シナリオ×ミセス×テレンが魅せた! TOKYO FM「ジャパネクレディオライブ powered by EMTG MUSIC」を完全レポート!
ジャパネクレディオ | 2016.02.08
「音楽っていろんなかたちがあっていいなって改めて思います。今日はLAMP IN TERREN、Mrs. GREEN APPLE、シナリオアート。みんなちょっとずつ奏でることは違うけど、“音楽が好き”っていう共通点だけで集まって。“音楽が好き”っていう才能があれば、ずっと音楽と共に生きていけると思います」。トリを飾ったシナリオアートのハヤシコウスケ(G・Vo)が語りかけた言葉は、この日のイベントの素晴しさを端的に表していた。
TOKYO FMのラジオ番組『ジャパネクレディオ powered by EMTG MUSIC』発のライブイベントとして、渋谷クラブクアトロで初めて開催されたTOKYO FM「ジャパネクレディオライブ powered by EMTG MUSIC」。“未来の音楽シーンを担う、ネクストブレイクアーティストをいち早く紹介する”がコンセプトの番組イベントだけに、2016年活躍を期待される3バンドが集結した。
トップバッターはLAMP IN TERREN。中原健仁(B)、松本大(Vo・G)、大屋真太郎(G)、川口大喜(Dr)の4人が心をひとつにするように中央を向き合ったあと、「緑閃光」からライブは始まった。ズンズンと刻むバスドラのリズム、衝動を滲ませた真っ直ぐなメロディ。胸の奥にある満たされない何かを強く揺さぶるようなパワーがテレンの音楽にはある。「飛べるか?東京!」と松本がフロアを一斉にジャンプさせた「林檎の理」から、息の合った大合唱を起こした「ランデヴー」へ。1曲1曲にしっかりと想いを込めた丁寧な演奏で、フロアを惹きつけていった。バンドの名前を一躍広げるきっかけとなった映画主題歌「ボイド」では、その歌唱はいっそう熱を帯びていく。気づけば、楽器隊もマイクを通さずに大きく口を開けて歌っていた。最後は、「たぶん今年も去年と同じくらい嫌なこともたくさんあると思うけど、幸せな空間を一緒に作れることを願ってます」と言った松本が、エモーショナルなバンドサウンドにのせて叫ぶように歌い上げた「メイ」。圧倒的な歌の存在感と、それをドラマチックに支えるバンドサウンドとが織りなす気迫のステージだった。
「次はMrs. GREEN APPLE!」。テレンからのバトンタッチを受けたミセスは、カラフルで弾けるようなポップソング「StaRt」で、いきなりフロアにハンドクラップを巻き起こした。オーディエンスの声が響いたラブ&ピースな「アンゼンパイ」、ダークで静謐なトーンから攻撃的なダンスロックへと流れ込む「L.P」へ。めくるめくサウンドスケープにのせて、表情豊かに歌う大森元貴(G・Vo)はとても華のあるボーカリストだ。『ジャパネクレディオ』の番組内では、「一部で“天使”と呼ばれる」と明かしていた真っ白な衣装をはためかせた藤澤涼架(Kb)のハイテンションなプレイ、紅一点の山中綾華(Dr)が叩き出すパワフルなドラム、若井滉斗(G)と髙野清宗(B)らフロントチームが繰り広げるコミカルなパフォーマンス。ミセスの“魅せるステージ”を目の当たりにすれば、なぜ彼らが瞬く間にシーンの人気者へと上り詰めていったかがよくわかる。リリースしたばかりのアルバム『TWELVE』からのナンバーを交えながら、残すはラスト1曲。「次で最後です」と大森が言うと、「えー!?」と、フロアからの悲痛な叫びがあがった。これには大森も「誰に仕込まれたの(笑)。うれしくなっちゃうよ」とはにかみ、ラストの「愛情と矛先」へ。最後まで、まるでテーマパークみたいに目一杯の遊びが詰まったステージだった。
トリを飾ったのはシナリオアートだ。中央にベースのヤマシタタカヒサ(B・Cho)、上手にドラムボーカルのハットリクミコ(Dr・Vo)、下手にギターボーカルのハヤシコウスケ(G・Vo)という独特のフォーメーションで陣取ると、ハヤシとハットリの男女ツインボーカルが鮮やかにスイッチする「スペイシー」から、軽やかにライブはスタートした。「トリを任せてもらえたので、みなさんと最後の……?何と言うんでしょうね(笑)、最高のゴールテープを一緒に切りましょう!」と、小柄なハットリはイスの上に立ち上がってマイペースなMC。素晴らしかったのはKANA-BOONとのスプリットシングルとしてリリースされた「ナナヒツジ」だった。ときにファンタジックに、ときにスリリングに拍子を変えながら駆け抜けるパフォーマンスは、“物語の代弁者”から“希望の語り部”へ、進化し続けるシナリオアートのいまを強く感じさせるものだった。そして、ラストナンバー「ワンダーボックスⅡ」へ。《きっと君は 笑えるさ》と、いっぺんの曇りもなく歌いあげる祝祭のパレードで、“音楽が好き”、その想いに引き寄せられて集った同士たちに最高のメッセージを伝えてくれた。
アンコールでは、インディーズ時代にハヤシが絶望から自分を救うために書いた楽曲「フユウ」を披露したシナリオアート。それは、消えない悲しみに苦悩する刹那的な歌でありながら、それでも“大丈夫だよ”と私たちに語りかけてくれる優しい歌だった。
最後に出演者全員が再びステージに立つと、『ジャパネクレディオ』のMCを務める小川智宏(ROCKIN’ON JAPAN 副編集長)が、それぞれに感想を訊いた。
シナリオアート・ハットリ「楽しかったです。みんな良い感じでパーティピーポーで(笑)。ありがとう」
Mrs. GREEN APPLE・大森「めちゃめちゃ楽しかったです!ありがとうございます」
LAMP IN TERREN・松本「ワンマンツアー以来ここに来たんですけど、今日はそれを超えられた気がしました。楽しかったです。ありがとうございました」
ライブハウスは誰もが笑顔になれる場所だ。今回、第1回目となった「ジャパネクレディオライブ」が、2回3回と続き、ここからたくさんの笑顔を生んでほしいと心から思った。
【取材・文:秦 理絵】
【撮影:山川 哲矢】
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セットリスト
TOKYO FM「ジャパネクレディオライブ powered by EMTG MUSIC」
2016.1.29@渋谷CLUB QUATTRO
■LAMP IN TERREN
- 緑閃光
- 林檎の理
- ランデヴー
- ボイド
- multiverse
- ワンダーランド
- メイ
■Mrs. GREEN APPLE
- StaRt
- Speaking
- アンゼンパイ
- L.P
- SimPle
- リスキーゲーム
- ナニヲナニヲ
- 愛情と矛先
■シナリオアート
- スペイシー
- ハロウシンパシー
- シュッシュポップ
- アオイコドク
- ナナヒツジ
- ホワイトレインコートマン
- ワンダーボックスII
- フユウ