VAMPS、新たな歴史の始まりを予感させる“籠城型”ツアー、ファイナル!
VAMPS | 2015.02.19
フロアの天井に下げられた大きなミラーボールに当たるグリーンのレーザー光線は、ミラーボールには魔法陣を、会場全体には無数の光の破片を描く。徐々にエネルギーチャージされるように、音量を上げていくSE。クラウドのボルテージが叫びになり、あちこちで行き交う。ギュー詰めの会場。波打つようにうねる最前列。フロア中ほどでは、既にサークルが出来上がっている。ステージを覆った幕に映し出されるデジタル時計が、時間を刻む。彼らが、初めてライブをした日から変わらない、お馴染みの光景だ。PM7:00。目の前のデジタル時計が、6:60 を刻んだ。クラウドが一斉に声を上げる。6:66(=開演時間7:06)まであと10秒。カウントダウンの大絶叫。目の前のデジタル時計の数字が、魔法がかかったように薄闇に霧散する。フロア全体が、咆哮しながら跳ね上がった。
昨年10月29日にアルバム『BLOODSUCKERS』をリリースしたVAMPS。リリース直後の11月から全国5か所のZeppで、各会場複数DAYのライブを行う滞在型全国ツアー「VAMPS LIVE 2014-2015」を展開した。“籠城型ツアー”とも呼ばれるこのツアーは、VAMPSがデビュー当時から、日本での活動の軸にしてきたライブスタイルである。言うなれば、Zeppは、ライブバンドを名乗るVAMPSの原点であると同時に、このバンドの核を作った場所である。
1月25日、日曜日。Zepp Tokyoで「VAMPS LIVE 2014-2015」はファイナルを迎えた。
絶叫が空間を切り裂いていく。ステージの黒い幕が開くと、VAMPSのメンバーの姿があった。放たれる大音量のサウンド。HYDEがステージほぼ中央で、スッと手を挙げる。裏にしたピースサイン=ヴァンピースを観客に見せる。K.A.Zは、観客を煽るように、目の前に手をかざして覗き込むようなジェスチャー。HYDEと同じようにヴァンピースを翳す観客たち。ファイナルの幕は「MIDNIGHT CELEBRATION」で切って落とされた。
この曲は、ライブのキラーチューンばかりの彼らの曲の中でも、1~2位を争う起爆力を誇る1曲だ。ライブのラストを飾ることも多い。フロアも1曲目からラストのような盛り上がりだ。ステージも観客も、一糸乱れず、いきなりレッドゾーンを振り切っていく。この大胆なセットリストこそ、VAMPSらしい自信の現れではあるまいか。彼らは、最初から貨客を昇天させても、また昇天させる、いや、何度もいかせる気なのだ。そしてまた観客も、幾度も昇天する気、満々である。つまり、VAMPSはそれだけ『BLOODSUCKERS』という作品に自信を持っているし、観客はそれだけライブで体感する同作に期待しているということだろう。VAMPSも観客も、だからこそ、全開だ。そこに迷いはみじんもない。「LIPS」「LIVE WIRE」(モトリークルーのカバー)と、ハードなスピードチューンが続いた後は「THE PAST」。メランコリックなメロディーで、ファンの人気も高いミディアムアップチューンだ。原曲は、打ち込みをフィーチャーしたダンサブルなリズムと、ギターの繊細な余韻が印象的だったが、この日は、リズムそのものよりも豊かで太いベースの音を前に押し出してきた。K.A.Zのギターの音色も違う。繊細な余韻が、たゆたうように太くどっしりした余韻になっている。生音の太さが生きている感じ。このサウンドの違いが、今のVAMPSのモードなのだろう。これまでの曲をさり気なく現在のモードにビルドアップしてくるスキルとセンス。優秀なミュージシャンが揃っているVAMPSの底力が顔を出す。バンドと楽曲は生き物であることを目の当たりにした。
メタルを思わせるイントロのフレーズが響く。「DAMNED」。ステージ上のトーチに炎がともる。真っ赤に染まった空間の中、HYDEが声を荒げて叫ぶ。 バラード「VAMPIRE’S LOVE」。真紅の薔薇を一輪、手にして歌うHYDE。サビでは、K.A.Zがステージに座り込み、激しくギターをかき鳴らす。観客は静まり返り、ステージを見つめていた。ほぼノンストップで9曲続けた後、HYDEのMC。この日のライブが、国内外でライブビューイングされていることに触れ、「だから君たちのスゲーとこ、見せてやろうぜ!」と。さらに「好きにしていいから、OK、一緒にいこう」という言葉から「ZERO」へ。フレーズのループ、そしてHYDEの英語の発音とボーカルでひっぱる、スケール感ある1曲だ。柔らかなコーラスも浮遊感を後押しする。VAMPSの楽曲の中でも、明らかに新境地だ。これまでとまったく違うアプローチで、また一味違ったダイナミズムを体現しようとしている1曲だと思う。これからのアリーナツアー、さらに初の主催Fesでどう変遷していくのか楽しみだ。
ライブは中盤から後半へ。K.A.Zが右手を肘からくるくると回転させる軽やかなアクションを見せた「AHEAD」、HYDEが客席にピックを投げた(しかもすごく綺麗に飛んだ!)「ANGEL TRIP」、HYDEがフラッグを担ぎながら歌った「THE JOLLY ROGER」と、シングル曲を立て続けに畳み掛けた後、HYDEがマイクを握りしめ、こう叫んだ。
