優しい歌が得意なギターのソン・スンヒョンもじっくりと歌声を披露。上手ギターのチェ・ジョンフンも、ピアノ伴奏でしっとりと聴かせていく。バラードにも定評のある彼らだけに、集まった1万2千人のオーディエンスはうっとりと聴き惚れた。

　このあとは、いよいよ後半！
「もう1回、夏に戻ろう！」というホンギの合図とともに、「Precious one」や「Let it go!」といった元気な曲が飛び出す。観客もタオルを振り回して、完全にお祭りモードだ。曲終わりではさんだMCタイムでは、ようやくチェ・ミンファンにマイクがわたり、ファンが大喜びするひと幕も。そして、このままアップテンポな曲でラストまで押すのか……と、思いきや、「COMPASS」や「Venus」など、最後のブロックでは歌にフォーカスした曲をセレクト。本編ラストは、やはり最新シングルでもある「To The Light」だった。演奏中、ステージから何本もの白いムービングライトが場内を照らし、壮大なロックバラードを見事に演出。ドラマチックにライブが締めくくられた。ほどなくアンコールの声援が飛び交い始め、ステージに戻ってきたメンバーは、「FREEDOM」で再びアッパーな空気を作る。そして、ホンギが「ツイッターやインスタグラムでみんなが「Distance」聴きたいっていう意見を、今日見たんです。サビだけ歌っていい？」と、急遽サプライズで演奏してくれたのだ！　客席からは歓声があがり、ツアーファイナルらしいスペシャルなプレゼントにオーディエンスは大感激。ラストは「YUKI」から「Winter’s Night」で、思い切り冬らしいナンバーで、温かい空気を残しながらライブが終了。季節とリンクするというセットリストは、まるでFTISLANDからの1年間を総括したようなメニューだった。さてさて、そんな彼らだが、2015年はどう出てくるのだろうか……期待して待ちたい。

【取材・文：海江敦士】