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Halo at 四畳半ワンマンツアーファイナル『ぼくらの設計図の描き方』

Halo at 四畳半 | 2017.12.13

 幼い頃、大人に言われたことがないだろうか「あなたの未来は、宇宙のように可能性が広がっている」なんてことを。いつしか私たちは大人になり、その可能性なんかなかったことにしてしまう。四畳半のワンルームでカップラーメンをすすっているほうが、よっぽど現実的だ。それでも私たちは「もしかしたら何者かになれるかもしれない」と夢を見る。たんたんと未来の設計図を描き、今日より明日が少しでも輝く日になるように努力を重ねる。12月2日(土)、TSUTAYA O-EASTで行われたHalo at 四畳半のワンマンツアーファイナル『ぼくらの設計図の描き方』は、4人の夢が少し前に進んだ日だった。いや、もしかしたら少しじゃないかもしれない。

 TSUTAYA O-EASTは後方までオーディエンスで埋め尽くされ、彼らを待つ人々のエネルギーが会場に満ちていた。照明が落ちると、「心とは果たして何なのか」と語りが流れ、『ぼくらの設計図の描き方』という物語を封切った。

 ピンスポットに照らされる中、渡井翔汰(Vo/Gt)が大きくブレスをとり歌ったツアーのオープニングソングから「ステラ・ノヴァ」が導かれた。彗星のように勢いのある音が会場に響き渡り、観客を物語に引き込んでいく。「アメイジア」がかき鳴らされる頃には、会場に多くの拳が上がっていた。それでもなお“もっともっと”と白井將人(Ba)はクラップを煽り、観客が共鳴すると嬉しそうに笑顔を溢す。メンバー各々がフロアに目を落とし届けるように演奏すると、まだ2曲目とは思えない一体感がライブハウスには生み出されていた。「箒星について」では<わたしはあなたを待っていたんだろう>と力強く歌い、「飛行船」では齋木孝平(Gt/Cho)がギターソロで魅せつける。

「はじまりを忘れないための歌を歌います」と告げ始まったのは「メル・ユース」。RPGゲームの序章のような、穏やかさの中に高揚を孕んだ空気が満ちた。休む間もなく片山僚(Dr/Cho)のフィルインによって、映画を題材に創られた「ペイパームーン」へと繋がれる。テールライトのようにさまざまな角度から当たる照明は、彼らの多彩な表情を映し出そうとしているようにさえ見えた。楽しいだけじゃない、誰かを救いあげる音楽。それを鳴らそうという強い意志も、ライトの下で力強く輝いていた。その後も、現代へ憂いを嘆くような「劇場都市」、静寂の中に激動がひそめく「水槽」とエモーショナルなパフォーマンスが展開される。「硝子の魔法」では白井の導きにより、多くの手があがり、夕焼け空を舞った。

 渡井がギターをアコースティックに持ち替えて披露されたのは、カントリー調の「トロイカの箱」。タンバリンの可愛らしい音とアコースティックギターの優しい響きが、会場の奥まで響き渡る。それに誘われるようにオーディエンスは体を揺らし、魔法の言葉“トロイカ”を一緒に口ずさんだ。彼らのストーリーは滞ることなく「発明家として」「ユーフォリア」と続いていく。後半戦のトップを飾ったのは、音楽が追い風のように背中を押してくれる「リバース・デイ」だ。渡井の“まだやれる”という挑戦的な意思を感じる視線が、会場の後方まで突き刺さる。<何処までも飛べるだろう>という歌詞は、TSUTAYA O-EASTからもっと広いステージに羽ばたいていくことを確信しているようでとても頼もしかった。

 MCでは白井が、「背中を押してくれたライブハウスの1つが、TSUTAYA O-EAST。夢が1つ叶いました。みんなの手を借りて掴んだEASTワンマンです」と瞳を潤ませる。4人とも、この光景を忘れまいと必死に目に焼き付けているようだった。「まだやれるか、渋谷!」という渡井の掛け声により始まったのは「春が終わる前に」。後半に入ってもなお、いっさい死に音のない全身全霊のパフォーマンスがステージを彩る。“心はいるか”と問いかける「クレイマンズ・ロア」ではハイポジションを多用したギターソロが泣き叫び、「カイライ旅団と海辺の街」では歯切れのいいキメを魅せつけた。中間部で盛大なシンガロングが巻き起こったのは「モールス」である。渡井は曲中でマイクから口を離し、何度も「ありがとう」と叫んでいた。伝えたくてしょうがないと言わんばかりの、そのがむしゃらな姿に涙腺を刺激される。<君とならば行ける>と歌う声にも一切の迷いがなく、ファンと共に成長し大きくなってきたバンドなのだと感じざるをえなかった。ラストソングとなったのは、アルバム『Animaplot』でも結びの曲として用いられている「点描者たち」。バンドの裏にきらめくシンセサイザーも穏やかで、多幸感をより増幅させる。一つひとつの曲を全身全霊で伝えつくし、『ぼくらの設計図の描き方』という物語を締めくくった。

