ずっと書きたかった言葉やテーマを組み込んだ20枚目のシングル
コブクロ | 2011.02.11
昨年は、2枚組のカバーアルバム『ALL COVERS BEST』の発売や、22万人を動員した初のスタジアムライブなど、新たなるチャレンジでさらなる飛躍を遂げたコブクロ。
今年メジャーデビュー10周年を迎える彼らから届いた20枚目のシングルは、スタジアムライブのステージでいち早く披露していた「Blue Bird」、人生を映画に例えたメッセージソング「君への主題歌」と、それに初回限定ボーナストラックの「ラブレター(demo)」を加えた充実の1枚。それぞれの曲に込めた想い、制作秘話などを、小渕と黒田の2人がたっぷり語ってくれた。
- EMTG:ニューシングル「Blue Bird」は、久しぶりに爽やか路線の曲ですね。サビから始まるメロディと、歌詞の言葉の乗り方が心地いいです。
- 小渕:そうですね。歌い出しの「Your Love」は、メロディが出来た当初からそう歌ってました。それと、そこに君がいて、そこに愛があって、ただそれでいいっていう、それで人が繋がってるっていうところをテーマにしたときに、「幸せ」っていう言葉も出て来て。今まで「幸せ」ってあっけらかんとし過ぎていて、あんまり歌詞に使いたくなかったんですけど、今回の「幸せ」は、何枚も何枚もフィルターを通して、ようやく自分の中で消化出来た「幸せ」なのかなっていうところで、いいなと思って、言葉に逆らわずサビの2行を作っちゃいましたね。
- EMTG:コブクロって、日常の中にあるちょっとした幸せや温かさみたいなものを書いた歌が似合うというか、持ち味のひとつとしてありますよね。
- 小渕:そうですね。でも、自分がそういうものに目がいかないとそういう歌は出来なくて、こもってこもってっていう制作スタイルのときはうまく書けないんですよね。結局、日々の暮らしが僕の場合そのまんま歌になってるんだと思うんですけど、今は気持ちがたまたま空の方にファーッといってる時期なんでしょうね。
- EMTG:小渕くんが空にだとしたら、黒田くんは今どこに気持ちが向いてますか?
- 黒田:僕は、行ったり来たりなんですよね(笑)。一時期は柔らかく歌おうとする気持ちが強かったんですけど、スタジアムライブのときに「これではダメだな」と思って、どっちかっていうとガリッとしてる、初期の頃に近い感じもアリなのかなと思って戻ってみたり……。振り絞るような歌い方の良さもあるんですけど、柔らかく歌う良さもあって、どうしようかなって悩んでるところです。この「Blue Bird」を録ったときは、柔らかく歌おうという意識がすごく強かったですね。出来るだけ飛び出さずに、柔らかく歌いました。
- EMTG:カップリングの「君への主題歌」は、「Blue Bird」とは対照的なアツさを持った曲ですね。
- 黒田:そうですね。この曲は難しいんですよ。パート割りも結構悩んで、このまま最後までいった方がいいのか、それともサビで変わるのかとか、いろいろやってみてこれになったんです。リズムに対しての譜割りも変わってるんで、覚えるのも時間が掛かりましたね。歌詞は、最初からこう書こうっていうのがすごくある曲で、「Blue Bird」とはまた反対の、ホントに自分自身のこと書き綴ってるような、日記のような感じですね。ボーナストラックの「ラブレター(demo)」もそうなんですけど、一般論でもなんでもなく、ただのその人の生き方というか、小渕の人生観がすごく出ているなと思います。
- 小渕:僕、昔から「自分の人生が映画だとしたら」というテーマで歌詞を書いてみたかったんですよ。自分の親や家族がずーっとカメラを回して続けているとしたらっていうことを昔から考えてたんですけど、初めてそれを歌に出来ました。「君もこの映画をいつか見終える」っていうのは天に召される瞬間のことで、「短くて聞き慣れた」っていうのは自分の名前のことなんですけど、産まれたときから決まってる自分のタイトルっていうのがあるんじゃないかって思うんです。映画も最初にタイトルが出るし、書きながら面白いテーマだなと思いましたね。
- EMTG:初回限定盤にのみ収録されている「ラブレター(demo)」は、本当にデモとして録った音のままCD化してるんですね。
- 小渕:これも「いつか『ラブレター』っていう歌を書きたい」と思っていて詞を書いたんです。今まで「君にラブレターを書きたい」とか「書いたよ」とか、そういう歌はあっても、ラブレターがそのまま歌詞になってるものはないと思ったんですね。なので、まずはラブレターを完成させたんです。で、去年ひゅっとスタジオに入ってみたらブワーッとメロディがついたので、「あ、これはレコーディングしよう」と思って。でも、今回収録しているのはあくまでデモで、まだ何もアレンジをしていない状態。ここまでザックリしたデモの音をファンの人に聴かせるのは初めてですね。インディーズのとき以来です。
- EMTG:実際、ストリートライブをカセットで録ったような雰囲気の音ですよね。
- 小渕:そうなんです。近頃の人はカセットの音って聴いたことないと思うんですけど、あんなにカチャカチャいってたり、ノイズが多かったりするのに、音の感じが温かいんですよね。実はこれ、ホントにテープレコーダーに向かって歌ってるんですよ。
- 黒田:わざわざテープレコーダー買いに行ったんです。
- 小渕:80年代に売ってたダブルカセットみたいな。
- EMTG:今も売ってるところがあるんですか!
- 小渕:あるんですよ。しかも、これを録ったテープは50円でした(笑)。すごくないですか?レコーディング技術が進んだこの現代の何千万って機材があるスタジオで、50円のテープに録ってるっていう(笑)。
- 黒田:50円のテープに録った音源をPro Toolsに読み直すって、ワケのわからん作業をしたからね(笑)。
- 小渕:今回のシングルに収録されている曲は、5月からスタートする全国ツアーで歌うと思いますし、「ラブレター(demo)」のアレンジが完成したものは次のアルバムに入れる予定なので、ぜひ楽しみにしていてください。
【 取材・文:松本純枝 】
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