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KEYTALK、地元下北沢で会員限定のスペシャルライヴ!!

KEYTALK | 2015.01.16

 本編、ラストスパート前のMC。
ステージ上の4人の頬が上気している。心の底からの笑顔。観客の笑顔に負けていない。いつも以上に陽気で、かなりの上機嫌に見えたのは、上がりきったテンションのせいか、それともライヴへの手ごたえ&充実感からか。
 答えは、正確にはどれもNO、だ。
 正解は、メンバー全員、ライヴ中にビールをグッビグビ飲み干したから!
 しかも寺中友将 a.k.a. 巨匠・アーロン寺中(…以下略。Vo./Gt.)に至っては、オープニングから3曲終わった最初のMCでまず一杯、中盤で観客にのせられ、再び一杯……後半にまた一杯……と、合計3杯を飲み干してもライヴを続ける豪気を見せた。

 12月19日。下北沢CLUB251。KEYTALKは、公式スマートフォンサイト会員限定のスペシャルライヴを行った。応募が殺到した中、当選したラッキーな皆が続々とフロアを埋めていく。平日もお構いなしで足を運んだ観客は、開演前からTシャツ&マフラータオルの“正装”で、彼らを待っていた。

 SEの中、4人がステージへ。フロアの横を突っ切りながら、手を伸ばした観客たちに片手でタッチしていく。トナカイ角のカチューシャを付けた八木優樹 a.k.a. オムスター(…以下略。Dr./Cho.に“可愛い”の声援が飛ぶ。小野武正 a.k.a. ぺーい (…以下略。Gt./MC/Cho.)は、白い髭までつけ、サンタクロースのフルカスタムでの登場だ。

 寺中の「楽しんでいこうぜ、KEYTALKです、よろしく」のひとことを合図に、サウンドが高らかに雄叫びをあげた。イントロから上下するようにうねるクラウド。オープニングの「祭りやろう」から続いたのは、アップチューンの「ストラクチャー」。この曲でメインボーカルを務める首藤義勝 a.k.a. おしゃれ番長(…以下略。Vo./Ba.)が、ビートを加速させるようなボーカルで聴かせる。彼の歌のリズム感は、KEYTALKの楽曲のスピード感に欠かせないファクターだ。続く「YGB」では、スタンドからマイクをとった寺中が、ドラムの八木の方を向いてシャウトするというパフォーマンスを見せた。

 最初のMC。小野がマイクをとった。「今日は(スマートフォンサイト)会員限定イベントということで、なかなかやらない曲をやろうと思います」

 観客から大きな拍手。このムードに気を良くしたのか、メンバーは雑談モードに突入。首藤が自分の出身地の地名が入ったTシャツ(スタッフからプレゼントされた)を自慢すれば、小野は自らのニックネームをプリントしたTシャツの自慢。観客も笑えば、メンバーも笑う。首藤が「ありがとうございました、よいお年を!」とぼければ、小野がすかさず「まだ終わらないから」とつっこむ。同時に「始まったばかりだから!」とつっこむ観客の声も。ここで笑顔の寺中が「今日ちょっとゆるい感じだね、ビールもらっていいですか」と爆弾発言。「大丈夫? 歌、飛んだりするんじゃない?」という小野の大人な発言をかき消したのが、観客の声援。「なんて怖いこと言うの」と観客に普通につっこむ小野。小規模ライブハウスならではの密なコミュニケーションが、雰囲気を解放しスペシャルな夜を作っていく。観客からの喝采の中、寺中がビールのロング缶を一気に飲み干した。その姿を横目で見ながら「激しい曲やったら最前、ゲ○が飛ぶかもしれないよ。いいよ、パンクバンドだから!」とまとめた小野。……と思ったら、いきなりドラムの八木に話を向けた。トナカイ角カチューシャの八木shout。「キャンキャン!」トナカイの鳴き声だったのだろう、たぶん。観客は大うけ。最後は小野がしっかりまとめた。「まさか3曲目で、こんな長いMCになるとは思いませんでした(笑)。ガンガンいこうと思います!」

 5曲目。「おはようトゥエンティ」。モータウン調のキャッチ―なリズムから、スコーンと抜けるサビが印象的な1曲だ。ポップスの明るさとJ-POPのメランコリックなメロディーをがっしりとキャッチしながら、複雑な展開で様々なアプローチを見せる彼らの曲の中でも、屈指のブライトチューンだ。彼らのホームグラウンド、下北沢を通る小田急線に例えるなら、下北沢駅から一気に片瀬江ノ島駅(海の目の前です)にワープした感じか。サビメロも歌詞も、じつに爽やか。一転、6曲目は抒情的でナイーブなフレーズで聴かせる「a leaf」。4人の演奏スキルも堪能できる1曲だ。この見事な変わり身の早さ、とてもいい。この音楽的なフットワークの軽さは、彼らの強力な武器だと思う。サビに合わせて、観客の両手が揺れた。

「次の曲は2年ぶりくらい、久々にやる曲です。季節はずれているんですが、桜の歌を」と紹介されたのは「桜の風吹く街で」だった。

 ライヴは、メンバー同士のフリーダムなMC(酒の場の雑談とも言う)とともに後半へ向かう。「ちょっと早いクリスマスプレゼント」とWham!のカバー「Last Christmas」。師走・定番のサービス精神も忘れちゃいない。酔っぱらった寺中が、いつもとは少し違った甘い声を出す。喉も開いていて、一転の曇りもなく心地よく響いていく。この倍音が聴こえてくるような声質こそ、寺中の持ち味だ。ミラーボールがフロアに雪のような光の破片を落としていた。

