前へ

次へ

すとぷり「どんなことがあっても挑戦し続けます――2度目の生配信無観客ライブで伝えた決意

すとぷり | 2020.09.08

 晩夏の一夜に、すとぷりの6人が全身全霊をかけたパフォーマンスを通じ描き出してみせた、キラキラとワクワクに満ちた鮮やかなる世界。その中から感じられたのは、この夏を経たうえで彼らが体得したのであろう成長の跡と、ここから始まってく新しい季節に向けた輝かしい希望、それにほかならない。

 YouTubeの公式チャンネル登録者は103万人を超え、今年2月には日本ゴールドディスク大賞のベスト5・ニューアーティスト賞を受賞したばかりでなく、今年8月には昨年夏の西武ドーム公演に引き続いて、自身初となる東京ドーム公演も開催するはずだったすとぷり。彼らは2016年から活動を開始した6人組の動画配信エンタメユニットで、日常的にはYouTubeやツイキャスなどを中心としたフィールドで楽曲配信や生放送を行っている一方、始動当初から生のライブ活動にも力を入れてきた経緯がある。

 それだけに、今夏の東京ドーム公演が中止となってしまった事実は彼らにとって相当ショックであったに違いないはずだが、このたびは「すとぷり生配信無観客ライブ すとろべりーめもりー in すとぷりちゃんねるっ!【Vol.2!!】」という場を設けることで、リスナーたちとの繋がりをより強いものにすることを選択したのだった。

 なお、このライブタイトルからもわかるとおり、生配信無観客ライブをすとぷりが行うのは今年3月に次いで2回目のこと。そして、今回のライブ当日に向けて彼ら6人があらゆる面でのグレードアップやブラッシュアップを目指していたのであろうことは、この夜の1曲目「Streamer」が始まった瞬間からすぐに伝わってくることに。

 ステージ上のみならず、客席フロアも含めたライブ会場全体を効果的に使った視覚的演出方法しかり。各人がみせるダイナミックかつ洗練された立ち居振る舞いや歌いぶりしかり。はたまた、複数台のカメラやクレーンなどの機材を巧みに駆使した配信方法しかり。全てのファクターが、回線越しのリスナーたちを十二分に満足させ堪能させるために連動していたと言っていいだろう。

 ちなみに、この夜の1曲目として歌われた「Streamer」はるぅとが作曲に参加し、ななもり。が作詞に参加している新曲で、8月16日にYouTubeにて公開が始まったばかり。<退屈な毎日にバイバイ グズグズしてちゃもったいない 次に行こう!>という一節を筆頭に、ここにはすとぷりの感じている今現在というものがリアルに色濃く反映されているせいか、全体的に受け手にとっても“わかりみ”満載なものに仕上がっているあたりは何ともお見事でしかない。

 そして、ここから季節感とお祭り感にあふれた「苺色夏花火」や「よさこいディスコParty」で派手に盛り上がったあとには、それまでステージのフロントに垂らされていた紗幕が振り落とされ、「Next Stage!!」以降はいよいよ6人がカメラの前でダイレクトに歌い踊っていく展開となり、前半戦には「好きでいてくれていいよ」「ヒカリユメ」「LOOK UP」の3曲をメドレーで披露するというゴージャスな一幕も。

 さらに、中盤戦においては信号機組の莉犬×るぅと×ころんの3人による「道標」と「咲かせて恋の1・2・3!」が楽しめるコーナーとともに、大人組のななもり。×ジェル×さとみ による「キングオブ受動態」と「脳内ピエロ」を聴けるコーナーも用意されていたところが、コアなすとぷりすなーを楽しませていた。

 また、後半戦では妖怪ウォッチシリーズのTVアニメ『妖怪学園Y~Nとの遭遇~』のOP曲として起用されていた「ギンギラ銀河」と、今夏からのOP曲となった「大宇宙ランデブー」を含めた全4曲のナユタン星人曲メドレーがあったほか、メンバー全員から今回のライブに対しての思いがMCとして届けられる場面も挟まれたため、そこでの真摯な言葉たちについては以下に部分的ではあるものの、敢えて書き起こしをしておきたい。

