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ライブハウスさながらの熱量 × ハイクオリティな音質で届けられた生配信ライブ「Studio Live “Navigator”」

Nothing’s Carved In Stone | 2020.07.03

 2020年がスタートして間もない1月9日、「By Your Side Tour 2019-20」終盤に組まれたワンマン編の初日をZepp Tokyoで迎えたNothing’s Carved In Stone。このツアーは10thアルバム『By Your Side』を掲げたもので、昨年の対バン編の流れを経て、年が明けてからは5都市でワンマン公演が行われた。したがって、バンド自体も完全にライブ仕様のコンディションに仕上がり、まさに脂が乗ったパフォーマンスだったのを強烈に覚えている。その後、2月27日には新木場STUDIO COASTで「SPECIAL ONE-MAN LIVE“BEGINNING 2020"」が開催予定で、春までライブ三昧の日々が続くはずだった。それからほどなく、世界は新型コロナウイルスの流行により、体験したことのない状況に突入。ナッシングスのみならず、多くのアーティストのライブが延期や公演中止に追い込まれ、日常の一部だったライブに行く楽しみが一切奪われてしまったのだ。

 以降、想定外に生まれた時間を利用し、音源制作を行うアーティストも増え始める。ナッシングスも、3月27日には「NEW HORIZON」、6月14日には「Dream in the Dark」と続けてデジタルシングルを発表。ポジティブな姿勢をアピールした。そんななか、6月27日に有料生配信で「Nothing’s Carved In Stone Studio Live “Navigator”」開催のニュースが飛び込んできた。これは視聴チケットを購入すれば、ライブ映像が生で楽しめるというもの。すでにこういったシステムでライブを体験した音楽ファンも多いと思う。まさに新しい生活様式……ということだろうか。ライブ会場の熱気や一体感と同じ感覚に浸るのは難しいかもしれないが、スケジュールさえ合えば、どの場所にいようが同じ時間をバンドや友人たちと共有できるのは大きなメリットと言えるだろう。ちなみに、この日はスタジオライブのため、ナッシングス側としては、よりよい音質で曲を届けるという意図があったようだ。サウンド的にはベストな環境だが、有料生配信となると初の試みである。画面の前のファンをどれだけ熱くできるのかは未知の領域だ。

 スタート時間の7時を数分過ぎたところで、画面には突如、スタジオでスタンバイする4人のメンバー、村松拓(Vo/Gt)、生形真一(Gt)、日向秀和(Ba)、大喜多崇規(Dr)の姿が映し出される。村松は、大喜多に向き合ったポジションで、メンバーは軽く円陣を組んでいるようなフォーメーションだ。ほどなく「NEW HORIZON」でライブはスタート。3月にリリースした新曲を1曲目に持ってきてくれたのはうれしい限り。メンバーにも緊張が見て取れたが、数台以上のカメラによって、生形がエフェクターのスイッチを押す足もとや、日向の流れるようなベースプレイ、さらには日ごろステージの奥にいる大喜多の表情もアップで映し出されていくので見応えは十分。2曲目にはバンドの黎明期からプレイし続けている「Isolation」で瞬時に熱量を上げていった。3曲目の「Spirit Inspiration」になると、村松にもカメラにアピールする余裕が生まれ、曲が終わると「お久しぶりです。Nothing’s Carved In Stoneです。配信ライブ、最後までついてきてください」と挨拶。続いて「久々の曲をやります」と、「Mythology」へつなげる。力強いメッセージがこもった、まさにナッシングスらしいエモい曲だ。このあとも「(as if it’s)A Warning」や「Cold Reason」でスリリングなグルーヴを引き出していく。

 「Cold Reason」の演奏後、再び村松が口を開いた。
 「楽しんでますか? 皆さん!」。すると、ここでスタッフが彼にタブレットを渡した。その画面にはスタジオライブの映像と、視聴しているファンからのコメントが大量に表示されている。
 「楽しいって(笑)」。村松はコメントに笑顔で応え、「こんな感じで進めていくから。熱量が自分たちでも高くて、それがみんなに伝われば」と続けた。その熱量、伝わってますから!と心の中で叫んだファンも多かったことだろう。このブレイクのあと、村松は「愛を込めて……」と前置きして「Red Light」へ。ヒートアップしてきた時間帯を癒すように、優しいメロディーと歌が響く。中盤ブロックに固められたのは、心に染みるナンバーが中心だ。「Alive」、そして「Milestone」という流れは見事。

 ここでライブは折り返し地点となる。スタジオライブとは思えぬほどの汗を拭きながら、村松が「ライブは4ヵ月ぶりですか? 僕ら」と問いかける。生形が「4ヵ月ぶり!」と即答すると、「こんなにメンバーと演奏しなかったの、初めてかもしれない」と村松。そして「(2009年)2月27日の初めてのライブを思い出すよ」と笑顔を見せた。雑談は続き、自粛期間に何をしていたのか……という話題では日向が「ひたすらガーデニング(笑)」とメンバーを笑わせる。だが、村松は「(この先)いつもどおりになるかわからないけど」と、今後への懸念を語りながらも「そもそも人間の中身は変わらない。大事なのはライブが大好きという気持ち」だと本音をのぞかせた。ライブはどんなバンドにとっても生命線である。たとえ、ライブハウスで演奏できなかったとしても、メンバーがいて楽器があれば、バンドの思いや情熱は確実に伝わる。そんな確信を持てたところで、ライブは後半戦へ。