 彼らがステージを去ったあとも拍手は何度も波を生みアンコールに転じた。先頭を切って白井が舞台に現れると、TSUTAYA O-Crestでの追加公演を発表。会場には大きな歓声とどよめきが起こった。メンバーがステージに揃うと、齋木が物販を紹介。それを参観日の父親のように眺める白井の姿がとても優しく、バンドの仲の良さを物語っていた。

 そして、アンコールとして新曲の「惑星(ほし)のすべて」が奏でられる。ギターのアルペジオに柔らかい渡井の声が響くイントロで始まる曲で、また新たな彼らの一面を映しだしていた。「これが本当に最後の曲です」と渡井が告げ、届けられたのは「怪獣とまぼろしの国」。拍子で進む音楽は穏やかで、おとぎ話のエンドロールを彷彿させる。会場全体でおきた大合唱は終わりに向かって収まることなく、これからもずっとずっと響いていくことを約束しているような壮大さがあった。

「本当に最後の曲です」というMCを無視するように、クラップは彼らを呼び続ける。すると、嬉しそうなメンバーが再び舞い戻り、『ぼくらの設計図の描き方』ツアーファイナルにして初のWアンコールとなった。渡井は「何が聴きたい?」とオーディエンスにフェイントをかけ、いきなり演奏を開始。ギターに連れられてきたのは代表曲の「シャロン」だ。ありあまる力を全て絞り出すような全力のアクトに引き寄せられ、ステージとフロアの距離が縮まったような錯覚に陥る。“心とは何なのか”という問いに対し、“共鳴しひとつになるために必要なもの”とでも言っているような全力のパフォーマンスで最後まで走り抜けた。

 MCの中で渡井は「一生、俺たちは音楽を続けていきます」と話していた。“一生” 、それは死ぬまでずっとということだ。普通の人が発すると「そんな適当なことを言って」と無責任になる言葉。しかし、渡井のいうそれには本物の覚悟が感じられた。普段から生命について歌を紡いでいる彼だからこそ、適当に選択などしえない決意の言葉。この決意のもと、さらに広いステージでHalo at 四畳半の音が鳴り続けていくと思うと興奮することこの上ない。一緒に歩んできたオーディエンスと共に、違う景色に進んでいく4人の活躍が今から楽しみだ。

【取材・文:坂井 彩花】
【撮影:オチアイ ユカ】

tag一覧 ライブ 男性ボーカル Halo at 四畳半

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リリース情報

Animaplot

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2017年09月20日

SPACE SHOWER MUSIC

1.クレイマンズ・ロア
2.ステラ・ノヴァ
3.ユーフォリア
4.劇場都市
5.発明家として
6.トロイカの箱
7.点描者たち

セットリスト

Halo at 四畳半ワンマンツアー
「ぼくらの設計図の描き方」
2017.12.2@ TSUTAYA O-EAST

  1. 01.ステラ・ノヴァ
  2. 02.アメイジア
  3. 03.箒星について
  4. 04.飛行船
  5. 05.メル・ユーズ
  6. 06.ペイパームーン
  7. 07.劇場都市
  8. 08.水槽
  9. 09.硝子の魔法
  10. 10.トロイカの箱
  11. 11.発明家として
  12. 12.ユーフォリア
  13. 13.リバース・デイ
  14. 14.春が終わる前に
  15. 15.クレイマンズ・ロア
  16. 16.カイライ旅団と海辺の街
  17. 17.モールス
  18. 18.点描者たち
 【ENCORE】
  1. EN.1-1. 惑星のすべて(新曲)
  2. EN.1-2. 怪獣とまぼろしの国
  3. EN.2-2. シャロン

お知らせ

■ライブ情報

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※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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