「東京ドームが中止になって……一時はどうしようもないくらい悲しい思いもしました。でも、僕たちはみんながコメントや笑顔を届けてくれる限り、こんなことには負けてられない。もっともっと頑張ろう!という気持ちで迎えたのが今日のライブです。(中略)いつもいつも、みんなには感謝し切れないくらいたくさん感謝してます。これからも、すとぷりはどんなことがあっても、みんなに笑顔を届けるために。ただ本当にそのためにだけに、君たちのために全力で活動していきたいと思います。僕らにはまだまだ努力が足りないところはあると思いますけど、これからも応援よろしくお願いします! そして、今日はまたこうして最高の思い出を作ることが出来ました。ありがとう!! また“かまし”ましょう!!」(ころん)

「みんな、今日は楽しかったですか? みんなが楽しんでくれていたら、凄く凄く嬉しいです。そのために僕らはこの夏、そのほとんどをかけてきたと言っても過言ではございません。(中略)こんな時だからこそ、頑張ってみんなに届けよう、自分たちに出来ることって何だろう、って皆でたくさん話をしてこの夏は動画投稿、歌の投稿、生放送といろいろやってきました。今日のライブはその集大成でしたが、みんなのおかげでとても特別な1日になりました。観に来てくれてありがとうございました!」(るぅと)

「今年は世の中がこういう風になってしまって、努力しても補えない部分が出て来てしまって……こういうのってやるせないよね。皆にもいろんなことがあったと思うんだけど、でも俺たちはメインでやってきた活動がインターネットだったから、俺たちだったらこの状況でも皆に楽しんでもらえるようなことがたくさんあるはずだよね、ってメンバー皆と話しあいながら今回の無観客ライブも計画してやりました。今こうして皆からの楽しんでくれてるコメントを見てたら、ほんとにやって良かったと心から思います。みんな、俺たち6人のことを応援してくれて、着いてきてくれて本当にありがとうございます! またいつか、みんなの顔を見てみんなで笑いあえる日が来るまで、俺たちはこれからも頑張り続けます!!」(さとみ)

「春に無観客ライブをやった時、『次こそ皆と会おう!』って話したやん。でも、東京ドームは中止になってしまって……正直、辛かった。悔しかった。(中略)でも、辛かったのは俺たちだけじゃない。楽しみにしてくれてたリスナーさんたちだって、誰より辛かったと思います。それなのに、皆は『大丈夫だよ。着いて行くよ』『中止になっても応援するよ』ってコメントやDMやツイートで温かい言葉をたくさんくれて。俺たちは、そのリスナーさんたちの為に頑張らなあかんな、と思いました。(中略)そして、今回のライブを僕はこの夏のゴールとして考えてたところがありましたが、今は違う気持ちです。困難を乗り越えながらみんなの為に頑張ったこのライブを経て、ここからがすとぷりの新しいスタートになるんじゃないかと思ってます! すとぷりは、ここからまた走りだしていきます!!」(ジェル)

「ここに至るまでの毎日の中にはいろんな選択があって、それはリスナーの皆さんも一緒で、それぞれ選んできた中で今こうしてすとぷりの無観客ライブを観てくれているという、その選択をしてくれたことに本当に感謝します。今日の1曲目に歌った『Streamer』には<問題なんてないさ だってこうして逢えたんだから>という歌詞がありますが、本当にそのとおりです。問題なんてありません。だって、俺たちすとぷりメンバーもそうだし、このライブを支えてくれているスタッフの皆さんや、こうして観に来てくださったみなさんとも今日ここで逢えたんですから。こうして楽しいライブが出来ているんだから大丈夫です。今日という日は、必ずまた次を作っていきます。そして、必ずまた今度は顔を合わせて『ありがとう』と言わせてください。すとぷりは、これからもいろいろな選択をしながら走り続けていきます。俺たちが頑張れるのはみんなのことを楽しませたいっていうのはもちろん、その気持ちにいつも応えてくれる“君”がいるからです。みなさん、今日を一緒に迎えてくれてありがとうこざいました!」(莉犬)