 後半戦の幕開けは「Beginning」。昨年、新レーベル“Silver Sun Records”を立ち上げ、新たなフェーズに踏み出した彼らを象徴する楽曲だ。ここから怒濤の盛り上がりブロックとなる。「Like a Shooting Star」、村松の「最高の夜にしようぜ! 踊れ!」でつなげた「Out of Control」、そして「Music」……このくだりはロック魂炸裂のゾクゾクするかっこよさだ。
 シブかったのはラストに向けての2曲、「November 15th」と「シナプスの砂浜」の時間帯。ここでじっくり聴かせる曲を持ってくるとは――。瞬く間に時間は過ぎ、早いもので残すはあと1曲……。
 「あっという間だったね」と村松。ここでもタブレットのコメントを見て「『毎日やって』って」という意見に苦笑いするも「みんな楽しんでくれてるみたい。よかった!」と安堵の表情。ダイレクトなコメントが確認できるのも、配信ライブならではのよさだろう。ラストナンバーとして用意されたのは「Dream in the Dark」。村松は「コロナのことを歌ったわけじゃないんだけど、今の自分たちの状況、みんなの状況でも背中を押せる曲になったんじゃないかな。また会いましょう」と新曲を届けた。すでに聴きこんでいるファンも多いだろうが、やはり生演奏で聴くのは格別である。

 こうして配信ライブはみっちり1時間半で終了した……が、再びタブレットを手にしたメンバーの目には「アンコール!」というコメントが大量に飛び込んできたようだ。「やっぱり続けるのって大事だって感じる。この状況下だからこそね。やっててよかった。で、アンコールなんですけど……みんな聴きたい曲ある?」と村松が問いかける。コメントを参考にしつつ、選ばれたのは「Rendaman」。ラストはヘビーなサウンドで締めくくり、バンドの健在ぶりを実証してくれた。もちろん、ライブハウスで汗まみれになって熱い時間を共有するのは楽しいに決まっている。だが、ナッシングスが配信というスタイルでも熱量をキープしてくれたのはうれしい発見だった。
 そんな彼らにはさらなる動きがある。8月26日、セルフカバーアルバム『Futures』のリリースが決定した。ここには今年発表した新曲(「NEW HORIZON」「Dream in the Dark」)や、今までアルバム未収録だった「BLUE SHADOW」が収録されるという。海外にも配信でリリースされるそうで、彼らの視線はすでに新たな“未来”を見据えている。疾走し続ける彼らが描く今後に注目だ。

【取材・文:海江敦士】
【提供:N-CIS】

tag一覧 J-POP 配信ライブ 男性ボーカル Nothing’s Carved In Stone

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リリース情報

Futures

Futures

2020年08月26日

Silver Sun Records

[DISC 1]
01.NEW HORIZON
02.Isolation
03.Spirit Inspiration
04.November 15th
05.Red Light
06.Rendaman
07.白昼
08.Out of Control
09.Like a Shooting Star
10.きらめきの花

[DISC 2]
01.Dream in the Dark
02.YOUTH City
03.In Future
04.Brotherhood
05.Midnight Train
06.Around the Clock
07.Milestone
08.Pride
09.ツバメクリムゾン
10.BLUE SHADOW

<初回限定盤DVD収録内容>
・What’s My Satisfaction from(“Live on November 15th 2018”)
・Perfect Sound(from “Live on November 15th 2018”)
・Bog(’19 ver.)(from SPECIAL ONE-MAN LIVE “BEGINNING”)
・Cold Reason(from SPECIAL ONE-MAN LIVE “BEGINNING”)
・Crystal Beat(from “Live on November 15th 2019”)
・メンバーインタビュー
※アルバムについてのソロ&全員インタビューを収録

<豪華盤>
初回限定盤収録内容+
・ライブ音源CD「Nothing’s Carved In Stone Studio Live "Navigator"」
・LP×3枚(通常盤収録の20曲をLP化)
・ピックセット(メンバーサイン入り)

セットリスト

Studio Live “Navigator”
2020.06.27

  1. 01.NEW HORIZON
  2. 02.Isolation
  3. 03.Spirit Inspiration
  4. 04.Mythology
  5. 05.(as if it’s)A Warning
  6. 06.Cold Reason
  7. 07.Red Light
  8. 08.Alive
  9. 09.Milestone
  10. 10.Beginning
  11. 11.Like a Shooting Star
  12. 12.Out of Control
  13. 13.Music
  14. 14.November 15th
  15. 15.シナプスの砂浜
  16. 16.Dream in the Dark
【ENCORE】
  1. EN1.Rendaman

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