「Are You Ready? BLOODSUCKERS!!!」
この日、Zepp Tokyoに集結した、BLOODSUCKERSたちが、雄叫びをあげる。HYDEの低く太い声が地をはうように伸びていく。K.A.Zのヘヴィなギターの音色が、ドスンとフロアに舞い降りてくる。サウンドが激しくクラウドを煽る。クラウドたちが宙を転がっていく。この日、何度目かのクラウドサーフのラッシュ。狂乱するZepp Tokyo。「KYUKETSU -SATSUGAI VAMPS Ver.-」の後、VAMPSは一旦ステージを後にした。
VAMPS! VAMPS! という掛け声の中、再びステージに姿を現した5人。「DEVIL SIDE」を披露した後、メンバー1人1人が順番にマイクをとった。
「みんながバンド全体を押し上げてくれた、本当に嬉しい」と言ったのは、Ju-ken(B)。Jin(Key)は、コスチュームのマスクを外し「最後くらいはマスクを外して……。皆さん、ありがとうございます」とシンプルに感謝の気持ちを述べた。Arimatsu(Dr)は、この日の観客の様子に「すげえ今日、ビシビシ来るね」と笑顔を見せた後、バンドがいい感じで仕上がったと感想を述べた。そしてこうまとめた。「この仕上がった感じで、アリーナ、Fesとぶちかますんで、仕上がった感じで楽しもうな!」
続いてK.A.Zがマイクをとった。
「長いツアー、皆の応援のおかげです。身体の調子が悪かった時も、皆の応援があったから乗り越えられたと思います。引き続き応援よろしくお願いします」
そして最後はHYDE。
「怖いくらいにお前ら、カッコいい」と言った後、長いツアーを振り返った。曰く、ニューアルバムを持ってのツアーは久しぶりだから、ライブのノリを重視して、前半は新曲(アルバム収録曲)を全部やらなかった、最初はお互い手さぐりだったけど……と言った後、こう言葉をつないだ。
「ライブは皆で作り上げていかないと。皆と(VAMPSの)仲がないと、こんなCrazyなライブにはならないでしょ。この調子で世界中を駆け回りたいと思います」
観客から大きな拍手。この拍手を受け、HYDEはさいたまスーパーアリーナでライブを開催することを発表。狂喜する観客に向け、こう締めくくった。
「僕たちと、このアルバム、そしてツアーの集大成にしようと思ってます。是非来てください」
この日、Zepp Tokyoに叩き付けられた曲は、全部で19曲。最後の最後、HYDEが背中から綺麗にダイブし、この日はクライマックスを迎えた。
国内外のアーティストを迎え開催されるVAMPS初の主催フェス「VAMPARK FEST」( 2月18日、19日、日本武道館)、東名阪と仙台で行われるアリーナツアー「VAMPS LIVE 2015“BLOODSUCKERS”」、そして海外でのライブも続々と決定しているVAMPS。
ライブバンドの新たな歴史が、また、観客の身体に刻まれていく。
【取材・文:伊藤亜希】
【撮影:田中和子】
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映画『ドラキュラZERO』の日本版イメージソングに決定している、VAMPSのニュー・シングル「VAMPIRE’S LOVE」の世界配信が決定!
リリース情報
BLOODSUCKERS(初回限定盤A)[CD+Blu-ray]
2014年10月29日
ユニバーサル ミュージック
01. REINCARNATION
02. ZERO
03. LIPS
04. AHEAD
05. EVIL
06. GHOST
07. VAMPIRE’S LOVE
08. DAMNED
09. GET AWAY
10. REPLAY
11. BLOODSUCKERS
12. THE JOLLY ROGER
13. INSIDE MYSELF
[Blu-ray]
AHEAD - Music Video -
REPLAY - Music Video -
GET AWAY - Music Video -
THE JOLLY ROGER - Music Video -
VAMPIRE’S LOVE -Music Video - ※日本語 Ver.
お知らせ
VAMPS LIVE 2015“BLOODSUCKERS”
2015/02/28(土)大阪城ホール
2015/03/01(日)大阪城ホール
2015/03/14(土)セビオアリーナ仙台
VAMPS LIVE 2015“BLOODSUCKERS”-FINAL-supported by uP!!!
2015/05/30(土)さいたまスーパーアリーナ
2015/05/31(日)さいたまスーパーアリーナ
VAMPS LIVE 2015 NY
2015/05/01(金)Best Buy Theater(アメリカ・ニューヨーク)
※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。