「今日のライブは環境も、境遇も、年齢も、性別も違ういろんな人たちが、いろんな場所で観てくれているんだと思いますが、この夏の終わりに楽しいことやれる空間をみんなと一緒に作りあげることが出来て嬉しいです。みんな本当にありがとう。(中略)コロナの影響で当たり前だったことが当たり前じゃなくなっている今、俺たちが当たり前のように届けていたネットでの活動も、どんどん特別なものになって来ているような気がしています。(中略)出来なくなってしまったことに対してくよくよしたり、奪われてしまったものに対して悔しさや悲しい思いを感じて足踏みするのではなく、今はとにかく新しい楽しいを作っていけたらいいなと思っているんです。だから、また次に会う機会も俺は作りたいです。まだ世の中の状況がどうなるかはわからないけど、それでも俺たちはどんなことがあっても挑戦し続けます。君が俺たちのこの思いを受け取り続けていてくれる限り、すとぷりはずっと届け続けるからね。みんな、今日は本当に観に来てくれてありがとう!」(ななもり。)

 これらの6人からの心のこもった言葉たちの後には、重大発表として、これまでどこにも属さずセルフプロデュースを続けてきたすとぷりが、「リスナーさんと一緒にこれからも前に進むために、これからもリスナーさんたちに安心して活動を応援をしてもらうために」ということを主眼として、自ら設立した株式会社STPRに所属することが告知されると同時に、今秋には3rdアルバム『Strawberry Prince』が発表されるという、これまた嬉しいインフォメーションも待ち受けていた。

 その後、今回のライブはさらなるハッピーオーラを振りまきながら、ハニワ(HoneyWorks)メドレーで本編を締めくくり、前回の配信ライブに際にはなかったアンコールでも本格的なアカペラから始まった「マブシガリヤ」と、すとぷりの真髄であるキラキラとワクワクが目一杯に詰めこまれた「Strawberry Prince Forever」で最高潮に達し、そのまま大団円を迎えた。

 コロナ禍を逞しく乗り越え、ひとりの人間としても、いち表現者としてもスケールアップした6人が、まさにここから「Strawberry Prince Forever」の歌詞にある<新しいストーリー>を力強く紡いでいくことになるのは、もはや約束されたも同然だと言えよう。そう、すとぷりの描く輝かしい新章はもう既に始まっているのだ。

【取材・文:杉江由紀】
【撮影:林晋介 / 東美樹】

関連記事

リリース情報

すとろべりーねくすとっ!

すとろべりーねくすとっ!

2020年01月15日

STPR Records

01.ストロベリー☆プラネット!
02.ギンギラ銀河
03.アモーレ・ミオ
04.Next Stage!!
05.Now and Forever
06.Party Light
07.忍恋 (ななもり。×ジェル)
08.溶解ウォッチ (莉犬×るぅと)
09.遊獣浮男ボーイ (さとみ×ころん)
10.脳内ピエロ (ななもり。×ジェル×さとみ)
11.咲かせて恋の 1・2・3! (莉犬×るぅと×ころん)
12.ヒカリユメ
13.LOOK UP
14.タラレバ
15.好きでいてくれていいよ
16.革命前夜

セットリスト

すとぷり生配信無観客ライブ
すとろべりーめもりー in すとぷりちゃんねるっ!【Vol.2!!】
2020.08.27

  1. 1. Streamer
  2. 2. 苺色夏花火
  3. 3. よさこいディスコParty
  4. 4. Next Stage!!
  5. 5. アモーレ・ミオ
  6. 6. 好きでいてくれていいよ (ショートVer.)
  7. 7. ヒカリユメ (ショートVer.)
  8. 8. LOOK UP (ショートVer.)
  9. 9. 道標(莉犬×るぅと×ころん)
  10. 10. 咲かせて恋の1・2・3!(莉犬×るぅと×ころん)
  11. 11. キングオブ受動態(ななもり。×ジェル×さとみ)
  12. 12. 脳内ピエロ(ななもり。×ジェル×さとみ)
  13. 13. ストロベリー☆プラネット!
  14. 14. ギンギラ銀河
  15. 15. スキスキ星人
  16. 16. 大宇宙ランデブー
  17. 17. 大好きになればいいんじゃない?
  18. 18. おかえりらぶっ!
  19. 19. 革命前夜
  20. 【ENCORE】
  21. EN1. マブシガリヤ
  22. EN2. Strawberry Prince Forever

お知らせ

すとろべりーめもりー in すとぷりちゃんねる!
Vol.2 セットリストプレイリスト

https://stpr.lnk.to/20200827_Setlist

トップに戻る