 メンバー4人全員がビールを飲み干した後は、ラストスパート。アッパーな夏思い出し(?)ソング「OSAKA SUNTAN」。ライトがカラフルに明滅し「color」、ラストは「スポットライト」。小野が最前列の観客に被さるように前に出てきて、自分と観客のテンションを同時に振り切った。

 アンコール。大歓声の中、小野がマイクをとった。「You Tubeに載ってない曲ばっかりだったけど、来年もこういうイベントやりたい」と、この日の感想を述べた後「フェス、ワンマン、CDも出したいと思っています。2015年もKEYTALKをよろしくお願いします!」と告げ、2015年春に対バンツアー「KEYTALK “遥々、春バラーバはちもくがあなたの街まで春をお届けに参ります、候。~桜~” 対バンツアー」を開催することをアナウンスした。

 喜ぶ観客に力いっぱいアンコールを届け、彼らはステージを後にした。
 ホームグラウンド&馴染みのライブハウス、スマートフォンサイト会員という生粋のファンばかり、そしてクリスマス直前……と、観客も演者もマインドを解放する条件が揃っていたとは言え、これだけ抵抗なく素をさらすことができる彼らのコミュニケーション能力の高さに、改めてKEYTALKというバンドのマジョリティーを感じたライヴだった。

 それは、飾らない、というよりも、観客と変わらないスタンスということ。テンションの起伏の曲線の描き方ははもちろん、視線も呼吸も、笑うところも一緒。そこに説明の言葉はない。これは、音楽そのものが、そこにいる全員をひとつの方向に誘導した結果だったと言えるのではなかろうか。

 正直、知ってる曲は少なかった。でも、1度聞けば覚えられるサビ。何も考えずにステップを踏めるリズム。耳に残るメランコリックなメロディーは十分堪能できたと思う。もちろん、このバンドの面白いところはそれだけじゃないけど、とことんフィジカルでポジティヴで、キャッチ―なサウンドをあっけらかんと放てるところに、このバンドのまだまだ広がりつつあるノリシロを見た気がする。

【取材・文:伊藤亜希】

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リリース情報

[DVD] OVERTONE TOUR 2014 at AKASAKA BLITZ

[DVD] OVERTONE TOUR 2014 at AKASAKA BLITZ

2014年12月17日

ビクターエンタテインメント

【収録曲】
1. パラレル 
2. コースター 
3. はじまりの扉 
4. お祭りセンセーション 
5. UNITY 
6. BEAM 
7. fiction escape 
8. MURASAKI
9. シンドローム 
10. YGB 
11. サイクル 
12. メロディ 
13. Siesta 
14. 雨のち。夏、 
15. バミューダアンドロメダ
16. トラベリング 
17. sympathy 
18. 太陽系リフレイン 
19. プルオーバー 
20. blue moon light 
21. MABOROSHI SUMMER 
22. 夕映えの街、今

■特典映像「OVERTONE TOUR 2014 -下北沢打ち上げスペシャルワンマンライブ-」には貴重なフロアライブを収録!

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セットリスト

KEYTALK会員限定イベント@下北沢CLUB 251
2014.12.19@下北沢CLUB251

  1. 祭りやろう
  2. ストラクチャー
  3. YGB
  4. ブザービーター
  5. おはようトゥエンティ
  6. a leaf
  7. 桜の風吹く街で
  8. night focus
  9. PASSION
  10. 僕のなか
  11. Siesta
  12. Last Christmas
  13. プルオーバー
  14. OSAKA SUNTAN
  15. color
  16. スポットライト
Encore
  1. 物販
  2. トラベリング(巨匠ver.)

お知らせ

■ライブ情報

KEYTALK “遥々、春バラーバはちもくがあなたの街まで春をお届けに参ります、候。~桜~” 対バンツアー
2015/03/11(水)千葉 LOOK
2015/03/12(木)水戸 LIGHT HOUSE
2015/03/16(月)鹿児島 SR HALL
2015/03/18(水)長崎 DRUM Be-7
2015/03/24(火)米子 AZTiC laughs
2015/03/25(水)岡山 CRAZYMAMA KINGDOM
2015/03/27(金)松山 SALONKITTY
2015/03/29(日)高知 Xp-t
2015/04/03(金)熊谷 HEAVEN’S ROCK VJ-01
2015/04/07(火)横浜 FAD
2015/04/09(木)京都 MUSE
2015/04/11(土)神戸 太陽と虎
2015/04/12(日)滋賀 U☆STONE
2015/04/14(火)金沢 vanvan V4
2015/04/15(水)福井 CHOP
2015/04/17(金)富山 SOUL POWER
2015/04/19(日)松本 ALECX
2015/04/23(木)高崎 CLUB FLEEZ
2015/04/24(金)宇都宮 HEAVEN’S ROCK VJ-02
2015/04/28(火)浜松 窓枠

Output 3rd Anniversary KEYTALK Special Oneman Live
2015/03/20(金)沖縄Output

※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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